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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2024年7月


【全冊著者直筆サイン入り!】
延暦19年。駿河国司の家人・鷹取は、軍馬を養う官牧で己の境遇を嘆く日々を送っている。ある日、近くの市に出かけていた鷹取は、富士ノ御山から黒煙が噴き上がるのを目撃し、降り注ぐ焼灰にまみれて意識を失う。一方、近隣の郷人や遊女などの避難民を受け入れた牧は、混沌とする。灰に埋もれた郷では盗難騒ぎが起こり、不安、怒り、絶望がはびこるなか、京から坂上田村麻呂による蝦夷征討のための武具作りを命じられる。地方の不遇に歯噛みする鷹取は――
平安時代、富士山延暦噴火。大災害に遭った人々の苦悩と奮闘の日々を描く、歴史パニック長編。


                     (光文社HPより)



著者のサインには感動・・・・全冊直筆って凄い!


登場人物が次々と出て来るので、慣れるまでちょっと難儀した。
でも、それぞれのキャラクターが魅力的で、起きていることは大災難なんだけど
そこにいて、奔走する人たちがただ恐れ慄くだけではなく
凄く生き生きしていた。

そこは、やがて軍馬として活躍する馬を育てている地だったため、
自分たちの命よりまず、馬を守るために色々な知恵を出し避難させる場所を
決めたり、実際に移動させたりと必死。


主人公の鷹取(30歳)は、生まれは貧しい賤民。
京都から主に従って駿河の地へ。
着いた早々、馬を一頭、逃がしてしまい、新たな馬を貰い受けて来いと
岡野牧へと出向く。
そこで、遭遇した富士ノ御山の噴火騒ぎ。
そのままその岡野牧にとどまる。

そこで、出会う人たちとも次第に親しくなっていく。
身分の低いことにずっと引け目を感じていた鷹取だったが、ここではそれを
次第に感じなくなる。


噴火したあとの暮らしも大変だけど、皆、黙々とやるべきことをやっている。
そして再びの噴火。

時代は坂上田村麻呂が東北を制覇する頃。
東北の地のリーダー・阿弖流為は(アテルイ)囚われの身として
田村麻呂と共に岡野牧へ
寄る。
その時、二人の関係討伐した側の大将とそれに敗れた者という
だけではないのでは?と感じる鷹取が田村麻呂に自身の疑問を問う場面が
いい。
そして、かつては自分と似た身分だった小黒が出世して田村麻呂に仕えて
いたんじゃないか?と思えるところも。


災厄に逃げ惑う人の物語だと辛いだけだけど、そんな中でも逞しく生きている
人たちの物語は、読んでいて心地よかった。



                       ★★★★★
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発行年月:2024年2月


藤原道長の栄華を転覆させようと都を暗躍する盗賊たち。道長邸で働く女房・小紅は、盗賊の首魁が死んだはずの兄との噂を知り探索を始める。その過程で権力を巡る暗闘とそれに翻弄される者たちの恨みを知った小紅は、やがて王朝を脅かす秘密へと辿り着き――紫式部、和泉式部も巻き込んで咲き誇る平安ロマン、艶やかに開幕。

                 (新潮社HPより)



面白かった!!
大河ドラマの影響もあり、すんなり話が頭に入って来たのもよかった!

時もちょうど、今の大河ドラマとおなじ。
紫式部が物語を書き始めた頃で、道長邸(土御門第)で働く小紅も
新しい物語を読むのを楽しみにしている。

時は、道長の時代だけれど、そんな道長を憎む者もして
その盗賊の首魁が小紅の兄・保輔だという。
その兄・保輔は捕らえられ獄中、自害したと聞くが
小紅の記憶の兄は無骨ながらも優しい兄だった。
そして再び、賊が土御門第に侵入する。

小紅は、兄・保輔と賊の関係を知りたいと一人、模索する。

小紅の兄は3人いて、保輔は3男。
長男は闇討ちで殺害されており、次男の保昌は、道長に仕えている。


賊と対面して兄の生前のことを聞くが、その賊たちもやがて何者かに惨殺される。
賊の仲間で一人生き延びた少女・御以子は、兄のことを父親だと言っていた。
その謎ときもなかなか興味深いものだった。

保輔と道長の妻・倫子との関係は、なんだか胸キュンものだったし
ドラマにしても十分、面白そうな物語だった!



                      ★★★★★




発行年月:2022年2月

現役受験生作家がリアルに紡ぐ受験生の青春
 舞台は、とある地方都市。高校3年生となり、受験生の水咲。
 ある朝、町中の尊敬を集める「先生一家」の門前にパトカーが何台も集まり大ニュースに。そこは昔から憧れの的だった、現在通う高校の生物教師の家でもある。水咲といつも一緒の幼なじみ・聖二と愛海も心配で駆けつけるが、手錠をかけられ警察に連行されて出てきたのはなんと憧れの生物教師だった!
 その先生は幼い頃から水咲にとって特別な存在。先生をひたすら信じたい一心から水咲はまた別の事件にも巻き込まれてしまい……。
 著者が現役受験生として受験勉強と並行して描いた、地方都市在住受験生の青春を描いた初恋小説。読後爽快、リアルな青春を鮮やかに描く。

                   (小学館HPより)



花実シリーズ以外の作品ということですね。

最初からビックリ!
幼い頃から憧れて慕って来た祐太お兄ちゃん(高校教師23歳)が
自宅で逮捕。

水咲や幼馴染の愛海、聖二と共にショックを受ける。
特に水咲は幼いときから祐太と一緒に過ごした思い出が多く、何かの
間違いでは?と思い続けている。

そんな水咲の健気さ、一途に祐太を思う気持ちがなんとも辛い。


教師の家庭に育ち、幼い時から優秀で、スポーツも出来き、性格も容姿もよく
非の打ちどころがない生き方をしてきた青年が下着泥棒で逮捕されるって、
何が彼をそうさせたのか?
そちらが凄く気になったのだけど、その辺については語られず
逮捕後にストレスがそうされたようなことを言っているとあったのみ。

順風満帆で周囲からも高く評価されて、挫折を一切知らない彼が
高校教師になり、初めて何か試練にぶつかったんだろうな。
なんだか、やりきれない話。
この先の祐太の生き方が心配。

そして、そんな祐太を想い続ける水咲のことも凄く心配。


幼馴染(愛海と聖二)と、文芸部後輩の山田たちの会話は
テンポよく面白かったけれど・・・。
お話としては、あまり好きじゃないな・・・。



ただただ、明るい青春小説を書いてくれないかな?

                      ★★★


発行年月:2023年10月


花実母娘のルーツとなる祖母の壮絶な人生譚
 花実は中学三年生となった。進路を考える年頃。そして、ほんのり初恋の気配も。そんなある日、花実の母・真千子がひったくりの被害に遭う。その事件から、花実は「金」に対しての意識がより強くなり、よりシビアな中3となる。事件の犯人が判明するが、それは予想外のほろ苦い結果に。
 そんなある日、見知らぬ女性から祖母タツヨの訃報が届く。以前「太陽はいつもひとりぼっちだ」と言い放ち去って行った祖母。そして、その女性からタツヨの日記を渡される。そこには、暗く辛い昭和を生き抜いてきたタツヨの長い長い凄惨な人生が刻まれていた。それを読んだ花実は・・・・・・。
 前半と後半ではまったく違う世界を味わえる作品。本当に二十歳の著者が書いたのだろうか、と驚く展開、描写。著者のまったく新しい一面を見ることが出来る渾身の長編小説です

                  (小学館HPより)





花実の亡くなった祖母のお話。

遺された日記を読む花実。
祖母・タツヨの壮絶な人生がそこには書かれていた。

幼い頃より、両親や兄弟にばかにされながら、両親には叩かれたり暴力・暴言の
数々が日常的に繰り返されたタツヨ。
両親が持ってきた縁談話を受け入れ、結婚した夫・田中正は
愚鈍な男で失敗ばかり。給料袋を落として来た時、我慢も限界で
お腹に子どももいるのにと
「死ねよ。生きていてもみんなに迷惑かけるだけだから死んでこいよ」と。
それに対して「わかった」と答える夫。

そして、本当に交通事故で亡くなってしまう。

ああ、こんなの一生後悔する・・・(ノД`)・゜・。

産まれた娘・真千子は可愛いく愛情も感じるのに、夫の死を責められているように
感じる幼い真千子の言葉に驚き、折檻するようになってしまう。

本当に読んでいて辛いタツヨの人生。

仕事場で知り合った吉澤さんが良い人でよかった。
タツヨの頼みをきいて死後事務委任契約を受けてくれて、タツヨの死後の
あれこれを引き受けて、全部捨てて欲しいと頼まれていたけれど
これは捨てられないと真千子と花実の元に届けてくれたことでタツヨの本心が
わかった。
日記をまだ読んでいない真千子もタツヨのことを赦せるといいな。


ああ、今回も凄い話でした。
まだ20歳の子がこんな話、よく書けるもんだと改めて感心。



シリーズはまだ続くのかな?
他の話も新しく書いて欲しいけれど・・・・。



                    ★★★★



発行年月:2020年11月


現役女子高生作家が紡ぐ、鮮やかな人間賛歌
★遠くへ行きたい 
田中花実は、中学2年生になった。前作『太陽はひとりぼっち』からのバディ、佐知子とは相変わらず仲良し。ある日、二人は少女と出会う。よかれと思って少女のために行動した二人だが、思わぬところから、深い社会問題に踏み込んでしまう結果に。笑いあり、涙あり、生きることへの肯定感を滲ませる「るりかワールド」はより広がり、深みを増す。
★私を月に連れてって
デビュー作『さよなら、田中さん』、前作『太陽はひとりぼっち』でも、常に名脇役として登場する2階の住人・賢人が主役の物語。相変わらずむさ苦しく、世捨て人となっている賢人がある日突然恋に落ちる。そのお相手とは……?そして、その恋が、彼の生活、人格すべてを変えていく。賢人が見つけた鮮烈な「恋」の行方は……?
★夜を越えて
今作の『遠くへ行きたい』を受けて誕生した作品。授業の一環、職場体験で出会った「ぶーさん」。彼女は、花実のお母さん・真千子の昔を知る人物だった。実の娘の花実にすら一切を語らない、真千子の壮絶な過去の一端が紐解かれる。そこで描かれる真千子の少女時代。そして、その時代から続く熱い想い、絆に心が震える一編。

                 (小学館HPより)



今回も先が気になり、読み始めたら止まらず一挙に読了。

佐知子と共に、学校にも行かず、家から出ることを禁じられている少女・のんちゃん
の存在が気になり、匿名で児童相談所に連絡する。
なんとそれがニュースになり、のんちゃんは無戸籍で母親の元を離れ
施設に保護されたという。

それを知り、花実と佐知子は、のんちゃんと母親を離れ離れにしてしまった
ことを、気にする。
正しいことをしたんだろうか?と。
のんちゃんにとっては余計なお世話だったんじゃないか?と。

優しいな。
でも、正しかったんだよと言ってあげたい。
このままでは、のんちゃんは学習する場も働く場もないのだから
生きていく術がないまま大人になってしまう。


即場体験で知り合った村上さんがお母さんの親友だったという奇跡の出会いから
花実の母・真千子の過去の話に。
壮絶な過去。
気になるのは、もしかして花実は実の子ではないのか?というところ。

花実が度々、思い出す、小学校の担任・木戸先生の兄が弟を訪ねてくる話も
まだ兄弟の再会の場面はなしに終わった。

木戸先生の兄は前作で見た目は女性で今回は木之内文代と名乗って登場。
女性と思って惹かれている賢人が本当のことを知ったら・・・・
でもそのおかげで賢人は身なりを整え、バイトも始める。
無為徒食の生活から踏み出せそうでよかった。



ああ、いろいろ続きが気になるシリーズだ。



                       ★★★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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