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読んだ本の感想あれこれ。
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c4a37242.jpg   発行年月:2005年4月

あさのあつこ初のモダン・ミステリー
男は、血管が透けて見えるほど白い頸を絞めて、女を殺す。男は、車で逃げる。月の光が注ぎ雨の降る夜、少年と幼女が、男の運転する車の窓ガラスを叩く……。

「……女性の死体が発見されました。昨夜、〇〇区〇〇のホテルの一室で、女性が殺されているのをホテルの従業員が発見し、110番通報をしました。女性の年齢は30歳から……」-----<本文より>


                                 
(講談社HPより)


ちょっと前の作品ですが、初のモダンミステリ-という言葉に惹かれて読んでみました。
なるほどこういうのがモダンミステリ-なのですね・・・笑

主人公は、女性を殺し車で逃亡中の吉行明敬。
女性を何故殺したのか?その女性とはどんな関係だったのか?
殺人に関しては謎のまま、逃亡中に街路灯のない山道を走っていて、出会った少年・白兎(はくと)と和子(通称、かこちゃん)に出会い、3人の旅が進行してゆく。

旅館では親子に成りすます事が出来、逃亡には好都合。

白兎とかこちゃんの関係は、兄妹ではない。
この二人の様子は何処か浮世離れしたかんじ。

そして、明敬の過去を回想する場面もあり、この二人はひょっとして・・・と明敬と過去に何らかの関わりがあった人物なのでは?と予測する。
けれど、ハッキリは描かれず、この物語は読み手の解釈がいろいろに出来るものなのかも。
読解力が試される?

何もかもが、あやふやなままという感じなのに、独特の魅力があり飽きずに最後まで楽しめた。

あさのさんのミステリ-、また読みたい!

★★★★




PR
5e537119.jpg発行年月:2010年5月


少年剣士の凛々しさが眩しい時代青春小説

山河豊かな小藩、少年剣士たちは兄の死や身分の葛藤を越え成長してゆく。子供と大人の境にある一瞬の美しい季節を瑞々しく描きだす


                     (文藝春秋HPより)

あさのさんの時代小説。
道場で日夜、強くなりたいと剣術の稽古に励む少年たちが生き生き描かれる。

新里林弥は12歳のとき、尊敬していた兄を何者かに惨殺されている。
剣術に長けていた兄が刀も抜かぬまま背後から斬られたとは、信じられない。
なぜ?誰が?
その疑問を抱えたまま成長し、二年後、兄から剣術を学んでいたという樫井透馬が現れる。
透馬の父親は筆頭家老。
いずれは透馬も父親の役目を継ぐ者かと思われたが、妾の子であり、父親の正室には息子もいるのだとか。

林弥の道場仲間である源吾や和次郎を加えての少年たちの会話は、時代は違っても興味のあることは同じとみえて、ちょっと微笑ましい。
遊女に通う源吾は、お調子者で憎めないキャラクタ-だったけど、後半、ある事件に巻き込まれ悲しいことに。。。。(/_;)

その事件が、林弥の兄を惨殺した事にも繋がっていて、驚きの事実もありで、お役目とはいえ、そんな事が出来るのか!?しなくてはならないのか?と、なんとも言えない虚しさを感じた。


明るく爽やかなだけでなく、その時代の酷な部分も描いていて、読み応えがありました。

それぞれの家の要となるべき少年たちのこれより少し先の話も読みたいな。


★★★★

51KaGJDKu3L__SX230_.jpeg    発行年月:2010年7月

   夏の甲子園の圧倒的な空気に魅せられ、
   中学で本格的に野球を始めた瑞希。
   しかし、地元の小さな中学校では先輩たちの卒業に伴い
   エ-スピッチャ-がいなくなってしまう。
   このままでは、地区大会すら絶望的だ。
   そこに幼なじみでチ-ムメイトの良治が飛び込んでくる。

   「ピッチャ-、見つけたぞ!」
   しかし透哉というその少年は、心に傷を負っていて-------。

                                          (本の帯文より)


あさのさんの有名な野球小説「バッテリ-」から5年後の再び野球に打ち込む少年たちを描いた爽やかな青春小説。

「バッテリ-」は未読ですが、この話は、まだ新たな野球チ-ムが動き出したばかりの物語で、冒頭の中学生の地方大会で優勝したシ-ンから始まる。
そして、その場面から遡り、チ-ムの要であるピッチャ-の透哉と二人の少年・キャッチャ-の瑞希とファ-ストの良治の出会いから語られる。

瑞希と良治は幼い頃からの友達で、二人の会話が楽しい。
明るくて物怖じしない良治と物事を冷静に捉えて行動する瑞希。
性格は違うけど、二人との優しい。

そんな二人がワケありで転校してきた透哉と出会う。
透哉も優しい子。それゆえ、前の学校で辛い経験をしていて、母親の実家で一人暮らしの祖母・美沙子の元に一人で来ている。
学校にも行けず他人と話すのが苦手。

透哉に接し、透哉の心を少しずつ開いていく瑞希と良治。
その過程が自然で優しく、ジ~ンとした。
友達の存在って偉大だ!

まだ、始まったばかりのこのチ-ムが地区大会優勝まで辿った詳しい経緯も書いて欲しいな~。

夏のこの時期にピッタリの青春小説でした!

挿画は佐々木こづえさん。
この挿画も好き♪

★★★★

              

     
36801e0a.jpg   発行年月:2009年12月


   この世に思いを残して死んだ人の姿が見える----
   
   医者の娘おいちを巡る不思議ばなしを
   『バッテリ-』のあさのあつこが江戸を舞台に描く。

 
                           (PHP HPより)

 

町医者の娘・おいちは16歳。
母親を早くに亡くしたが、父親を手伝い長屋周辺にその日暮らしの生活を送る貧しい人たちの怪我や病気の治療に毎日、明るく接し、その働きぶりの評判も上々。

おいちには人にはない能力があり、父の元治療にくる人の気配を予め感じたりする。
が・・・夢のなかに現れ苦痛の表情の女の人は幾ら待っても来ない。
夢には度々出て来て、なにかを訴えている様子。
誰なんだろう?何を苦しんでいるのだろ?気になりつつ過ごすおいち。


ある日、伯母により、おいちに縁談話が舞い込み、その相手である男性の周りに起こっている不可解な死があることがわかる。
その真相は・・・・?

読みやすく、ちょっとミステリ-の要素もあり、なかなか面白かった!

おいちの亡くなった母親の姉・おうたとおいちの父・松庵のやりとりは、漫才のようで楽しかったし・・・
登場する人物たちが個性的で好感が持てる人ばかり(^^)

不可解な死の真相は、なるほど~というかんじで、ラストもすっきり。
最後は、皆が幸せになれたかな?

シリ-ズ化もあるかな?
おいちのその後もまた読みたいなぁ~。

時代物はどうも・・・・と敬遠してる人にも昔の雰囲気を楽しみながら難なく入り込めるお話だと思います。
小学生高学年くらいからなら、理解できそう。


★★★★
8fc7ef16.jpeg   発行年月:2009年12月


   怖い、切ない、あたたかい、多彩な物語が弾きだす

   父が秘めた生涯の恋、消えた女房が見せる奇妙な夢、
   深山に逃げ込んだ盗賊の顛末など今昔の境も
   夢現の境も自在な6つの物語


                        
(文藝春秋HPより)

先に読んだ「朝のこどもの玩具箱」に続いて、新聞掲載されたお話。
今回は、明るい雰囲気の話が多かった「朝の・・・」に比べると、不思議だったり、怖かったり、切なかったり・・・・・。

最初の話「仕舞い夏の海」は、若い頃、一緒に暮らしていたが突然、姿を消した女性・茉莉の事が忘れられない達樹だったが、今はもうすぐ30になる娘も嫁ぎ、妻と暮らしていた。
けれど、病に倒れ、余命も短いようだ。
妻・敏美は、故郷の海を見せてあげたいと娘と供に達樹を思い出の海に連れて行く。
故郷の海で思い出の女性に会わせてあげたいと思う妻の優しさが切ない。

そして、この話は最後「もう一度さようなら」に続いていて、予期せぬ続きが嬉しかった!
達樹と敏美の娘・雛子は夫・修一とやや冷え切った関係でそれをもう修復出来ないものか?と悩んでいた。
修一は過去に哀しい出来事を体験していて、そのためか他者と濃密に結びつこうとしない。
結婚して暫くから、修一との日々は長くは続かないだろうと予感していたが別れという決意はつけられず・・・・・
辛いだろうなぁ~。こんな状況が続いたら・・・・。

雛子もその母親の敏美もなんだか気の毒でした。
切なくて苦しい。


けれど、最後は、それぞれ夫に疎まれていたわけじゃなかった。大事な存在だったんだ!と気づけて良かった!

ほかの話もそれぞれ、文句なし!
時代物の2作「恋女房」と「蛍女」は、ちょっと妖しく怖かった。

「うちの猫は鼠を捕りません」は、SFとホラ-の要素で最後はゾッ!(;O;)

「お花見しましょ」は、ちょっと切ないけど、最後は明るくて良かった。

6つのお話、どれも良い!
やっぱり、あさのさんは凄い!

短編集でひとつひとつがそう長くなく、いろんなテイストが詰まっているので、
今まで敬遠していた人も是非、読んで欲しいな~なんて思う本です(^^)

★★★★★
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