発行年月:2018年8月
芥川賞受賞から2年、本谷有希子が描くSNS狂騒曲!
海外旅行でインスタにアップする写真で"本当”を実感する僕たち、ネットショッピング依存症から抜け出せず夫に携帯を取り上げられた妻、自分たちだけの"印”を世間に見せるために動画撮影をする夫婦――。
SNSに頼り、翻弄され、救われる私たちの空騒ぎ。
(講談社HPより)
芥川賞取った作家さんだけど、読んだことないなぁ~と思い手に取った。
芥川賞の作品も全然読んでないのだけど。。。^^;
3つの短編集。
静かにねえ静かに・・・・SNSとういうことらしいけど。
<本当の旅>
ウエブデザインが主な収入源のボク(ハネケン)が親友の2人とマレーシア旅行。
旅のはじまりから何かと写真を撮り、インスタにアップ。
そして、タクシーに乗る・・・・なんだか悪い現実が待っている予感をさせる
ラスト。
これは意外と面白かった。
ただ他2つは、あんまりかなぁ~?
<奥さん、犬は大丈夫だよね?>
夫の同僚夫婦と1泊2日のキャンピングカーでの旅に出かけることになった女性。
最初は乗り気じゃなかった。
大型犬まで同乗すると知り唖然としながらも受け入れる。
しかし、途中から彼らと意気投合。
ネットショッピング中毒の自分を責める夫が鬱陶しく夫が車外に出たとき
ちょっとしたいたずら心が働き彼らと行動を仕掛ける。
想像するだけでここから逃げたい気になった^^;
<でぶのハッピーバースディ>
でぶ夫婦、揃って3か月前に仕事を解雇される。
夫は妻を「でぶ」と呼び容姿をバカにする。
妻の醜さをネットで世間に晒す。
こんな夫婦嫌だ~
嫌悪感しかない。
面白くないわけじゃないけど、ちょっともう読みたくない作家さんかも~。
賞は色々取っているから、単に自分に合わないだけかもだけど。。
★★
発行年月:2018年7月
加害者と被害者は紙一重。 あなたは絶対踏みとどまれると断言できるか―?
(角川書店HPより)
短篇の形だけど、繋がっている。
こんなに危ない人ばかりいる社会は、怖い。
被害者として書かれていた人が実は加害者。
しかも、罪の意識がないまま他人を傷つけ平気でいられる。
<case1 ミュール>
<case2 アンビギュイティ>
<case3 キャンディ>
<case4 シイク>
<case5 ファン>
<case6 フリン>
<case7 イットカン>
警視庁ストーカー対策室ゼロ係
・巡査部長 二宮隆
部下 橋田結花
対策室で扱う事件の数々・・・ストーキング、詐欺、恐喝、リベンジポルノ
不法侵入、誘拐、盗撮、盗聴など。
3番目のキャンディは、ショックだった!
原田真二の名曲<キャンディ>の解釈がとんでもない犯罪オンパレードだという
もの。
でも、言われてみれば・・・そうも考えられる。
ロマンチックな曲だと思っていたのに・・・・(T_T)
しかし、異常な執着心を持った人物に近づかれトラブルを起こすと怖いな~。
他人事としして読んでいるから面白がれるけれど、自分の身に起きては欲しくない!
★★★
発行年月:2018年1月
クレーム集中病院で、若き女性医師が“モンスター・ペイシェント”に狙われた!? 失敗しようと思う医師はひとりもいない。けれど、医師と患者が解りあうのは、こんなにも難しいのか――。現役医師が、現代日本の医療界の現実を抉りながら、一人の医師の成長を綴る、感涙長篇。 病院を「サービス業」と捉え、「患者様プライオリティー」を唱える佐々井記念病院の常勤内科医になって半年の千晶。午前中だけで50人の患者の診察に加え、会議、夜勤などに追われる息もつけない日々だった。そんな千晶の前に、執拗に嫌がらせを繰り返す“モンスター・ペイシェント”座間が現れた。患者の気持ちに寄り添う医師でありたいと思う一方、座間をはじめ様々な患者たちのクレームに疲弊していく千晶の心の拠り所は先輩医師の陽子。しかし彼女は、大きな医療訴訟を抱えていた。失敗しようと思って医療行為をする医師はひとりもいない。しかし、医師と患者が解りあうことはこんなにも難しいのか――。座間の行為がエスカレートする中、千晶は悩み苦しむ。 現役医師が、現代日本の医療界の現実を抉りながら、一人の医師の成長を綴る、感涙長篇。
(幻冬舎HPより)
読んでいて気が重くなる内容だった。
医療現場にいるクレイマーたち。
実際に医療現場で働いているので、これに似た場面には、度々遭遇してます^^;
ま、こんなに次々、重なることはないけれど・・・・。
しかし、怖かったのは、女医・千晶に執拗に嫌がらせする座間の存在。
なんなんだ、こいつは・・・怒
病院の対応にも嫌気がさす。
患者様?働いている医師を守らず逆に攻撃するような経営者側の態度には
虫唾が走る。
こんな病院、辞めて医師として尊敬できる父親の診療所に行けばいいのに・・・
なんて思って読んでいた。
そして陽子のような医師が自ら死を選ばなくてはならないほど追い詰められた
状況にも疑問。
病院側が医師を守ることをもっとしてほしかった。
医療ミスは、どうしても起きてしまう。
でも誠意ある説明と謝罪があれば、ある程度は患者側は納得するんじゃないか?
読みながら、色々、考えさせられた。
現役医師でありながら作家活動を続ける著者の本、今後も楽しみにしています。
★★★
発行年月:2018年1月
「大切な人の死」で知る悲しみとその悲しみの先にある未来
誰もが自分の人生を生きている
益田ミリ、新たな代表作! 珠玉のエッセイ20編を収録。
(毎日新聞出版HPより)
叔父さんの死と父親の死についてのエッセイ。
亡くなることを永遠のおでかけと例えたのは、巧いなぁ~と感心。
哀しみも少し和らぐ気がする。
親しくしていた人が亡くなったら哀しいのは当たり前だけど
ミリさんのご家族は、それを受け止めて明るく前を向いている。
哀しみの日々のなかにも、ちょっとしたことで笑ったり出来るのは
いいことだと思う。
亡くなったすぐ後でも明るい雰囲気で、亡くなった人の思い出話とかしたら、
きっと亡くなった人も嬉しいんじゃないかなぁ~。
なんだか、温かい気持ちになれる1冊だった。
★★★★
発行年月:2010年11月(単行本は1981年10月)
2011年、没後30年を迎える名人の傑作
人妻の恋の道行を描いた表題作をはじめ、
おひとり様の恋心を衝いた「胡桃の部屋」、
絶筆「春が来た」他、全5篇を収録した珠玉の短篇集
(文春文庫HPより)
5篇どれも面白かった。
女性たちの心理描写が凄く巧い!
表題作<隣りの女>は、一番最初。
28歳のサチ子はアパートで夫と暮らしている。
昼間はミシンを踏んで内職をしている。
隣の部屋のスナックのママ・峰子を訪ねてくる男との会話や行為を
盗み聞き。
ある日、いつもの男の声とは違う声を聞き、興味津々のサチ子。
サチ子の行動、凄いな。
そして元の生活に平然と戻る・・・・う~ん。強か。アッパレ・・・^m^
5篇のうち<下駄>だけ、男性が主人公。
突然、腹違いの弟だと名乗る男が出現。
いつも勤め先へ出前を届けてくれる中華料理屋の男。
戸惑いつつも一緒に飲みにいったり父親の七回忌が近いことや墓の場所を
教える。
母親には言えず、段々と男の接し方が馴れ馴れしくなってくることにも
疎ましさを感じていく。
最後の絶筆となった作品<春が来た>もよかった。
ついつい見栄を張って付き合い始めた男。
家族や家のことも理想的な様子で語ったが、ひょんなことから
家に連れて来ることになってしまう。
ガサツな両親。無愛想な妹。狭い家。
語っていたのとは真逆な家庭。
これで振られると覚悟したら、意外にも男は全て受け入れ
週末ごとに家に来るようになる。
家族が男の出現によって変わっていく。
でも最後は、あれ?っという結末。
結果的に振られたわけだけど、あっけらかんとそれを受け入れる直子がいい。
これドラマ化されたんだぁ~
WOWOWで放送されたらしいけど、観てみたいな~。
向田さんの作品、面白いわ~
★★★★★
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記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;