発行年月:2019年3月
将門という男は、なぜかくも激しく不器用なのだ!音楽に取り憑かれ、「至誠の声」を求め旅に出た仁和寺の僧・寛朝。荒ぶる坂東の地で出会ったのは、古き法に背き、ならず者と謗られる人物だった――。土豪、傀儡女、群盗……やがて来たる武士の世を前に、混迷を生きる東国の人々。その野卑にして不羈な生き様に接し、都人はどんな音を見出すのか。父に疎まれ、梵唄の才で見返そうとする寛朝逆賊と呼ばれても、配下を守ろうとする将門下人の身にして、幻の琵琶を手にせんと策略を巡らす千歳「至誠の楽人」の名声を捨て、都から突然姿を消した是緒己の道を貫かんともがく男たちの衝突、東西の邂逅を、『若冲』『火定』の俊英が壮大なスケールで描き出す!
(中央公論新社HPより)
平将門の乱の時代背景に生きた男たちの不器用ながらに一生懸命さが
哀しく感動的だった。
主人公は22歳で京都から常陸国を目指す僧侶の寛朝。
従僕の千歳と共に・・・
寛朝は。己の梵唄を究めたく、一度耳にした朗詠に魅せられ、教えを乞いたいと
思う、豊原是緒の元へ。
千歳もまた是緒の琵琶に魅せられ自分の手にと思っている。
常陸国分寺に着く二人だが、是緒は心慶と名乗り、唄からは離れてしまっている。
そして琵琶はあやこという盲目の傀儡女に譲ったという。
寛朝は、やがて平将門と会う。
将門の娘・うそから慕われ、唄をうたう。
また将門と敵対する平貞盛とも寛朝は会う。
貞盛を慕う、傀儡女のリーダー的存在の如意も将門を酷く憎んでいる。
それぞれの気持ちを知る寛朝は、やがて乱世の渦中に巻き込まれることに。
戦いの場面は壮絶で、息苦しいほどの迫力だった。
寛朝が主人公だけど、一番、印象的だったのは、名声を捨て僧侶として己の
過ちを悔いながら生きた是緒(心慶)。
大切な琵琶をあげた、あやこを想う気持ち。
あやこの壮絶な最期は辛かった(/_;)。
読み応え満点の澤田さんの作品、次回も楽しみです!
★★★★★
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発行年月:2019年6月
気鋭の歴史作家が描き出す、聖武天皇の真実!756年、大仏建立など熱心に仏教政策を推進した首(聖武)太上天皇が崩御する。道祖王を皇太子にとの遺詔が残されるも、その言に疑いを持った前左大臣・橘諸兄の命を受け、中臣継麻呂と道鏡は、密かに亡き先帝の真意を探る。しかし、ゆかりの人々が語るのは、母君との尋常ならざる関係や隔たった夫婦のありよう、御仏への傾倒、迷走する政……と、死してなお謎多き先帝のふるまいや孤独に沈む横顔ばかりで――。伊坂幸太郎、朝井リョウをはじめとする人気8作家による競作企画【螺旋プロジェクト】の1冊としても話題!
(中央公論新社HPより)
巻頭の天皇家と藤原家の系図を何度も見て、なんとか読了。
名前が難しい^^;
聖武天皇が崩御してから、始まる、色々な人が語る天皇のこと。
藤原家と天皇家の両方の血を受け継いだ、聖武天皇。
ゆえに、藤原家の母・宮子(父は藤原鎌足)を忌避する。
が、死の直前、母の夢をみる。
母の血を忌避してはいたが、母への恋慕が見せた夢では?と自らも思う天皇。
なんだか哀しい。
死ぬまでそのことに心を砕き、仏教に傾倒していったのも心の安らぎを求めての
こと?
また聖武天皇の妻・光明子の苦悩も語られ、天皇の嫁ぐということは
次ぎの天皇を産む重責を負うことだというのも、また大変なこと。
こういうの読むと、一般庶民でよかったとつくづく思う。
今の天皇家の方達の姿も思い浮かべてしまった。
螺旋プロジェクト。
「海族」と「山族」の対立をテーマに色々な作家さんが書いていますが
今回は、国を治める山の如き皇族とその稜線を洗う海の如き藤原家を描いている
物語。
読むのが、なかなか大変だったけれど、聖武天皇について色々、学べました。
★★★★
発行年月;2019年6月
住み心地のいい離れの一軒家で一人暮らしを続ける北川春子39歳。母屋に越してきた、夫を亡くしたばかりの63歳、青木ゆかり。裏手の家に暮らす現実的な今どきの新婚25歳、遠藤沙希。
年代も性格もまったく異なる3人の出会いから始まった、温かく、どこか嚙み合わない"ご近所付き合い"、その行方は――。
女も男も、人からは見えない、そしてジャッジすることのできない問題を抱えている。年齢や、生きる環境、価値観など、さまざまな違いを乗り越えて、人と人はほんとうに分かり合えるのか? 現代を生きる大人たちに贈る必読の一冊。
(毎日新聞出版HPより)
こんなご近所さん付き合いが出来たら理想的でしょう。
一人暮らしだと、急に体調が悪くなったときが一番、心細いと思うけど
すぐ近くに助けを求められる人が居るって心強い。
時には、それぞれの問題に関わってしまって、憂いの日があっても
誰かと関わることって、そういうことだし、このメンバーなら
また何か問題起きても、ちゃんと解決していけそう。
ブルーベリー狩り、実現する日が楽しみですね(^^)
日常の先にちょっとした楽しみがあると気持ちがそこに向かって
明るい感じになっていいな♪
★★★
発行年月:2018年9月
大きな人生なんてない。
ただ、小さな幸せがあるだけ――。
謎めいたマスターが旨い酒を出す、四つ木銀座にある風変わりな飲み屋「銀河食堂」。そこで常連客が語るのは、ささやかな人生を懸命に生きた無器用な人たちの、不思議で切ない物語。感涙の連作長篇。
ひとり静かに亡くなっていたお婆さんは、実は昭和の大スター・安斉美千代だった。愛した人を待ち続けた彼女に、死の1週間前に届いた手紙に書かれていたのは……。「ヲトメのヘロシ始末『初恋心中』」
2000枚のSPレコードから探し当てた「兄が最後に聴いた曲」に込められていたのは、あの戦争で飛び立った青年と妹の、真っ青な空の下の切ない別れの物語。「むふふの和夫始末『ぴい』」
ほか、「オヨヨのフトシ始末『七年目のガリバー』」「マジカのケンタロー始末『無器用な男』」「まさかのお恵始末『ちいさな幸せ』」「セロ弾きの豪酒」、全6篇。
(幻冬舎HPより)
銀河食堂・・・食堂と言っても居酒屋。
寡黙なマスターは毎日、店内にチェロを飾る。
常連客たちが毎夜、来店して色々な人の話をする。
主な客は
警察官のヒロシ(通称・ヘロシ)
蕎麦屋のテル
コンピューター管理会社勤務のブン
3人は、小学校時代の同級生。
そこに郵便局員の息子・フトシ(3人の少し後輩)
民生委員だった志野(通称・ガリバー)。
よく来る女性2人、恵子とさおり(2人も同じ小学校出身者)。
地元ならではの共通の話で、知らなかった者同士もすぐに親しくなるという
楽しい居酒屋。
話のなかには、結構、切ない人情話もあるけれど、語りが、さださんの独特な
言い回しなので、暗くならずにいい感じ。
最後の話は、寡黙なマスターの素顔が少しわかる話。
人の縁の不思議。
面白かった!
★★★★
発行年月:2019年2月
作家・姫野伸昌は妻・小雪の死を境に酒浸りだったが、突如周りで不可思議な現象が起き始め、やがて自身の肉体がプラスチック化し脱落し始める。姫野は天罰と直感するが、しかしなぜ? 微かに残る妻の死の記憶──。読者に挑戦し、挑発する先の読めない展開、圧巻のノンストップ問題作1400枚超!!
(朝日新聞出版HPより)
分厚い本に先ずは驚く。
図書館返却日までに果たして読み切れるかなぁ~?
でも、意外と面白く、1日で読了。
やや難解な部分あるけれど、登場人物をメモを取りながら・・・・。
主人公・姫野の身に起きる不思議な現象。
体の一部がプラスチック化する。数日で元に戻ったり数か月で戻ったり・・・
それにどんな意味があるのか?
結局、正直その意味はよくわからなかった^^;
しかし、姫野が亡くなったと思っていた妻・小雪について。
段々と記憶から欠落していた部分が蘇る。
小雪は父親と自分の母親とは別の女性との間の子どもだった?
小雪は妊娠中に流産したが、それは母親に突き飛ばされたから?
でも、その子どもは本当は生きていた?小雪そっくりの娘・小春の存在。
色々な記憶が戻るがそれは現実なのか、夢なのか?単なる空想なのか?
ややこしい。
でも、こういうわかり難い物語でも、こういう世界感、好きなのでOK。
わかり難さを嫌うとこれは面白くないと評価されてしまうんだろけど・・・
★★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪
記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;
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