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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2012年4月


笑いと涙あふれる、著者初の自伝的実名小説

昭和30年代、長崎。カステラの香りに包まれた記憶の中には、明るくて、ちょっと迷惑で、それでも皆から愛された破天荒な父と、振り回された家族の姿があった――。『精霊流し』『解夏』『眉山』など、数々の名作を綴る作家・さだまさしが父に捧ぐ、「もうひとつの“精霊流し”」。フォークデュオ・グレープとして、ソロとしても『雨やどり』『関白宣言』『秋桜』『親父の一番長い日』『北の国から』など、温かな涙の果てに、涙あふれる独壇場世界を紡いできた著者の、真骨頂とも言える、初の自伝的実名小説。
          
                                        (小学館HPより)



さださんのお父さんが危篤の状態だというところから話は始まり・・・・
父親の過去、さださん自身のルーツも語る本書。

とても男らしくて、格好いいお父さんでした!
金利取立てのやくざを見事に追いやり、逆に慕われてしまう話は最高でした!!

みんながその死を残念がって、でも悲しみに暮れているだけは、喜ばないと
皆が最後は笑顔で送り出す姿に温かい気持ちが伝わってきた。

最後の家族写真・・・・・いいなぁ~。



 

★★★

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51Sym-oyUML__SL500_AA300_.jpg 発行年月:2012年8月


この国には古来、「不思議」が満ちていた――京都の旧家で長子誕生の際に行われる謎の儀式を描く表題作ほか、節分の夜に鬼がやって来るという信州の「鬼宿」、長崎に伝わる不老長寿をもたらす秘密の石「崎陽神龍石」など、各地の“伝説”を訪ね歩いて出逢った虚実皮膜の物語。ゾッとするほど面白く、ホロリと沁みる奇譚集!

                    (新潮社HPより)



日本各地の言い伝えに纏わるお話6つ。
どこまで本当?と思ってしまう。
ノンフィクションっぽく書かれているのですが・・・・。

<第一話 はかぼんさん>がやはり一番、印象的でした。
舞台は京都。白衣袴姿の少年の遺体が川に浮いていたという事件が背景にあって・・・
その地方で行われている儀式に、ビックリ。
亡くなった少年は、その儀式での「はかぼんさん」だったのでは?という推理。
今も何処かで実際にあるのかな?なんて本気で思ってしまった。

<第二話 夜神、または阿神吽神」
金沢の漁師町でのある儀式。

<第三話 鬼宿>
信州のとある地方の節分の夜、鬼宿の家では鬼のための寝床を用意するという儀式。

<第四話 人魚の恋>
青森に伝わる人魚の肉を食べるといつまでも若くいられるという言い伝え。

<第五話 同行三人>
四国のお遍路先で遭った行者は、人が入るべきでない場所に立ち入った人間に神罰が下るのを避けるためのお祓いをするという話。

<第六話 崎陽神龍石>
長崎の不思議な力が宿る石の話。


本当かどうかわからないけれど、恐れや感謝を持って人々が言い伝え通りの儀式を行っていることって日本全国には沢山、あるんだろうなぁ~。

不思議なお話でしたが、面白かった。
さださんの語りには惹きつけられるものがあります。


★★★★
 
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 発行年月:2012年6月

会えない人と、死んでしまった人と、どこに決定的な違いがあるのだろうか。

世界は変わってしまったと騒ぐけど、いつのまにか戻っている。戻ったみたいに、なっている-----。大阪で、ユーゴスラヴィアで、墨田区で、アフガニスタンで、世田谷で、イラクで、瀬戸内海で、ソマリアで……、わたしは、かつて誰かが生きていた場所を、生きていた。今この時を確かな言葉で捉えた作家の放つ、圧倒的飛躍作。


                                          (新潮社HPより)


タイトルから惹かれるものがあった。
主人公の36歳・平尾砂羽(さわ)は離婚して引越した。
休みの日は一人で戦争に関するドキュメンタリ-番組を見るのがすき。
そして偶然、ネットで見つけた作家・海野十三の敗戦日記を知り、文庫を買い求め、
終戦間際の海野氏の日記を読みながら、あれこれ考える。
自分の祖父も1945年の広島でホテルのコックをしていたと聞く。

砂羽の日常はごくごく普通。
職場の同僚とのたわいない会話。
友人の中井は、自由気ままに旅を続け、その様子を帰って来ると報告してくれる。
そして、中井との会話にたびたび登場の行方知れずの葛井(クズイ)。

ごく普通の生活をしながら、ふとした瞬間に、自分が居るこの場所の
過去に起きたこと、そこに居た人のことを思う砂羽。
旅行中には、たびたびそういう気持ちになることがあるけれど、
自分が今、ここに存在しているのは、いろいろな偶然が重なってのことなんだと
改めて気づかされた。


砂羽が読む『海野十三敗戦日記』・・・ちょっと読んでみたい。



なかなか深い話だった。

★★★★

 
41GSCX03FYL__SL500_AA300_.jpg発行年月:2003年2月


「文革が始まってから、私はいつも独りぼっちだった。」
 文化大革命のさ中に多感な少女時代を過ごした中国人作家が、
瑞々しい日本語で綴る自伝的長編。



                    (幻戯書房HPより)



図書館の棚を見て廻って、なとなくピン!と来た本。
大抵こういう本は当たりなのです。

著者の名前から「中国の人の話?」と想像出来ました。
そして表題の「父の帽子」の意味は、文化大革命により、右派のレッテルを貼られたことを意味する言葉でした。

著者は、北京で幼少期を過ごす。
近所の子達と遊ぶ和やかな様子や両親に愛され育つ著者の様子が微笑ましい場面が先ずは描かれている。しかし、その背景にある文化大革命が、著者の暮らしのなかに少しずつ暗い影が広がっていく。

著者の両親は、知識人で
父親は、大学で教えていたり、仏中辞書の編集に関わったりしていた。
母親も女学校の教師。
そして、父親は、母親がいうところの出しゃばりであったため、帽子を被せられることになったと。

文化大革命は1966年~1976年。
著者の父親は、共産主義を信じ共産党に入党し、毛沢東を信じていたのに、裏切られることになった。
そして、母親の同僚たちも革命の犠牲になった。
父親の従兄弟は、小心者ゆえ、自分の過去も問題にされるのでは?と不安に耐え切れず自ら命を絶った。

そんな状況が日常のなかに起きているのに、著者は周りの空気に感化されず、母親の言うところの犯罪分子の頭とされた女リ-ダ-・大洋馬(ダ-ヤンマ-)を慕ったりしていた。
そのために学校や周囲から忌み嫌われる存在になってもいつも平常心でいられるところが凄い!
強い女性なんだな・・・。

学校の革命教育の一環として、死刑公開判決大会に参加するよう先生に言われてクラス長と一緒に見学に行った先でも、家から離れようと辿り着いた駅で眠ってしまい、警察の事情聴取を受けたときにも、恐れを知らない行動にはビックリ!

ひとつ間違えば命も落とすことになったのでは?と思われる出来事も実に淡々と書いている。

日本語も上手。
只者じゃないな・・・・この人!

1977年、文革で廃止されていた大学入試試験が再開されると同時に試験を受けて大学生となり、その後、日本に渡り日本人と結婚し日本に住んでいるそうです。

名誉を回復した父親は教授として勤務する大学の宿舎で母親と暮らしているとか。


1997年、再びかつて住んでいた地をたずねたときのことが最後に書かれていたけれど、その辺をもう少し詳しく書かれたものもあるようなので、また読んでみたいと思う。

読み応え十分の書でした!!


                                      ★★★★★
 
416wissq44L__SX230_.jpg   発行年月:2012年1月


   この世はすべて幻影?
   震災後の生と死を鋭く問う問題作

   郷里を離れ東京で酒造メ-カ-に勤める熊沢武夫。
   震災後に起きた不思議な出来事をきっかけに、
   ある女性の顔が浮かぶ・・・・


                                         (文藝春秋HPより)



予備知識なしで読んだので・・・^^;
冒頭に、起きた不思議な現象を読んで、パラレルワ-ルド的なはなし?と思ってしまった。

郷里の母から電話で、「こっちに帰って来てたのなら、知らせなさい」と言われ「?」と思う主人公・武夫。
バス停付近にあったネ-ム入りのレインコ-トを駐在さんが届けてくれたという。
そして、ポケットには子どもの頃からの好物m&mが入っていた。

郷里に帰った覚えは全くない武夫は混乱する。
そして、そのコ-トを送ってくれるように母親に頼む。
届いたコ-トは、自分が少し前に百貨店で購入したものと同一で、自宅にちゃんとそれはあった。
そして、m&mのほかに、内ポケットから、SDカ-ドも出てきた。
そして、そのなかに入っていたデ-タは、武夫が仕事用に使っているSDカ-ドと全く同じであった。
ただ、知らない女性の写真など、自分で撮った記憶がない画像もあった。

不思議なことが次々起きながら、その真相ははっきりとはわからない。
でも、そんなことがあっても別に不思議じゃないのかも・・・・なんて物語を読んでいくうちに思ってしまった。

物語のなかには、3.11の震災も出てくる。
武夫の祖父が話してくれた過去の大水害の悲惨な状況も。

人が死ぬことについて書かれていた。

死だけが誰にも訪れる平等なこと。
そのほかのことは幻影のようなものなのかも。
そんな風に考えると、どんな辛く哀しいことが目の前に起きても少し受け入れられるかも。

読みながら、「死」とか「時間」について、考えさせられた。

なかなか深い話でした。


                                         ★★★


 
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