発行年月:2014年11月
マラリア、狂犬病、鳥インフルエンザ――
海外から襲いくる感染症に、検疫官・西條亜矢が体を張って立ち向かう。
衝撃の医療サスペンス!
(PHP文庫HPより)
空港内にある検疫所分室。
そこで海外から侵入しようとする感染源を食い止めるために働く検察官たちの
奮闘ぶりが描かれている。
医師の西條亜矢(37歳)が、ボス。
その部下で配属されたばかりの新人看護師の東出祐助。
医大で感染症教室助教授を務める瓦田平太郎は、亜矢の大学時代の同級生。
ほかには、新聞記者で感染症担当の下田雄史などが主な登場人物。
4つの章でそれぞれ、マラリア、炭疽菌、狂犬病、鳥インフルエンザの感染拡大を
水際で阻止する亜矢たちの様子が描かれている。
亜矢の政府の隠蔽工作を嫌い、独断で大胆な封じこめを行う様子はスカッとする。
同じ現場に居たら、やや厄介な人物だけれど、こういう方法でも
結果的に感染拡大を封じこめたという成果が得られるのなら止む終えないでしょう。
著者の作品は、社会に警告する内容が多いので、反論もあるかも?
ですが、これからもこんな作品を読ませて欲しい。
思ったより看護師の青山君の活躍が少なかったなぁ~。
続編もありそうなので、もう少し青山くんの出番があるといいと期待。
いつも思うのですが・・・仙川さんの本の表紙ちょっとリアルで怖いです^^;
★★★
発行年月:2014年9月
食品の安全神話を深くえぐる問題作登場!
天使の卵か悪魔の卵か……。
吉祥寺にある有名自然食品店で売られている卵は、極上の味、『極卵(ごくらん)』と呼ばれて大人気の商品だった。しかし、この極卵を原因とする、食中毒事件が発生。時間がたつうちに幼児の感染者が次々に死亡していく。餌、衛生管理は完璧だったはずなのになぜ汚染されたのか。
疑惑を追い始めた元新聞記者の瀬島桐子。桐子の同級生だった野々市純子の長男も中毒患者のひとりに。純子はカリスママダムといわれブログ上では著名な存在だった。被害が拡大していくなか、過激なまでに業者を糾弾していくモンスター消費者の広告塔に祭り上げられる純子。話題性抜群と、事件を煽る新聞、テレビメディア各社。そして事件の裏には遺伝子組み換え食品を手がける大企業の影が……。
偽装食品、遺伝子組み換え食品など時代を揺るがす事件が多発する現在、食品の安全とは何かを鋭くえぐる社会派ミステリーの登場。「これは、私の最高傑作」と言い切る医療ミステリーの旗手仙川環が二年に渡って執筆した傑作書き下ろし作品。
(小学館HPより)
食の安全について考えさせられる物語でした。
リアルで、実際に起きても不思議じゃない話。
体に良い物を子どもには食べさせたいと思う親は多いんでしょうが、
あまり神経質になるのもね・・・・。
今回の食品は「卵」。
生で卵を食べるのは日本人くらいらしいけれど、逆に言えば、それだけ徹底した衛生管理が
なされているからとも言える。
しかし、今回は、それが故意に崩された結果、起きた悲劇。
食中毒で亡くなった人も出たけれど、それ以外でも自己の責任を感じて
自ら命を絶った人も出て、なんだかすごい話だった。
仙川さんの医療ミステリーはいつも楽しく読ませて貰っていますが
今回のは少し違った角度から、わたしたちに問題提起したかんじ。
風評とかに惑わされず、自身の知識を高めて判断しないといけないな~。
スピード感ある展開で、一気読みさせてくれるのは、さすがだな。
★★★★
発行年月:2014年4月
余命一年で知った、本当の人生――
末期のすい臓がんで余命宣告を受けた53歳の出版社役員・菊池は、治療を放棄し、「病を癒す女」を探すため、神戸へ移り住む。
がんに侵されたのは、運命か必然か。未知の土地、これまでの生活とまるで異なる時間の流れに身を置き、菊池は体内にがんを生み出した「もう一人の自分」の声を聞く。
死に向かう人間の直感、思いがけない出会いの導きに翻弄されながら、偶然のひとつひとつが結びつき、必然へと姿を変えていく。やがて、彼の目の前に描き出される「神秘」の世界。その景色の中に求めていた答えを見つけ、男は新たな人生を歩み出す。渾身の最新長編小説。
(毎日新聞社HPより)
余命1年の宣告を受けた菊池三喜男53歳の物語。
がんと宣告され、余命1年と言われたら・・・・
大抵の人は、動揺し死期を待つしかないと諦めるでしょう。
抗癌剤治療の効果も期待できないほどの末期ガンということが幸いしたと
主人公は後で考えるが、なるほどね・・・・
医療にかかわることを放棄し、偶然、以前、電話で話をしただけの「山下やよい」を
探すことが自分の体を良い方向に向かわせてくれるという信念を持ち行動する。
やよいを探し出すまでの話で出会う人たちも後々、とても重要な意味をもつ。
人の出会いは、必然的なもの?と思える話で、
本当に神秘的な話でした!
菊池の別れた妻・藍子との離婚に至るまでの出来事が、後々、そこに隠されていた
真実を知ることで感動的な、また人と人との結びつきを知ることとなる。
面白かったぁ~。
よく考えられた話で、そんな偶然あるかな?と思う前に、
これは全部、必然的な人と人との出会いの物語なんだと納得させられてしまう。
分厚い本だけど、最後まで頁を捲るスピードは緩まない内容でした!
★★★★★
発行年月:2001年3月
上海・蘇州・青島。傑作恋愛小説の出現。 激しく冴える女の時の時!
上海蟹は11月と 言われるが、陽澄湖の6月の蟹の味は素晴らしい。
閉経を迎えた女の格別な美しさ、 中国人青年との新鮮な恋のときめきを見事にとらえ、
転機に立つ女の像を描く書下ろし 恋愛
(講談社HPより)
図書館棚で何となく手に取り借りて来た。
著者の名前も知らなかった。
なんと、俳優の宍戸 錠さんの奥様だとか!
物語は50歳の中島揚子が主人公。
揚子は、上海生まれだが、幼い時、一家は日本に帰って来た。
そして大学生の時、同じゼミだった中国人・楊 耀徳と結婚を考えていたが
別れることとなった。
その後、耀徳は母国に帰ったが、音信不通のまま。
その耀徳が亡くなったと知らせを受ける。
耀徳の行きつけだった喫茶店の娘・前田治子からの連絡。
治子の元に、耀徳の従弟という男からの知らせだったと。
既に別れて何十年も経つ男だけれど、彼の残した日本語で書かれた日記を
受け取るために、揚子は治子と中国の耀徳の従弟・楊 建華に会いに行く。
大人の恋愛小説という感じでなかなか面白かった。
中国の文化革命時代にさかのぼる話など絡んで来て、歴史的背景も捉えた
ドラマになりそうなお話。
揚子と建華はその後、どうなっていくのやら???
六月黄って蟹のことだったのね~。
上海蟹は11月が旬だということも知らなかったけれど
蟹沢山獲れるんでしょうね~。食べてみたいな^^;
文章がすごく読みやすかったけれど、長編小説はこれが初めてで、エッセイを
多く出版されているんですね。
きっとエッセイも面白いでしょうから、今度読んでみよう!
★★★★
発行年月:2014年6月
特ダネか、倫理か――再生医療の闇を暴くメディカル・サスペンス!

若手新聞記者の長谷部友美は、地方支局に飛ばされて腐っていた。本社異動のためのネタを掴もうと、市内の病院の赤ちゃんポストを張り込み続け、とうとう赤ん坊連れの女を発見する。しかしそれは、子どもなどいないはずの知人の姿だった――超先端医療と母親の切なる願い、そして記者のプライドが火花を散らす医療ミステリ。
(新潮社HPより)
新聞記者の長谷部友美が赤ちゃんポストの記事を書こうと市内にある全国2例目の
赤ちゃんポスト開設の病院に張り込みをする。
そこで見た赤ちゃんを連れた女性・石葉宏子は、時々、飲みに行くバーで働いていた
女性だった。
そして、バーナカジマを訪れマスターの中島から石葉宏子を探して欲しいと頼まれる。
記者として、知人として宏子を探す友美。
探すうちにわかってくる真実。
彼女は以前、結婚していて、息子を残し家を出ている。
彼女の使っていた携帯の履歴から複数の男性と出会い系サイトで知り合い、
それぞれと関係を持っていた。
宏子の自堕落的な行動には、意味があった!
残してきた一人息子のため。
医療は日々進歩していて、今回は、胎児細胞移植に絡んだ話。
中絶により命を絶たれた胎児の細胞を病気で苦しむ子供の治療に利用するという話。
中絶された児の命もひとつの大切な命だと考えると、この治療は倫理的には
どうだろう?
宏子のとった行動は、狂気にも思えるけれど、母親の立場で考えると批判する
気持ちにもなれない。
う~ん、難しい問題だ。
仙川さんの小説は、いつも考えさせられる。
医療従事者だった経験も記者だった経験も両方活かされた作品だったと思う。
★★★★
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記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;