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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2013年8月


 あさのあつこが、初めて「太平洋戦争」を描いた、心ゆさぶる“戦時下”青春小説。
戦時色濃くなる昭和18年、ある温泉街の一室で、女学生4人は闇物資の美しい洋服生地でブラウスを縫いはじめます。美しいものへの渇望を抑えきれない少女たち。しかし、学徒勤労令が発令、4人はそれぞれの運命をたどることになります。戦争という抗うことのできない時代のなかで、夢と憧れを胸に生きようとする少女たちの青春を丁寧に紡ぎだした、まったくあたらしい戦争文学の誕生です。

                 (実業之日本社HPより)


昭和18年から昭和20年の終戦のときまでの物語。
4人の仲良し少女たちの物語。

主人公は、室生三芙美。母ひとりで何もかも取り仕切る、旅館『山風荘』の長女。
そしてその友達たち。
高崎和美・・・山風荘より大店の旅館の娘。女優になれそうなくらいの美人。
三島則子・・・大らかで優しい呉服屋の娘。
川満詠子・・・走るのが得意。髪が癖毛のため度々、電髪の疑いをかけられる。

4人は、山風荘に集まり、楽しいお喋りを繰り返す。
戦況が厳しくなって、世の中が変わって行くけれど、4人でいれば
お洒落の話をしたり、将来の夢を語り合ったり・・・・
ずっと一緒に仲良く居られると思っていたのに・・・・

戦争は、酷い。

激しい銃撃戦の話とかじゃないけれど、普通に笑って食事して過ごしていた日々が
普通に出来なくなって、大切な命まで失うことになるなんて。

少女たちの明るい日常が、突如崩れてしまう終盤は、ただただ辛い。

戦争に勝つために、贅沢はしてはいけない。
大声で笑うことも許されない。

何かおかしいと心のなかで思っても、それをおかしいと訴えることも許されない。
戦争って怖い。


とても読みやすい文章なので、多くの子どもたちにも読んで欲しい本だと思った。
二度とこんなおかしな世の中にしない為に・・・・



                       ★★★★★

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発行年月:2013年8月

命を賭して、ただ1人を想う男女の物語

仇討ちに出た男の帰りを待つ遊女、夫に自害された妻の選ぶ道…身分や武士の矜持、制約の強い時代だからこその一途な愛の物語5篇。

                     (文藝春秋HPより)


<甚三郎始末記>
<女、ふたり>
<花散らせる風に>
<風を待つ>
<もう一枝あれかし>

5つの話。
どれも切なくて、哀しいかんじ。
印象に残ったのは最初の話<甚三郎始末記>と
最後の<もう一枝あれかし>


<甚三郎始末記>
醜男の尾上甚三郎の密かな想い人・乙江が嫁ぎ、女郎部屋通いで知り合ったお里。
お里から「祭りが見たい」と頼まれ、一時預かり人となり、祭り見物へ。
しかし、途中ではぐれてしまい、気づくと武士たちに連れ去られる姿が遠目に見え
跡を追うが見失う。
お里は祭りの翌朝、変わり果てた姿で見つかる。
お里をそんな姿にした男の顔に覚えがあった。
それは想い人であった乙江の夫だった。

甚三郎の最期が哀しい。
覚悟の死。



<もう一枝あれかし>
花を活けるのが不得手な藤江に夫の笠井紋次郎が言った言葉。
「もう一枝あれかし・・・そういう活け方でよい。おまえのは一分の隙もなく
活けようとするから、花そのものを損なうのだ」

師範代を務めたほどの剣士だった紋次郎。

夫婦で恩人と思い付き合いのあった宗形が切腹したと聞き、驚く。
藩の金二百両が消えた。その責任を取ったと聞き、紋次郎はその本当の罪人を討つ。

紋次郎の最期もまた辛い。
これまた最初の話と同じように自分以外の人の為に覚悟を持って命を賭けた男の姿。

でも、この話は、この後、希望があったのが幸い。


全部、辛いだけの終りじゃなくてホッとした。


                         ★★★★









 




発行年月:2013年2月


舞台は江戸の町。産んではいけない子どもを孕んだ女に堕胎処置を施す、「闇医者」のおゑん。憔悴した患者を優しく、時に厳しく受け入れるおゑん自身にも、実は哀しい過去があり――。もがき苦しみながらも新しい人生に踏み出そうとする女たちが迎える、3つの季節の物語。

                    (中央公論新社HPより)



あさのさんの時代物は読みやすくて好き。
今までの時代物の主人公は、若い女性が多かったけれど
今回のはちょっと影のありそうな女医・おゑんが主役。

3つの話があるが
<春の夢>と<空蝉の人>は、おゑんの元に来た女性達を医師として、女として
彼女たちを診て、適切なアドバイスをする。

<春の夢>の、お春は、奉公先の若旦那との間に子どもを宿すが若旦那には
良縁話があり、子どもを産むことは諦めなくてはならないと、おゑんの元には
堕胎を頼みに来た。

二番目の話<空蝉の人>は、鬼の子を宿してしまったから堕ろしてほしいと
頼まれる。お屋敷の奥方の頼みでお屋敷に連れて行かれるおゑんだけど、腑に落ちない
ことが多々あり、その真相を探る。

三番目の話<冬小立ち>は、最初は、やはり堕胎希望で訪れた母と娘。
母親は、娘を不埒だと言う。
良い縁組が決まったのに、別の男の子どもを孕んだのが許せないという母。
娘の本音は別のところにあった。
そんな母と娘から、自身の生い立ちを語り始めるおゑん。
話し相手は、最初の話で、おゑんの元で見習いとして働いている、お春。

おゑんの槽祖父母の話まで遡り、語られる哀しい一族の歴史。
祖父が異国の人間であったことから始まる惨い歴史。
祖父が医者であったことが、おゑんが医者として弱い立場にある女性の気持ちに
寄り添う医者であるル-ツ。


おゑんのことがもっと知りたい。
闇医者ではあるけれど、心身ともに救われる女性が多い。

もっといろいろな話が読みたいな。
シリ-ズ化されるかなぁ~?


                          ★★★★






51pFWWWUCcL__SX230_.jpg   発行年月:2013年3月


        寂れた温泉町・津雲へと続くかんかん橋。  

   菊おばあちゃんの嫁入り、出征、食堂『ののや』 の真子親子の別れ・・・。 多くを見送った今、町を容赦ない不況が襲う、それでも生き抜く女たちの、母なる強さと温かい涙の物語。


        
                   (角川書店HPより)




ある温泉街の人々を連作形式で綴ったお話6つ。
第一章 ののや
第二章 お母ちゃん
第三章 遠い人
第四章 雨が止んだら
第五章 土埃の向こう側
第六章 かんかん橋で



『ののや』は町の定食屋。
町の人々が集う場所。
その店の娘・真子は、町に古くからある写真展『フォトスタジオ KOKUMI』の菊おばあちゃんが大好き。

 
   
登下校の度に挨拶するが、おばちゃんはいつも「あんた誰だっけ?」と言う。
おばあちゃんは90歳を超えている。
かんかん橋を渡ってお嫁に来た。
そんな菊おばあちゃんの嫁入り当時の話を書いた第三章の<遠い人>は物悲しくて胸が痛くなるような
お話だった。
戦争の前後の時代の人々の苦悩が辛い話。
戦争はやっぱり悲劇しか生まなかったんだと思った。
戦地で亡くなった方も気の毒だけれど、残された人。
戦地からなんとか帰還出来た人、みんなそれぞれの辛い思いを抱えて、戦後を生きて来たんだな・・・。


ほかの話もそれぞれ苦悩を抱えながらも懸命に生きている人々を描いている。

懸命に生きていれば、必ず希望があるとも思わせてくれた。

町のなかにある小さな石造りの橋が、かんかん橋。
どんな時代にも変わらず、そこにあって、人々の記憶に残っていく物っていいな。


ののやの真子も幼い頃から、母親と離れてしまい、寂しい思いをしながら成長したけれど
優しい女の子になって、これからもきっと逞しく生きていくんだろうな。


                                           ★★★★





 
51OPvduDwQL__SL500_AA300_.jpg 発行年月:2013年3月

引っ込み思案な専業主婦・佐伯美菜子は「主婦力を生かしませんか」という募集チラシの言葉にひかれ、ハウスキーパーの会社「Team・HK」で働き始めた。代表の真冬野日向をはじめ、個性豊かなメンバーとさまざまな家を訪問するたび、美菜子のなかで少しずつ何かが変わり……。
『バッテリー』や、『M6』など少年や少女の世界をおもに描いてきたあさのあつこが、初めてアラフォー女性を主人公に描く期待のシリーズ。
 
                                       (徳間書店HPより)


主人公は15年間専業主婦をしてきた佐伯美菜子。
特別な資格はないけれど、働きたいとシュウカツを始めるが、なかなか見つからず・・・
そんなときに手に取った公募のチラシはハウスキ-パ-の会社の物だった。
そして美菜子もその会社「Team・ HK」の一員として働き始める。

チ-ムメンバ-は・・・・美菜子のほかに
真冬野日向・・・チ-ムの代表者
野端月子・・・あだなは体型からも納得の<満月>
近藤樹里・・・18歳
美杉杏奈・・・派手な顔立ちの美女
和泉初哉・・・超人見知り

お話は2つ。
お掃除依頼のお客の元で起きた、ちょっとしたミステリ-。

最初の話「魔女の腐乱死体」は、作家・那須河闘一の家での話。
この那須河先生がユニ-ク。
ミステリ-好きで、美菜子が中学時代に偶然、見てしまった腐乱死体発見現場の話で盛り上がる。
洋館で見つかった老女の死体についての話。
Team ・HKの得意様でもあり那須河先生は、気難しいところがある人だけど、美菜子が大のお気に入りに。


二つ目の話「訪問者は誰?」は
独り住まいの老女・香取末子の依頼で掃除に向かう美菜子たち。
そして、そこで転んで怪我をして倒れている末子を発見する。
すぐに救急車で病院に運ばれ大事には至らなかったけれど、末子が怪我をする前に
何者かが急いで逃げるのを目撃した美菜子。
さて、それは誰?と言うはなし。
一話で登場の那須河先生もその犯人探しに加わる。

真相がわかれば、納得。


軽いかんじのミステリ-で、ササッと読めました。
メンバ-たちのやりとりも面白いので、これはシリ-ズ化したら、また読みたい。

                                
美菜子の家族とのやり取りもなかなか興味深い。
高校生の長女・香音、キツイこともいうけれど、なかなか良い子だな~。
いまどきの高校生をよく表現していて面白い。
小学生の大吾くんは可愛いし。


★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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