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自分の備忘録としてのものなので 本のネタバレ的内容も多々あり。
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発行年月:2025年7月


中学2年生の桐乃は、団地での暮らしに憂いていた。
郊外にある古い団地群には、様々な国にルーツを持つ人が生活している。そのせいか桐乃のクラスは衝突が絶えず、ベトナム人のクラスメイト・ヒュウがいじめの標的になっていたのだ。
家に帰っても、母の里穂は団地に住む人々を国籍問わず日夜助けており、「娘の私より、他人を優先するんだ」という思いがどうしても消えない。この場所で生活することに対する桐乃の嫌悪感は、日々強まっていく。
そんな中、中学校で起きたとある出来事をきっかけに、桐乃はヒュウと話すようになる。ヒュウは、理由は違えども、桐乃と全く同じことを望んでいた。
「この団地から出て、遠くに行きたい」と。
はじめてできた友達、母とのすれ違い――。
桐乃・ヒュウ・里穂のそれぞれの視点から、社会に蔓延る様々な分断に翻弄される2人の“こども”が少しずつ“おとな”になるひと夏を描いた、ほろ苦くも大きな感動を呼ぶ、ある青春の逃避行


                (集英社HPより)





中学2年生の桐乃とベトナム人のヒュウ。


桐乃は両親とヒュウは母親と昭和に建てられた巨大な団地群のそれぞれ別の棟に
住んでいる。
幼いときは、団地内の色々な国の子どもたちが、普通に遊んでいたのに
中学生になった今は、日本人から差別的な態度を取られる者も。
ヒュウも蔑まれる標的だった。


桐乃の母・里穂は、自身が中学の時、友達になったべトナム人のタオとの
苦い思い出から困っている外国人を見捨てられず、週3回は市民センターで
日本語を教え、それ以外の日は自宅で教えている。
バイトもしながら・・・・
いつも忙しく動いている母。
自分より他人のことに時間を使うことを優先させる母に桐乃は寂しさもあり
次第に母の行動を嫌うようになる。
ヒュウのことも気になりながら、最初は見て見ぬふりをするのだけど
少しずつお互いが心を開き、親友のようになっていく。



外国から日本に来た人たちの苦労を知った。
技能実習生として働いていたけれど、あまりの過酷な労働に我慢できず
逃げ出し、不法滞在者になってしまう人たち。
希望を抱いてきたのに、酷い労働条件を飲まされて逃げる。


最近、ニュースで外国人の犯罪が増えたなと感じるけれど、これを
読むと背景にあるのは、日本できちんと収入を得られないことが要因なのかも
と考えてしまう。


ヒュウの母親も桐乃の母親も、二人がある日、突然、居なくなったことで
自分の行動を省みる機会が出来た様子。
二人がこの後、どう成長していくのか、わからないけれど
以前より少し、生きやすくなっていたらいいな。




                   ★★★★
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発行年月:2025年10月


たとえままならずとも。あたたかな恋の旋律
「好きだ」と言ってくれる男性と結婚するも、少しずつすれ違っていく心に気づかないふりをして生活を続けようとする「私」に、海辺の別荘で出会った隣人の画家を忘れられない「私」……。
恋に落ち、人を愛することに決まったかたちなどない。
目の前の気持ちに、ただ必死に追いつこうとする人々の姿を描いた6編の短編を収録。
一筋縄ではいかない、珠玉の恋愛小説集。
◆◇あらすじ◆◇
 夫を亡くし、10年間の結婚生活に終止符が打たれた恵美は、夫の残した別荘に暮らしている。心は悲しくもせつなくもないけれど、思い出すと目から自動的に涙が零れる。 
 自分が、女を好きなわけがない。そう納得させたくてした結婚だった。
 ある日、隣に画家の女性が越してきた。絹香と名乗る彼女と行き来するうち、恵美は自分の胸の奥の痛みに気づく。絹香もまた、怒ったように言う。
「恵美さん、旦那さんという人がいた人だったんだ」(「海鳴り遠くに」)
 高校を休みがちになった僕の家へ、夏休みの間だけはとこの桃子さんがやって来ることになった。両親の離婚により始まった母との2人暮らしにも慣れ、告白されて彼女もでき、〈幸福が加速している!〉はずだったのに……。(「風は西から」)
 自分は「普通」ではない。だから木に化ける蛾のように擬態を続け、「普通」の人間なのだ、と思い込もうとした。
 そうして70手前になった学校清掃員の老人はある夏、昔想いを寄せた友人によく似た少年に出会う。「男女(おとこおんな)」と呼ばれいじめられていた彼と関わるうち、自宅に招き食事をともにするようになる。だが、2人のひと夏の終わりはすぐそこまで来ていた――。(「赤くて冷たいゼリーのように」)           
                                    ――直木賞受賞作『夜に星を放つ』を超える感動をもたらす全6編
 読み終えた後、「いろいろあるけど、こんな人生も悪くないな」と顔を上げられる、至極の短編集です。
目次
海鳴り遠くに
風は西から
パスピエ
赤くて冷たいゼリーのように
天鵞絨のパライゾ
雪が踊っている


                   (文藝春秋HPより)



色々な「恋」を描いた短編集。
どの話もそれぞれ読んでいて面白かった。
切ないのが多かったけれど・・・。


<海鳴り遠く>
夫が遺した別荘で暮らしている恵美(38歳)。
隣の別荘に数か月滞在の画家の絹香と親しくなる。
恵美と絹香は互いに惹かれるけれど・・・

本当にお互いが好きなら、男女とか関係ないよね?って
周りも思う世の中になればいい。
ここからまた新たな関係が始まるのかな。


<風は西から>
両親が離婚した小学4年生から頑張ってきた陸。
高校2年生になって、告白されたのに、「好きかどうかわからなく
なっちゃった」と言われ・・・・理不尽過ぎるよ~(/_;)
この先、良いこと起きるといいな。


<パスピエ>
仕事帰りによく行く居酒屋に脚の綺麗な中野さんがバイトに加わる。
ついつい脚をみてしまう板倉(25歳)。
ストーカーに家を知られてしまったという中野さんが家についてきて
そのまま一緒に暮らすことに。
でも中野さんは居酒屋の大将の妻だった。

あ~板倉、かわいそう。
脚フェチはちょっと気持ち悪いけど、秘めた思いのままだから
まあ、そんなに嫌悪感はないかも。


<紅くて冷たいゼリーのように>
偏差値と授業料が高い私立高校の清掃員として働いている初老の宏。
17歳でバイクで事故死した祐のことを今でも想っている。
その祐に似たかんじの男子生徒がトイレで虐められているところを
目撃し、声を掛けたのを機に男子生徒・佐々木結(ゆう)と親しくなる。
結はその後、両親が離婚して遠くへ引っ越す。
そして、また別の男子生徒が暴力を受けているところを目撃し
助けに入り、暴行されて救急車で搬送。

宏、優しい人なんだろうな。
優しい誰か信頼できる人と幸せな時間を持てるといいんだけど・・・。
イチゴのゼリーがなんだか哀しい(/_;)


<天鵞絨のパライゾ>
仕事を通して知り合ったYと結婚。
Yは裕福だったけれど、結婚後も仕事を続けさせて欲しいとお願いし
家事も仕事も頑張るけれど、少しづつすれ違い、離婚。
結婚前から気にかけてくれるユーシェンが荒れた生活をする自分を
慰め、立ち直らせてくれる。

結婚しなくてもいいじゃん別に・・・
一人で生きていける仕事もあるわけだし。


<雪が踊っている>
小学校3年の息子・紡が塾の友達に乱暴をしたと報せが入り迎えにいく。
相手側の連絡先を聞き、ケガをした子が以前、結婚まで考えた男性の息子
だと知る。
子ども同士は些細な喧嘩で、ケガも大したことなく、その後も仲良く
遊んでいる。
ある日、塾から二人が居なくなったと・・・
探すと公園で雪遊びしている。


別れた男と、よりが戻らず、ホッとした。
雪遊びのどさくさに紛れて雪玉を男にぶつけ「あの人が鬼だから・・・」
と子どもたちにも雪玉を投げる標的にしたのは、ナイス!

面白かったけれど、次は長編が読みたいな。

                    ★★★



発行年月:2023年7月


町に呑みこまれていくことに、疑いを持たなくなったのはいつからだろう。
ぬかるみの暗い温もりに、心安まるのはなぜだろう。
低層の団地群を抱くその町は寂れていた。商店街にはシャッターが目立ち、若者は都会に去り、昔からある池には幽霊が出るという。その土地で人びとが交わすどこか歪な睦み。母の介護にやって来た男はバーで出会った少年に惹かれ、文房具店の女は一人の客のためだけに店を開ける。同窓会を機に生まれた熱情に任せ、不実の恋に溺れる者たち……。終着点は見えている。だから、輝きに焦がれた。瞬く間に燃え尽きてもいいから。

                 (光文社HPより)


5つの短編集。
団地が出てくると、なぜ、こういう怪しげな雰囲気に、しっくり来るんだろう。
どの話も面白かった。
後味はよくないのが殆どなんだけど・・・

<トワイライトゾーン>
週末は、母親の様子を見るため実家に。
地元の同級生に誘われ、プチ同窓会に渋々、参加した帰り、一人ふらっと
寄った店。
帰り際「必要なときは3本のマッチを」とマッチ箱を手渡される。

店の授業員(?)の青年・ヒカルに不思議な魅力を感じていく50歳半ばの
数学教師。
ああ、あの場所にさえ行かなければ・・・っていう恐ろしさ
こういうふつうの人が、ちょっとしたことで妖しいものに出会ってしまう
のって怖い。


<蛍光>
亡くなった父親がやっていた文具店の片づけに通う主婦。
ノートを見てふと思い出した同級生の山城君のこと。
中学の時、店の文具を盗んでそれを父親が家までいって咎め、
家族に折檻されて翌日、貯水池で亡くなった。

これも怖かった。
この女性は特に悪くないと思うのだけど、こんな恐ろしい目に遇うとは・・・



<ルミネッセンス>
中学時代の同級生との飲み会の場で初恋の礼子と再会する55歳の石崎。
礼子と月に1度会う生活が続く。

ああ、バカだな。。。
何をやっているんだか
これが表題作でなくてもいいと思う。


<宵闇>
右目の下に赤く盛り上がったような傷痕がある花乃(14歳)。
3歳のときの交通事故が原因。
父親と外出中の事故だったので、両親はそれが元で喧嘩になり離婚。
学校では虐められっ子。
夏休みに入り、母親に頼まれ団地に住む母親の父の元に様子を度々、見に行く。
おじいちゃんは寡黙。
ママはおじいちゃんが好きじゃないみたい。
昔はおばちゃんに暴力をふるっていたからと。


孫のためには、虐めっこを捕まえて叱る、おじいちゃんが恰好よかった。
花乃はずっとそのことを忘れないでいると思う。
この話が唯一、読後感が良い。


<冥色>
東京のマンションを引き払い、神奈川県の団地に移転した男。
付きまとわれて辟易していた女性・珠子とも別れることが出来て満足。
同じ団地の女性からストーカーされていると相談され、近くのパン屋に
勤める女性を勤務後、迎えに行って一緒に帰る日課に。
が・・・ある日、突然、警察官に容疑者として捕らえられる。

これは、怖かった。
本人は忘れているということ?
珠子は殺されたのぉ~?



こういう短編集もいいな。



                   ★★★



発行年月:2023年4月


きれいな形でなくてもいい。 きっと誰かが照らしてくれる。
東京の片隅、小さな二階建ての一軒家。庭に季節のハーブが植えられているここは、精神科医の夫・旬とカウンセラーの妻・さおりが営む「椎木(しいのき)メンタルクリニック」。キラキラした同級生に馴染めず学校に行けなくなってしまった女子大生、忘れっぽくて約束や締め切りを守れず苦しむサラリーマン、いつも重たい恋愛しかできない女性会社員、不妊治療を経て授かった娘をかわいいと思えない母親……。夫妻はさまざまな悩みを持つ患者にそっと寄り添い、支えていく。だが、夫妻にもある悲しい過去があって……。

                  (角川書店HPより)



純喫茶・純と椎木メンタルクリニック。
ふたつの場所に来た人たちは、心が疲れてしまっていても少しずつ、進み始める。

誰も気持ちが落ち込んだりすることはあると思うけど、
なかなかそこから抜け出せなくなってしまった人は、誰かに話を
聞いて貰ったり、見守ってくれている人の存在を感じることで
また少しずつ前を向いて進めるようになる。

メンタルクリニックの先生とカウンセリングの奥様、夫婦も辛い過去から
立ち上がった人たち。
そして、同じように辛くてどうしようもない精神状態の人たちに寄り添い
前を向く手伝いをしている。

<純喫茶・純>の店主・純にも辛い過去があって・・・。

でも最後は、皆が本当に幸せそうに笑っている場面で良かった。

こういう物語はホッとする。



                  ★★★


発行年月:2022年9月


女は、男たちのように芸術に関わってはいけないのだろうか、芸術を生み出すこともできないのだろうか? 大正から戦後の昭和にかけて、詩人、作家、評論家……さまざまな文学者たちとの激しい恋の果てに、互いに傷つけ合いつつも礼子がついに掴んだものは――。時代に抗いながら創造する女を描き出した新たな代表作の誕生!

                 (新潮社HPより)




主人公・野中礼子はのモデルは長谷川康子という女性らしい。

この物語で存在を初めて知った。
種苗問屋を営む父に可愛がられ広島の女学校に通い
不自由ない暮らしをしていたけれど、父親が急死し母親もそのショックで精神を病み
商売は父の兄が引き継ぐことになってからが、波乱万丈の人生が始まったかんじ。


女学校で先生の勧めで書いた作文が「少女画報」という雑誌に載ったことから
文才はあったと思うけれど、器量よしとしての自覚もあり、女優になりたいと
思うようになる。
18歳で伯父のすすめのお見合いを断り東京へ。

礼子という人は、凄い行動力がある人。
目的のために突き進む力強さがある。
そして、礼子の味方になってくれる人が、不思議と現れる。

東京に出る手助けをしてくれたのは川島という学生。
その川島の知り合いでまだ中学生で詩人になりたいという水本正太郎と仲良くなり
川島の元から水本との暮らす。

この水本=中原中也らしい。
こんな中学生だったとは、驚くばかり\(◎o◎)/!

その後、水本の5歳上、礼子の2歳上の帝大の仏文科である片岡武夫=小林秀雄に
水本を介して知り合い、水本と離れ片岡の元へ。


兎に角、次々一緒に暮らす男が変わる。
別れたからといって全く会わなくなるわけではないのが面白い。

それだけ魅力ある人だったんだろうなぁ~。


50歳を過ぎてから、文章を書くようになっていく。
水本とのことは、若い頃は書きたがらなかった様子だけど、色々なことを経て
書こうと決めた様子。
実際に書いたものを読んでみたくなる。


大正~昭和の日本の様子もよくわかる。
戦中~戦後は、思っていることが書けない時代で、苦悩している日々。

物語の最後は、波乱万丈だった自身の人生を振り返り、満足気な様子が
哀しいけれど、いいかんじだった。


文壇の人たちの生活がリアルに描かれていて、読み応え十分でした!



                       ★★★★★



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