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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2013年8月


 異郷で言葉が伝わること――
それは生きる術を獲得すること。
尊厳を取り戻すこと。

自分が生きる道をつかみたい…。故国を遠く離れ、子供を抱えて暮らす女性たちは、たがいに支え合いながら、各々の人生を切り開いていく。第29回太宰治賞受賞作。

                    (筑摩書房HPより)


主人公は内戦から逃れ、夫と息子2人と共に、オーストラリアに移住した女性・サリマ。
アフリカから渡るときオーストラリアの場所を地図で指し示されても、そこが
隣国なのか、海の向こう側なのかもよくわからなかったサリマ。
平和な地であるオーストラリアに渡ったが、生活するには困難なことばかり。
先ずは言語の問題。
生活費を稼ぐため夫は働き始めるがそこから逃げてしまう。
仕方なくサリマが夫の仕事を受け継ぐ。
その仕事は、精肉加工工場。
慣れない匂い重労働。言語がうまく話せない。精神的にも肉体的にも辛い状況でも
子どもたちを育てていくには働かなくてはならない。
逃げ出した夫に腹が立って仕方なかった!!(怒)。
息子たちは環境に順応し、英語も覚えだし、サリマをバカにする。
そして、都会で暮らす夫が息子たちに会いたいと言い出し、都会に連れ出す。
帰って来た息子たちは父親の元で暮らすことを望む。
でも・・・・したの子はサリマの頑張りを認めて残ってくれた。
ああ、このときはホッとした~。

そして、サリマには心強い友が出来る。
日本人女性の「ハリネズミ」。夫は大学院研究室勤務。
ハリネズミ自身も大学で学んでいたが出産後は休学しサリマの通う英語教室に通う。
サリマはハリネズミを最初は、自分とは違う学歴もあり教養も身につけたこの女性から
見下されているような印象を受けるが、二人は母親という共通の立場から
親しみを感じていく。
ハリネズミには、その後、哀しい出来事が起きるけれど、再び明るい希望を取り戻す。

オーストラリアに移住したばかりには、無知だったサリマも言葉を実践で学び
息子を介して子どもの母親同士との交流も出来、生活が充実していく様が
読んでいて、うれしかった。


著者は、オーストラリア在住だそうです。
自身の経験にも基づいた物語なのかなぁ~。

読むと勇気が貰えるような素敵な物語でした!


                           ★★★★

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発行年月:2013年7月

あなたの会社やマンションは大丈夫? 誰もボタンを押していないのに、必ず三階で止まるエレベーター。住民が見たものとは……? 
奇妙な表題作はじめ、思わず背筋の凍るミステリー短編集。

                (河出書房新社HPより)


表題作を含む8つの短編集。

<宙の鳥篭>
<転校>
<壁の穴>
<院長室>
<ご自由にお使いください>
<心中少女>
<黒い方程式>
<三階に止まる>


ちょっと怖いけれど、ホラー苦手のわたしでも大丈夫な程度の怖さです。
背筋が凍るは大げさでしょう^^;

どれも、まあまあでした。
そのなかで本当に怖かったのは二番目の<転校>かな?
エリートばかりを集めた学校。
昼夜を問わず、管理されたなかで生活する生徒達。
成績が振るわないものは退学。
そして、これ以上、能力向上が望めないと判断された生徒は転校という厳しい規則。
そして学校一の秀才が突然、転校。
能力の向上が望めないからか?
彼の友人だった男子生徒がその謎を追求し、
わかった真実が恐ろしかったぁ~\(◎o◎)/!


後ろ2つも怖いけれど、面白かった。
<黒い方程式>と<三階に止まる>
ちょっと似たような登場人物たち・・・夫婦のやり取りがあるからか?
<黒い方程式>は、トイレ。
<三階に止まる>はエレベーター。

その場面を想像しながら読むと怖い。
特にエレベーターは夜だったら不気味度倍増かも~。


長女が図書館に予約して、その順番が来る前に夏休み終了で下宿先に帰りましたが
ちょうど、今週末、帰省するので、読めるでしょう(^^)

わたしは初読みの作家さんでした。
先に読ませて貰いましたが、なかなか面白かった。

                         ★★★



 




発行年月:2011年3月

『珈琲屋の人々』が好評だった著者の最新作は、様々な家族の情景を切り取った短編集。娘を嫁に出す父親、自身の再婚と息子の問題で揺れる女性、不倫を清算したい会社員、食堂を切り盛りする女将と従業員の微妙な関係など、背筋が凍るような物語から心温まる物語まで8編を収録。 

                       (双葉社HPより)


心が温まるものは少なかったかも・・・^^;
一家団欒楽しい家族という場面はなく、両親のどちらかしか居ない家族が
多かった。片親だけじゃ幸せになれないというわけじゃないと思うけれど、
それ故に感じることとかが、ちょっと重たい問題を孕んでいる気がした。

<父の遺言>
母親が早くに亡くなり、父親が自分を育ててくれた。
そのことに感謝はしているが、結婚を控えた自分に父も再婚したいと言われ
そのことに嫌悪感を抱く娘。

<いやな鏡>
義父が宝くじの1千万円を当てた。
そして、そのお金を隠し子にあげたいと義父母がいう。

<若い愛人>
妻に先立たれた男。娘くらい年の離れた広美と知り合い、愛人とする。
月に決まった額のお金を渡していたら、ある日、通帳を見ると
そのまま手付かずのまま残してある。

<紅の記憶>
痴呆が進んだ元教師の母。
介護に疲れた妻は施設入所を希望する。
そして、息子は父が亡くなって2年後のある日のことを思い出す。

<不鈴>
妻子ある男が不倫相手の女性と、そろそろ別れようと思っている。
しかし、別れ話を切り出しても、逆に結婚話を切り出され困惑。

<十年愛>
17歳だった男は当時37歳だった女性とバイト先で知り合い、好きだと告げるが
女性から10年後にまた会ってみようと提案する。
そして10年後27歳になった男が待ち合わせ場所で女性を待つ。

<薄いカツレツ>
元気食堂の厨房担当の多津子と接客担当の育枝。
2人は同い年。
そして多津子はかつて店の主人だった夫と育枝の仲をずっと疑っている。
夫は1千万円の借金を残し失踪中。

<バツイチ>
母子家庭の麻子と小学3年生の武。
麻子は再婚を考えている男性がいるが、男性は結婚はしたいけれど、
自分の子どもでない子どもを育てる自信がないという。
再婚したい麻子は悩み・・・


感動したのは最初の話<父の遺言>。
自分勝手な娘のことを十分、理解しながら、娘の幸せを願っていたんだな~と
思ったら泣けて来た。

ほかの話は、それぞれ物語としては面白いけれど、重たい。
最後の<バツイチ>は、最初の話とは違う意味で泣ける。
武くんが健気。
その健気さに気づいた母親がこの先、武くんと幸せになることを考えて欲しいな。


読み終えると、この本の表題の意味がわかるかんじ。


                         ★★★








発行年月:2013年7月


 
「青葉おひさまの家」で暮らす子どもたち。
夏祭り、運動会、クリスマス。そして迎える、大切な人との別れ。
さよならの日に向けて、4人の小学生が計画した「作戦」とは……?
著者渾身の最新長編小説。

直木賞受賞後第一作!      

                 (集英社HPより)


いろいろな事情で児童施設に入所している子どもたち。
「青葉おひさまの家」の1班のメンバーたち。

班のまとめ役は、中学3年生の佐織里。両親が離婚し体の弱い弟は親戚が面倒をみているが入院中。

淳也(小3)と麻利(小1)は、兄妹。

美保子(小2)は、母親から虐待を受け、一時避難。

太輔(小3)は両親が交通事故死で伯母夫婦に引き取られたが、そこで虐待を受け施設に入所。


入所前にいろいろな困難に遇っているが、施設内では皆、明るい。
兄弟姉妹のように仲もいい。

物語はそこから三年後に途中で変わる。
高校3年生になった佐織里は、大学受験を目指す。
模試の結果はA判定だったけれど、事情で進学が難しい状況に。

淳也と麻利は、それぞれ学校生活に同じような悩みを持っている。

美保子は、母親が再婚の予感。

太輔は、伯母が再び一緒に暮らしたいと願っていると知る。


それぞれが岐路に立たされ、自分の考えで今とは違う場所に向かおうと
決断する者も出てくる。

幼いうちから苦労して来た子達だけど、施設のなかで共に生活しながら
心を許しあえる仲間に出会えたことは幸せだったんだろうな~。
いつまでもそこに居られるわけではないと悟り、それぞれの道を進む子どもたち。
みんな頑張れ!!
彼らが、心の優しい強い大人として成長しますように・・・・。


朝井さん、書くものの幅が広がって来そうですね。
次回作も期待します(^^)


                        ★★★




発行年月:2013年2月


 彼らは希望を運ぶのだ――。鎮魂と再生への祈りをこめた痛快な航海記。

失恋目前のトモヒロが乗り込んだ瀬戸内の小さなフェリーは、傷ついたすべての者を乗せて拡大する不思議な「方舟」だった。双頭の船は北へと向かい、さまざまな乗客を大きな腕で抱きかかえるようにして停泊する。やがて500戸の仮設住宅の建設が始まって、新しい町と新しい家族が誕生し……。祈りと希望にみちた長篇小説。

                     (新潮社HPより)


何の前知識なしに読んだので、最初の「ベアマン」を読み終え次の「北への航路」が
全く違ったお話に感じて・・・短編集なのか??と思ってしまいました^^;

しかし、段々とこれは長編小説だとわかり、どんどん面白くなる展開。
最初の話に登場のベアマンも後ほど再登場。
動物を愛する優しい人でした。
そして、最初で出てきた語り手のわたしも千鶴という名前だと途中から分かる。

ちょっとファンタジ-の要素があるものの、3.11の被災地がやがて舞台となって
被災地以外から船でそこに向かった人たちと被災者の人たちが共に暮らす
新しい集落を船のなかに形成し、未来を描いていく話。


船のなかには、元々のリーダーの梶船長がいて、
そこに新たに加わった被災地での指導者的立場に立つ荒垣源太郎。

2人の性格は少し違うけれど、巧く人々をまとめていく。
双頭の船とは、この2人のリ-ダ-を指しているのかな?

被災地の人々のリアルな気持ち。
亡くなった人たちの思い。
それから亡くなった動物たちのこと。

いろいろ考えさせられました。

船のなかで暮らした人たちは、やがてそれぞれの考えで、そこから分かれて暮らす。
陸に留まりたいと思う者。
そこから離れて行きたいと思う者。

どこで暮らそうと、彼らには明るい希望があるのだと思えるラストは
良かったなぁ~。

ベアマンと千鶴はどこでどう暮らしているのかな?なんて想像したり・・・。


3.11が元にあるお話ですが、重くなり過ぎず、良いお話でした!
 
 
                        ★★★★★


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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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