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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2020年5月


あの子は、なぜ自殺したのか――? 美容クリニックに勤める医師の橘久乃は、久しぶりに訪ねてきた幼なじみから「やせたい」という相談を受ける。カウンセリングをしていると、小学校時代の同級生・横網八重子の思い出話になった。幼なじみいわく、八重子には娘がいて、その娘は、高校二年から徐々に学校に行かなくなり、卒業後、ドーナツがばらまかれた部屋で亡くなっているのが見つかったという。母が揚げるドーナツが大好物で、それが激太りの原因とも言われていた。もともと明るく運動神経もよかったというその少女は、なぜ死を選んだのか――? 「美容整形」をテーマに、外見にまつわる自意識や、人の幸せのありかを見つめる、心理ミステリ長編。

                 (集英社HPより)




美容外科医になった橘久乃が、ひとりの少女の死の真相を追求していくかたちで
彼女を知る人たちに会って話を聞いていくかたちで進む。

以下、ネタバレ・・・ここは、ほぼ自身の覚え書きなので(^^ゞ



亡くなったのは吉良有羽。
大量のドーナツに囲まれての死。

最初に自殺?と会ったけれど、最後まで読むとそれは違うとわかる。


橘久乃は、有羽が痩せたいとクリニックを訪ねていてカウンセリングをした後、
脂肪吸引で痩せた後の死で、希望通りになったのになぜ?という思いからかな?
それとも有羽のママが同級生だった横綱というあだ名の八重子だったことも
気になった要因か?
八重子は、有羽の実の母親の知り合い。
有羽の母親は、病死していて綺麗な人だった。
太っていた八重子のことを褒めてくれたり自身の企画したファッションショーに
出演させてくれたりした恩人的な人。

自分の命が長くないことを知り、八重子に有羽のことを託して亡くなる。
そして有羽の父親と結婚。

八重子は有羽のことを大事に育てる。
得意なドーナツを有羽が喜んでくれることが嬉しくていつも沢山のドーナツを
おやつに。


関係も良好なのに、太っていく有羽のことを問題ありとする周囲の反応に
有羽自身も、痩せることを考える。

子どもをそんなに太らせる母親に問題ありとした教師の言葉が一番、親子に
とってはショックだったのかな?
教師もこんな悲劇をまねくことに自身の発言が関わると想像もつかなかった
でしょう。


健康を害するほどの肥満出ない限り、少しくらい太っていてもいいと思うけれど


人の自分を中心の考えて発言することが相手を思わぬ方向に追い込むことを
もう少し、配慮すべき。


ママに拒絶されながら命を落とした有羽が可哀そうで仕方ない。


後味悪い読後感だけれど、面白かった。
さすが、湊さん。



                    ★★★



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発行年月:2020年10月


この世に生を享け、大人になり、やがて老いるまでーー
ままならぬ心と体を描いた美しくも不穏な、極上の10の物語。
鏡に映る、顔のシミとポツポツ。
おそろいいのは、これは結果ではなく過程であるとしか思えないことだった。
「ママナラナイわね。お互いに」
斉藤尚弥は不動産会社に勤務する三十六歳。近頃、何もかもうまくいかない。
男性器も心も折れてしまい、おまけに仕事も絶不調ーー通称“川の家”と呼ばれる高台に
ある家に住む、夫婦への立ち退き交渉が難航していたのだ。
夫人によれば、立ち退きを強く拒否しているのは夫の方らしいのだが……。
夫人の協力を得て交渉を続けるうちに、やがて思いもよらない事実が判明しーー(表題作)。

                  (祥伝社HPより)



色々な年代の主人公たちが、ままならない状況に右往左往する様子が
面白かった。


表題作は最後まで読んで、この奥さん変な人~!!と思った。
振り回された感じの主人公だけど、まあ結果的には良かったじゃない?^m^



良かったのは、中2の男子が主人公の<約束>。
クラス対抗リレーのアンカーを渋々、引き受けて全くやる気なしだったのに
いざ本番になったら負けたくなくてがむしゃらに走り、3人抜いて1位でゴール。
一躍ヒーローに。
しかし、この人気を利用して生徒会長に立候補したらどうか?と好意を寄せる
女子を中心にした生徒たちに言われ、やる気はなかったのに、教師から
「おまえには生徒会長は無理。今の人気でなれるかもしれないが・・・
この際、副生徒会長に立候補するのはどうか?」と言われ腹が立ち、
そのことを選挙演説で暴露し、断固、教師のいうことは拒否すると。
盛り上がる生徒たち。


この後のことをあれこれ想像してしまう。


期待されると頑張っちゃう男の子が、かわいい!



表紙が、なんだか淫靡な雰囲気だったけど、内容的には、意外とあっさりで
面白かった。
この表紙の意図は何なんだ???



                      ★★★


発行年月:2020年4月

自分の人生を家族に搾取されてきた女性・貴瑚と、
母に虐待され「ムシ」と呼ばれていた少年。孤独ゆえ愛を欲し、
裏切られてきた彼らが出会い、新たな魂の物語が生まれる――。

                 (中央公論新社HPより)




凄い子ども時代を過ごして来たキコとイトシ。


キコには親身にあってくれる親友・美晴がいたのが救いだった。
美晴の恋人・匠と共に、キコを家族の呪縛から離したことが、大きかった。


美晴の勤める学習塾講師の岡田安吾(アンさん)と出会えたこともキコには
大きな安心をもたらしたけれど、ゆくゆくそれが不幸なことになって
しまって辛かった。


キコに恋人・主税の存在が出来たことを喜ばなかった理由が最初は
単なる嫉妬?と思ったけれど、そうじゃなかった。
本当のことを伝えてくれていたら、悲劇は起きなかったかもしれないのに・・・・。



辛いことの連続のキコの人生を変えたのが、同じような環境で、苦しんでいた
少年との出会いというのが運命。
出会うべきして出会った二人。


お互いの存在がお互いの生きる希望になっていくのは、嬉しい。


これからは二人で暮らせる未来を思いながら、お互いがちゃんと生きて
いけそうで良かった。




52ヘルツのクジラの存在は、知らなかったけれど、哀しい生き物だな・・・・。
でも、いつか仲間と出会える日がくると信じて生きているんだろうな。


初めて読む作家さんかも?

違うのも読んでみたいと思った!




                      ★★★★★


発行年月:2020年10月


暗い淵のなかに身を沈めて仰ぎ見る、透き通った光。「生きているって、すごいことなんだねぇ」歌う鳥たち。草木の香り、庭に降りそそぐ陽射し。虹のように現れる、ささやかな七色の喜び。ちっぽけな私にも、未来、はあるのだ。読み終えると、あたたかな空気が流れます。本屋大賞第2位『ライオンのおやつ』に続く、待望の長編小説

                 (新潮社HPより)




最初は、幸せそうな母と娘の日常だったのに・・・
段々、母親の行動に奇妙なかんじを受けて・・・・

10歳の誕生日に写真館に行って写真を撮った事実がのちに、主人公のとわに
とって色々な意味を持つ。


目の見えない10歳の子どもを置き去りにしたのは、なぜなんだろう?
それまで、優しく接していただけに疑問。
経済的に余裕がなくなると心も歪んでしまうのかな?


しかし、それから保護される15年間、一人でよく耐えた!
生き延びて良かった!


母親の帰りを待つのをやめて、家から外に出て本当に良かった!

その後、出会った人たちは、良い人ばかりだったのもホッとした。
これ以上、辛い目に遇って欲しくなかったから。


30歳になって、10歳の時に訪れた写真館で、当時の話を聞けたのもよかった。
自分を捨てた母親だけど、愛情もあったと知ることが出来たのは救い。


視覚障碍者の日常も知れた。
今は、色々、便利になっているんだな。



                      ★★★★


発行年月:2020年7月


北海道新聞文化面での連載(16年8月~20年2月)に加筆修正し、単行本化。
笑ったり
考えたり
思い出したり
忘れたり
奇妙な星(地球)、おかしな街(東京)でのほのぼのとした癒されるエッセイ集。

                  (春陽堂書店HPより)



エッセイだけど、物語っぽいのもあって、読んでいて楽しい。
同い年だから、昔のことを思い出して書いている場面では、共感してしまったり・・。


一番好きなのは<虹の根元を通り過ぎて>。
新幹線に乗っているとき、急に徐行になったので「?」と思ったら
色のついた霧のようなものが見えて・・・。

あまりの見事さに徐行したのだろうって書かれていたけど、
霧で見通しが悪くなっての運転士さんの判断じゃなかったのかな~?

まあ乗客に、そんな素敵な配慮で徐行したと考える方が素敵ではあるけれど。


本の装丁も相変わらず素敵。

薄い緑色の罫線があるなかに文字があって、原稿用紙に書いたのを読んでいる気分。
イラストもいい。


                       ★★★★
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