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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2021年9月


過熱する親の心情を余すところなく描いた、凄まじき家族小説。
専業主婦、有泉円佳の息子、翼は、小学二年生。興味本位で進学塾の全国テストを受け、中学受験に挑戦することになる。最大手の進学塾「エイチ」に入った翼は、男子四天王といわれる難関校を狙う。中高一貫校を受験した経験のある夫真治と、それを導いた義父母。中学受験にまったく縁のなかった円佳が、塾に、ライバルに、保護者達に振り回され、世間の噂に、家族に、そして自分自身のプライドに絡め取られていくーー。

                     (光文社HPより)


小学生が中学受験のために、こんなにも追い込まれた生活を強いられるのか?
恐ろし過ぎて・・・都会に住んでいなくてよかったぁ~と思った。

周りの環境が、受験するのが当たり前みたいな中で、子どもは親の示す道を
進むしかない。
そして期待に応えようと必死で。
その必死さが段々、痛々しく思える。

母親の方は、ちょっとこのやり方は子どもを追い詰めているだけなのでは?と
思ったりするけれど、父親は自分も同じように親にされてきて今があると
思っているので、これが正しい親の姿だと信じ切っているのがまた
なんとも辛いところ。


結果、翼君自身が決めた進路で何とか落ち着いたけれど
最初から最後まで息が詰まった。


はぁ~疲れた。


実際、リアルな受験戦争のなかにいたら、もう少し違う感想だったのかな?



                       ★★★
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発行年月:2020年11月


イラストレーター井出ちづる。夫は若い女と浮気をしている。嫉妬はまるで感じないがそんな自分に戸惑っている。早くに結婚して母となった岡野麻友美。自分ができなかったことを幼い娘に託し、人生を生き直そうとする。帰国子女で独身の草部伊都子。著名翻訳家の母のように非凡に生きたいと必死になるが、何ひとつうまくいかない。三人は女子高時代に少女バンドを組んでメジャーデビューをした。人生のピークは十代だったと懐かしむ。三十代となったこれからの人生に、あれ以上興奮することはあるのだろうか……。
「これは、私たちにとってやり遂げなくてはならない何かなのだ」

                       (光文社HPより)



高校時代、バンドを組んでメジャーデビューまでした経験を持つ3人が
35歳になっての話。


結婚している者、既婚だけど子どもを持たない者、独身者。

たまにあっても環境が違っていると共通の話題がないというのはよくわかる。
なぜ、それでも時々、会うのか?
本音を出したくてもつい見栄を張ったりして。


終盤、独身で母親にずっと支配されてきたと思っている伊都子の母親が
病に倒れ、余命が短いという状況で、結束する彼女たち。
伊都子の母・芙巳子の言葉をそれぞれが、自分の言葉として受け入れ
前に進むラストは、良かった。


3人の女性たちが、凄く魅力的に感じられた。
この先は、そんなに会う機会が減るのかもしれない3人だけれど
それはそれで。
今は連絡の取り方はいろいろあるしね。


久しぶりに読んだ角田さんの作品だったけど、やはり読みやすい。
新刊も読みたいな。


                      ★★★



発行年月:2021年6月


【第165回 芥川賞受賞作!】
記憶を失くした少女が流れ着いたのは、ノロが統治し、
男女が違う言葉を学ぶ島だった――。
不思議な世界、読む愉楽に満ちた中編小説。


                 (文藝春秋HPより)



芥川賞にしては、わかりやすい物語だったなという印象。

架空の島だろうけれど、日本と中国、台湾などが出て来て、言語も日本語っぽい。

舞台になる島に流れ着いた少女(ウミ)を見つけたのは島の少女・ヨナ。

ウミの話す言葉と少し違う言葉で聞き取れない箇所もある。
ウミの言葉は<ひのものことば>
島の人たちは話すのは<ニホン語>
そして、島の歴史を伝承していく女たちだけに許されている言語<女語>。

なぜ、女にしか歴史が伝承されないのか?

少年・タツも歴史を学びたいと内緒で女語を習得している。


歴史を伝承する者はノロと呼ばれ、島の最高指導者は大ノロと呼ばれる。

ヨナとウミは、女語の習得に励み、試験を受けて二人はノロになることを許される。
そしてウミは、大ノロから秘密を打ち明けられる。

島の歴史も。

どんな時代にもどんな世界にも人が人を殺して自分たちの欲を満たそうとしている。
それは男たちが政治を動かしているからなのかなぁ?

今、連日、報道されるロシアとウクライナの戦闘をどうしても考えてしまう。


大人になったヨナとウミが島の平和のために奮闘する未来がみたい。
少年・タツも二人を手助けする存在であればいいな。


しかし、彼岸花という花は、やはり哀しいな。



                       ★★★



発行年月:2020年3月

『桐島、部活やめるってよ』でのデビューから十年。森永製菓、ディオール、JT、JRA、アサヒビール、サッポロビール、資生堂、JA共済など、様々な企業からの原稿依頼があった。原稿枚数や登場人物、物語のシチュエーションなど、小説誌ではあまり例を見ないような制約、お題が与えられるなか、著者はどのように応えてきたのか!?
「キャラメルが登場する小説」「人生の相棒をテーマにする短編」「ウイスキーにまつわる小説」「20を題材にした小説」など、短編小説十四本、エッセイ六本。
普段は明かされることのない原稿依頼内容と、書き終えての自作解説も収録された一冊。十周年に合わせて依頼された新作小説も収録。

                   (集英社HPより)



小説かと思ったら、違った(^^ゞ
でも面白かった。
小説家って、こういう仕事もあるのかぁ~と。
皆が受けているわけじゃないだろうけど、朝井氏自身、こういうの好きなのかな?


色々な企業の発注内容に沿った物語。
どれも面白かった。

それぞれの最後にある感想戦という場では、物語を生み出す話や
内容について自分で突っ込むような話もあり、茶目っ気がある著者だなぁ~と
感じた。

特に「アサヒビール」の話は、物語の内容も面白かったけけど、突っ込みどころも
あって、それを著者も承知で感想戦に書いていたので、笑えた^m^

今後も発注受け続けてください!



                        ★★★



発行年月:2008年9月


6年前に別れた恋人・静佳にはある事情があった。彼女を一度は受け入れると決めたのに、突き放す形になってしまった過去。ユキヒロはその謝罪をしたいと思っているが、なかなか一歩を踏み出せないでいる。そんなユキヒロのところに、父親を雪山の事故で亡くした甥っ子の葎が預けられることに。葎との生活のなかで、少しずつ前へ進み始めたユキヒロは、静佳に手紙を書こうとするが―。死別よりつらい男女の別れとその6年後を描く期待の新鋭、初の書下ろし長編小説。

                       (発行/光文社)



舞台は熊本。

高校の時、仲の良かった男女4人。

ユキヒロ、静佳、鴇田ユミコ、エザミ。

23歳になったユキヒロは、静佳に再び連絡を取って会いにいきたいと言いたい。
けれど。。。。

迷うユキヒロの心の内と姉の息子・葎との暮らしぶり、鴇田とエザミとのことなど
たわいもない日常を描きながらも段々と気持ちが固まるユキヒロ。

この物語の先のことが気になる。
静佳は、ユキヒロと会ったんだろうか?
会ったとして、どんな会話をするんだろうか?




自分がヒロユキの立場だったら・・・・
あるいは、静佳だったら・・・
なんて考えてしまった。



文章は読みやすく、大したことは起きないのに、なんだか心に残る物語。


                  
                        ★★★★
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