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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2012年3月


K病院・内科病棟の十号室。謎の血尿で入院中、しかしそれ以外に取り立てて不健康なところのない木戸俊二は、同じようにヒマを持て余している内科病棟の患者たちと、他愛も無い世間話をして過ごしていた。そんな彼らの専らの話題と言えば、いまはもう廃止された“付添婦”の<秋田さん(本名不明)>のこと……。生と死が通り過ぎていく場所の、刹那的な日常を軽妙に綴った表題作ほか、幻の傑作「ボギー、愛しているか」を併録。
生と死が通り過ぎる場所での、刹那的な情景がじわりと泌み入る物語
「心って、冷えるときに、まわりのものも一緒に吸い込むんだ。悲しいことのほうが、よくしみるでしょうに――」(by秋田さん)
K病院・内科病棟。日常というレールから外れ、暇を持て余す入院患者たち。そんな彼らのもっぱらの話題と言えば、ちょっぴり謎めいた熟女、今はもうない<付添婦>の秋田さんのこと……。
K病院のある病室に出入りする、健康的でどこか色っぽい熟女、<付添婦>の秋田さん(仮名)。謎の血尿で入院中の木戸俊二は、同室の仲間と、そんな彼女を巡る他愛もない噂話をするのが唯一の娯楽。しかし、実は俊二には、秋田さんとのとあるエピソードが、行き場をなくした記憶としてさまよっていたのだった――。そんな折、俊二は秋田さんから意外な用件を頼まれることになって……。
表題作ほか、旧友の遺した金で哀しみを買う旅に出る『ボギー、愛しているか』併録


                     (講談社より)


表題作も面白かったけれど、もう1つの
「ボギー愛しているか」の方が良かった。

小説家で離婚歴2回の加藤と、妻の不倫を知り、そのことに凄い憤りを覚えるわけでも
なく、なんとなく家に帰りたくなくなった飯島が
19歳で溺死した保木(通称・ボギー)が溺死したW島に行く話。


旅の途中で飯島が妻との関係を修復しようかと試みる方法が可笑しい。
妻のブログに仮名でコメントし、自分のブログも始めるというもの。
ボギーに成りきって書くブログ。

ボギーは死んでしまったのだけど、そこに至るまでの行動がなんとも哀しい。
実際、どんな人だったんだろう。


表題作の方は、病院内の日常を描いていて、病院に勤務していたことある
わたしには、患者心理みたいなものを覗けて面白かった。
人が亡くなったりすることが日常の職場だけれど、そんななかに患者として
いる人の心理ってあんまり深く考えたことがなかった。
付添婦さん、確かにいたいた。
大体は結構、年配の女の人だったけれど、秋田さんみたいな雰囲気の人
居たなぁ~なんてちょっと懐かしく思い出したりした。

霊安室に入ってみたいという木戸の心理はよく解らなかったけれど・・・

2つの話のどの男の人も、なんかしょーもないな。


特に感動する話じゃないけれど、この著者の本は、おもしろい。


                      ★★★


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発行年月:2021年4月


三千冊の本を載せて走る移動図書館「本バスめぐりん」との出会いは、屈託を抱えた利用者たちの心を解きほぐしていく。家族の希望で縁もゆかりもない土地で一人暮らすことになった節子の、本と共に歩んできた半生を描く「本は峠を越えて」や、十八年前になくしたはずの本が見つかったことを引き金に当時の出来事が明るみに出る「昼下がりの見つけもの」など5編を収録。めぐりんが本と人々を繋ぐ移動図書館ミステリ、シリーズ第二弾

                    (東京創元社HPより)


移動図書館、めぐりんを利用する人たちと
図書館司書のウメちゃんとバス運転手のテルさんとの関わりかたが
なんとも、ほっこり。
今回もちょっとした謎解き5つ。


謎解きとして面白かったのは
<昼下がりの見つけも>
18年前に本バスで借りた本が1冊、紛失。
実家で暮らすことになり、天袋に茶色の封筒に入ったその本を見つける
という話。

本を返却に行った父親が失くしたことになって、本は当時、弁償したのだが・・・


なるほど、そういう理由だったか?
しかし、夫の浮気を疑ったとして、そんな風に本を隠すのはいささか幼稚だなと
苦笑。



<団地ラプンチェル>も面白かった。
70歳の征司は、めぐりん利用時に偶然、小学校時代の同級生に会う。
また、めぐりん巡回日の2週間後に会おうと別れるが、友人は来ず・・・
すると少年2人が「そのおじさんの家なら知っている」と
不思議に思いながらついていくが、留守でそのアパートの表札は友人の
苗字ではない。
少年2人が探している友人の苗字で、この辺りに住んでいたはずだけど
その友人は暫く前から姿を消してしまったのだと。


少年たちが探している友達は、そんなに遠くには引っ越していない。
違う場所で、めぐりんを利用し続けるだろうと。
再会出来る日も近そうかな?などと想像。




移動図書館って、近所にも巡回しているのかな?と調べたら
利用しているショッピングセンターに来ていることがわかった。
いつも買い物に行く時間帯でないので見たことなかったけれど・・・

こういうお知らせ、もっと市民に広くすればいいのになぁ~。
図書館まで行くのが大変になったら、いつか利用したいな。



                      ★★★




発行年月:2001年12月


華麗にして「美しい謎」
恩田陸の全てがつまった最高長編
――目の前に、こんなにも雄大な森がひろがっているというのに、あたしは見えない森のことを考えていたのだ。どこか狭い場所で眠っている巨大な森のことを。
学生時代の同級生だった利枝子、彰彦、蒔生、節子。卒業から十数年を経て、4人はY島へ旅をする。太古の森林の中で、心中に去来するのは閉ざされた「過去」の闇。旅の終わりまでに謎の織りなす綾は解けるのか……?

                   (講談社HPより)



理瀬シリーズの番外編的なものらしい。
シリーズは、まだ読んでいないけれど、これから読もうと思っているので
興味深く読んだ。


40歳手前で、4人の大学時代の同級生がY島へ旅行。
4人それぞれが語り手となって4部構成。


彰彦以外は、高校も同じ。
節子と蒔夫は家が近所で幼稚園もおなじ。
蒔夫と利枝子は高校生のとき、恋人同士だったのに、別れる。
その原因になったのは、利枝子と仲のよかった梶原憂理。
蒔夫が憂理に惹かれてしまったから。

しかし、憂理は、突然、行方知れずになってしまう。
彰彦は憂理と遠い親戚関係にあり、噂で亡くなったことを聞いているという。


Y島に着き、島を巡りながら、各自の過去の話も出てくる。
それぞれが胸のなかに、ちょっとした重たいものを抱えている。


旅を計画した彰彦が旅の宿題にした「美しい謎をもってくること」をもとに
それぞれが持ってきた謎についても意見を交わす。

なかでも表札泥棒の謎は面白かった。

4人が再び同じように集まるのは51歳になったとき?

旅を終えて、それぞれの生活に戻る4人。
そこには、お互いの接点はなさぞう。


こんな友達関係がずっと続くのっていいな。



                        ★★★




発行年月:2020年6月


「思い出のとき修理します」の著者が贈る優しい感動の物語、第2弾!
大阪の小さなサンドイッチ店『ピクニック・バスケット』を営む仲の良い姉妹・笹子と蕗子。
彼女たちの店には、今日も悩みを抱えた人々が、心を癒す絶品サンドイッチを求めてやってくる。
人気シリーズ第2弾!

                  (KADOKAWA HPより)



「めぐり逢いサンドイッチ」を少し前に読んだので、登場人物たちを
しっかり覚えていた。

今回もちょっとした謎解きが5つの話で。

出てくるサンドイッチは表紙の絵になっていて、味も想像しやすい^m^

ちょっと意外なつくねの入ったサンドイッチが気になる。
焼き鳥のなかで、つくねが一番好きだから・・・何となく照り焼きバーガーの
味に近いのだろうか?などと想像。


笹子と蕗子の姉妹関係がほっこり。
お客さんの食べて喜んでくれるものを作りたいと思う笹子の気持ちは
応援したいし、それが達成されたときは嬉しい。
支える蕗子も同じ気持ち。

姉妹のお互いのちょっとしたコイバナもいいね。

小野寺と笹子。川端と蕗子。
どっちも素敵なカップルになれそうだけどなぁ~。

登場する人たちがみんな温かいっていいな。
安心して最初から最後まで読める。


続いて欲しいシリーズだな。



                      ★★★



発行年月:2009年1月


過疎化した村で活躍する、愛すべき老人たち
傷心のもと人気コピーライターが寂れた田舎に引っ越したところ、地方活性化のために駆り出される羽目に。しかも安易な企画が通り……
担当編集者より
コピーライターとして活躍していた岸川は、後輩の自殺をきっかけに人間関係に倦み、仕事もやめ、田舎暮らしを提案していた雑誌に飛びついて、縁もゆかりもない川西村で1人暮らしを始めた。市町村合併により、何の取柄もないその村は町のお荷物状態。地域活性化職員が村おこしのために奔走するもののうまくいかない。そこで前の職業を活かして何か案を出してくれと岸川に依頼がくる。いい加減に答えた「輪投げで村おこし」が実際に通ってしまったからさあ大変……。過疎化による地方の問題を的確に捉えつつユーモラスに描き、人情味溢れる1作となりました。(SY)


                   (文藝春秋HPより)



傷心の元コピーライター・岸川(35歳)が、田舎の人たちと少しずつ人間関係を
深めていく様子は微笑ましい。

後輩を自殺するまでに追い詰めてしまったのは、自分だと心に重たいものを抱えて
日々生きている。
名前が知れたコピーライターだったが、すべてを捨てての田舎暮らし。

町の老人(と言っていいのか?)たちが元気。
皆、仲良しで、誰かが具合が悪いとしれば駆けつけてくれて世話を焼いてくれる。
玄関に鍵を掛けないって物騒だけど、信頼関係が強いから出来ること。
しげジイ、亀ジイ、きょバアなどなど。

町役場の池田から、町おこしの企画を相談されて、やや出まかせで言った
「輪投げ大会」が、本格的な町おこし事業として進む。
第一回の開催は、不備なこともあり、散々な結果に終わる。
池田は落ち込みいつもの前向きな姿勢から一転する。
岸川はそんな池田を心配する。後輩みたいなことになったらどうしようかと
必死で声をかける。
池田は、そのことに救われたと後で話すから、やはり声を掛けたり
そばに居続けるって大事だなぁ~と感じる。


色々な問題を解決しながら、2回目の輪投げ大会は成功。

外国人労働者たちと町民との関係も良好に。
池田の息子も得意なパソコンを活用して企画を盛り上げたり
町のためにみながそれぞれ協力し合う姿は読んでいて楽しい。


根本の町おこしにつながるかは別として、面白かった♪


                    ★★★








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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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