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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2022年4月


星の数ほどあるケーキの種類のなかでも、不動の人気を誇る「苺のショートケーキ」。「和菓子のアン」シリーズなど、甘いものを描いた作品に定評のある著者による、誰しも思い出のひとつやふたつはあるだろうショートケーキをめぐる5篇の連作集です。
大学生の<ゆか>と<こいちゃん>はどちらも、母との二人家族。父が出て行ってから買えなくなったホールケーキを求めて、ふたりは<失われたホールケーキの会>を結成、切れていないケーキを楽しんでいる。ある時、離れて暮らす父親から、「大事な話がある」と連絡があり……。(「ホール」)
俺が働くケーキ屋では、残りがちなホールケーキを予約なしに買ってくれるお客さんを天使と呼んでいる。天使の中には常連もいて、女子大生と思しきその二人組が俺は気になっている。どうやら彼女たちは、丸いホールのケーキにこだわっているようなのだ。(「ショートケーキ。」)
ケーキ屋で働く私には、嬉しいことがあったときにひとりで行う「趣味」がある。ケーキを冒涜しているようで人には言えないのだが……。
(「追いイチゴ」)
ママになった瞬間からさまざまなことがままならなくなった。大好きなショートケーキをもう一度ひとりでゆっくりと味わいたい。その願望を実現すべく、<あつこ>は二人のママ友と互助会を結成する。(「ままならない」)
央介の口癖は「嫁に行きてえ」、何事にも受け身で生きてきた28歳の会社員だ。ある時、領収書の不備を指摘されたのをきっかけに、会社の経理担当の女性のことが気になり始める。弟の学費を捻出するために倹約弁当を続ける彼女だが、どうやら本当はショートケーキが食べたそうなのだ。 (「騎士と狩人」)


                     (文藝春秋HPより)


短篇連作集。
どの話にも共通して出てくる、いちごのショートケーキ。

そして登場人物たちが、すこしずつリンクしていて、先に読んだ人が
関わっている仕掛けが楽しい。

一番最初の話で出てくる20歳の女子二人が買い求めるコージーコーナーの
イチゴショートケーキを手渡す、バイトの大学生・カジモトくん。
紙皿とフォークと0のローソクを袋にオマケで入れる場面を
2人の女子、カジモト君、カジモト君の先輩の視点でそれぞれ書いている箇所が
特にいい。


新米ママ3人の話も、良かった。
追いイチゴ・・・なるほどいいアイデア。
これはカジモトくんの先輩のアイデアだけど、それを実践するママ。


最後の話はにはカジモトくんのお姉さんが登場。
結構、お堅い性格で会社の経理担当をしている。
でも、ショートケーキを前にすると可愛らしい一面を見せる。
密かにそんな経理さんに好意を寄せる主人公だけど、なんと既婚者で
妊娠中というオチ。

ほっこり優しい連作集でした♪
最後の著者のあとがきも楽しめた。
坂木さんって、性別公表していないけど、女性だろうな・・・と思う。


                      ★★★★
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発行年月:2001年7月 (単行本は1997年7月)

その本はたった一人にだけ、たった一晩だけしか他人に貸してはなりません。
かつて一度でも、むさぼるように本を読む幸せを味わったことのある人に。

第一章 待っている人々
第二章 出雲夜想曲
第三章 虹と雲と鳥と
第四章 回転木馬

                  (講談社HPより)





それぞれの章は独立した話だけど、共通しているのは

一冊の本「三月が深き紅の淵を」という作者不明の本。
ごく限られたものだけが所有していて、作者が決めた掟を守らければ
ならないという。


第一章は、とあるお茶会に招かれた若手社員の鮫島巧一。
招かれた屋敷に隠されているであろう1冊の本「三月は深き紅の淵に」に
ついて語る面々。


第二章は別々の出版社に勤める編集者の女性二人が
「三月は深き紅の淵に」の著者は出雲出身ではないかと夜行列車で
その地を訪ねる話。


第三章は崖下で見つかった二人の少女の遺体。
2人は異母姉妹だった。
彼女たちを知る者たちが生前の二人の様子からその死の真相をあれこれ
考察する。そして二人の父親の住んでいた地で父親に関する凄惨な事件を
知る。


第三章は「三月は深き紅の淵を」を書いている著者が語る部分と
水野理瀬という少女が転校した先で暮らす寮のなかで起きた不可解な事件に
ついての部分が交錯している。
著者の語りは恩田さんそのものの考えかな?
そしてもう一つの少女・理瀬の物語が今後、別の本で新たに展開していくのか?



1冊を通して、4つの章の主人公たちが変わるのに共通している不穏な
空気感にぞわぞわ。

この後に書いた「麦の海に沈む果実」を読むのが楽しみ。

やっぱり恩田さんは凄い作家さんだ!


                      ★★★★




発行年月:2021年11月


文芸 同志少女よ、敵を撃て
【2022年本屋大賞受賞!】
キノベス! 2022 第1位、2022年本屋大賞ノミネート、第166回直木賞候補作、第9回高校生直木賞候補作
テレビ、ラジオ、新聞、雑誌で続々紹介!
史上初、選考委員全員が5点満点をつけた、第11回アガサ・クリスティー賞大賞受賞作
独ソ戦が激化する1942年、モスクワ近郊の農村に暮らす少女セラフィマの日常は、突如として奪われた。急襲したドイツ軍によって、母親のエカチェリーナほか村人たちが惨殺されたのだ。自らも射殺される寸前、セラフィマは赤軍の女性兵士イリーナに救われる。「戦いたいか、死にたいか」――そう問われた彼女は、イリーナが教官を務める訓練学校で一流の狙撃兵になることを決意する。母を撃ったドイツ人狙撃手と、母の遺体を焼き払ったイリーナに復讐するために。同じ境遇で家族を喪い、戦うことを選んだ女性狙撃兵たちとともに訓練を重ねたセラフィマは、やがて独ソ戦の決定的な転換点となるスターリングラードの前線へと向かう。おびただしい死の果てに、彼女が目にした“真の敵”とは?

                    (早川書房HPより)



一気に読ませる筆力には驚いた!
凄い、作家デビュー作だなぁ~。


ロシアのウクライナ侵攻を毎日、ニュースで見ている時期なので
この物語では、共にドイツという敵に戦った仲間同士だったのに・・・と
凄く複雑な気持ちになってしまう。


物語の主人公・セラフィマは、住んでいた村に突然、ドイツ軍が侵攻してきて
全ても焼き尽くされ、そこに入ってきた赤軍がドイツ軍撃ち追い払った。
その赤軍の女性リーダー・イリーナの勧めで女性狙撃兵になっていく。

訓練校で親しくなっていく仲間。
最初は衝突もありながら、次第に絆を深める仲間が出来ていくのは
心強いことだったと思う。

が・・・戦地では、その仲間が犠牲になっていく。

仲間を守るため、国のため、色々な思いでドイツ兵たちを殺していく。

ふとセラフィマが漏らした言葉が印象的。
自分は人殺しを楽しんでいる?
自己嫌悪に陥るセラフィマの姿が切ない。

村での幼馴染の少年・ミハイルは隊を率いていた。
ドイツ人の捕虜となった女性を喝采のなかで犯そうとしている場面に
出くわす。
心優しかったミハイルなのに・・・



誰もが戦地で変わってしまう。
敵を撃てと訓練を受けながら、敵とはなんだ?と考えてしまう。


物語の終盤に出てくる
「戦争は女の顔をしていない」 べラルーシのノーベル文学賞受賞作家の
本も気になる。


エピローグで、セラフィマは故郷の村で暮らしている様子で、少しホッとした。


今後の作品も期待大の作家さん。


                     ★★★★★



発行年月:2003年11月


小さなレコード店や製函工場で、時代の波に取り残されてなお、使い慣れた旧式の道具たちと血を通わすようにして生きる雪沼の人々。廃業の日、無人のボウリング場にひょっこり現れたカップルに、最後のゲームをプレゼントしようと思い立つ店主を描く佳品「スタンス・ドット」をはじめ、山あいの寂びた町の日々の移ろいのなかに、それぞれの人生の甘苦を映しだす川端賞・谷崎賞受賞の傑作連作小説。
受賞
第8回 木山捷平文学賞
受賞
第40回 谷崎潤一郎賞
受賞
第29回 川端康成文学賞

                  (新潮社HPより)


「雪沼」という地に暮らす人、かつて暮らしていた人たちの物語。
主人公が変わりながら短編の形だけど、どこか繋がっているようなかんじ。


やはり一番最初で川端賞受賞の「スタンス・ドット」が良かった。
今日で店じまいのボウリング場に、灯を落として閉店しようとするところに
来た男女。
「トイレを借りたい」という。快く、承諾したあと、
折角なので、1ゲームだけ無料でやっていきませんか?と。

偶然の出会いで、これでもう会うこともない人たちとの素敵な時間。
この男女はラッキーだったなぁ~。


他の作品もそれぞれ良かった。
ドラマチックなことは特に怒らないのだけど、文章が素敵だから
素敵な物語になっている。


<イラクサの庭>
10日前に亡くなった小留知(おるち)先生は、レストラン兼料理教室を
開いていた。
フランスの田舎で料理に使うイラクサはOrtieと呼ばれているということから
先生の名前と似た発音のイラクサをお店の名前に。
教え子たちが先生の昔話。
死ぬ間際の一言がうまく聞き取れなかったことを悔やむ一人に
皆がいろいろ推理。
先生は「コリザ」と言ったような・・・・・と。

それは氷砂糖ではなかったのか?という結論に。
ちょっと切ないけれど美しい思い出があったんですね・・・。


<河岸段丘>
この何日か、身体がわずかに右に傾いている気がする田辺。
土産物のマグカップを詰める段ボールを制作している。
機械の整備のため40年来の付き合いのある青島を呼ぶ。

結局原因は、機械の傾きのせい?
現実と幻想が交わって終わる不思議なはなし。


<送り火>
2周り以上年が離れている夫婦。
陽平と絹代。
2人は二階で書道教室を開いている。
一人息子は13年前に大雨のあとの川を見に行って流されてしまった。
陽平が50歳、絹代が27歳の時に生まれたこども。

2人が結婚するまでの経緯、子どもを亡くしてからの暮らしぶり。
静かな物語。


<レンガを積む>
音楽堂店主の蓮根。
スピーカーの台にレンガを注文して、それを設置する。

ただそれだけの話なのに、なぜか面白い。


<ピラニア>
中華料理屋を営む安田。
常連客の信用金庫勤務の相良。
店には熱帯魚の水槽が並ぶ。
特に珍しいものがいないがブラックピラニアは異質。
知人にどうしても貰ってほしいと言われて引き受けたもの。

不器用で欲のない安田のひょうひょうとした雰囲気がいい。



<緩斜面>
消火器販売と設置されたものの点検をしている会社に勤める香月。
自分がこの会社に勤めることになったのは友人・小木曽の勧めがあったから。

「ABC殺人事件」の文庫本を片手にしていたのを見て
消火器の会社を紹介した小木曽のセンスがいいね!
火災は
普通の火災・・・・A
油の火災・・・・B
電気系の火災・・・C
というそう。

小木曽が亡くなってもその息子・大助と昔二人で遊んだ緩斜面で凧揚げする
場面が素敵。



どれもしみじみいい。
文章が好きだな。



                       ★★★★★


発行年月:2020年9月


人気作家46組がずらりとそろった豪華対談集!
「いま、何を読んでいるの?」「これからどんなものを書くの?」
書き手同士だからこそわかる創作秘話を語ったり、
お互いにオススメの一冊を紹介し合ったり。
作家同士のつながりや意外な組み合わせから、読書の楽しみがぐんぐん広がります。
★例えばこんな組み合わせ
島田荘司&伊坂幸太郎「島田さんの本を読んで小説を書き始めました」
佐藤友哉&島本理生「夫婦対談ってはじめてだよね」
江國香織&島田雅彦「自分より上手い小説を読むと傷つくじゃない(笑)」
川上弘美&林真理子「出合った時に私のための小説だと思ったもの」
藤野可織&松田青子「洒落たラブストーリーやんな」「あれ私も大好き!」
村田沙耶香&穂村弘「傑作だから嫌いなんです」
青山七恵&綿矢りさ「ヘミングウェイのタフさに憧れるよね」
日々たくさんの作家にインタビューを重ねる瀧井朝世さんによるセッティングならではの
贅沢なラインナップで、読みたい本がどんどん増える対談集です。
【全46組】
桜木紫乃&桜庭一樹 朝井リョウ&西加奈子 島本理生&佐藤友哉 
村山由佳&千早茜 山崎まどか&柚木麻子 青山七恵&綿矢りさ 
山内マリコ&速水健朗 松田青子&藤野可織 村田沙耶香&穂村弘 
島田荘司&伊坂幸太郎 恩田陸&辻村深月 
岸本佐知子&クラフト・エヴィング商會 角田光代&川村元気 
羽田圭介&中村文則 豊﨑由美&阿部賢一 古市憲寿&加藤千恵 
藤井光&小野正嗣 古川日出男&柴崎友香 西崎憲&米澤穂信 
宮田珠己&金沢百枝 深緑野分&岡崎琢磨 長嶋有&和嶋慎治 
須賀しのぶ&芦沢央 ジェーン・スー&春日太一 
日高トモキチ&宮内悠介 垣根涼介&早見和真 星野智幸&松田青子 
小嶋陽太郎&渡辺優 Pippo&古谷田奈月 森絵都&辻堂ゆめ 
畑野智美&森見登美彦 東山彰良&小野正嗣 江國香織&島田雅彦 
白岩玄&山崎ナオコーラ 中島京子&金井真紀 彩瀬まる&尾崎世界観 
天野健太郎&斎藤真理子 朝井リョウ&奥田亜希子 高橋久美子&浅生鴨 
今村昌弘&千街晶之 恒川光太郎&真藤順丈 朝比奈あすか&平野啓一郎 
本谷有希子&武田砂鉄 はらだ有彩&王谷晶 
平松洋子&小川糸 林真理子&川上弘美

                  (文藝春秋HPより)



好きな作家さん同士だと、余計面白かった。

作家さん同士、結構、連絡取り合ったりして繋がりがあるんだなぁ~

それぞれの作家さんのおすすめ本も気になったのがあったので
メモして読んでみようと思う。

特に林真理子さんのおすすめ
ヨーゼフ・メレンゲの逃亡は気になる。
アウシュヴィッツの話なんだけど、そこで強制労働とガス室送りにしていた医師が
主人公。

対談相手の川上弘美さんも読んでいて
「ナチス関連の本なんですが断罪のための本ではないのが興味深かったです」と
言っているのに興味を持った。

断罪するよりも、なぜああいう残酷なことを普通の人たちができたのかを
探ることができる本を読みたいと林さん。

ああ、なるほどね。
その気持ちに共感!


色々な作家さんのお話が読めて楽しい♪



                      ★★★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
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