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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2013年12月


この路地を曲がれば、そこはもう、すこし不思議な世界の入り口----。

ひとつの架空の商店街を舞台に、七人の人気作家がお店を開店し、
短篇を紡ぐほっこりおいしいアンソロジー。
商店街のマスコット「招きうさぎ」がなつかしくあたたかな
物語へと誘います。≪文庫オリジナル≫

                  (ポプラ社/発行)



一軒目<カフェスルス  大島真寿美>
60歳過ぎたらカフェを開く計画をしていた元女優のりゅんちゃん。
その友人・ビなちゃん(企業の経理を長くしていた)と作家のむうちゃん。
店名の<スルス>はフランス語の泉。
色々な知り合いに開店までの準備を協力してもらう様子が、こちらまでワクワク。


二軒目<あすかりやさん   大山淳子>
店主の桐島透(27歳)は目が見えない。
客があずけたいものを客の希望する期間、1日100円で大切に預かる。


三軒目<伊藤米店   彩瀬まる>
店主の息子が臨時で米屋の店先に。
焼きおにぎりを販売しはじめ、人気に。



四軒目<チンドン屋   千早 茜>
チンドン屋の清治郎。
親しくしてきた春さんの葬儀で希望していたチンドン屋をすることを
最後にやめることに。


五軒目<三波呉服店 ---2005---- 村松栄子>
最近は、売れなくなった着物。
68歳の店主は、店を畳もうかなとも考えていたが、ある日、若い女性が
店先に。着物の話をあれこれしていると、昔、馴染みの客・菊路に縁があるという。
その菊路のために作ったが本人の手元に行く前に亡くなってしまった着物を
ローンで買いたいという。とうぶん、店は畳めなくなったと思う店主。


六軒目<キッチン田中   吉川トリコ>
10年間、フレンチの店で働いていた修が店のシェフとして戻ってきた。
幼馴染のひな菊は、実家の生花店を手伝いつつ、商店街のパトロールを日課に
している。修と付き合っていたピアノの先生・久美子が近いうちに見合いを
すると知りり・・・・


七軒目<砂糖屋綿貫   中島京子>
先輩が4年間住んでいた砂糖屋に下宿することになった大学生の耕太。
大家はやもめ暮らしの爺さんで、風呂も洗濯機もトイレも冷蔵庫も共同。
大学の1年後輩のキズナといいかんじに距離が縮まって、下宿先に
来たいと言われて来たが、爺さんと親しくなり、ヤキモキ。




どの話も良かった!
最後の砂糖屋の綿貫徳次郎が耕太のガールフレンド・キズナの祖父というのも
なんだかほんわか。
女好きの徳次郎さんが最近、通っているという「カフェ スルス」。
目当ては元女優のりゅんちゃん。

この話の続き、どこかに書いていないかなぁ~。

こんぺいとうの角は24個って、始めて知った!
24軒分の話、全部読んでみたい!


                       ★★★

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発行年月:2010年11月


ヒモのヨシキは、ヤクザの恋人に手を出して半殺しにあうところを、妖艶な女性に助られる。同じころ、池袋では獣牙の跡が残る、完全に失血した惨殺体が発見された。その手口は、3年前の暴力団組長連続殺人と酷似していた。事件に関わったとされる女の正体とは?「姫川」シリーズの原点ともなる伝奇小説が復刊。第2回ムー伝奇ノベルス大賞優秀賞受賞作。

                       (文藝春秋文庫/発行)




少し前に「妖の掟」を読んで、この作品がデビュー作だと知り読んだ。
文庫本の発行は2010年だけど、2003年に刊行されたのは、ダークサイドエンジェル
紅鈴 妖の華 らしい。
文庫化にあたって大幅に加筆、改稿してのものが本作らしい。



これがデビュー作なのか~!
凄いな。
えぐいし、グロテスクだし、でも哀しく、美しい。


これを発表して20年近くして「妖の掟」を出した意図はなんだろ?
続けて読んだ方が、わかりやすいと思うけど。



主人公の紅鈴の生き方が哀し過ぎる。
自分に関わると壮絶な生き方をしなければいけないことになってしまうと
わかっているって辛い。


そして、デビュー作に、井岡が出ていることにびっくり!
この時から嫌われ者なんだ~。
でも、警察官としてはなかなかのキレモノ。


ヨシキのその後の生き方もきになるところだけど、また続きあるのかな?



                      ★★★










発行年月:2021年1月

認知症を患い、日ごと記憶が失われゆく老女には、
それでも消せない“秘密の絆があったーー
八十六年の人生を遡(さかのぼ)る最後の旅が、図らずも浮かび上がらせる壮絶な真実!
日本推理作家協会賞受賞作
『愚者の毒』を超える、魂の戦慄!
過去の断片が、まあさんを苦しめている。
それまで理性で押さえつけていたものが溢れ出してきているのだ。
彼女の心のつかえを取り除いてあげたいーー
アイと富士子は、二十年来の友人・益恵を“最後の旅”に連れ出すことにした。
それは、益恵がかつて暮らした土地を巡る旅。
大津、松山、五島列島……満州からの引揚者だった益恵は、いかにして敗戦の過酷を
生き延び、今日の平穏を得たのか。
彼女が隠しつづけてきた秘密とは?
旅の果て、益恵がこれまで見せたことのない感情を露わにした時、
老女たちの運命は急転するーー。

                   (祥伝社HPより)



都築益恵(まあさん)・・・86歳。夫(元教師)とは再婚同士。

持田アイ(アイちゃん)・・・80歳。夫は5年前に亡くなり一人暮らし。長男と
長女は、結婚し、別に住んでいる。

須田富士子(ふじちゃん)・・・77歳。生涯独身。博物館の学芸員として長く勤務。
数か月前に手術。



認知症のため、施設入所することになったという益恵の夫・三千夫から
頼まれて、アイと富士子は、益恵が今まで暮らしていた土地を巡る旅へと
益恵を連れていく。


最初は、3人の波乱に満ちた旅の物語?と思ったけれど、そうではないと
すぐにわかる。
益恵が満州から11歳で引き揚げてきたということを読んだから・・・・・。

そして物語は益恵の満州から引き揚げて来るまでの壮絶な話に。
もう胸が痛くなる。読み進めるのが辛い。でも読まなきゃ!と
飛ばしたくなるような残酷なことも沢山。
よく生きて日本に戻って来られた!
幼い女の子が目の前で家族を喪っても生き延びてこられたのは運も良かった
けれど、ハルビンの収容所で出会ったカヨちゃんと一緒だったからと
いうのが大きい。
認知症になって言葉も少なくなった益恵が度々、口にするカヨちゃん。
益恵の人生に大きく関わっていた人物なのに、音信不通になっていたのは
なぜか?
その真実がわかったときには、絶句。



でも旅の最後に再会が果たせてよかった!


旅に同行したアイと富士子のそれぞれのことも書かれていた。
年を重ねると色々、起きる。
楽しいことばかりじゃない。


「あとは死ぬだけじゃないの」の一言は、この年まで懸命に生きたからこその
言葉だよなぁ~。

最後は、なんだか、清々しい気持ちだった。



                           ★★★★★


発行年月:2020年12月


現代の赤ひげ先生がメスを入れるのは、病気でこじれた人間関係!怪しげな健康情報が身の回りにあふれている現在だからこそ、彼のような医者が必要だ!
東京郊外にある古びた洋館。
そこには先端科学では治せない患者と家族の「人生」を治療する名医がいる。
凄腕、イケメンだけど、ちょっと変わり者。
怪しげなサプリにはまる母。
仕事のストレスで血圧が上がった息子。
民間治療に心酔した妻・・・・。
そんな患者を持つ家族たちはどうしたらいいのか。
マドレーヌと紅茶の香る古い洋館の診察室を訪れた患者と家族は、倫太郎と話をするうちに、隠していた心の内を打ち明けてしまう・・・。
 
«「検査をして、病名をつけ、薬を処方したり手術を勧める。それはそれで必要なことだけど、それだけは足りない」
病気ではなくて、人と向き合いたいと倫太郎は言う。
「患者さんの中には、頭が固くて困った人もいる。滑稽なほどの心配症もいる。そして家族の方も患者さんとどう接したらいいか悩みを抱えているケースも多い。でも、みんな真剣だ。そういう人たちと、正面から向き合って話しているうちに、いろんなものが見えてくる。その積み重ねが、医者としての財産になると僕は思ってる。〈略〉」»
(本文より)
 
ヒリヒリするような医療サスペンスを数多く執筆してきた仙川 環の新境地。
本作では、患者と家族の〝わだかまり〟を解きほぐす規格外の医師を主人公に据え、心あたたまる人間ドラマを描き出しました。
患者やその家族に必要な情報とはなにか。
考え方や生き方が凝り固まった人たちに、どのようなアプローチを取ったらいいのか。
あ、これ私のことかも、ちょっと〇〇さんっぽい・・・など、身近に感じるエピソード満載です。
 
「怪しげな健康法、民間療法を信じ、実践している人に、『それは似非医学だ』、『害があるかもしれない』と伝えても、納得してもらうのは難しい。険悪な雰囲気になることすらある。
そんな経験を繰り返すうちに、ようやく分かってきた。こちら側が『正しい情報を理解させよう』と力めば力むほど、相手は頑なになっていく。『北風と太陽』の寓話の通りなのだ。 『処方箋のないクリニック』の主人公である青島倫太郎医師は、そのあたりのことを誰よりよく分かっている。だから、病院嫌いだったり、おかしな情報に振り回されたりしている患者や家族に対して、決して上から目線で意見をしない。いつでもフランクで朗らかだ。だからこそ、相手は彼の話に素直に耳を傾ける気になる。
季節を問わずハーフパンツを愛用していたり、スイーツ好きだったりと、変わり者ではあるけれど、こんな医師が身近にいたら、どれほど心強いだろう。玉石混交の医療・健康情報が、身の回りにあふれている現在、彼のような医師が必要だとも思っている」
(著者)
 
書店員さん絶賛!
「こんな先生に診てもらいたい!」――コメリ書房鈴鹿店・森田洋子さん
「シリーズ化をお願いします!」――文真堂書店ビバモール本庄店・山本智子さん
 
〈目次〉
もみじドライバー
サプリ教信者
総合内科 本日開院
理想のパートナー
血圧陰謀論
奇跡のメソッド


                  (小学館HPより)



医療系の作品をいつも書いている著者だけど、いつもシリアスで
重めだったのに、これは明るい。
いい。こういうのもいい。


主人公の医師・青島倫太郎は、内科の医師だけど、かなり優秀らしい。
けれど、服装といい、雰囲気といい、そんな風には全く感じない。

弟に青島総合病院の理事長の座を譲り、自身は、その敷地内にある
廃屋同然の建物内で、総合内科の看板を掲げて診療している。
ただし、受診料は、初回は1000円でその後は、実費。
儲けるためではなく、そうしないと経営が成り立たないから。

処方箋はなし。
患者さんの問題点を見つけ、本来の健康を取り戻すように導いていく。


何らかの問題を抱えていた人たちが、倫太郎先生と関わることで
変わっていく様子が痛快。


看護師のミカとのコンビも絶妙。

青島総合病院内で、診察が出来る日が来るといいのにな~。


続編あるかな?
これ1冊だけで終わるのは惜しい。



                     ★★★★


発行年月:2020年12月


25歳で会社を辞め、義肢装具士の専門学校に飛び込んださえ子は、カスタムメイドの義足を作る実習に苦戦し絶賛ヘコみ中。年下の仲間達に助けられ、芸者やカメラマン、人力車夫など多彩な義肢ユーザーと出会い、垣間見えた自分なりの「バリアフリー」とは? 伸びしろ無限大の人生再スタートを応援する大人のお仕事小説誕生!

                     (新潮社HPより)



あまり知られていないお仕事・義肢装具士。

主人公の二階堂さえ子、実習で同じ班は、19歳の戸樫博文と永井真純。

この3人の関係が凄くいい。
それぞれ個性的。


表題の神様に負けられないっていうのも、いい。
「神様が命の息を吹き込んで人間をつくった」という物語中の言葉から。


義肢装具士になるまでの苦労や、実習先で出会った人たちの話からも
知らなかったことを知れた。

義肢装具士って義肢以外、骨折した人の治療に使う装具の装着とかもするんだな~。
知らなかった。

実習で知り合った義肢ユーザーたちも、なかなか個性的。



この3人が何年か先、本当に会社を立ち上げられたらいいな。



お仕事小説は、楽しいな。



                      ★★★★

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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
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