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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2021年4月


日常”から生まれたロードノベル集
『田舎のポルシェ』(篠田 節子)
 篠田節子さんの最新刊『田舎のポルシェ』は、読者を日常の一歩外へと誘うロードノベル三篇を収録。リタイアした六十過ぎの男性二人が北海道へ向かう「ボルボ」は、この本が出来上がるきっかけとなった一作だ。
「別の作品の取材で北海道に行ったとき、この道を男性二人がドライブしたらどうなるんだろう、とふっと思いついて、物語の最後の展開まで頭のなかで出来上がってきたんです。また、自分の車にものすごくこだわりを持っている知人の男性がいるのですが、彼は愛車に対して恋人に近いような感情を抱いていました。一方、彼の奥さんにとっては車は単なる生活のツール。そのギャップが面白いなとずっと思っていたんです。ふたつの出来事が自然と組み合わさっていきました」
 表題作「田舎のポルシェ」は、三十代の男女が、あるモノを車に積んで岐阜−八王子間を往復する珍道中。車を運転する“マイルドヤンキー”感溢れる男と、東京出身だが家族との折り合いが悪く田舎で暮らす女が、様々なトラブルに見舞われながら目的地を目指す。車中で交わされる二人の会話の端々から、それぞれの価値観の違いが滲み出てくるのも面白い。
「車の免許もない私がこういう話を書くのは無謀かなと思ったのですが……。旦那や他の方の運転する車の助手席に乗って取材を重ね、資料もたくさん集めて描写に活かしていきました」
「ロケバスアリア」はコロナ禍だからこそ生まれた作品。介護施設で働く七十代の女性が、緊急事態宣言に伴う施設の休業を機に、長年の夢を叶えるべく行動を起こす。世相を憂うのではなく、一度きりの人生を目一杯生きようと前を向く彼女の姿は、読者に元気を与えるに違いない。
「私の周りには、子どもの世話になることなく、一人住まいで、パートや趣味に生きる元気いっぱいの七十代の女性たちが多いんです。テレビCMなどでは、未だに上品できれいで穏やかな“おばあちゃん像”が溢れていますが、実際はもっとパワフル。おばあちゃんの実像はひと昔前から確実に変化しています」
 どの作品も、登場人物たちのさりげない言動や佇まいが妙にリアルで、思わずクスっとしてしまう場面が多い。篠田さんならではの鋭い観察眼が光っている作品集だ。
「作家というよりは、自分のキャラそのままで書いて出来上がった感じで、笑わせようなんて全く考えていませんでした。日常を地道に生きることが、むしろオリジナリティにつながるのかもしれないですね」


                    (文藝春秋HPより)



3つのお話。
共通しているのは車があっての話。


へ~「ボルボ」がこの本のキッカケだったのかぁ~。
男2人が北海道へという話。
妻同士が親友でその旦那さん2人の話なんだけど、二人の変に馴れ馴れしくない
かんじが良かった。



お話としては、最後の話が良かったな。
物語のなかの<湖月堂ホール>ってどこだろ?
なんて、物語のそのホールがあるという地に住んでいるので、気になった。
70歳の春江さんの行動力が読んでいて、こちらも元気になる。
それを手助けする孫の大輝も良い子。
前科があってもその後の暮らしぶりがしっかりしていたら
応援してあげたい。
春江さんの来月に控えているという手術も成功しますように。



どのお話も楽しく読めた。



                     ★★★
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発行年月:2021年5月


後悔せずに死ねますか? 終活サロン――そこは、人生最後の駆け込み寺。
『県庁の星』の著者が贈る、超高齢化時代に必読の¨エンディング¨小説!
◆終わりに直面した人々の、それぞれの「終活」
1.鷹野亮子 五十五歳……独身・子無し・仕事一筋で生きてきたキャリアウーマンの「終活」
2.森本喜三夫 六十八歳……憧れの長兄が認知症になった後期高齢者三兄弟の三男の「終活」
3.神田 美紀 三十二歳……仕事と育児に母親の介護が重なり絶望するシングルマザーの「終活」
4.原優吾 三十三歳……突然のガン宣告で人生が一変した若き天才シェフの「終活」
5.三崎清 五十三歳……七十歳で貯金ゼロの未来予想図を突き付けられた終活相談員の「終活」

                    (角川書店HPより)



終活と聞くと、興味を覚える年齢になってしまったなぁ~(^^ゞ

終活相談員の三崎清が、色々な年代の人の話を聞きながら、それぞれの人生の
見直しのきっかけを与えていく。
相談員・三崎の人間性がなかなかいい。どうして奥さんは三崎から(浮気して)
離れていったんだろ?
三崎は長女・由里子と暮らし、翼は妻と暮らすことに。

最後の章で、離婚しても息子の翼も三崎の家を訪ねたり、連絡は取りあって
いる様子なのは、ホッとした。


相談に訪れるそれぞれの人の生活も終活についての考え方も様々。

先が短いと慌ててあれこれ考えるより、今のうちから少しずつ
身の回りの整理をしていくのがいいのかな?


取り敢えず、最近は、もう何年も着ていない服を少しずつ、捨てている(笑)。
いつか着られるかな?じゃなくて今着ないものは、必要なしの考えに
変えて。

新しく買うものはシンプルで、すっと着らそうなものに。


終活ノートみたいな大げさなものは要らないけれど、知らせておかないと
自分が亡くなった後で困ることになりそうな情報は、何処かにちゃんと残して
置いて、そこにあることも伝えておかなきゃな。


あ、自分よりまずは両親のが先か?
などと色々、現実的なことを考えながら読んだ。



                       ★★★



発行年月:2018年9月


愛したはずの夫は、まったくの別人であった。
「マチネの終わりに」から2年。平野啓一郎の新たなる代表作!
弁護士の城戸は、かつての依頼者である里枝から、「ある男」についての奇妙な相談を受ける。
宮崎に住んでいる里枝には、2歳の次男を脳腫瘍で失って、夫と別れた過去があった。長男を引き取って14年ぶりに故郷に戻ったあと、「大祐」と再婚して、新しく生まれた女の子と4人で幸せな家庭を築いていた。ある日突然、「大祐」は、事故で命を落とす。悲しみにうちひしがれた一家に「大祐」が全くの別人だったという衝撃の事実がもたらされる……。
里枝が頼れるのは、弁護士の城戸だけだった。
人はなぜ人を愛するのか。幼少期に深い傷を背負っても、人は愛にたどりつけるのか。
「大祐」の人生を探るうちに、過去を変えて生きる男たちの姿が浮かびあがる。
人間存在の根源と、この世界の真実に触れる文学作品

                   (文藝春秋HPより)



亡くなった谷口大祐は、誰だったのか?

谷口大祐の妻・里枝からの依頼で調査する城戸章良。
城戸は弁護士であり在日三世。祖父が韓国人。


谷口大祐を名乗っていた人物を探しながら、城戸のこの真相を探る間の
心境も興味深く読んだ。

自分の生まれながらの名前を捨てて、別の人として生きる。
そんな選択をする人って実際には、どのくらいいるのかな?
戸籍を交換するって、どんな風に?そんなことを仲介する人っているのかな?
色々な疑問が沸いてきた。



で、実際、谷口大佑を名乗っていたのは、原誠という人物。

原は、父親が殺人罪で死刑を執行されている。
暴力団員の息子・曽根埼義彦と戸籍を交換したあとで谷口大祐と戸籍を交換。

本当の谷口は曽根崎として生きていた。



谷口自身は、戸籍を捨てるほどの境遇じゃないようにも思うけれど
本人にしかわからない苦悩があったんだろう。
原が戸籍を交換したい気持ちは理解できるけれど・・・・。



実際の原と再婚した里枝が事実を長男の悠人(14歳)に告げるラストの場面は
こちらも緊張したけれど、悠人は優しいしっかりした子だな。
原とは血がつながっていない彼は、原の実子となる妹の花のことを
これからも、ちゃんと守ってくれそうで頼もしい。


重たい物語だったけれど、最後のこの場面で少し楽になった。


「マチネの終わりに」の映画は、見たけれど、原作も読んでみようかな?



                        ★★★★



発行年月:2019年3月


報われない努力なんてない!
累計80万部突破、喜多川泰懇親の感動作!

              (ディスカバートゥエンティーワンHPより)




啓発本のような小説。
何もかもうまくいかないと嘆く保険営業マン・岡田の元に遇わられたタクシー。
運転者・・・運を好転させるのが仕事だと言い、岡田を色々な場所に
連れていく。

機嫌が悪いと運の好転をつかむアンテナの感度が鈍るとアドバイスされ
それを守ろうとするが、特に運が好転した感覚がない岡田。

岡田に対して、色々な話を聞かせる運転者の言葉が、いい。
なるほどね・・・・確かにそういうものかもしれないなと思う。



岡田の元になぜ、運転者が現れたのか?
生前の父親や戦争で亡くなった祖父の自分に対する想いも知り、
これからの生き方を見つめなおす岡田。


最後のエピローグに、ほっこり。


喜多川さんの本って存在は知っていたけど、読んだことなかったかも。
読みやすくていいな。



                      ★★★



発行年月:2021年4月


誰もがいつかこんなふうに感じる。
北海道で独り暮らしをするおもちさん、83歳。夫は施設に入り、娘は東京から日に二度電話をくれる。実は持病が悪化して、家族がおもちさんの生活のすべてを決めていくことに。
不安と苛立ちと寂しさと、懐かしさと後悔とほんのちょっとの幸せと、揺れては消える老境の心情が、静かに切々と迫ってくる。
ベストセラー『平場の月』の著者が、ひとりの老女の内面に寄り添う、新たな代表作。

                    (光文社HPより)


83歳の島谷もち子さん。通称・おもちさんが主人公。
本人は明るく社交的。
北海道に夫と暮らしていたけれど1年ほど前、夫は特別養護施設に入所して
おもちさんは一人暮らしに。
息子のお嫁さん・トモちゃんがよく面倒をみてくれる。東京の娘も毎日
2回電話で様子伺いしてくれる。


でも、おもちさんの持病(糖尿病)の数値が悪化し、入院、その後も
食事管理が大事と介護付きマンションで暮らすことに。


糖尿病って辛い病気だな。
年を取ると食べることが結構な楽しみなのに、そこに制限がかかるって。
それをしないとたちまち命にかかわる事態になってしまう。

身の回りのことが自分で出来なくなったら、施設に入るしかないよなぁ~。
子どもたちに面倒かけたくないし。

おもちさんは我慢できずに甘いもの食べちゃう、それは仕方ないことだけど
せめて食べちゃったと正直に言わないとね。
食べていない逆切れするって子どもみたいで笑ってしまった^m^
夫の元に面会に行き、プリン食べさせちゃうのもダメなことだけど
なんだか切ない場面だな・・・。

こんな風に自分もなるのかな?とか考えちゃうと重たい気分になるけれど
読んでよかった。




                         ★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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