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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2017年8月
人と狐の間に生まれた者の末裔と噂され、並外れて大きな体と美しい顔をもつ妖女、美濃狐。ある日市に現れ、凄まじい剛力で暴虐非道に振舞う姿に、人々は恐れおののき、市は寂れてゆくのだが――。(表題作)ほか、日本最古の説話集『日本霊異記』を下敷きに繰り広げられる、不可思議で妖艶な物語の数々。古典を大胆に紡ぎ直した「知らぬ火文庫」シリーズ第一弾。


豪族の跡継ぎ・真桑が林で出会ったのは、異形な美しさを持つ女。真桑は女を納屋に匿い世話を焼くうち、次第に愛情を感じるようになる。ある夜、強引に女を抱いた真桑。幸福感に浸っていたが、翌日から女はまったく笑わなくなる。
「サカズキという女」

妻の初産を待ちわびていた広公。しかし産屋で産婆から手渡されたのは、蹴鞠のような肉の玉だった。広公は複雑な思いをいただいたまま、山の奥に肉玉を捨てに行くが――。
「舎利菩薩」

                           (光文社HPより)




知らぬ火文庫を新しい物から読み、これが最後。
順番としては最初のもの。

こちらが一番、読みやすく面白かった。

ただ表題作は、ちょっと・・・・謎。
話は分かるけど、これを表題とした意図は?と考えてしまう。

次の<蛇よ、来たれ>も同類かな?
まあ、色々なお話が<日本霊異紀>にはあるということだね・・・( ´∀` )


お話としては<塵芥にあらず> <舎利菩薩>が好き。
親ほど年の差がある友人のために、その死の原因となったものを訪ねて行って
自分にとってどれほど大事な人を亡き者にしたのだと怒る男・阿久多。

酷い名前は悪い鬼に連れ去られぬように、親の愛だと教えてくれた友。



<舎利菩薩>は不思議な話。
肉の塊のような玉から生まれ麻佐利の話。



日本には、昔から面白い書物があったんだなぁ~。

朱川さんの書く話が、不思議でちょっと懐かしいかんじがするのは、こういう書物が
元になっているのかな?


また新刊が出て読むのが楽しみな作家さんです。



                              ★★★★★

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発行年月:2022年6月


江戸で噂の、「持つ者は子宝に恵まれる」という宝船の絵。しかし、赤子を失ったある家の宝船の絵から、なぜか弁財天が消えたという。
 時を置かずして、北一もよく知る弁当屋の一家三人が殺される。現場で怪しげな女を目撃した北一は、検視の与力・栗山の命を受け、事件の真相に迫っていく。
 本書は、江戸深川の富勘長屋に住み、小物を入れる文庫を売りつつ岡っ引き修業に励む北一が、風呂屋の釜焚きなのに、なぜかめっぽう強い相棒・喜多次の力を借りながら、不可解な事件を解決していく物語。
 北一の文庫づくりを手伝っているのは、欅屋敷の「若」や用人の青海新兵衛、そして末三じいさん。岡っ引き見習いとしての北一を応援しているのが、亡き千吉親分のおかみさんや大親分の政五郎、政五郎の元配下で昔の事件のことをくまなく記憶している通称「おでこ」たちだ。
 北一応援団とともに謎解き×怪異×人情が愉しめる、著者渾身の大人気シリーズ第二弾!

                  (PHP研究所HPより)



北一と喜多次コンビのきたきた捕物帖・・・第二弾。
走りまわっているのは、北一のみで、肝心のときに喜多次が助けるってかんじかな?

でも、懐かしい政五郎親分とおでこ(三太郎)が登場は嬉しかった♪
おでこが結婚していて、事件解決にも自慢の記憶力を発揮して関わってくる。

今回の事件は2つ。
最初のは、幼い子どもが突然亡くなり、悲しみにくれる2つの家族の話。
共通しているのが、酒屋の年賀として配った宝船の絵が変化したという。


これは、真相を知れば子どもが亡くなった親の気持ちになってみれば、理解できる話で
解決してホッとした。


でも2つ目の事件は、真相がわかってもなんとも言えない、やり切れなさが残る。
仲良しの幸せな家族が毒により命を奪われるという殺しの内容も酷いもの。

下手人はすぐ捕まるけれど、北一は、本当の下手人は別にいるとの考えで
色々な人の助けを借りて探し回る。
すぐに捕まえて、強引に白状させて事件解決とする役人たちのやり方はひど過ぎるし
そんな世の中、恐ろしい。
今でいう冤罪って、こんな時代ならいっぱいあったのかな?( ノД`)


北一は薄毛という話だけど、挿絵の北一は、そうでもないような・・・
可愛い挿絵に癒される。
次回も楽しみです(^^)


                      ★★★★


発行年月:2021年12月


大晦日の夜、ホテルに集まった八十歳過ぎの三人の男女。彼らは酒を飲んで共に過ごした過去を懐かしみ、そして一緒に猟銃で命を絶った。三人にいったい何があったのか――。妻でも、子どもでも、親友でも、理解できないことはある。唐突な死をきっかけに絡み合う、残された者たちの日常。人生におけるいくつもの喪失、いくつもの終焉を描く物語。

                   (新潮社HPより)


篠田莞爾(86歳)、重森勉(80歳)、宮下知佐子(82歳)
3人は、1950年代の終わりころ、美術系の出版社で一緒に働いていた。
その後、職場が変ったりしながらも3人の親交は続き、ある大晦日の夜、
ホテルで食事をしてお酒を飲みながら、昔話に花を咲かせて・・・
「そろそろ眠くなったね」と同じ部屋に向かい、命を絶つ。


物語には、悲壮感みたいなものが殆どない。
これがもっと若い3人なら違っただろうけど、3人はそれぞれに十分、人生を
楽しんだのだと思う。
猟銃自殺は、ちょっと派手過ぎるけど(3人には似合ってるのかも)
潔くてちょっと羨ましいとさえ思ってしまった。


残された親族や知り合いは驚き、どうして?と思うのだけど、篠田と宮下は
色々な身辺整理を済ませてあり、身寄りがいない重森も後を任せられる人に
遺書を遺している。


親族や知り合いたちそれぞれが代わり代わりに語りながら物語が進む。

知佐子の孫・作家の塔子
莞爾の孫・葉月(コペンハーゲンでアンデルセンの研究をしている)

この二人が印象的だったかな?


時間を置いて、また再読したい本。


                      ★★★★



発行年月:2022年6月


僕の祖父には、秘密があった。
終戦後と現在、ふたつの時代を「カレー」がつなぐ
絶品“からうま”長編小説
ゴミ屋敷のような家で祖父・義景と暮らすことになった孫息子・桐矢。
カレーを囲む時間だけは打ち解ける祖父が、半世紀の間、抱えてきた秘密とは――
ラスト、心の底から感動が広がる傑作の誕生です。

                   (実業之日本社HPより)


25歳の桐矢は、渋々、おじいちゃんと同居を始めることに。
おじいちゃんの名前は、小山田義景83歳。
声が大きく、がさつで桐矢の母親・俊子の妹たち(誠子、美海子)や孫(七海、ミクル)
皆から少し疎まれる存在。
俊子が9歳のとき、母親が出て行き、姉妹は協力して家事をこなしながら

生活。誰も以後の母親とは会っていない。


一人暮らしが心配だという娘たちの意見にも耳を貸さない義景が

桐矢となら一緒に暮らしてもいいと言ったことから同居に・・・。

桐矢も祖父のことが好きではなかったけれど、同居をするなかで
少しずつ祖父の不器用だけどちゃんと、優しい心も持っていると感じる。


カレーは、義景が18歳で村を出て勤めたピース食品で作っていたレトルトカレーを
こよなく愛しているため、沢山買いだめされているもの。
2人で少しアレンジしながら作るカレーを食べる場面が微笑ましい。

義景の生い立ちもなかなかハード。
親に捨てられ、親戚の元をたらいまわしにされて毎日、それぞれの家では
全く可愛がられず、日々空腹だった。
ある日、食べるものを盗もうと入った掘っ立て小屋で、その住人に見つかるが
男は怒らず、食べ物を与えてくれて、いつか今度は誰かお腹を空かせている者に
与えてあげてと言われたことを、ずっと忘れず生きてきた。



最後の場面は、皆がそろって義景の話をあれこれしている。
自分のことを覚えていてくれる家族がいるって幸せなこと。

義景は、十分、懸命に生き抜いたんだな。
おつかれさまでしたと言ってあげたい。



                       ★★★★


発行年月:2004年4月


「夏のはじめのある日、ブラフマンが僕の元にやってきた。」
あたたかくて、せつなくて、いとおしい。極上の文学世界をご堪能ください。
朝日はまだ弱々しく、オリーブ林の向こうの空には沈みきらない月が残っているような時刻で、僕以外に目を覚ました者は誰もいなかった。ブラフマンは裏庭のゴミバケツの脇に潜み、脚を縮め、勝手口の扉に鼻先をこすりつけていた。――(本文より)

                  (講談社HPより)




文章が美しい。

読んでいると自然に情景が浮かぶかんじ。


これは日本ではないかな?
西洋の香り。


ある夏の日にけがをした仔犬を見つけて、連れ帰る僕。
僕は「創作者の家」と呼ばれる施設の住み込みの管理人。

色々な創作者がここで創作活動をしていて、一番親しいのは碑文彫刻家。
仔犬の名前を彫刻家の作品のなかから選ぶことにして気になった文字を
尋ねるとサンスクリット語で「謎」という意味の「ブラフマン」と読むんだと
教えられ、それを名前に決める。


普段は、部屋のなかでほかのものに見つからないようにしていたが
動物アレルギーだというレース編み作家に見つかってしまう。
部屋に頑丈な鍵を彫刻家に取り付けて貰い、ブラフマンが勝手に部屋から
出ないようにする。

必需品を配達してくれる雑貨屋の娘と親しくなり、車の運転の練習に
付き合う。
創作者の家の庭は広いので、そこが練習場所。


ああ、なんか嫌な予感・・・・・と思ったら・・・・(;O;)

僕とブラフマンの暮らしぶりは、微笑ましいもので犬も可愛いなと
思って読んでいたのにな・・・。


表題通り、埋葬するのが物語の最後。
でも、ブラフマンを避けていたレース編み作家も埋葬に参列したのは
良かった。
嫌な人ではなかったとわかって良かった。



アッとという間に読み終えてしまったけれど、とてもよかった!



                       ★★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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