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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2022年8月


その愛は、あまりにも切ない。
正しさに縛られ、愛に呪われ、それでもわたしたちは生きていく。
本屋大賞受賞作『流浪の月』著者の、心の奥深くに響く最高傑作。
ーーわたしは愛する男のために人生を誤りたい。
風光明媚な瀬戸内の島に育った高校生の暁海(あきみ)と、自由奔放な母の恋愛に振り回され島に転校してきた櫂(かい)。
ともに心に孤独と欠落を抱えた二人は、惹かれ合い、すれ違い、そして成長していく。
生きることの自由さと不自由さを描き続けてきた著者が紡ぐ、ひとつではない愛の物語。
ーーまともな人間なんてものは幻想だ。俺たちは自らを生きるしかない

                 (講談社HPより)



17歳で知り合った櫂と暁海。
それぞれ、家庭に事情を抱え、瀬戸内の島という閉鎖的な人間関係のなかで
唯一、理解し合える大切な存在だった。


親のことで、子どもが将来の選択の幅を狭められてしまうことが辛い。
子どもには経済力がなく、何ひとつ、自分の意思を尊重できず、
目の前の状況を我慢するしかない不幸。


大人に成長し、櫂は東京。
暁海は、島に残り、最初は遠距離恋愛も順調だったけれど
東京で仕事(漫画のストーリーづくり)をする櫂には、新しい人間関係も
出来、恋愛を優先することが難しくなり、暁海とも関係もギクシャクというのは
何となく予測がついて、その通りになってしまって残念。

それぞれの心情が交互に語られるので、どんな状況になっても
お互いへの想いは以前と変わらないとわかるだけに、切なかった。


高校生の時から、二人を理解して手助けしてくれた化学の先生・北原が
「ほんとにこんな人いたらいいな」というくらいいい人で・・・

でもプロローグで暁海が認める浮気相手に月1で会いにいくのは
この先生だったんだ~と分かったときは、なるほど・・・・と。
大切な気持ちを優先して生きることをモットーにしているんだな。


暁海の母親は最後は、穏やかな暮らしを送れているようで良かったけれど
櫂の母親は相変わらずだな・・・


17歳から32歳までの二人を追った純愛話だったけれど、読み応えあり
一気読みだった。
でも個人的には「流浪の月」の方が好きかな~



                      ★★★


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発行年月:2022年1月


日本植物学の父 牧野富太郎   愛すべき天才の情熱と波乱の生涯
ただひたすら植物を愛し、その採集と研究、分類に無我夢中。
莫大な借金、学界との軋轢も、なんのその。すべては「なんとかなるろう!」
おまんの、名ぁを知りたい
明治初期の土佐・佐川の山中に、草花に話しかける少年がいた。名は牧野富太郎。
小学校中退ながらも独学で植物研究に没頭した富太郎は、「日本人の手で、日本の植物相(フロラ)を
明らかにする」ことを志し、上京。東京大学理学部植物学教室に出入りを許されて、新種の発見、
研究雑誌の刊行など目覚ましい成果を上げるも、突如として大学を出入り禁止に。
私財を惜しみなく注ぎ込んで研究を継続するが、気がつけば莫大な借金に身動きが獲れなくなっていた……。
貧苦にめげず、恋女房を支えに、不屈の魂で知の種(ボタニカ)を究め続けた
稀代の植物学者を描く、感動の長編小説。
直木賞 中央公論文芸賞 柴田錬三郎賞 朝井まかての新たなる傑作がここに!
「おまんのことを、世界に披露目しちゃるきね」

                     (祥伝社HPより)



図書館棚から、「あ、まだ読んでいない朝井さんの書だな」と借りてきた。
そしたら、今度のNHKの朝ドラのモデルになった牧野富太郎の話だとわかり
なんともタイムリー!!

子どもの頃は、植物が大好きな元気な少年というかんじだったけれど・・・
学校の授業は、知っていることばかりでつまらないと小学校を中退。
けれど、物知りで弁もたつということで、17歳のとき、小学校で教えることに
なったという。

幼いときに両親を相次いで病でうしない、祖母に育てられ
同じように祖母に育てられたいとこの猶と祖母の提案で祝言をあげる。

けれど、結婚している身なのに実家の造り酒屋のことは、関知せず、自身の
興味のある植物学にのめり込み上京し、東京大学の植物学教室に出入りするようになる。
そして料理屋の娘・スエと親しくなり、夫婦となる。
「え?猶さんは???」と思うが、猶も承諾し、富太郎のお金を送って欲しいと
いう頼みも文句なく応じる。


全く、なんという人たちなんだ???
理解できない展開である。
こういう時代だったんだろうか?


植物学の学者としては成功した人だけど、周りで振り回される人たちが本当に
気の毒で、あった。

でも手助けしたくなるだけの人としての魅力もあったんだろうな~。

奥さんのスエさんは、55歳で病気亡くなってしまうけれど、本人は90歳すぎまで
活動していた様子。
スエさんには、感謝していて、発見した植物に奥さんの名前を入れたという
話は素敵。スエさんも喜んだでしょう。


朝ドラで、どのように描かれるのか、楽しみ♪



                       ★★★★



発行年月:2005年11月


第72回小説現代新人賞受賞作
31歳になった。遠距離恋愛中の彼は何も言ってくれない。
30代独身女性の「じれったい気持ち」を軽妙に、鮮烈に描く受賞作を含む短編5作を収録

                 (講談社HPより)




朝倉さんのデビュー作を含む5作品。

新人賞受賞の<肝、焼ける>はやはり一番、面白かったぁ~。

31歳の真穂子が年下の御堂くんに会うため、彼が転勤した北海道へ行く話。
北海道に着いても、すぐに彼の元に行かず、途中、銭湯に寄ったりして
御堂くんの住んでいるマンションに行っても、部屋には行かず、集合ポストの
中に伝言メモを入れるのみ。

何やってるんだ???と突っ込み入れながら読んだけど、真穂子の気持ちも
なんとなく理解できて、その行動も、うん、こういう風にしちゃうこと
わかるわかると思いながら。

最後のオチがまたいい。


<一番下の妹>
は職場の他二人は40台半ばの女性で、自分だけ20歳以上年下という
環境のなか、自分を一番したの妹的立ち位置でとらえて
2人の姉のそれぞれの思惑に絶妙な意見を述べる姿が可笑しい。


<春季カタル>
恋人と別れ徒歩で家に帰る途中、見知らぬ男と目が合っただけで
その人の車に乗るって、ちょっと危ない女性だな・・・
ちょっと理解しにくい話だったけど、雰囲気はすき。


<コマドリさんのこと>
40歳の駒鳥紀美子が思い返す過去のこと。
コマドリさんの職場の後輩・シゲコちゃんとか、
高校生のとき、好きなホンダくんに告白して振られたときの介添え人とか
コマドリさんの妹の話とか
なかなかユニーク。
コマドリさんには、この先、幸せになってほしい。


<一入>
33歳の沙都子は、13年付き合った恋人に結婚の話を切り出したが、自分と考えが
違うことに絶望。
そんなとき、北海道に住む大学時代の友人・から誘われて北海道へ。
老舗の温泉旅館に二人にいく。

この後、恋人とはどうなったのかなぁ~。

一入って、言葉では知っていても、こんな字を書くんだ~。
勉強になったなぁ~(^^ゞ


朝倉さんは好きな作家さんの一人だけど、新人の時から面白い物語を
書いていたんだな。
表現力はさすが!


                  ★★★★★



発行年月:2020年1月


「この世から逃げたくて仕方がない。
それと同じくらい、この世に触れたくて仕方がない」(本文より)
駆け落ち、逃亡、雲隠れ。
行き詰まった人々が、ひととき住み着く「家」を巡る連作短編集。
家族を捨てて逃げてきた不倫カップル――「はねつき」
逃亡中のヒットマンと、事情を知らない元同級生――「ゆすらうめ」
新興宗教の元教祖だった老齢の婦人――「ひかり」
親の決めた結婚から逃げてきた女とその妹――「ままごと」
子育てに戸惑い、仕事を言い訳に家から逃げた男――「かざあな」

                (集英社HPより)





それぞれの抱える状況が、結構、重たいものだった。

一番、明るいかんじだったのは親の勧める縁談話に反発して一人暮らしを
決めた女性とその妹の話かな?
それも本人たちからしたら、切羽詰まった状況なんだろうけど。。。

この家から出たあとの、それぞれのことが凄く気になるなぁ~。

みんな前より穏やかな心境で生きられたらいいなぁ~


なかなか、面白い短編集だった。



                   ★★★


発行年月:2022年2月


あきらめた人生の、その先へ――片足の祖父、学校に行けなくなった甥、〝正義感〟で過ちを犯したみのり。小さな手にも使命が灯る、慟哭の長篇小説。「今、だれもがスタートを待っている」周囲の人々が〝意義ある仕事〟に邁進する中、心に深傷を負い、無気力な中年になったみのり。実家に届く不審な手紙、不登校になった甥の手で、祖父の過去が紐解かれるとき、みのりの心は、予想外の道へと走りはじめる。

                    (中央公論新社HPより)


時代や語り手が変わりながら進むので、少し戸惑うけれど、段々慣れて
読み応えもあり、面白かった。

主には38歳で2つ年上の夫・寿士と東京で暮らす山辺みのりと
香川県で暮らしているみのりの祖父・多田清美(90歳代)の過去と現在を
それぞれの語りで。


みのりの大学生時代の話や、清美の戦地での体験談、
段々、わかる清美のこと。
戦争がなかったら・・・

そして現代では、コロナが世界的に蔓延。
コロナさえなければ・・・ということも色々。


清美の青春時代の話がもっと深く知りたかったなぁ~。
戦地で体験したことは、惨い。
片足をなくして戦地から帰って、誰も知る人がいないところで、救いの手を
差し伸べてくれる人に出会えて本当に良かった。
その出会いがなければ、みのりも存在していないということ。


そして、ボランティアってやはり難しいものがあるな~と感じた。
何かを求めてやるものではないと頭ではわかっていても拒絶される言葉を
面と向かって言われることもあるんだと覚悟していくことも必要なんだな。


みのりと寿士の出会い方はなんだかいいなと思った。
2人の会話のかんじもいい。



角田さんの長編は久しぶりだったけど、よかった!




                        ★★★★

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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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