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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2021年8月   


2022年 本屋大賞ノミネート作品!
ミステリを愛するすべての人へ
当作の完成度は、一斉を風靡した
わが「新本格」時代のクライマックスであり、
フィナーレを感じさせる。今後このフィールドから、
これを超える作が現れることはないだろう。
島田荘司
ああびっくりした、としか云いようがない。
これは僕の、多分に特権的な驚きでもあって、
そのぶん戸惑いも禁じえないのだが――。
ともあれ皆様、怪しい「館」にはご用心!
綾辻行人
500ページ、一気読み!
知念実希人の新たな代表作誕生
作家デビュー10年 実業之日本社創業125年 記念作品
雪深き森で、燦然と輝く、硝子の塔。
地上11階、地下1階、唯一無二の美しく巨大な尖塔だ。
ミステリを愛する大富豪の呼びかけで、
刑事、霊能力者、小説家、料理人など、
一癖も二癖もあるゲストたちが招かれた。
この館で次々と惨劇が起こる。
館の主人が毒殺され、
ダイニングでは火事が起き血塗れの遺体が。
さらに、血文字で記された十三年前の事件……。
謎を追うのは名探偵・碧月夜と医師・一条遊馬。
散りばめられた伏線、読者への挑戦状、
圧倒的リーダビリティ、そして、驚愕のラスト。
著者初の本格ミステリ長編、大本命!

                  (実業之日本社HPより)


凄い考えらえたミステリーだなぁ~と感心。

最初の起きる殺人の犯人は、すぐにわかる。
その殺人動機は理解できたので、この先、どういう展開になるんだろうと
思いながら読んでいると、二つ目の殺人、3つ目の殺人と続く。


最初の殺人は、毒殺だけど、その後の二つは、刺殺。

塔の主と、そこに招待されたもの、主の使用人、併せて10人が最初に居た。

招待されたもののなかに刑事がいて
名探偵だと名乗るものがいて・・・・殺人事件の犯人探しの推理が
進行していく。


登場人物が多いのに、混乱せず、スラスラ読ませてくれる。
ミステリー好きが集まっているということで、ミステリー作品の書が
多く登場。未読のものもあり、そちらにも興味をもつ。

殺人事件が起きるけれど、不思議と凄惨さを感じない。

そして犯人が名探偵と名乗る者から当てられる。
二つ目、三つ目の犯人は、自ら認めて自死してしまい、最初の犯人も
犯行を認めるものの何か腑に落ちないものを感じ、この3つの殺人事件は
フェイクだと気づく。

そしてフェイクを乗っ取り実際の殺害に変えたの犯人がわかるけれど消える。


最後は、ちょっとファンタジーぽかったけど、まあまあ、これもいいか。
予想以上に楽しめたから。


                     ★★★★
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発行年月:2022年4月


星の数ほどあるケーキの種類のなかでも、不動の人気を誇る「苺のショートケーキ」。「和菓子のアン」シリーズなど、甘いものを描いた作品に定評のある著者による、誰しも思い出のひとつやふたつはあるだろうショートケーキをめぐる5篇の連作集です。
大学生の<ゆか>と<こいちゃん>はどちらも、母との二人家族。父が出て行ってから買えなくなったホールケーキを求めて、ふたりは<失われたホールケーキの会>を結成、切れていないケーキを楽しんでいる。ある時、離れて暮らす父親から、「大事な話がある」と連絡があり……。(「ホール」)
俺が働くケーキ屋では、残りがちなホールケーキを予約なしに買ってくれるお客さんを天使と呼んでいる。天使の中には常連もいて、女子大生と思しきその二人組が俺は気になっている。どうやら彼女たちは、丸いホールのケーキにこだわっているようなのだ。(「ショートケーキ。」)
ケーキ屋で働く私には、嬉しいことがあったときにひとりで行う「趣味」がある。ケーキを冒涜しているようで人には言えないのだが……。
(「追いイチゴ」)
ママになった瞬間からさまざまなことがままならなくなった。大好きなショートケーキをもう一度ひとりでゆっくりと味わいたい。その願望を実現すべく、<あつこ>は二人のママ友と互助会を結成する。(「ままならない」)
央介の口癖は「嫁に行きてえ」、何事にも受け身で生きてきた28歳の会社員だ。ある時、領収書の不備を指摘されたのをきっかけに、会社の経理担当の女性のことが気になり始める。弟の学費を捻出するために倹約弁当を続ける彼女だが、どうやら本当はショートケーキが食べたそうなのだ。 (「騎士と狩人」)


                     (文藝春秋HPより)


短篇連作集。
どの話にも共通して出てくる、いちごのショートケーキ。

そして登場人物たちが、すこしずつリンクしていて、先に読んだ人が
関わっている仕掛けが楽しい。

一番最初の話で出てくる20歳の女子二人が買い求めるコージーコーナーの
イチゴショートケーキを手渡す、バイトの大学生・カジモトくん。
紙皿とフォークと0のローソクを袋にオマケで入れる場面を
2人の女子、カジモト君、カジモト君の先輩の視点でそれぞれ書いている箇所が
特にいい。


新米ママ3人の話も、良かった。
追いイチゴ・・・なるほどいいアイデア。
これはカジモトくんの先輩のアイデアだけど、それを実践するママ。


最後の話はにはカジモトくんのお姉さんが登場。
結構、お堅い性格で会社の経理担当をしている。
でも、ショートケーキを前にすると可愛らしい一面を見せる。
密かにそんな経理さんに好意を寄せる主人公だけど、なんと既婚者で
妊娠中というオチ。

ほっこり優しい連作集でした♪
最後の著者のあとがきも楽しめた。
坂木さんって、性別公表していないけど、女性だろうな・・・と思う。


                      ★★★★


発行年月:2001年7月 (単行本は1997年7月)

その本はたった一人にだけ、たった一晩だけしか他人に貸してはなりません。
かつて一度でも、むさぼるように本を読む幸せを味わったことのある人に。

第一章 待っている人々
第二章 出雲夜想曲
第三章 虹と雲と鳥と
第四章 回転木馬

                  (講談社HPより)





それぞれの章は独立した話だけど、共通しているのは

一冊の本「三月が深き紅の淵を」という作者不明の本。
ごく限られたものだけが所有していて、作者が決めた掟を守らければ
ならないという。


第一章は、とあるお茶会に招かれた若手社員の鮫島巧一。
招かれた屋敷に隠されているであろう1冊の本「三月は深き紅の淵に」に
ついて語る面々。


第二章は別々の出版社に勤める編集者の女性二人が
「三月は深き紅の淵に」の著者は出雲出身ではないかと夜行列車で
その地を訪ねる話。


第三章は崖下で見つかった二人の少女の遺体。
2人は異母姉妹だった。
彼女たちを知る者たちが生前の二人の様子からその死の真相をあれこれ
考察する。そして二人の父親の住んでいた地で父親に関する凄惨な事件を
知る。


第三章は「三月は深き紅の淵を」を書いている著者が語る部分と
水野理瀬という少女が転校した先で暮らす寮のなかで起きた不可解な事件に
ついての部分が交錯している。
著者の語りは恩田さんそのものの考えかな?
そしてもう一つの少女・理瀬の物語が今後、別の本で新たに展開していくのか?



1冊を通して、4つの章の主人公たちが変わるのに共通している不穏な
空気感にぞわぞわ。

この後に書いた「麦の海に沈む果実」を読むのが楽しみ。

やっぱり恩田さんは凄い作家さんだ!


                      ★★★★




発行年月:2021年11月


文芸 同志少女よ、敵を撃て
【2022年本屋大賞受賞!】
キノベス! 2022 第1位、2022年本屋大賞ノミネート、第166回直木賞候補作、第9回高校生直木賞候補作
テレビ、ラジオ、新聞、雑誌で続々紹介!
史上初、選考委員全員が5点満点をつけた、第11回アガサ・クリスティー賞大賞受賞作
独ソ戦が激化する1942年、モスクワ近郊の農村に暮らす少女セラフィマの日常は、突如として奪われた。急襲したドイツ軍によって、母親のエカチェリーナほか村人たちが惨殺されたのだ。自らも射殺される寸前、セラフィマは赤軍の女性兵士イリーナに救われる。「戦いたいか、死にたいか」――そう問われた彼女は、イリーナが教官を務める訓練学校で一流の狙撃兵になることを決意する。母を撃ったドイツ人狙撃手と、母の遺体を焼き払ったイリーナに復讐するために。同じ境遇で家族を喪い、戦うことを選んだ女性狙撃兵たちとともに訓練を重ねたセラフィマは、やがて独ソ戦の決定的な転換点となるスターリングラードの前線へと向かう。おびただしい死の果てに、彼女が目にした“真の敵”とは?

                    (早川書房HPより)



一気に読ませる筆力には驚いた!
凄い、作家デビュー作だなぁ~。


ロシアのウクライナ侵攻を毎日、ニュースで見ている時期なので
この物語では、共にドイツという敵に戦った仲間同士だったのに・・・と
凄く複雑な気持ちになってしまう。


物語の主人公・セラフィマは、住んでいた村に突然、ドイツ軍が侵攻してきて
全ても焼き尽くされ、そこに入ってきた赤軍がドイツ軍撃ち追い払った。
その赤軍の女性リーダー・イリーナの勧めで女性狙撃兵になっていく。

訓練校で親しくなっていく仲間。
最初は衝突もありながら、次第に絆を深める仲間が出来ていくのは
心強いことだったと思う。

が・・・戦地では、その仲間が犠牲になっていく。

仲間を守るため、国のため、色々な思いでドイツ兵たちを殺していく。

ふとセラフィマが漏らした言葉が印象的。
自分は人殺しを楽しんでいる?
自己嫌悪に陥るセラフィマの姿が切ない。

村での幼馴染の少年・ミハイルは隊を率いていた。
ドイツ人の捕虜となった女性を喝采のなかで犯そうとしている場面に
出くわす。
心優しかったミハイルなのに・・・



誰もが戦地で変わってしまう。
敵を撃てと訓練を受けながら、敵とはなんだ?と考えてしまう。


物語の終盤に出てくる
「戦争は女の顔をしていない」 べラルーシのノーベル文学賞受賞作家の
本も気になる。


エピローグで、セラフィマは故郷の村で暮らしている様子で、少しホッとした。


今後の作品も期待大の作家さん。


                     ★★★★★



発行年月:2003年11月


小さなレコード店や製函工場で、時代の波に取り残されてなお、使い慣れた旧式の道具たちと血を通わすようにして生きる雪沼の人々。廃業の日、無人のボウリング場にひょっこり現れたカップルに、最後のゲームをプレゼントしようと思い立つ店主を描く佳品「スタンス・ドット」をはじめ、山あいの寂びた町の日々の移ろいのなかに、それぞれの人生の甘苦を映しだす川端賞・谷崎賞受賞の傑作連作小説。
受賞
第8回 木山捷平文学賞
受賞
第40回 谷崎潤一郎賞
受賞
第29回 川端康成文学賞

                  (新潮社HPより)


「雪沼」という地に暮らす人、かつて暮らしていた人たちの物語。
主人公が変わりながら短編の形だけど、どこか繋がっているようなかんじ。


やはり一番最初で川端賞受賞の「スタンス・ドット」が良かった。
今日で店じまいのボウリング場に、灯を落として閉店しようとするところに
来た男女。
「トイレを借りたい」という。快く、承諾したあと、
折角なので、1ゲームだけ無料でやっていきませんか?と。

偶然の出会いで、これでもう会うこともない人たちとの素敵な時間。
この男女はラッキーだったなぁ~。


他の作品もそれぞれ良かった。
ドラマチックなことは特に怒らないのだけど、文章が素敵だから
素敵な物語になっている。


<イラクサの庭>
10日前に亡くなった小留知(おるち)先生は、レストラン兼料理教室を
開いていた。
フランスの田舎で料理に使うイラクサはOrtieと呼ばれているということから
先生の名前と似た発音のイラクサをお店の名前に。
教え子たちが先生の昔話。
死ぬ間際の一言がうまく聞き取れなかったことを悔やむ一人に
皆がいろいろ推理。
先生は「コリザ」と言ったような・・・・・と。

それは氷砂糖ではなかったのか?という結論に。
ちょっと切ないけれど美しい思い出があったんですね・・・。


<河岸段丘>
この何日か、身体がわずかに右に傾いている気がする田辺。
土産物のマグカップを詰める段ボールを制作している。
機械の整備のため40年来の付き合いのある青島を呼ぶ。

結局原因は、機械の傾きのせい?
現実と幻想が交わって終わる不思議なはなし。


<送り火>
2周り以上年が離れている夫婦。
陽平と絹代。
2人は二階で書道教室を開いている。
一人息子は13年前に大雨のあとの川を見に行って流されてしまった。
陽平が50歳、絹代が27歳の時に生まれたこども。

2人が結婚するまでの経緯、子どもを亡くしてからの暮らしぶり。
静かな物語。


<レンガを積む>
音楽堂店主の蓮根。
スピーカーの台にレンガを注文して、それを設置する。

ただそれだけの話なのに、なぜか面白い。


<ピラニア>
中華料理屋を営む安田。
常連客の信用金庫勤務の相良。
店には熱帯魚の水槽が並ぶ。
特に珍しいものがいないがブラックピラニアは異質。
知人にどうしても貰ってほしいと言われて引き受けたもの。

不器用で欲のない安田のひょうひょうとした雰囲気がいい。



<緩斜面>
消火器販売と設置されたものの点検をしている会社に勤める香月。
自分がこの会社に勤めることになったのは友人・小木曽の勧めがあったから。

「ABC殺人事件」の文庫本を片手にしていたのを見て
消火器の会社を紹介した小木曽のセンスがいいね!
火災は
普通の火災・・・・A
油の火災・・・・B
電気系の火災・・・C
というそう。

小木曽が亡くなってもその息子・大助と昔二人で遊んだ緩斜面で凧揚げする
場面が素敵。



どれもしみじみいい。
文章が好きだな。



                       ★★★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;

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