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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2022年12月


角田光代/高野秀行/髙橋秀実/津村記久子/東直子/町田康/三浦しをん 著
子どもの毎日は、山あり谷あり。第一志望の学校に落ちた!
 体育が好きになれない。大人になるって楽しい……? 
ストレス社会でがんばる子ほど肩の力がみるみる抜ける
人気作家7人の迷回答


                 (中央公論新社HPより)


最初の質問は・・・夏休みの宿題、ギリギリやる派はダメ・・・?

これの回答は角田光代さん。

宿題に対してあまり記憶がないとしながら、美術部の宿題を何を描こうか
迷い過ぎて結果、ぎりぎりでしょうもない絵を描いて出したら
先生に「きったねえ絵だな」と言われ絶望し、短時間で描いたことを
後悔したという。

へ~美術部に居たんだぁ~と。

そして、結局、角田さん本人としては「早めに終わらせて、見直す派」だそう。
でもそんな回答は周りをしらけさせるので
「もちろん、ギリギリ派だよ~」と会話のマナーとして答えると。


この話、一番最初だったからか、インパクトあって最後まで読んだけど
一番面白かった・・・^m^


最後の質問・・・「大人になるって楽しい?」

この回答は、津村紀久子さん。
若い時(10代~20代)に感じたことも、次の時代まで生きたとき、
以前感じたことが変わることもあり、大人になったからそれがわかるのは
面白いことだと。

なるほどね。



子どもお悩み相談会だけれど、大人が読んだ方が、面白いでしょう。




                      ★★★
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発行年月:2023年2月


幕末から維新、明治と激動の時代の外交を料理で支えた男がいた――長崎生まれの料理人・草野丈吉で、店の名は「自由亭」。
 本書は、日本初の洋食屋を長崎で開き、大阪に進出してレストラン&ホテルを開業、近代大阪の発展に貢献した丈吉を、妻ゆきの視点から描いた歴史小説。
 貧しい農家に生まれた丈吉は、18歳で出島の仲買人に雇われ、ボーイ、洗濯係、コック見習いになる。
 そして21歳のときにオランダ総領事の専属料理人になり、3年後に結婚。夫婦で日本初の西洋料理店をオープンさせた。店には、陸奥宗光、五代友厚、後藤象二郎、岩崎弥太郎といった綺羅星のごとき男たちがやって来る。
 明治の世になり、大阪へ移った丈吉は、重要な式典で饗応料理を提供するまでになるのだが……。
 夫婦で困難を乗り越え、夢をつかみ取る姿を活き活きと描いた傑作長編

                    (PHP研究所HPより)



まかてさんの物語で、また知らなかった偉人を知りました。
今回は、日本初の洋食店を開業した草野丈吉の物語。

貧しい農家の家に生まれ、奉公先での偶然の出会いで、オランダ領事館の専属料理人と
して、世界を回りながら西洋料理を学ぶ。

妻・ゆきは、25歳のとき、傾成屋(女郎屋)の奥で奉公していたとき、年に一度
奉公人も無礼講で食事を楽しむ宴の席で、丈吉に見初められる。
「食べっぷりがよかったから」ということらしい。

最初に洋食屋を出したときは、丈吉の妹・よしと
手伝いで雇った寛太(15歳)のみ。

それでも、オランダの商人や日本の外交を担う人たちが集う場になり
訪れる人の顔も歴史上、知られた人物が続々登場する。

それから、洋食屋だけでなく、宿泊所を造ったりとどんどん経営が大きくなって
いく。


ゆきは、料理もままならず、あまり直接的に丈吉の経営に関わらない。
それもかえって良かったのかな?

お妾さん三人衆・松子・竹子。梅子の存在に、最初は、腹立たしさを抱く
けれど、表向きは穏やかに接し、段々と仲間意識のような感情さえ抱く。

丈吉が亡くなった後は、長女の錦(きん)が、中心に総理人の星丘と
二人でホテル経営などを取り仕切る。

星丘と夫婦にはなれなかったけれど、良い関係だったんだろうな。
最初の結婚で辛い思いをしたから、そういう人がそばにいて良かった。


物語の終盤は、男の人たちが亡くなっていく。
結構若くして・・・・。


でもラストの、ゆきがお墓参りの場面は、なんだか、あっけらかんとしていて
清々しい。


良い物語でした。

これも朝ドラにならないかな~。



                    ★★★★★



発行年月:2022年8月


1996年、横浜市内で塾の経営者が殺害された。早々に被害者の元教え子が被疑者として捜査線上に浮かぶが、事件発生から2年経った今も足取りはつかめていない。殺人犯を匿う女、窓際に追いやられながら捜査を続ける刑事、そして、父親から虐待を受け、半地下で暮らす殺人犯から小さな窓越しに食糧をもらって生き延びる少年。それぞれに守りたいものが絡み合い、事態は思いもよらぬ展開を見せていく――。『火のないところに煙は』『汚れた手をそこで拭かない』の著者による、慟哭の長篇ミステリー。

                    (中央公論新社HPより)




凄い考えさせられた内容。

重たくもあるけれど、最後は、少し希望も見えたのかな?


最初、登場人物たちが次々、出て来て、それらが繋がっていく。

橋本波留は小学6年生。父子家庭。
父親に当たりやを強制的にやらされ、その示談金で生活。
波留のケガがある程度、回復したところで引っ越し、再び同じことを
繰り返してきた。
父親は波留を置いて数日、外出することも多く、その間、波留は
食べものを確保することに苦労。

そんな波留の親友・桜介は、波留のことを常に心配している。


殺人事件の被疑者・阿久津 弦は、精神薄弱児だった。
母親が頼りにしていた塾の教師(殺害された戸川勝弘)のすすめもあり、
阿久津は強制的に旧優生保護法により避妊手術を受けさせられていた。


殺害された塾教師の戸川は、ダウン症や落ち着きのない子などに真摯に向き合い
その子ども一人一人にあった学習法で学ばせていた。
保護者たちには頼りにされていた教師。



物語のなかで阿久津と波留が偶然、出会い
空腹の波留に食べ物を与え、波留の頼みを聞き、父親が反対したため
参加できなかった修学旅行先の日光まで車で連れていく。
自分が被疑者になっていることより波留の望みを叶えようとする姿が
哀しい。

警察が阿久津が運転する車を包囲したときは、ドキドキが止まらなかった。
もしかして最悪のことが起きる?なんて想像もしてしまったけれど
それは外れてホッとした。


阿久津は事件の1か月ほど前に、離婚した元妻から再婚&妊娠の
報告を受けていた。


阿久津は本当に、戸川を殺害したんだろか?

例えそうだとしても戸川への憎しみはもしかしたら
なかったのではないか?


戸川が自分が母親にすすめたせいで、阿久津が手術を受けてこどもを
もてなくしたことに後悔があり懺悔の言葉を述べ、罰することを
望んだとしたら??
なんて、想像もした。
その辺りの真相は、謎だけれど、最後まで、いろいろと考えさせられた。

やはり旧優性保護法は、間違った法律だったと思う。
阿久津と波留の別れのまえの会話は泣けた。

阿久津は、いいお父さんにも十分、なれたと思う。


読み終えたあとも、余韻が残る作品。



                   ★★★★★



発行年月:2005年5月 (単行本は白蛇島 2001年11月)


二人の少年が体験する、夏の冒険譚。三浦しをんの新たなる世界。
高校生の悟史が夏休みに帰省した拝島は、今も古い因習が残る。
十三年ぶりの大祭でにぎわう島である噂が起こる。
【あれ】が出たと……
悟史は幼なじみの光市と噂の真相を探るが、やがて意外な展開に!

                (角川文庫HPより)


しをんさん、こんな作品も過去にあったんだぁ~。
知らなかったなぁ~。

登場人物の設定がちゃんとしていて、それぞれの心理描写も巧み。

13年ぶりに島で行われる大祭。
高校進学と共に島から離れて暮らしていた悟史が幼馴染・高市のいる島に
久しぶりに帰ってく高市

島に昔から伝わっていること。
御神体として祀られている白蛇様(荒神様)のこと。

不思議なことがいろいろ。
そして悟史には見えてしまうもの。

荒神神社の兄弟の確執。
次男の荒太と犬丸の関係。


冒頭から現れた「あれ」の正体は、島出身のある者による思惑が起こしたことで
決着がついたけれど、そのほかの謎がいっぱい。

でも雰囲気は楽しめた。
はっきりわからなくても十分。

犬丸が言った言葉が印象的。
「カミサマはなんにもしてくれない。ただ見ているだけなのさ」

そうだなぁ~。
そういうものかもねと納得。

まだ18歳の悟史と高市は、離れて暮らしていてもずっと強い絆で結ばれて
いるんだろうな~。
彼らのその後の話も読みたいな。



ホラー色多めのファンタジー。
楽しかった。



                     ★★★★★



発行年月:2023年5月


作家生活10周年記念! 物語の魅力がぎゅっと詰まった、珠玉の作品集
「緑の子どもたち」
植物で覆われたその家には、使う言葉の異なる4人の子どもたちがいる。言葉が通じず、わかりあえず、でも同じ家で生きざるを得ない彼らに、ある事件が起きて――。
「空へ昇る」
大地に突如として直径二爪ほどの穴が開き、そこから無数の土塊が天へ昇ってゆく“土塊昇天現象”。その現象をめぐる哲学者・物理学者・天文学者たちの戦いの記録と到達。
SF、児童文学、ミステリ、幻想ホラー、ショートショート etc.
書き下ろし『この本を盗む者は』スピンオフ短編を含む、珠玉の全11編。


                    (発行/角川書店)


色々なジャンルの話。
ファンタジィーっぽいのもあれば、SFっぽいの、ちょっと恐ろしいもの。
そして、どの話にも惹き込まれた。

印象的だったのは
<カドクラさん>
戦争のため、母の遠縁にあたる90歳のカドクラさんの家に疎開したミノル。
カドクラさんは若い頃戦争に行ったと母に聞いていた。

ここで「え?」と思う。
今起きている戦争って昭和の戦争じゃないってこと??

一挙に恐ろしくなった。
こんなことが繰り返される世の中には、なりませんように・・・。


<本泥棒を呪う者は>も面白かった。
本を盗まれた犯人探しをアルムが大きくなってしていくのかな?
その話が<この本を盗む者は>に書かれているようなので、そちらも
早々に読んでみたいと思う。


おとぎ話っぽくて好きなのは最後の<緑の子どもたち>
植物に覆われた家に住む4人の子どもたち。
自転車づくりを通じて関わりをもっていく様子が微笑ましかった。


面白いお話を書く作家さんだな。

表紙の絵になっているお話は一番最初の<海>。
これも幻想的で美しい不思議なお話だった。



                       ★★★★

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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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