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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2023年6月


信仰と自由、初恋と友情、訣別と回復。
淡々と歌うように生きるさまが誰かを救う、完全書き下ろし小説。

                (晶文社HPより)



あとがきでもあったけれど、宗教って集団って難しいなと。

この物語では、中本ひばりが両親の信仰する宗教に巻き込まれ
幼いときから友達できょうだいのように過ごしてきた上之江つばさが
なんとかしたいいと行動する。


ひばりは中学卒業と同時に宗教施設に移ってしまった両親を引き戻すと
決めて自らも施設内へ。
それから時が経ち、19歳でつばさのSOSの手紙を出す。

それが出来て本当によかった。
ひばりは、自分の信念を貫いていたんだ。
周りに同調して生きる方がきっと簡単だったと思うけれど
つばさやつばさの家族と過ごした時間みたいなものをまた取り戻したいと
思っていたんだろうな。



宗教って本当に厄介だな。
何を信じるかは個人の自由だけれど、子どもには、その自由はなくなって
しまうんだから。

世の中、ひばりみたいに苦しんでいる若者はいっぱいいるのかな。
そう考えるとすごく恐ろしい。


つばさの両親の考え方がすてき。
つばさのお父さんは、不運な事故で亡くなってしまったけれど
そのことさえも、恨んでいない。
こういう風に考えたほうが前向きに生きやすくなると思う。

そして、そのお父さんの言ってた
「誰かの痛みを無視すれば必ず自分になんらかの形で返ってくる」
という言葉。
その言葉通りに家族で、ひばりを救おうと決めて実際に行動する姿は
貴い!

この先、ひばりが普通に笑って生きられる日が来るといいな。
きっと来ると思うけれど。



                      ★★★★

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発行年月:2023年6月


生と死、そして性を描く濃密な短編集
過ぎてみれば、全部、どうってことなかった――
日々老いを感じつつ山裾の町で暮らす絵本作家の雪代。ある日やってきた植木屋の青年に興味を惹かれ話をしてみると、彼が結婚を望む恋人は、還暦を過ぎた現役の風俗嬢だという――。
生と死、そして性を描き、人生を謳いあげる短編集。名手がつむぐ至高の7作。

                 (文藝春秋HPより)


7つの短編、それぞれがいい。
身近な人の死があって、自身の生き方をふと思ったり・・・

若い時にはたぶん、感じなかった気持ちがここにある。
「死」を身近に感じるようになって今、生きていることの大切さとか
過ぎてしまったことを貴重な体験だったなと懐かしむとか。


話のなかには、ちょっとホラーっぽいものもあるけれど
ああ、そういうこともあるかもね・・・・と思える。


表題作は一番最後。
両親が長年住んだ家を相続して、46歳の独身の娘とくらす72歳の雪代。

庭の手入れに来た長年の付き合いの造園会社の末っ子・大樹(26歳)との会話は
ビックリする内容だった。
風俗で知り合った64歳の女性と結婚したいという。
興味本位で話を聞く雪代がなんだかチャーミングですてき。


時間をおいて、また読み返したい短編集。



                      ★★★★★



発行年月:2023年6月


物乞い稼業の実入りが少なかったある日、仲間のおみきに連れられ、少年・信太が〈えにし屋〉を訪ねてきた。ちょうど同じころにやってきたやけに疲れて見える夫婦は、五年前から行方知らずの、生きていれば八つになる息子・平太を探してほしいという。今になって何故。お頭の才蔵に望み薄と呆れられつつ、彼らが抱えるなにがしかに揺さぶられるお初。交差する謎と深まる闇……。人の縁というものは、結ぶも切るも容易ではない。真剣に扱うなら、なおのこと。〈えにし屋春秋〉シリーズ第二作めは、傑作時代長編サスペンス!

                     (角川春樹事務所HPより)




前作、あまり覚えていないけれど。。。

読んでいたら、なんとなく思い出したかんじ。

今回は、火事の騒動で当時3歳だった息子・平太の行方がわからなくなって
いるという夫婦。
火事は5年前。
なんで今更??とちょっと疑問が浮かぶが・・・


真相がわかれば、そういうことか。
息子の行方を本当に心配していたのは、夫の弥之助のみで
母親のお常は、息子・平太をある理由から他所に預けることに決めていた。


大人の都合で、住む環境を変えなければいけない子どもが気の毒。
子どもたちが皆、幸せになれますように・・・・



物乞いをしながら生活している信太という少年が最初は平太なのかもと
思ったが、違っていた。
平太の騒動に関わる者によって母親のように慕っていた、おみきを喪うことに
なるとは・・・
なんとも気の毒。

えにし屋の主・才蔵の抱えていた案件はまだ解決せず。
次回の話になるのかな?
美しい女性の姿の男(?)・お初。
信太に手習い所で学んだことを教える太郎丸。

えにし屋メンバーと共に信太も続いて登場してほしい。



                        ★★★



発行年月:2023年6月


この物語は、あなたの宝物になる。
亜紗は茨城県立砂浦第三高校の二年生。顧問の綿引先生のもと、天文部で活動している。コロナ禍で部活動が次々と制限され、楽しみにしていた合宿も中止になる中、望遠鏡で星を捉えるスピードを競う「スターキャッチコンテスト」も今年は開催できないだろうと悩んでいた。真宙(まひろ)は渋谷区立ひばり森中学の一年生。27人しかいない新入生のうち、唯一の男子であることにショックを受け、「長引け、コロナ」と日々念じている。円華(まどか)は長崎県五島列島の旅館の娘。高校三年生で、吹奏楽部。旅館に他県からのお客が泊っていることで親友から距離を置かれ、やりきれない思いを抱えている時に、クラスメイトに天文台に誘われる――。
コロナ禍による休校や緊急事態宣言、これまで誰も経験したことのない事態の中で大人たち以上に複雑な思いを抱える中高生たち。しかしコロナ禍ならではの出会いもあった。リモート会議を駆使して、全国で繋がっていく天文部の生徒たち。スターキャッチコンテストの次に彼らが狙うのは――。
哀しさ、優しさ、あたたかさ。人間の感情のすべてがここにある。

                     (角川書店HPより)



新型コロナウイルス感染症が世界的流行で、学校のなかの生活も
大きく変わってしまった2020年度。

年に一度の部活の集大成となるコンクールや大会も中止になり学生たちは
途方にくれる。
仕方ないと思いながらも虚しさで自分の気持ちをどうしたらいいのかも
わからない焦燥感。

物語の冒頭はそんな学生たちの何とも言えない気持ちが伝わってきて
苦しくなった。


物語は、3つの場所で最初はバラバラに始まる。

・茨城県にある高校の天文学部
・東京渋谷、都会のど真ん中にある小さな中学校の理科部
・長崎県、五島列島の天文台の観測会に集う高校生


彼らが、それぞれの活動のなかで、お互いと交流する機会を得ていく様子が
ワクワクする。

それぞれの学校の顧問の先生たちと天文台の館長さんなど、大人たちの
連携もすてき。


コロナ禍でも、今はこんな風に繋がれる時代でよかった。


本当に素晴らしい青春小説だった。


望遠鏡での天体観測、してみたくなったなぁ~。




                     ★★★★★



発行年月:2021年7月


第165回芥川賞候補作
ある日、夫が風呂に入らなくなったことに気づいた衣津実。夫は水が臭くて体につくと痒くなると言い、入浴を拒み続ける。彼女はペットボトルの水で体をすすぐように命じるが、そのうち夫は雨が降ると外に出て濡れて帰ってくるように。そんなとき、夫の体臭が職場で話題になっていると義母から聞かされ、「夫婦の問題」だと責められる。夫は退職し、これを機に二人は、夫がこのところ川を求めて足繁く通っていた彼女の郷里に移住する。川で水浴びをするのが夫の日課となった。豪雨の日、河川増水の警報を聞いた衣津実は、夫の姿を探すが――。

                     (集英社HPより)




描写がリアルで、風呂に入らないと言って、段々と臭くなっていく夫の描写で
本当に異臭がしてきそうだった(^^ゞ


衣津実は、夫の研志に対して、深く、気持ちを聞こうとしないけれど
なんでかな?
何があったのか、聞けばいいのに。
妻には、言えないと言うのなら、メンタルクリニックに連れていくことを考えて
みたらよかったのに・・・・

義母が会社から「様子がおかしい」と連絡を貰ったと心配で衣津実に電話して
きたのは、当然で「病院に連れていく」と言いながら、母親もそれは実行せず。


物語の終わり方は、なんとも・・・。

夫の生死はわからないけれど、衣津実がなんだか淡々としているようで
ちょっと妻も病んでいるのか??


ざわざわした気持ちが残る話だった。




                       ★★★
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