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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2016年9月


圧倒的な評価を集めた、第36回横溝正史ミステリ大賞大賞受賞作!!
二〇二〇年、人工知能と恋愛ができる人気アプリに携わる有能な研究者の工藤は、優秀さゆえに予想できてしまう自らの限界に虚しさを覚えていた。そんな折、死者を人工知能化するプロジェクトに参加する。試作品のモデルに選ばれたのは、カルト的な人気を持つ美貌のゲームクリエイター、水科晴。彼女は六年前、自作した“ゾンビを撃ち殺す”オンラインゲームとドローンを連携させて渋谷を混乱に陥れ、最後には自らを標的にして自殺を遂げていた。
晴について調べるうち、彼女の人格に共鳴し、次第に惹かれていく工藤。やがて彼女に“雨”と呼ばれる恋人がいたことを突き止めるが、何者からか「調査を止めなければ殺す」という脅迫を受ける。晴の遺した未発表のゲームの中に彼女へと迫るヒントを見つけ、人工知能は完成に近づいていくが――。

                  (角川書店HPより)



少し前に読んだ恩田さんのエッセイで、この作品を推していたので興味を覚えて
読んでみた。

最初は衝撃的!少女・水科晴が自ら作ったゲームで自死するというシーンから始まる。

そして、人工知能研究者の工藤は水科晴の人工知能を作ることを目的に彼女の
ことをあれこれ調べる。
晴の高校時代の同級生たちの話などから、個性的な性格だとわかる。
感情を殆ど出さず、人とコミュニケーションをとることが苦手なかんじ。
でも、そんな晴と特に親しくなり共同生活をした人物・間宮紀子(雨)。

2人の会話から、普通の親友とは違う空気を感じて、それが、なんだろ?と
思いながら読んだら・・・なるほど・・・。


工藤はどんどん晴に惹かれていくけれど、もし生きている晴がいても叶わぬ恋に
なったということか?


物語は、SFっぽく、ちょっと好みのものではなかったけれど、まあまあ
楽しめた。

横溝正史ミステリ大賞受賞作ということで、巻末に色々な人の選評が
載っている。
恩田さんはやはり良い評価を与えているな・・・。

表題は、応募時は「虹になるのを待て」だったそう。
やはり「虹を待つ彼女」の方がいい。


                     ★★★
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発行年月:2022年5月


かけがえのない人間関係を失い傷ついた者たちが、再び誰かと心を通わせることができるのかを問いかける短編集。
コロナ禍のさなか、婚活アプリで出会った恋人との関係、30歳を前に早世した双子の妹の彼氏との交流を通して、人が人と別れることの哀しみを描く「真夜中のアボカド」。学校でいじめを受けている女子中学生と亡くなった母親の幽霊との奇妙な同居生活を描く「真珠星スピカ」、父の再婚相手との微妙な溝を埋められない小学生の寄る辺なさを描く「星の随に」など、人の心の揺らぎが輝きを放つ五編

                  (文藝春秋HPより)


5つの短編集。
それぞれの主人公たちに、がんばれ!とエールを送りたくなるようなお話。


<真夜中のアボカド>
32歳の綾は、婚活中。マッチングアプリで親しくなった男性と会い
良い感じになるのかと思ったら・・・
双子の妹が急死し、その恋人だった彼とは飲み友達のようにあっている。


<銀紙色のアンタレス>
16歳の真は、夏休みは祖母の家で過ごすことに決めていて予定通り
祖母の家で、海で泳ぐ毎日を満喫。
そこに幼馴染の朝日も泊りにくる。
祖母の家の近所のおばさんの家に来ている娘と孫。
その娘のたえに恋心を抱き・・・・


<真珠屋スピカ>
みちるの母は2か月前に交通事故死。
中学になってすぐに小2まで住んでいたこの町に越して来た。
小学校時代の仲良しは、皆、私立中に進学し、学校に馴染めず
虐めも受けている。
今は保健室登校。
そして、みちるには母の幽霊が見える。言葉は交わさないけれど
ジェスチャーで意思疎通ができる。
ある日、流行っているこっくりさんをやるからと屋上に誘われて・・・


<湿りの海>
沢渡は37歳。
妻は突然、好きな人とアリゾナに行くと3歳の娘を連れて出て行った。
マンションの隣の部屋に女性が3歳の娘を連れ越して来た。
その親子と親しくなる沢渡だが・・・


<星の随に>
小学4年の想。
両親が離婚し、新しい母親・渚と父との間に生まれた赤ちゃん海と暮らしている。
渚は子育てに疲れていて寝不足ぎみ。
帰宅してもドアストッパーが外されていないため中に入れない日が
続くため、夕方までマンションのエントランスで星の図鑑を眺めて時間を
潰すことに。
そんなとき、同じマンションに暮らすおばあさん・佐喜子さんが自分の
部屋で待てばいいと言ってくれる。



最後の話が一番、印象に残った。
表紙の絵もたぶん、想君でしょう。
小4なのに、気遣いの出来る優しい良い子だな~。
こんなにいろいろ、気を遣って考えて、泣けてきた(/_;)
きっと素敵な青年に成長するだろうなぁ~。



本を半分くらい読んだ頃、ニュースで直木賞受賞を聞き、嬉しかった!
受賞にふさわしい、素敵な短編集でした!
おめでとうございます!


                    ★★★★★






発行年月:2020年2月


橘風花は母親とふたりで暮らす、小学四年生。「ムカつく男子を一発殴りたい」という邪な理由でボクシングを始めるが、彼女のひたむきさが、クラスメイトやジムの人々、そして母親の心に変化をもたらしていく。人間関係、仕事の不満、将来への不安――全部まとめて打つべし、打つべし! 明日のための元気をくれる、ハートウォーミングストーリー。


                   (中央公論新社HPより)



小学4年生の風花がボクシングジムに通い始めた動機が面白い。
でも、動機の元になった小学6年の織田公平とは、かけがえのないボクシング仲間に
なるのだから、スポーツっていいよなぁ~。


ボクシングジムに所属する人たちや、その家族とも交流が出来て
試合の時には、沢山の家族みたいな声援を送る。


風花のライバルとなる別のボクシングジムの橋本瀧子との関係もいい。
どっちも負けず嫌いで似たところがある。
でもお互いの力を認めていて、大人顔負けの対応をしている。


スポーツって人間としての資質も高めてくれるものだな~。


風花の母親も洋裁の仕事を活かして練習着を作ったり、ほかの選手の試合の時の
ガウンを作ったりと大いに力になっているのも素敵だった。


でも自分の子どもにボクシングはあまりさせたくないな・・・(^^ゞ
心配で仕方ない。


でも、楽しい物語でした♪


                   ★★★



発行年月:2022年1月


それは、血のつながりより深い愛
真面目な女子高生、美優は予期しない妊娠をしてしまう。堕胎するには遅すぎると、福祉の手によって奥多摩にあるゲストハウス「グリーンゲイブルズ」に預けられる。そこには、明良と華南子という兄妹が、深刻な事情を抱えた子どもたちの里親となって、高齢の母、類子と暮らしていた。貧困、未婚、虐待、難しい背景をもつ里子たちを慈しんで育てる彼らにも、運命に翻弄され絶望を乗り超えた苦しい過去があった。
話題作『展望塔のラプンツェル』に続く、家族の在り方に迫る物語。

                   (光文社HPより)




望まない妊娠をしてしまった17歳の美優。

父親を激怒させ、家から出て途方に暮れてビルの屋上から飛び降りようとした
瞬間、声を掛けられ、それが運命の出会いに。


冒頭の話で、美優の父親に怒りが沸いた。
その言いなりになっている母親にも・・・。
そして相手の高校生男子にも!
こういう時、女の子は一人で何もかも抱えなきゃならないなんて。


でも、飛び降りる前に間に合ってよかった!
家族ではないのに、親身になって美優の立場を思いやり、手助けする千紗に
出会えて本当に良かった。
千紗の紹介で里親として子どもを預かっているグリーンゲイブルズという
兄と妹、その母親が運営している家に身を寄せることに。


グリーンゲイブルズの経営は主に兄・井川明良と妹の西村華南子
2人の手助けの母親・西村類子。

この3人には、ちょっと複雑な事情もあるのだけど、良い家族。

千紗が住むまえからいる
中2の久登、小2の未来(ミク)、4歳の太一。
ミクは、親が誰かわからないので華南子の養女となっている。


千紗も明良も子どもの頃は辛い境遇にあった。
それでも助けてくれた大人たちが居たからちゃんと前を向いて自立することが
出来ている。


世の中、こういう子どもたちがどのくらいいるんだろう。
一人ぼっちで苦しい状況に声をあげることもなく必死に耐えて生きている子ども
たちのことを想像すると本当に心が痛む。


助けてほしいと声をあげることが出来る場所の存在をこういう子たちに
知らせるにはどうしたらいいのか?
色々、考えさせられた。


美優がラストで、自宅に帰れたのは良かった。
やはり自分の家で本当の家族が見守ってくれるのなら安心。
生まれる子どもにも幸せな未来が待っていると信じたい。



表紙の木彫りの造形が素敵。



                        ★★★★★



発行年月:2021年10月

【第166回直木賞受賞作】
どんな攻めをも、はね返す石垣。
どんな守りをも、打ち破る鉄砲。
「最強の楯」と「至高の矛」の対決を描く、究極の戦国小説!
越前・一乗谷城は織田信長に落とされた。
幼き匡介(きょうすけ)はその際に父母と妹を喪い、逃げる途中に石垣職人の源斎(げんさい)に助けられる。
匡介は源斎を頭目とする穴太衆(あのうしゅう)(=石垣作りの職人集団)の飛田屋で育てられ、やがて後継者と目されるようになる。匡介は絶対に破られない「最強の楯」である石垣を作れば、戦を無くせると考えていた。両親や妹のような人をこれ以上出したくないと願い、石積みの技を磨き続ける。
秀吉が病死し、戦乱の気配が近づく中、匡介は京極高次(きょうごくたかつぐ)より琵琶湖畔にある大津城の石垣の改修を任される。
一方、そこを攻めようとしている毛利元康は、国友衆(くにともしゅう)に鉄砲作りを依頼した。「至高の矛」たる鉄砲を作って皆に恐怖を植え付けることこそ、戦の抑止力になると信じる国友衆の次期頭目・彦九郎(げんくろう)は、「飛田屋を叩き潰す」と宣言する。
大軍に囲まれ絶体絶命の大津城を舞台に、宿命の対決が幕を開ける――。

                   (集英社HPより)


手に取って、分厚さに驚く。
でも、面白くて、どんどん先が気になり頁を捲る手が止まらなかった。


戦国の武士の話はよくありけれど、そんな武士とは違う戦い方をしていた
職人たちの話。主人公の匡介が、塞王と呼ばれる飛田源斎のもとで城壁の積方としての
腕を磨いていく。


戦に備えて城を守る石垣を積むことは当然の仕事だけど、戦の最中にも
相手の攻め方を見て石垣の形を変えたり壊したりするのはビックリ!
飛田源斎が中心となって城壁を造る、穴太衆(あのうしゅう)に対抗するのは
「砲仙」と呼ばれる国友三落、率いる国友衆。

楯と矛の職人たちの戦いの様子が、緊迫感あり、どっちが勝つのか?と思いながら
読んでいた。
どちらも恰好いい!
ここでは、引き分けかな?
お互いの仕事ぶりを認めているのもいい。


面白かった!!
ほかの作品もぜひ、読んでみたい!



                        ★★★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
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