発行年月:2008年9月(第1刷)
2009年2月(第3刷)
北前船の着く湊町は賑やかで慌ただしい。銭と汗の匂いのする町を舞台に、想い人を待ち続ける元遊女や三十年間、敵討ちの漂白の果て、故郷に戻ってきた絵師、飢饉から逃れ数十年、行方の知れなかった兄と邂逅する古手問屋、米相場の修羅に生きる男など心を打つ六編の物語
(本の帯文より)
馴染みのない時代小説でしたが、どの話も静かに胸に迫るものがありました。
落ち着いた大人が楽しめるはなし。
6つの話は、おなじ地域が舞台の様子。
著者自身が山形県酒田市の出身なので、出てくる、地名は馴染みがないものですが、湊町や大きな山、川が出てくるので、出身地をイメ-ジして書かれているのかも。
最初のはなし「海上神火」は、貧しさから遊女となり、その後、身請け先の主人の後を継いで店の女将になっている志津が主人公。遊女時代からずっと想っている男性・吉蔵との恋の物語で、なかなかロマンチックで特に心に残りました。
どれもそれぞれ素敵な話でしたが、ほかにも挙げると・・・
「海羽山」は、飢饉により両親を失った兄弟も故郷から逃げ出す途中に離れ離れになり、その後、行方知れずになっていたが、50年ぶりに再会する話。
飢饉の当時の話は、なかなか壮絶な様子で少し、読むのが辛い箇所ありましたが、二人が再会できてよかった!
「塞道の神」は、娘が他所の男性に恋狂いしていることに気づいた母が、かつて自身の夫が恋狂いをしていた、女性に相談に行く話。
その女性は、今は、尼になり人々の悩みに的確なアドバイスをしているとか。
恋狂いを冷ます方法があるのだと言い、それを施し、更にその後の指導も受ける。
ちょっと面白いオチがあったりして良かった!
「合百の藤次」は、米相場でのかけ引きの様子を書いたもので、今の時代にはない、米会所での男たちの活気溢れる様子が面白かった。
時代物で、ちょっと馴染みにくい言葉遣いがありますが、慣れるとそれが、また独特の雰囲気を漂わせてくれて、時代を越えた人々の暮らしぶりを垣間見るような楽しさがありました。
★★★★
小さな森のなかを抜けて、学校がない日、おじさんの家に行くのがエドガ-の決まりみたいなもの。
「変わりもの」と言われるおじさんだけど、エドガ-にはおじさんの話、そして住んでいる家、その周辺も興味深いものであった。
今日もエドガ-はおじさんの家を訪れ、暖炉の左右に分かれて座り不思議でちょっと怖いお話を聞く。
図書館の児童書コ-ナ-で、なんとなく表題に惹かれて手に取り、この絵にも魅力を感じました。
本を借りるときは、装丁も大事な要素!
絵は画家のデイヴィッド・ロバ-ツによるもの。数々の絵本を発表しているイラストレ-タ-だそうです。
この独特な絵が、お話の内容をよりファンタジックに仕上げていたと思います。
エドガ-がおじさんの家に行くまで様子やおじさんの家(そうとう大きなお屋敷の様子)もなんとなく不思議な雰囲気。
おじさんの家には、まだ顔をみたことにない使用人・フランツがいるのですが、その存在も少し怪しげ。
そんな雰囲気を最初から感じながら、おじさんのお話が始まります。
お話は10こ。
どれも少しだけ怖い。
恐怖に震えるというほどでは、ないけれど、なんとなく背中がゾゾ~ッとするようなかんじ。
想像力を働かせて楽しむ怖さ。(映像になったら、すごく怖いと思いますから・・・)
おばけが出てくるとかの具体的な事よりもその周りに漂う空気のようなものによる恐怖(?)。
ひとつひとつのお話の前後のおじさんとエドガ-のやりとりもその不思議な空気感を増してたかな?
10のお話の最後は、おじさん自身の体験を語るはなし。
その中で、今までのおはなしのなかに出てきた人物の正体も明かされたりして、それも面白かった。
もう1度、おはなしを読み返したりして・・・。
児童書といえ、なかなか良くできたお話でした!
うさぎのさとうくんは あるひ うさぎになったんですが
いつもの ように のんびりと くらしています。
むぎわらぼうしの あなを のぞいてみたり
みずうみに うつった つきを かわかしたりしています。
(本表紙裏の文より)
かわいいです(^^)
うさぎのさとうくんの名前は「さとう はねる」くん。
ある日、突然、うさぎになった男の子。
うさぎのさとうくんの日常は、とっても不思議。でもとっても素敵なのです。
森に行って、茂みのなかから月を引っ張り出して、それをふねにして浮かべて乗ったり・・・
森の奥のみずうみに行って、そこに写っている月を引き上げて乾かしてふかふかにして、掛け布団にしたり・・・
ありえないじゃん!なんて言ったらダメですよ~(笑)
こんなこと出来たら楽しいな~なんて思える可愛くて素敵な絵本です。
表紙の可愛さに一目ぼれでしたが、この前に「うさぎのさとうくん」が出ているみたい。
それもぜひ、読んでみよう。
さとうくんがうさぎになった時のおはなしがもしかしたら、あるのかなぁ~?
36歳OLが謎の人物に「本当に死ぬ気なら、1年待ちませんか?1年頑張ったご褒美に楽に死ねる手段を提供しましょう」とささやかれる。
1年後3人の男女が別々の場所で服毒自殺と思われる死を遂げる。
事件の真相を追う雑誌記者と主人公の元OLの事件までの1年間の様子が綴られる。
この著者の作品、始めてかも。
すごく面白かった!
出だしから、この後、どうなるの?と期待感が一気に増すかんじ。
最初に先ず、20歳で鉄道自殺を遂げた手記「二十歳の原点」(高野悦子/著)が出てくる。
随分、昔に話題になった作品。わたしは読んでないですが・・・^^;
「自殺」を考えた女性が、1年後に楽に死ねる事が約束されているなら、保険金でも掛けてそれがせめて両親に届くかたちで死ぬのも悪くはないな・・・・と「生きる」という事に向いた心の変化に拍手!
最初は、どうせ死ぬんだからが前提で、会社にも電話ひとつで「辞めます」と言い、投げやり的なかんじの彼女が、ひょんな事から、児童養護施設のボランティアとして働くことになります。
ここでも最初は「1年間の時間潰し」と割り切っていたのですが、関わる子ども達やそこの園長、同じように働く仲間と接するうちに少しずつ1年後の死よりも、それよりずっと先の「生」を想像したりする。
周りの環境で人の気持ちって変わるものなんだなぁ~。
彼女の場合、最初から「なんでそんな事くらいで自殺するの?」という感じだったので、それもあり得る心境の変化。「1年後には楽に死ねる」をある意味、心のカテにしていたから前向きになれたのか?
でも、再び「死」を考える出来事が降りかかり・・・
詳しく書くとこれから読む人の楽しみを奪うので書きませんが・・・笑
物語は、3人のおそらく同じ毒物が原因だろうと思われる服毒自殺の男女の自殺を追う雑誌記者・原田の3人の生前~自殺までの追跡取材の様子がOLの1年間の様子と交錯する形で進みます。
OL以外の自殺者は男性で、元天才バイオリニストと妻と子を殺された者。
男性二人には、もはや「死」以外は考えられないOLとは少し違う切迫したものがあったのかも。
この物語、最後の方で、「ええっ~!?」という驚きがありました。
参りました!
著者の罠に完全にはまりました。
でも、それがとても嬉しい・・・・この感覚、読んだ人にしかわかりませんね(^^)
面白くて、アッと言う間に読了でした!
「ごんぎつね」「おじいさんのランプ」の作家・新美南吉の
魂からこんこんと溢れ出た詩・厳選126篇
(本の帯文より)
著者解説(本より)・・・1913年、愛知県半田市に生まれる。1932年、東京外国語学校(現・東京外国語大学)に入学。この年、童話雑誌「赤い鳥」に「ごんぎつね」が掲載される。
1936年、東京土産品協会に勤めるも、喀血のため帰郷。
代用教員を経て、安城高等女学校の教諭となる。
1943年、30歳の誕生日を目前にして、結核により逝去。
作品が認められたのは、死後10年以上経ってからである。
「ごんぎつね」や「てぶくろを買いに」は、小学校の国語の教科書にも載っていて、子ども達にも広く知られている童話ですね。
温かくて、ちょっと切ないお話。
新美南吉さんの名前は知っていても、詩集は読んだ記憶がなく、丁度、図書館で見つけて手に取りパラパラと数篇を読んで、じっくり読みたくなり借りてきました。
沢山の詩がありますが、優しい人柄が伝わってくるような詩です。
著者の写真も載っていて、お顔を初めて知りました。
なかなかステキです。
愛知県の出身なんですね。
そして、地元には、記念館もあるそうで、そんなに遠くないので、行ってみたいな~
なんて思いました。
新美南吉記念館のHPは・・・こちら
記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;
