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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2022年6月


人はみな、浮かび流れて消える泡沫(うたかた)。
それでも時に、眩(まばゆ)いほどの光をまとう。
廂(ひさし)の下、猫と身を寄せ合い暮らす青年、
自らを“喰い残し”と名乗る顔の抉(えぐ)れた女、
影のない美しき三姉妹の尼――
源平合戦の片隅で、長明の胸に小さな火を灯し、消えていった忘れがたき人々。
八百年の時を超え、今、私たちの心を震わせる、儚く切ない物語集。

                   (光文社HPより)


鴨長明が語る平安~鎌倉の時代を生きた人々の話。

鴨長明という歌人が市井の人たちを観察し、その暮らしぶりを書いて完成したら
「方丈記」として出そうとするまでの話。
最初の話は長明23歳。
最後の章では60歳。


物語の初めは平家が世の中を支配している時代。
長明が最初に出会ったのは、猫丸と名乗る少年。
貧しい暮らしのなかでも飄々と生きている逞しさがあった。

火事のなかから救った老婆が、結局は苦しんで亡くなったことを知り
自分のやったことが間違いだったと嘆くが、再び火の中に飛び込み
死んでしまう。
猫を助けるための行動だったと・・・・泣ける・・・(/_;)


火事のほかにも地震が起きたり、疫病が流行ったり
源平合戦に翻弄される人々の暮らしだったり。
平穏に暮らすことが難しい時代を生きる市井の人たち。

最初の出会いこそ最悪のかんじだった難波加々麻呂も平家の時代が衰えると
立場が逆転して弱い立場に。
そんな加々麻呂が大勢の人から袋叩きになっている場面に遭遇した長明。
関りになりたくないと思ったが、顔半分が大きく欠けた女が助けて
あげましょうと長明に声を掛ける。
雨里と名乗って亡くなったその女性は、どんな生き方をしてきたのだろう。
印象深い女性だった。

長明がひとを深く思う者から死んでいくと哀しみにくれる場面で同意。

なんと暗く嫌な時代だったんだろ・・・。

やがて平家が滅び、時代は源頼朝が鎌倉殿と呼ばれる時代に。
だが、その時代も終わる。



朱川さんとえば、少し不思議なノスタルジックな話を今まで読んできたけれど
こういう物語も読みごたえあっていいな。


                      ★★★★



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発行年月:2022年2月


使えないやつは、生きてちゃダメですか?
書店に勤めていた妹が、ビルから飛び降りた。相談したいことがあるとメールをしてきたその日に。結婚と同時に上京し平穏に暮らしていた姉・梢子は、妹に何があったのかを探るため、地元に戻り同僚たちに会いに行く。妹を追い詰めたものは何なのか? 母の過剰な期待と父の無関心、同僚からぶつけられた心ない言葉、思うようにいかない恋愛……。妹の過去を辿ることは、梢子自身の傷に向き合うことでもあって――。

                  (角川書店HPより)



あずさ(25歳)がビルの屋上から落ちるところから始まる。

あずさの姉・梢子(28歳)は、メールで妹から「相談がある、電話していい?」
と言われていたのに忙しいを理由に断ってしまっていた。
妹がなぜ、ビルから転落したのか?
自殺?事故?事件?
その真相を探るため、妹と接点のある人たちに話を聞き始める。



表題から、マイナスのイメージを持って読んでいた。

姉妹の両親、特に母親は、自分の考えを押し付けて子どもを追い詰める人の
印象。
そんな母親や家族からの厄介ごとから逃げている父親。

梢子は、結婚するとき、やっとこの家から解放されると思った。
母親や妹と接することも極力避けてきた。


姉妹の関係や母親とのことが、姉妹が生まれるときからのことでわかってくると
息が詰まるようなかんじがした。
母親の「わたしはふつうじゃない」という言葉も気になった。
母親なりに子どもたちのことを考えていたようだけど、このやり方は
間違っていたと思う。

けれど、妹は、少しずつ、人間関係を広げて考え方も前向きになっていた
ことがわかり、ホッとした。

ビルから落ちた理由もわかり、自殺じゃなかったことにホッとした。

この先、家族は新たな関係を築いていけるといいな。


タイトルは、良い意味だったんだなと理解した。


初めて読む作家さんだけど、ほかの作品も読んでみようかな?



                        ★★★



発行年月:2022年6月


西加奈子氏、長濱ねる氏、推薦!
『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』の著者が14歳の少女の「世界」を描く、心揺さぶる長編小説。
この物語は、かき消されてきた小さな声に力を与えている。
その声に私たちが耳を澄ますことから、全ては始まるのだ。
――西加奈子氏
私たちはもう呪いから解放されていいんだ。
2人の少女を抱きしめながら、私も一緒に泣きたくなった。
――長濱ねる氏
◎ブレイディみかこ氏からのメッセージ
『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』には出てこないティーンたちがいました。ノンフィクションの形では書けなかったからです。あの子たちを見えない存在にしていいのかというしこりがいつまでも心に残りました。こうしてある少女の物語が生まれたのです。
◎STORY
私たちの世界は、ここから始まる。
寒い冬の朝、14歳のミアは、短くなった制服のスカートを穿き、図書館の前に立っていた。そこで出合ったのは、カネコフミコの自伝。フミコは「別の世界」を見ることができる稀有な人だったという。本を夢中で読み進めるうち、ミアは同級生の誰よりもフミコが近くに感じられた。一方、学校では自分の重い現実を誰にも話してはいけないと思っていた。けれど、同級生のウィルにラップのリリックを書いてほしいと頼まれたことで、彼女の「世界」は少しずつ変わり始める――。


                    (ポプラ社HPより)



なんとも辛い話。
主人公のミアは14歳で、ドラッグに溺れる母親と8歳の弟と暮らしている。
貧困のなかでも、淡々と自分の境遇を受け入れ生活している。
図書館で知らないおじさんから1冊の本を薦められる
それは日本人の女性「カネコフミコ」の自伝のような本で、自分の境遇と
共通点がありフミコの暮らしがどうなるのか気になり読み進める。


ミアは学校で、ウィルという少年から、ラップの詩を書いて欲しいと言われる。
レイラという少女とも音楽を通じて会話するようになる。


ミアは孤独じゃないことが救い。
ミアと弟のシャーリーのことを気にかけてくれる、同級生・イーヴィや
その母・ゾーイは、食堂で食事をふるまってくれている。

物語のなかでミアが読む本「カネコフミコ」という人物のことも
気になる。
今度、そちらも読んでみよう。

フミコがいう言葉で「子どもであるという牢獄」といい言葉が印象的。
ミアもその考えに大いに同意していた。

最悪の事態にミアたちがならなかったのは良かった。
希望ももてそうだし。
でも、実際、もっと悲惨な状況に置かれた子どもたちは世界中に
いるんだろなと思ったら、なんともやりきれない気持ちになった。

でも、読んでよかった。



                      ★★★



発行年月:2021年10月


あいつらが来ると、人が死ぬ。 辻村深月、初の本格ホラーミステリ長編!
「うちのクラスの転校生は何かがおかしい――」
クラスになじめない転校生・要に、親切に接する委員長・澪。
しかし、そんな彼女に要は不審な態度で迫る。
唐突に「今日、家に行っていい?」と尋ねたり、家の周りに出没したり……。
ヤバい行動を繰り返す要に恐怖を覚えた澪は憧れの先輩・神原に助けを求めるが――。
身近にある名前を持たない悪意が増殖し、迫ってくる。一気読みエンタテインメント!
※画像は表紙及び帯等、実際とは異なる場合があります。
もくじ
第一章 転校生
第二章 隣人
第三章 同僚
第四章 班長
最終章 家族
エピローグ

                   (角川書店HPより)



期待して読んだけど、ちょっと理解できない部分があったなぁ~。
話は読みやすく、ひき込まれてスイスイ読めるんだけど・・・

ちょっと現実離れした話で、怖いけど、なんでこんなことする必要あるんだろ?
と。
人の闇を引き出して、その人自身を追い詰め死に追いやったり・・・
そこに何らかの意図があるのか?と思って読んだけど、わからなかった。


章ごとに違う人たちの話なんだけど、共通する「神原」という苗字の
人物がいて・・

高校生だったり、主婦だったり、男性会社員だったり、小学生だったり。


最後にそれらは家族とわかるんだけど、みんな少し不気味な行動で
その存在自体が何だか怖かった。


最初に出てきた白石要も不気味な登場の仕方だったけど、彼は、その一族の
やることを監視し、巻き込まれた人たちを救い出す人いだった。


いつもの辻村さんの作品とは違う雰囲気で、まあまあ楽しめたけど
話としては好きじゃないな。



                      ★★★


発行年月:2022年3月


この身体こそ、文明の最後の利器。
29歳、女性、独身、地方出身、非正規労働者。
子宮・自由・尊厳を赤の他人に差し出し、東京で「代理母」となった彼女に、失うものなどあるはずがなかった――。
北海道での介護職を辞し、憧れの東京で病院事務の仕事に就くも、非正規雇用ゆえに困窮を極める29歳女性・リキ。「いい副収入になる」と同僚のテルに卵子提供を勧められ、ためらいながらもアメリカの生殖医療専門クリニック「プランテ」の日本支部に赴くと、国内では認められていない〈代理母出産〉を持ち掛けられ……。
『OUT』から25年、女性たちの困窮と憤怒を捉えつづける作家による、予言的ディストピア。

                    (集英社HPより)



主人公・大石理紀の葛藤がリアルに伝わってきた。
故郷の北海道から東京に出て来て、一応、働いて給料は貰っている。
けれど、貧困だという。

こんな女性、沢山いそう。
それで、こんな逼迫した生活をしているとは・・・
なんでそんな困窮しているのに東京に住み続けるのか?は疑問なんだけど。

お金を得るために、代理母になることを選ぶっていうのが凄い。
そんな覚悟あるのなら他にもっと出来そうだけど・・・・

と色々な「?」を持ちながらも物語には、どんどん引き込まれていく。
さすが桐野さん!


代理母の契約を結ぶ、草桶夫妻が、理紀に対して良心的だったことは救われた。
でも、生まれてくる子どものことは全然、考えていない人たち。

草桶夫妻は、代理母の理紀を子どもたちの母親として出産させる目的で
離婚する。そして理紀は戸籍上、草桶理紀に。
出産後は、離婚して再び草桶夫妻は復縁の計画。


そのことに、理紀自身は納得するのだけど・・・・


ラストの理紀の行動には、驚いた!

この先の生まれた子たちの成長が気になる話。

凄い話だったな。



                         ★★★★

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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;

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