発行年月:2022年6月
僕の祖父には、秘密があった。
終戦後と現在、ふたつの時代を「カレー」がつなぐ
絶品“からうま”長編小説
ゴミ屋敷のような家で祖父・義景と暮らすことになった孫息子・桐矢。
カレーを囲む時間だけは打ち解ける祖父が、半世紀の間、抱えてきた秘密とは――
ラスト、心の底から感動が広がる傑作の誕生です。
(実業之日本社HPより)
25歳の桐矢は、渋々、おじいちゃんと同居を始めることに。
おじいちゃんの名前は、小山田義景83歳。
声が大きく、がさつで桐矢の母親・俊子の妹たち(誠子、美海子)や孫(七海、ミクル)
皆から少し疎まれる存在。
俊子が9歳のとき、母親が出て行き、姉妹は協力して家事をこなしながら
生活。誰も以後の母親とは会っていない。
一人暮らしが心配だという娘たちの意見にも耳を貸さない義景が
桐矢となら一緒に暮らしてもいいと言ったことから同居に・・・。
桐矢も祖父のことが好きではなかったけれど、同居をするなかで
少しずつ祖父の不器用だけどちゃんと、優しい心も持っていると感じる。
カレーは、義景が18歳で村を出て勤めたピース食品で作っていたレトルトカレーを
こよなく愛しているため、沢山買いだめされているもの。
2人で少しアレンジしながら作るカレーを食べる場面が微笑ましい。
義景の生い立ちもなかなかハード。
親に捨てられ、親戚の元をたらいまわしにされて毎日、それぞれの家では
全く可愛がられず、日々空腹だった。
ある日、食べるものを盗もうと入った掘っ立て小屋で、その住人に見つかるが
男は怒らず、食べ物を与えてくれて、いつか今度は誰かお腹を空かせている者に
与えてあげてと言われたことを、ずっと忘れず生きてきた。
最後の場面は、皆がそろって義景の話をあれこれしている。
自分のことを覚えていてくれる家族がいるって幸せなこと。
義景は、十分、懸命に生き抜いたんだな。
おつかれさまでしたと言ってあげたい。
★★★★
カレーを囲む時間だけは打ち解ける祖父が、半世紀の間、抱えてきた秘密とは――
ラスト、心の底から感動が広がる傑作の誕生です。
(実業之日本社HPより)
25歳の桐矢は、渋々、おじいちゃんと同居を始めることに。
おじいちゃんの名前は、小山田義景83歳。
声が大きく、がさつで桐矢の母親・俊子の妹たち(誠子、美海子)や孫(七海、ミクル)
皆から少し疎まれる存在。
俊子が9歳のとき、母親が出て行き、姉妹は協力して家事をこなしながら
生活。誰も以後の母親とは会っていない。
一人暮らしが心配だという娘たちの意見にも耳を貸さない義景が
桐矢となら一緒に暮らしてもいいと言ったことから同居に・・・。
桐矢も祖父のことが好きではなかったけれど、同居をするなかで
少しずつ祖父の不器用だけどちゃんと、優しい心も持っていると感じる。
カレーは、義景が18歳で村を出て勤めたピース食品で作っていたレトルトカレーを
こよなく愛しているため、沢山買いだめされているもの。
2人で少しアレンジしながら作るカレーを食べる場面が微笑ましい。
義景の生い立ちもなかなかハード。
親に捨てられ、親戚の元をたらいまわしにされて毎日、それぞれの家では
全く可愛がられず、日々空腹だった。
ある日、食べるものを盗もうと入った掘っ立て小屋で、その住人に見つかるが
男は怒らず、食べ物を与えてくれて、いつか今度は誰かお腹を空かせている者に
与えてあげてと言われたことを、ずっと忘れず生きてきた。
最後の場面は、皆がそろって義景の話をあれこれしている。
自分のことを覚えていてくれる家族がいるって幸せなこと。
義景は、十分、懸命に生き抜いたんだな。
おつかれさまでしたと言ってあげたい。
★★★★
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発行年月:2004年4月
「夏のはじめのある日、ブラフマンが僕の元にやってきた。」
あたたかくて、せつなくて、いとおしい。極上の文学世界をご堪能ください。
朝日はまだ弱々しく、オリーブ林の向こうの空には沈みきらない月が残っているような時刻で、僕以外に目を覚ました者は誰もいなかった。ブラフマンは裏庭のゴミバケツの脇に潜み、脚を縮め、勝手口の扉に鼻先をこすりつけていた。――(本文より)
(講談社HPより)
文章が美しい。
読んでいると自然に情景が浮かぶかんじ。
これは日本ではないかな?
西洋の香り。
ある夏の日にけがをした仔犬を見つけて、連れ帰る僕。
僕は「創作者の家」と呼ばれる施設の住み込みの管理人。
色々な創作者がここで創作活動をしていて、一番親しいのは碑文彫刻家。
仔犬の名前を彫刻家の作品のなかから選ぶことにして気になった文字を
尋ねるとサンスクリット語で「謎」という意味の「ブラフマン」と読むんだと
教えられ、それを名前に決める。
普段は、部屋のなかでほかのものに見つからないようにしていたが
動物アレルギーだというレース編み作家に見つかってしまう。
部屋に頑丈な鍵を彫刻家に取り付けて貰い、ブラフマンが勝手に部屋から
出ないようにする。
必需品を配達してくれる雑貨屋の娘と親しくなり、車の運転の練習に
付き合う。
創作者の家の庭は広いので、そこが練習場所。
ああ、なんか嫌な予感・・・・・と思ったら・・・・(;O;)
僕とブラフマンの暮らしぶりは、微笑ましいもので犬も可愛いなと
思って読んでいたのにな・・・。
表題通り、埋葬するのが物語の最後。
でも、ブラフマンを避けていたレース編み作家も埋葬に参列したのは
良かった。
嫌な人ではなかったとわかって良かった。
アッとという間に読み終えてしまったけれど、とてもよかった!
★★★★
(講談社HPより)
文章が美しい。
読んでいると自然に情景が浮かぶかんじ。
これは日本ではないかな?
西洋の香り。
ある夏の日にけがをした仔犬を見つけて、連れ帰る僕。
僕は「創作者の家」と呼ばれる施設の住み込みの管理人。
色々な創作者がここで創作活動をしていて、一番親しいのは碑文彫刻家。
仔犬の名前を彫刻家の作品のなかから選ぶことにして気になった文字を
尋ねるとサンスクリット語で「謎」という意味の「ブラフマン」と読むんだと
教えられ、それを名前に決める。
普段は、部屋のなかでほかのものに見つからないようにしていたが
動物アレルギーだというレース編み作家に見つかってしまう。
部屋に頑丈な鍵を彫刻家に取り付けて貰い、ブラフマンが勝手に部屋から
出ないようにする。
必需品を配達してくれる雑貨屋の娘と親しくなり、車の運転の練習に
付き合う。
創作者の家の庭は広いので、そこが練習場所。
ああ、なんか嫌な予感・・・・・と思ったら・・・・(;O;)
僕とブラフマンの暮らしぶりは、微笑ましいもので犬も可愛いなと
思って読んでいたのにな・・・。
表題通り、埋葬するのが物語の最後。
でも、ブラフマンを避けていたレース編み作家も埋葬に参列したのは
良かった。
嫌な人ではなかったとわかって良かった。
アッとという間に読み終えてしまったけれど、とてもよかった!
★★★★
発行年月:2020年3月
「鬼であり続けるのは、なかなかに骨が折れる」
鬼が出ると噂の安義橋(あぎのはし)を渡ることになった太郎暮房(たろうくれふさ)。恐る恐る橋を進むと、艶やかな髪と白い肌を持つ見目麗しい女が立っていた。女は太郎暮房を呼び止め、思いがけないことを口にする。(「安義橋秘聞」)
髪結いの夫婦に拾われ、幼いころから主人の性の相手をさせられていた早陀女(さだめ)。九つを過ぎたころ、剃刀を持ち、髪結いをするようになる。あるとき手が滑り、客の耳を傷つけてしまう。とっさに指に取った血を舐めると、得も言われぬ恍惚感に包まれ……(「血舐め茨木」)
(光文社HPより)
8つの話。元になっているのは伊勢物語、今昔物語、御伽草子。
それぞれの話には鬼となるしかなかった者たちのことが書かれていて
怖いというよりは、そうなってしまう過程が恐ろしい。
最初の話<第一話 鬼一口>は生まれたとき母親が亡くなりそのため、父親に
疎まれながら成長し綺麗な顔立ちであることから、男色の寺の僧に売られ
逃げ出すが結局、同じような苦行が待っていた。
が、今の主人にはそういう趣味はなく、やっと苦行から解放。
そして主人の娘の姫といつしか互いに好意を抱くようになり姫と共に
逃げる。
夜、やっと見つめた小屋で姫を休ませ、自分は外で見張りをしていたが夜が
明けると何故か、姫は亡くなっていた。
哀しみにくれているところに、追手が来て、姫を置いて行きたくない
気持ちから首だけを切り落とし、それと共に逃れる。
このほかにも色々な事情で鬼となった者たちの話が続き、
最後の章でそれらがひとつの場所に逃れて暮らす地の場面が出てくる。
最初の話の男は後に酒呑童子という名の鬼になり世間から恐れられていたというが
今は、その者も亡く、名前を継いだものがその場所のリーダーとなっている。
世間では生きられなくなった者たちを匿う形で・・・。
だが、そこにも終わりが・・・・
少し、読み難さはあったものの、興味深く読んだ。
結構、生々しい描写もあり、ゾッとしたり、ソワソワしたり・・・・。
このシリーズ、面白いなぁ~。
★★★★
(光文社HPより)
8つの話。元になっているのは伊勢物語、今昔物語、御伽草子。
それぞれの話には鬼となるしかなかった者たちのことが書かれていて
怖いというよりは、そうなってしまう過程が恐ろしい。
最初の話<第一話 鬼一口>は生まれたとき母親が亡くなりそのため、父親に
疎まれながら成長し綺麗な顔立ちであることから、男色の寺の僧に売られ
逃げ出すが結局、同じような苦行が待っていた。
が、今の主人にはそういう趣味はなく、やっと苦行から解放。
そして主人の娘の姫といつしか互いに好意を抱くようになり姫と共に
逃げる。
夜、やっと見つめた小屋で姫を休ませ、自分は外で見張りをしていたが夜が
明けると何故か、姫は亡くなっていた。
哀しみにくれているところに、追手が来て、姫を置いて行きたくない
気持ちから首だけを切り落とし、それと共に逃れる。
このほかにも色々な事情で鬼となった者たちの話が続き、
最後の章でそれらがひとつの場所に逃れて暮らす地の場面が出てくる。
最初の話の男は後に酒呑童子という名の鬼になり世間から恐れられていたというが
今は、その者も亡く、名前を継いだものがその場所のリーダーとなっている。
世間では生きられなくなった者たちを匿う形で・・・。
だが、そこにも終わりが・・・・
少し、読み難さはあったものの、興味深く読んだ。
結構、生々しい描写もあり、ゾッとしたり、ソワソワしたり・・・・。
このシリーズ、面白いなぁ~。
★★★★
発行年月:2006年5月
「きっといいことがある」と信じられる1冊
ショッピングセンターの片隅に場所を構える元OLの占い師、ルイーズ吉田。
子供から大人まで様々な悩みを持つ人たちが訪れて……
(文藝春秋発行)
元OLの占い師・吉田幸子(ルイーズ吉田)が、色々なお客さんと接する話。
楽しかった。
一応、ちゃんとした占いのノウハウは知りつつも、直感を大事にするルイーズ。
占いしてほしい人をちょっと元気にする言葉で帰してあげるルイーズの
接客はいい!
ショッピングセンターの片隅にあるっていうのもいいなぁ~。
20分、3000円で前向きになれるのならいいのかも。
印象的だったのは、おしまいがわかるという武田くん(大学4年生)。
自分はその能力をどうしたらいいか?とルイーズの元で人との会話の
仕方を勉強したいと無給で通う。
寝たきりの父親の介護に疲れた女性にかけた言葉は、本当に救われた言葉
だったと思う。
武田くんは保険会社に就職したんだ!
意外と能力活かせるかもね。
武田くんの存在から、正式にアシスタントを雇うことにして
竹子さんが一緒に働くことになったけど、
竹子さんが成長した話もちょっと読んでみたいなぁ~。
これ、続編あるのかな?
何も考えず、楽しめる1冊だった(^^)
★★★★
子供から大人まで様々な悩みを持つ人たちが訪れて……
(文藝春秋発行)
元OLの占い師・吉田幸子(ルイーズ吉田)が、色々なお客さんと接する話。
楽しかった。
一応、ちゃんとした占いのノウハウは知りつつも、直感を大事にするルイーズ。
占いしてほしい人をちょっと元気にする言葉で帰してあげるルイーズの
接客はいい!
ショッピングセンターの片隅にあるっていうのもいいなぁ~。
20分、3000円で前向きになれるのならいいのかも。
印象的だったのは、おしまいがわかるという武田くん(大学4年生)。
自分はその能力をどうしたらいいか?とルイーズの元で人との会話の
仕方を勉強したいと無給で通う。
寝たきりの父親の介護に疲れた女性にかけた言葉は、本当に救われた言葉
だったと思う。
武田くんは保険会社に就職したんだ!
意外と能力活かせるかもね。
武田くんの存在から、正式にアシスタントを雇うことにして
竹子さんが一緒に働くことになったけど、
竹子さんが成長した話もちょっと読んでみたいなぁ~。
これ、続編あるのかな?
何も考えず、楽しめる1冊だった(^^)
★★★★
発行年月:1931年7月
大正時代、貧困と虐待に抗して懸命に生き、
のち朝鮮人革命家朴烈と共に大逆罪に問われ獄中で自死した女性が綴る自らの生涯。
近代日本の抑圧と差別を鋭く告発
(春秋社HPより)
少し前の読んだ「両手にトカレフ」の中で、貧困のなか生きる少女が
ある老人から薦められて読む「カネコフミコ」の書に興味を覚え
本人・金子ふみ子の獄中手記を読んでみた。
獄中で自死したのが、1926年で、そのあと割とすぐに本になっているのは
凄いなと思った。
正直、この人のことは知らなかった。
この時代、政治とか社会に対して異議を唱える人たちは沢山いて、逮捕され
重い刑に処された人たちもいた中で、恩赦で無期懲役になっている。
それを幸いとせず、自ら命を絶つというのも、ふみ子の手記を読んだ後は
納得してしまう。
生まれてからずっと、ふみ子は不条理のなかにいた。
少し好転するかと思えば、再び逆戻りの繰り返し。
10代の時、あまりの自分の置かれた状況に疲れ果て、死を選び実行しようと
するが・・・・その瞬間、再び生きようと考えを変える。
これもまた凄いことだと思った。
ふみ子は、自分の力で何とかしようといつも懸命だった。
愛おしささえ感じるほど。
手記は、自らの力で生きられるようになって、学問も学び始めその場でであった
朝鮮人の朴烈と知り合う。
それが死を早めてしまうことになるのだけど
「共の生きて共に死にましょう」と思える相手に出会えたことは、幸せだった
んじゃないか。
手記は、朴烈とのことは詳しく描かれてはいないし、獄中でのことも
どうして恩赦で命が助かったのに死を選ぶことにしたのかなどは書かれていない。
結局、何が私をこうしたのかの簡潔には述べていないし、本人も手記の最後に
それについては語らないとある。
ふみ子が書かずとも読者はこの記録によって充分、これを知ってくれると
あるように、わかった気がする。
こうするよりほかなかったんだなと。
ふみ子と朴烈の映画があると知ったので、それも見てみたい!
ふみ子がここでは語らなかったことが知れるだろうか。
★★★★★
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女性
自己紹介:
台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪
記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;
記事最後の★についての基準は
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