ささやかな悪夢を、お目にかけましょう。
・・・・・・醒めないかもしれないけれど。
坂木司、はじめての奇想短編集。
少しビタ-ですが、お口にあいますでしょうか。
(本の帯文より)
この作家さん、名前は、知っていますが、今まで読んだことありませんでした。
でも、どのお話もすご~く気に入りました!
お話は全部で26編。
1つが10ペ-ジ前後でとても短いのですが、どれもよかった!
最初の「カフェラテのない日」は、ほのぼの系で、あ~いいかんじ。
次の「目撃者」は、ステンレスの流し台が主人公の少し変わったお話ですが、なかなかおもしろい。
というかんじで、読み進み・・・・途中から結構、不気味なお話に突入していきます。
「穴を掘る」は、背筋が少し寒くなりました。主人公がどんどん地中に穴を掘っていくだけの話なのですが・・・異様なかんじがなんとも不気味。
最後のお話「いて」も正体不明なその者(物?)がなんとも不気味でした。
怖かったのは「ゴミ掃除」と「試写会」かな?
そして一番、わたしが気に入ったのは「最後の別れ」かな?
大陸から遠く離れた島で長い闘いの果てで、もう生き残りは居ないんじゃないか?という状況で出会う二人の兵士の話。
二人の会話が良い。
そして、二人で、今後の事を考え下した結論が、なかなか深い。
こんなにいろいろな要素を持った話が書ける作家さんを今まで知らないでいたなんて!
今から、過去の作品、あれこれ読みたいと思います!
この本、装丁もなかなかセンス良いです!!
本がちょっと一般の本に比べたら小さい?横が短い長方形。
そして、目次やひとつひとつのお話の題字のペ-ジがいいかんじでした。
一人で楽しむのは勿体ないので、家族にも薦めてみよう!
17歳の少年と34歳の女性歯科医。
心を焦がし、渇き、相手の全てを求めてやまない欲望に囚われる、
そんな相手に出会ってしまったら・・・・
(文藝春秋HPより)
児童文学のあさのさんのイメ-ジがあるので、出だしから衝撃的でした!
不意打ちを食らったよな、ショックがありました^^;
17歳の鈴(レイ)と34歳の美耶子。
年齢が倍以上も年下の子との恋愛は、わたし自身を基準にすると、ムリがありますが、まあ、物語なので、その辺は、受け入れて・・・(それが出来ない人は読めないかも)
美耶子は、同じ歯科医の男性・岳彦との離婚歴があります。
原因は、学生時代からの親友・芙美と岳彦が恋愛関係になってしまったから。
鈴は幼い時から仲良くしている隆平、泉美がいるのだが、12歳の夏、ある事がキッカケで3人の明るい関係が変化してた。
美耶子と鈴は、それぞれが関わっている人たちとの間で憎しみや悲しみを引きずっていた。
二人が出会ったのは、歯科医院で最初は患者と医師の関係。
普通ならそんな二人が恋愛関係まで発展するとは思えないのだが、ありえなくはないか?と思える自然さ。
まだ若い鈴の真っ直ぐに突き進むような想いは嫌味がなくいいし、それを受け入れる美耶子も変に年上ぶったり、自分を卑下したりしていなくて好感が持てた。
それぞれが、複雑な想いを引きずっていた人たちと、「赦す」事を自然に行う事で、その関係が修復していく様子が良かった。
自分を良い意味で変えてくれる恋愛は、年齢は関係なく良いものだなぁ~なんて思いました。
あさのさん、恋愛小説もなかなかいいじゃない!?
2009年3月(第10刷)
日本生命の元営業マンが「カラクリ」を全告白!
保険会社の人間が「売っている保険」と「入りたい保険、入っている保険」は全く違っているのです。
大量のCMを流して保険会社が売りたがるのは、「会社にとってメリットが大きな保険」であるはすです。少なくとも、お客様にとって「いいことずくめの保険」であるはすがありません・・・・・・・ (本の帯文より)
この本、すごい売れているとかで、主人が買って来ました。
読んで、すぐ「おもしろいよ。読んでみたら?」と言われたので、わたしも読んでみました。
自分の保険は、まだ若い頃、働き始めてすぐくらいから契約した保険なので、もう解約するのもなんだか勿体無いとは思っています。
なので、勧誘の電話などが度々ありますが・・・・今の物で満足していますので・・・と断っています。
説明を聞きだすと、理解出来ない事だらけなので・・・^^;
以前(わたしが保険に入ったのは20年くらい前)は、今のように外資系の保険会社など、あまりなく、万が一の保障を求めるのが保険という認識で選んでいた時代。
でも今は、テレビでも保険のCMは多くて、いろいろな特約がついたり、種類が豊富で、じゃあ結局何かいいの!?というかんじ。
この本は、これから保険何か入ろうかな?
もう一度、自分の保険を見直したいと思う人には、とても参考になる本だと思います。
本の著者は、今、現在も保険会社の取締役であるというのもなかなか興味深いところ。
同業者を相手に、こんな事書いていいの?という事まで書いてくれています。
広告で謳っている「持病のある人でも入れます」「お祝い金つき」の本当のカラクリをきちんと知っていないといけないなどなど。
「なるほど!そういう事だったんだ!?」という事実があれこれの本書。
発売から、早くも10刷のベストセラ-になっている理由がわかる気がしました。
勉強になりました!
発行年月:2008年9月(第1刷)
2009年2月(第3刷)
北前船の着く湊町は賑やかで慌ただしい。銭と汗の匂いのする町を舞台に、想い人を待ち続ける元遊女や三十年間、敵討ちの漂白の果て、故郷に戻ってきた絵師、飢饉から逃れ数十年、行方の知れなかった兄と邂逅する古手問屋、米相場の修羅に生きる男など心を打つ六編の物語
(本の帯文より)
馴染みのない時代小説でしたが、どの話も静かに胸に迫るものがありました。
落ち着いた大人が楽しめるはなし。
6つの話は、おなじ地域が舞台の様子。
著者自身が山形県酒田市の出身なので、出てくる、地名は馴染みがないものですが、湊町や大きな山、川が出てくるので、出身地をイメ-ジして書かれているのかも。
最初のはなし「海上神火」は、貧しさから遊女となり、その後、身請け先の主人の後を継いで店の女将になっている志津が主人公。遊女時代からずっと想っている男性・吉蔵との恋の物語で、なかなかロマンチックで特に心に残りました。
どれもそれぞれ素敵な話でしたが、ほかにも挙げると・・・
「海羽山」は、飢饉により両親を失った兄弟も故郷から逃げ出す途中に離れ離れになり、その後、行方知れずになっていたが、50年ぶりに再会する話。
飢饉の当時の話は、なかなか壮絶な様子で少し、読むのが辛い箇所ありましたが、二人が再会できてよかった!
「塞道の神」は、娘が他所の男性に恋狂いしていることに気づいた母が、かつて自身の夫が恋狂いをしていた、女性に相談に行く話。
その女性は、今は、尼になり人々の悩みに的確なアドバイスをしているとか。
恋狂いを冷ます方法があるのだと言い、それを施し、更にその後の指導も受ける。
ちょっと面白いオチがあったりして良かった!
「合百の藤次」は、米相場でのかけ引きの様子を書いたもので、今の時代にはない、米会所での男たちの活気溢れる様子が面白かった。
時代物で、ちょっと馴染みにくい言葉遣いがありますが、慣れるとそれが、また独特の雰囲気を漂わせてくれて、時代を越えた人々の暮らしぶりを垣間見るような楽しさがありました。
★★★★
小さな森のなかを抜けて、学校がない日、おじさんの家に行くのがエドガ-の決まりみたいなもの。
「変わりもの」と言われるおじさんだけど、エドガ-にはおじさんの話、そして住んでいる家、その周辺も興味深いものであった。
今日もエドガ-はおじさんの家を訪れ、暖炉の左右に分かれて座り不思議でちょっと怖いお話を聞く。
図書館の児童書コ-ナ-で、なんとなく表題に惹かれて手に取り、この絵にも魅力を感じました。
本を借りるときは、装丁も大事な要素!
絵は画家のデイヴィッド・ロバ-ツによるもの。数々の絵本を発表しているイラストレ-タ-だそうです。
この独特な絵が、お話の内容をよりファンタジックに仕上げていたと思います。
エドガ-がおじさんの家に行くまで様子やおじさんの家(そうとう大きなお屋敷の様子)もなんとなく不思議な雰囲気。
おじさんの家には、まだ顔をみたことにない使用人・フランツがいるのですが、その存在も少し怪しげ。
そんな雰囲気を最初から感じながら、おじさんのお話が始まります。
お話は10こ。
どれも少しだけ怖い。
恐怖に震えるというほどでは、ないけれど、なんとなく背中がゾゾ~ッとするようなかんじ。
想像力を働かせて楽しむ怖さ。(映像になったら、すごく怖いと思いますから・・・)
おばけが出てくるとかの具体的な事よりもその周りに漂う空気のようなものによる恐怖(?)。
ひとつひとつのお話の前後のおじさんとエドガ-のやりとりもその不思議な空気感を増してたかな?
10のお話の最後は、おじさん自身の体験を語るはなし。
その中で、今までのおはなしのなかに出てきた人物の正体も明かされたりして、それも面白かった。
もう1度、おはなしを読み返したりして・・・。
児童書といえ、なかなか良くできたお話でした!
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記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;