中国の東南部、とあるレストランに勤める林玉玲(リンユイリン)は、店長から金魚の世話を頼まれる。
あるとき、日本に嫁いだ娘の出産のため来日した玉玲は、日本人との再婚を勧められて・・・・・・・。
衝撃の芥川賞受賞から半年、日本と中国をめぐる
新たなる感動の恋愛スト-リ-
(本の帯文より)
若い頃からレストランに勤めている玉玲は、51歳。
夫は、娘が大学を卒業し、日本に留学する半年前に交通事故により他界している。
レストランでは、金魚を沢山飼っていて、その世話係をあるとき、突然、命ぜられる玉玲。
金魚(ジンユ)は金余(ジンユ):お金が余ることと発音が同じであることから、縁起のよい生き物と大切に育てられて、中国の人々に親しまれているもの。
が、一方、お世話係としては、気を遣い、水槽に浮いている金魚が連日発見されると、店の運気にも影響すると店長からキツイ言葉を受けたりで結構、荷の重い仕事。
玉玲は、美しい人のようで、年より若く見える人。
なので、ずっと想っていたと近づく男性もいて、そんな一人の周彬とは、いつの間にか同棲している。
周彬の片思い的雰囲気なのですが・・・。
そして、金魚係を他の者に頼み、留学先の日本で結婚し、出産が近い娘・珊々(シャンシャン)の手伝いをしに日本に旅立つ、玉玲。
その飛行機の中で知り合った、北京出身で今は、日本で暮らす女性・森田さん。
後で、二人は連絡し合い、何度か会うようになるのですが、森田さんがなかなか面白かった。
この森田さん、留学生だったご主人と知り合い日本に付いてきて20年。
ご主人はエリ-ト会社員で、現在は上海在中、でもあちらに不倫相手が居る様子とか。
そんな事を、ざっくばらんに話し今はセレブな一人暮らしを気ままに楽しんでいるのよ~と。
でも、そんな見栄っ張りな発言のなかにちょっと寂しさみたいなものも感じちゃいました。
娘に勧められて、日本人とのお見合いを幾つかする玉玲なのですが、一度は森田さんが同行したりして・・・・。
娘は、中国で母親に同棲相手がいる事を知らないし、玉玲も自分のことを大事に想ってくれる周彬に対して、結婚相手というほどの強い愛情は感じていないので、見合いの席が設定されるわけなのです。
この日本人とのお見合いの場面が可笑しかった。
日本人、ちょっと変なの。でもお人よしで憎めない良い人というかんじかな?
この辺は日本人に対する著者の気遣いかしら?
日本に来て、文化の違いに驚く、玉玲の様子から、逆に日本での常識は中国では違うんだぁ~なんて知る場面も幾つかあり、その点も楽しかった。
気になるお見合いの行方は・・・・・・。
玉玲の出した結論は・・・・。 これらは、読んでからのお楽しみということで・・・^^;
良い、ラストでした!
最初から最後まで、金魚がゆらゆら泳ぐ様子が目に浮かぶような話で、癒されました。
★★★★
探偵として依頼に奔走する畝原はある夜、タクシ-の中からなにかから逃げている様子の少女を目する。その少女が翌日、無残な遺体となって発見される。自責の念から、独り聞き込みを行う畝原。
そして、その途中、かつて連続殺人を犯した少年が周辺に住んでいるという噂を耳にする。そして、新たな殺人事件が起こる。被害者は畝原とともに少女をあの夜、目撃したタクシ-運転手だった。
これらには関連があるのか?事件の真相を追う畝原。
この著者の作品は初めて手にとりました。
私立探偵・畝原が事件を追う物語は、シリ-ズ物みたいですね・・・^^;
でも、これ単独で読んでも理解できました。
最初の依頼では、キチンと報酬を貰う仕事なので、その仕事の合間に、少女の殺人事件の真相を追うという形。
少女に対しては、タクシ-の中で深夜、民家の壁にぴったりくっ付いたかんじで何かに怯える少女を目にし、タクシ-運転手と「なんでしょうね?こんな時間なのに・・・」と会話を交わし、気になり、タクシ-を少女目撃の場所まで戻してもらうが、見失っていた経緯があり、もっと早く少女を保護してあげていたら・・・・と自責の念を抱く。
畝原には、娘が3人。
今の妻とは再婚で、お互いの連れ子と、もう一人、虐待されていた少女を引き取って養女としている。
畝原の家庭が温かい雰囲気でとても良かった。
畝原自身がとても優しい人というかんじで好感が持てました。
娘たちも元々は他人なのに、お互いを自然に受け入れているかんじでほのぼのしている。
事件を追う緊迫した場面と、畝原の家庭の温かさが伝わる場面が良い感じの配分。
犯人が最後の最後まで「だれ?」というかんじですが、その真相は実に自己中心的なもので腹立たしい。
犯人の生い立ちには、同情する部分もあるけれど、だからといって人の命を奪ってよいという理由には当然、値しない。
最近の無差別殺人のニュ-スで感じる犯人への怒りがこの書でも強く湧きました。
それから、殺害された少女の両親。
殺害された日、女の子が深夜に外に一人でいた状況は不自然ですが、この両親の日常からしたら、普通の事だったのか?と思うとなんとも哀しい。
少女を可愛がっていた様子ですが、どこか間違っている。
しかし、その背景にも哀しいものがあり・・・切なかった。
事件の背景にあるいろいろな真実がわかる度に辛かったです。
少女殺害事件の真相を追う事と同時進行で行っていた依頼の件も時々、出てきますが、こちらは無事、解決で、そちらを主に任されて活躍していた、貴(畝原の友人であり恩人の息子)もなかなか格好よかった!
最初から最後までとても面白かったので畝原スリ-ズ、他のも読まなきゃ!と思いました。
★★★★
発行年月:2009年2月
東京の下町で、一人、アンティ-ク着物の店を開いている栞。
ある日、お客として訪れた一人の男性・春一郎と、幾度か店で会ううちにお互いが惹かれるものを感じ、恋に発展する。
穏やかに流れる恋物語。
蝶々喃々=ちょうちょうなんなん=男女が睦まじげに、小声で語り合うさまを表すことば
何も深く考えなければ、とても面白いです。
下町の雰囲気が伝わってくるかんじで、実際にそこに行ってみたい!とも思いました。
栞のご近所さんである、まどかさんもイッセイさんも、結構な高齢の様子ですが、粋なかんじで素敵!
栞がイッセイさんの退院祝いを兼ねてデ-トする場面なんてすごく良いです!
イッセイさんみたいな素敵な男性なら、わたしもデ-トしたいわ~(笑)
実際の土地名やら、お店なども出てくるので、この場所を知ってる人なら、もっと楽しめるかも!
でもですね・・・・・ちょっとここからは、わたしの個人的感想ですが・・・・^^;
主人公二人が好かんのです!
最初にお店にお客と来た春一郎は、初釜用の着物を探して訪れて、二人は出会うのですが、そのときに既に栞自身も結婚指輪を見て、二人の会話にもそれを確認するような事が出ます。
10歳の娘・小春が可愛くて~みたいな会話もしたりしてます。
で、実際着物を注文し、直しが必要とかで出来上がるまでにまたお店に訪れたり、そのたびに徐々にお互いのことに惹かれていく。
ま、それはあることなので、良し。
栞が惹かれるのもわかる。
常に背筋が伸びているけど、かといって堅苦しくもない。食べ物を品よく、それでいておいしそうに食べる人なら、わたしの好みにもドンピシャだし・・・^^;
でも、会って数回で「あなたといると、なんだか僕、生まれてきてよかったなぁ~って心の底から思えるんです」って言うのは、いかがなものか!?(怒)
この言葉でス~ッと引いちゃいましたわ~(笑)
あなたには奥さんと10歳の子どもがいるんじゃない!!と一人ツコッミしました。
こんな会話なく好きになったなら態度だけで示す方がマシ。
栞は、でも迷いがあるので、まだ許しましょう。
彼女は独身なのだしね。
あっ!春一郎の悪口だらけになりそうなので、この辺で止めます^^;
この二人が不倫関係という設定にした意図がわたしには疑問でした。
普通の恋愛でもいいんじゃないかな?
ドロドロした部分を除いた不倫話って、どこか胡散臭いです。
小川糸さんの前作「食堂かたつむり」も、一人ツコッミ満載(矛盾が多いかんじ?)の話でしたが、話の雰囲気は結構、いいので、新刊が出るのが楽しみです。
ファンの方、読んで気分、害されたらすみませんm(__)m
★★★
いろいろなことがある、15歳
わたしたちはわたしたちのすべてを伝えることも、知ることもできない。
理解することもできない。
それでいいのだ、きっと。
(講談社HPより)
これは、長女のお薦め!
本が好きで、いつも冷静な杏。バトミントン部で活躍している樹里。甘えっ子キャラの美香。
中学三年生で同じクラスの3人は、何かと行動を共にしている。
三人三様の性格。
この年頃の女の子の行動パタ-ンは、自分でも経験あるなぁ~なんて少し懐かしい気持ちで読みました。
ある程度、決まった仲良しグル-プがあって、そんななかでお互いがお互いの発言や行動に時々「?」っていう部分を感じて悩んで・・・・。
「最近、○○ちゃん、理解に苦しむよね~」なんて、本人の居ないところで、言ってみたり・・・。
気を遣って、あえて言わずに行動した事が後でわかって「なんで言ってくれなかったの?」って言われちゃったり・・・。
これを読むと中学時代の事が、ホント蘇ってくる。
いろいろありながらも、人それぞれ考え方や行動パタ-ンは違うのだと理解して彼女たちが成長していく姿は微笑ましかった。
なかなか、清々しい青春物語でした!
彼女たちと同年齢の子が読むと、より楽しめると思います。
どうしてぼくたちが天国に行けないか知ってる?
引っ越してきた古い家に待ち受けていたものは・・・・
ファンタジ-の名手がおくる哀しい愛の物語
(理論社HPより)
次女が読みたいと借りて読み「おもしろかったよ」というので、わたしも読みました。
児童書は、最近、次女のお薦めを読むのが殆どかな?
物語は、父親を亡くしたばかりの少年・ジャックが母親と共に、古い家に引っ越してくるところから始まります。
その様子をみて「子どもがいる!男の子だ!一緒に遊べるかな?」などと話している4人(アン14歳、オリバ-12歳、チャ-リ-8歳、グウィネス7歳)の子ども達。
その様子は可愛らしく、ジャックと子どもたちの楽しい話かな?なんて最初は思いました。
しかし4人の子ども達は既に亡くなっていて、この古い家に長い子は60年以上も閉じ込められているのです。
ある者によって、魂を奪われたことにより天国にいけないでいる子たち。
そして、ある者の存在に怯えて暮らしている。
ジャックは、家に入った時から、なんとなく誰かの気配を感じます。
やがて、ジャックは幽霊たちと接し、幽霊たちの過去の出来事も知るようになります。
幽霊たちが恐れている者も登場するのですが、その者が、なぜ子どもの幽霊たちを脅かす存在になったのか?の真相は哀しかった。
ジャックは、幽霊たちの魂を助けるためにはどうしたら良いか考え自らも危険な目に遭いながら、立ち向かう様子は、感動しました。
母親が子どもを想う気持ちが、歪んだ形で他のものを犠牲にしていたのかな?
最後の最後までドキドキしましたが、ラストはホッと出来る終わり方で大満足。
これは、児童書ですが、大人が読んだ方がより深く理解出来そう。
とても良い物語でした。
★★★★
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記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;