発行年月:2005年1月
お姉ちゃん、僕たちもう
帰れないかもしれない。
中学生姉弟が突然迷い込んだ、もうひとつの
不思議な日常。
(本の帯文より)
先日、テレビ放送されたのを録画で観て、なかなか面白かったので、その原作本にも興味が沸いて読んでみました。
映画を観たときの感想は・・・http://www.dhcblog.com/ykyoko/archive/988 ここでどうぞ。
本を読むと、映画がこの原作にとても忠実に作られたものだと思いました。
会話の細かいところまで同じなので、つい映画で見た多部未香子とその弟(名前知りません^^;)の顔が本を読みながらも浮かびました。
突然、別の世界に迷い込んだ姉(エリ子)と弟(ダイゴ)。
帰りたいといろいろその方法を探るのですが、帰れず・・・。
家の中は、さっきまで母親が料理していたシチュ-がまだ温かいままなのに、両親は帰宅しないまま。
一人じゃないから、まだなんとか気持ちの平静さを保っていられるかんじの二人。
家に居ても仕方ないからと、それぞれ中学(エリ子は女子校、ダイゴは男子校)にもいつもどおり登校する。
自分たちが居た世界とは、同級生もおなじ姿なのに、ちょっと違う。
死んだはずのダイゴの同級生の女の子も生きてるし・・・。
最近、あまり良い関係とは言い難かったエリ子の友達、大久保ちゃんも自然に接してくれる。
でも、マッチョ(太っていてマッチョとは程遠いブヨブヨけど、名前が松本だからこの呼び名)は、相変わらず本当にいい子。
そして、マッチョのお母さんも良い人。おやつをくれるだけに登場なんだけど、
これ、映画ではなかったので、頭の中で映像化しちゃって楽しんじゃった。
そして可笑しいのが、この迷い込んだ世界では弟が好きなプロ野球選手・高橋好伸がちょっと太ってるっていうこと。
それについての姉弟のやり取りも笑える。
元の世界に戻れないという緊迫した状況にも関わらず、どこか楽観的な二人。
ラストもそんな二人らしい終わり方。
ハッピ-エンドなのかどうかは、読み手の解釈でどうにでも変わりそう。
ちなみに、わたしは一応、ハッピ-エンドなのかな?と思いました。
本も映画と同様、面白かった!!
★★★★
さびれた商店街の、父と息子だけの小さな中華料理店。味気ない日々を過ごす俺たちの前に現れたテンンしのような女・純子。あいつは線香花火のように儚い思い出を俺たちに残し、突然消えてしまった。
表題作「夕映え天使」をはじめ6編の短編を収録。
特別な一日の普通の出来事、日常の生活に起こる特別な事件。
人生至る所にドラマあり。
(新潮社HPより)
有名な作家さんだけど、意外とあまり読んでないです^^;
映画化された「椿山課長の七日間」を読んだくらい。
あの物語は面白かった!
この短編集は、文芸誌にあったか、何かで読んで良さそうだったので、図書館で借りてみました。
でも・・・・・わたしには、うまく読めなかった。
面白くないわけでは、ないけど・・・・なんだろ?不思議な読後感。
表題作「夕映え天使」が一番最初にあって、表題作で、しかも最初にあるのだから・・・と期待し過ぎたのが悪かったのか?
読み終えて・・・う~ん。何が言いたいのやら??
父子で地味に営む中華店に住み込みで働いていた純子が半年経ったある日、忽然と姿を消し、どうしているのやら?と父子でたまに話をしたりしていると、警察から電話。
純子の身元確認の手助けになれば・・・と警察にいく息子。
なんだか、切なかったけど・・・。後味がよくなかった。
次の「切符」は、時代は東京オリンピックの頃。
これまた切ない話。
三番目の「特別な一日」は、最後にえぇ~っ!?の驚きの展開でしたが、なんだかスッキリしない。
次の「琥珀」は、訳あって逃げてる男が以前、バ-だった店「琥珀」でコ-ヒ-店(喫茶店かも?)を営んでいる。男の背景にあるものが不吉。
次のが一番、印象に強く残ったかな?
「丘の上の白い家」。
家が貧しく高校で奨学金を貰っている、僕と清田。
清田は、僕と正反対で成績優秀で全国模試でも県で1番の成績。先生には期待され、貧乏でもきっと奨学金でエリ-トの大学にも進めるだろう。
だが清田のその後は、あまりにも不憫。
清田が可哀相で仕方ない。
最後の「樹海の人」は、自衛隊の演習中に体験する不思議なこと。
極限状態に陥ると人は現実と非現実の区別がつかなくなるのかな?という怖さを感じました。
大した感想がないので、結局、全部の簡単な説明しちゃいました(笑)
これ、書いてなかったら、本を閉じた瞬間に記憶からなくなりそうな短編集でした。
やや辛口評価でごめんなさい。
単に、わたしの嗜好に合わないだけかも・・・・^^;
★★
第1回日本ラブスト-リ-大賞・大賞作『カフ-を待ちわびて』から3年。
奄美諸島の小さな島を舞台に生まれた感動のサイドスト-リ-。
島を愛する旅人でフリ-タ-の純子と、故郷の沖縄を捨て、東京のキャリアウ-マンとして生きる成子。
ひょんなことから、この対照的な二人が出会い、ある目的のために奄美諸島の神秘の島々を旅することに・・・。
しかし、二人が見つけたものは、探していた目的以上の大きなもの。それぞれの「宿命」だった。
(宝島社HPより)
「カフ-を待ちわびて」は映画化が決まる前に読んでいました。
そちらは、幼いころに海で父を亡くし、母も出奔してしまうという重い過去を背負う明青の元に突然、島に来た幸という女性の話でした。
この「花々」は、明青と幸の傍らで、繰り広げられていた別のお話。
時々、明青や幸。
または、島の人々の様子もわかるので、なんだか懐かしい人たちに再会するような気分にもなれました。
今回の物語は二人の女性が主に語る形で進行していきます。
一人は看護師として都会で働いていたがいろいろな物(母親の介護、キツイ仕事、自分勝手な兄)から逃げるようにして、島に辿りつきサ-フショップでアルバイトをしていた純子。だがリゾ-トホテルの建設が始まる為オ-ナ-は店じまいをする事に決め、自身も行き先を考え始める。
そして、もう一人は、故郷の与那喜島から東京に出て、キャリアウ-マンとして忙しく働く成子。
夫は公務員だが、子どもはなし。結婚したのは、生活を安定させ、仕事に打ち込みたかったから。
夫は従順な人だが、あるとき「俺がいないほうが君はもっと遠くにいける。だから別れよう」と離婚を切り出され承諾する。
こんな対照的な二人の女性が、成子が故郷に一時的に戻ったとき、知り合う。
でも二人が、抱えているものが少し似ている。
それだからかな?気が合い、互いの連絡先を教えメ-ルで会話するようになる。
そして、成子が始めようと考えている仕事(ひとり旅が好きな女性が憧れる宿をプロデュ-ス)のリサーチを手伝わないか?と純子に勧める。
純子はそれを受け、互いに一人旅のリサ-チに出る。
そこで、出会う人たちから、いろいろな事を気づかされる。
純子は、奄美の与路島で。成子は奄美の加計呂麻島で。
そこに出てくる、それぞれの島民のとの関わりは良かった!
物語は「鳳仙花」「ねむの花、デイゴの花」「さがり花」「千と一枚のハンカチ」「花だより」と5つの話に分かれています。
どの話も目の前に青い海と青い空。
そして、綺麗な花が映像で浮かんでくるような物語でした。
二人が、それぞれの旅の末、久しぶりに再会するラストもステキでした!
あ~良い物語でした。
この表紙の写真そのままの雰囲気の物語!
最後の最後に「明青」と「幸」の事が二人の会話に出てきて、予期せぬ知らせに嬉しくなりました♪
原田さん、センスいい!
★★★★★
発行年月:2008年12月
「ハブテトル」とは備後弁で
「すねている、むくれている」という意味。
「ハブテトラン」は否定形。
東京の小学校に通う5年生の大輔は、あることがキッカケで一学期途中から学校に行けなくなっていた。
両親は相談し、母親の故郷である広島県福山市松永の祖父母の元で二学期の間は、そちらの小学校に通わせてみようと決める。
中島さんの本はこれで何冊目かな?
これは、一応、一般書なのかな?
でも、大輔と同年齢の子どもが読んでも楽しめる内容だと思います。
大輔目線のおはなしなので。
東京(行けなくなった学校)から離れ、両親とも離れた大輔。
祖父母やその周辺の大人たち、松永の小学校の同級生たちとの関わりの中では、とても生き生きしている大輔の暮らしぶり。
その中には、暗い影はあまり感じない。
周りの大人も子ども達ともすごく仲良く、楽しく関わっていて、読んでいても楽しかった。
でも、ちょっとした違和感。
松永の暮らしは、大輔には快適とも感じられるものだったけど、この後、東京に再び戻っても大丈夫なのかな?
大輔の留守中、両親は、再び東京の学校生活に戻るわが子の為には、何をしていたのかな?
が、わたしの中にありました。
東京の担任、クラスの子どもたちは、大輔が他の地で学校生活を送ることになった事をどう受け止めているのかな?
児童書として読めば、「良い思い出」を胸に東京でもがんばれ!と言えばいいのかもしれないけど、現実問題では、そう単純には行かないかも・・・・と考えてしまうのは考えすぎかな?^^;
大輔は、とっても素直で人の気持ちがわかる子。
こんな良い子が、再び、東京に戻ったとき、辛い目にまた合わないように、両親や周りの大人たちがもっと頑張って欲しい!!東京の大人たち、松永の大人たちに負けるな!
なんて思いました。
大輔は、もう十分、頑張ってるんだから!
★★★
発行年月:2008年3月
人気作家7人が贈る
「はじまり」の物語。
迷い、揺れ、苦しみながら選びとった、これがわたしの生きる道------。
オ-ル書き下ろし&オリジナルの珠玉のアンソロジ-。
(本の帯文より)
7人の作家さん。
名前は知っていますが、初めて読んだ方2人。
宮下奈都さんと福田栄一さん。
そして、この二人の作品が凄くよかった!
新しいお気に入りの作家さんに出会えてラッキ-!これぞ、アンソロジ-の良い点!
宮下さんの作品は「よろこびの歌」
母親が著名なヴァイオリニストで自身も幼い時からなんとなく音楽家になるんだと音大の付属高校に入学し、そのまま大学、大学院へ進むものだと思っていた玲。
だが、音大附属高をまさかの不合格。
主人公が仕方なく進学した高校で、今まで音楽に対して持っていた考え方を変える。
挫折を味わったことで、大切なものに気づく彼女。
福田さんの作品は「あの日の20メ-トル」
大学生になったばかりなのに、学校の講義を受ける気力がなく、屋内市営プ-ルに通うことを唯一の日課にしている克彦。
そこに一人の老人が「泳ぎを教えてほしい」と声を掛けてくる。
老人と接するうちに自分は、このままでいいのか?と気づく。
ここで共通してるのは、主人公が学生で、挫折を味わうということ。
二人はそれぞれ違う話の主人公ですが、ちょっと似てるな。なんて思って読みました。
このわたしにとって、初めての作家さんが1話目と2話目だったというのも、印象を強くした要因かも。
勿論、ほかの作家さんの作品も面白かったです!
1番好きだったのは、中島さんの「コワリョ-フの鼻」。
面白い!
夫婦が「鼻」について語るその様子がなんとも言えない雰囲気で、すきだなぁ~こういうかんじ♪
瀬尾さんの「ゴ-ストライタ-」は「戸村飯店青春100連発」の原型だそうで、既に「戸村飯店・・・」は読んでいるので、内容を再び思い出しました。
けど、まだ読んでない人は、是非、そちらを読んでね!というかんじ。
これだけじゃ中途半端な気がします。
伊坂さんの「残り全部バケ-ション」も変わった設定の話だったけど、なんだか愉快な気持ちになれた。
このアンソロジ-は、とても、よく出来たお話ばかりで、楽しかった!
はじまりの一歩というだけあって、状況はいろいろだけど、それぞれの登場人物たちが明るく一歩を踏み出すかんじのラストで読後感を爽やかなものにしてくれました!
★★★★
記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;