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読んだ本の感想あれこれ。
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d0cd81cb.jpg発行年月:2007年3月


山月記(中島敦)・藪の中(太宰治)・走れメロス(芥川龍之介)
桜の森の満開の下(坂口安吾)・百物語(森鴎外)

5つの名作を森見流に大胆にリメイク!




この中で、ちゃんと知ってる原作は・・・走れメロスくらいかなぁ~^^;
山月記は、数日前に柳広司氏の新釈版のような「虎と月」でも読んだので、大抵の話は分かりましたが・・・・。

原作をあまり知らなくても、大丈夫!
十分、楽しめますので(笑)

この方のセンスに脱帽です。

それぞれ、全く別の作者による作品ですが、森見氏の手にかかるとそれぞれの作品が少しずつリンクしているような不思議な構成。
舞台も森見氏お得意の京都。
そして、物書きとして大作を書くことに日夜追われる孤高の男性・斉藤秀太郎を軸に、彼に関係する人たちの話になっている。

「山月記」では、大文字山にこもってしまう秀太郎の話で、原作では「虎」になるのだが、ここでは「天狗」になっちゃう。
天狗・・・これも森見氏の話には度々出てきて・・・可笑しかった。

表題作の「走れメロス」が一番、笑えます。
原作の軸になるものは、ある意味キチンとあるのですが・・・「間に合わなかったらブリ-フ一枚で踊らなくてはならない」なんて・・・・。
バカバカしいけど、こういうのも好き(^^)


でも、話として一番良かったのは「藪の中」かなぁ?
原作を知らないのですが、これは原作も読みたくなりました。

恋人の女性とその元恋人のラブスト-リ-を自分が物語にして、映画として撮影する男の話。
男性同士は以前からの親友で、理解不能なそれぞれの行動ですが、実のところどういう気持ちでそんな状況を受け入れたのか?
ということをそれぞれが述べたり、第三者的にその作品を見たものが思ったことを述べたり。


あとがきの森見氏の言葉も良かった!
やはりこの方も楽しみながら書いてるのね・・・納得。

森見氏の思惑通り、これを読んで文学史に残るこれら名作の原典を読みたくなりました。


★★★★


PR
f12a076f.jpg   発行年月2009年3月


ノリさん・・・有村則夫:工場経営者で機械いじりが得意な頭脳派
キヨさん・・・清田清一:剣道道場師範代の経歴を持つが今は道場をたたみゲ-センに再就職している
シゲさん・・・立花重雄:柔道家でいつもジャ-ジ姿。「酔いどれ鯨」の元店主。今は息子夫婦に店を任せ妻と裏方に徹している。

  子どもの頃は「3匹の悪ガキ」と町内の大人たちに悪名を馳せていた3人。
  だが、今は町内の自警に努める「3匹のおっさん」




有川さんの新刊、いつも待ち遠しいです。
今回の主役は還暦を迎えるおじさんたち3人。

普通は物語の主役には、ならない年代の3人のおじさんたちが、ここでは立派な主役!
個性豊かな3人が集まり、町内のちょっとした問題を解決していく過程が楽しい!

それぞれの家族の関係も出てきて、同居している息子夫婦との軋轢やら、奥さんの浮気(?)問題やら、話題豊富。

そんななか、キヨさんの孫の裕希とノリさんの遅くに出来た娘・早苗の爽やかな恋の行方が実に微笑ましくてよかった!
爽やかな恋バナは有川さん、お得意ですね(^^)

高校生の裕希は、思ったことをズバリ言ったり、言葉遣いもやや乱暴なのですが、大人たちの行動やホンネをよ~く見ていて、いう事が全部、正論!
もしかしたら両親よりもずっと精神年齢は大人かも。
祖父の清一にも物怖じせず、ズケズケ言うけれど、本音の部分ではとても優しく思いやりもあり、服装のアドバイスなんかもしたりして。。。
普段は頑固な祖父も孫のアドバイスに少しずつ耳を傾けて、見た目から若返っていく。
そんな二人の関係も微笑ましかった。
そして、三匹のおっさんたちが立ち向かう問題にも、協力したりしていて、良い子だなぁ~裕希くん!


この表紙の絵と本の中にある挿絵の雰囲気が、物語の人物の雰囲気そのものなのも面白いなぁ~なんて思いました。
そしたら著者あとがきに、「この人しかいない!」と漫画家の「須藤真澄」さんにお願いして描いてもらったのだとか。

有川さんが最後に
毎回、本を作る度に「楽しいなぁ」と思います。今回も漏れなく「楽しいなぁ」と思いました。
後は読んでくださる方がそう思ってくださったら、これ以上幸せなことはありません。

と書かれていました。

はい!今回も楽しいなぁ~とずっと思って読み続けました!

また、ステキな作品、待ってます!!

★★★★★
57bb2db4.jpg   発行年月:2009年3月(第1刷)
            〃    (第3刷)


  
  女子になりたい中学生・大輔と彼を守ってきた幼馴染の茶子。
  彼らが暮らす空堀商店街に、会計検査院の調査官3人の
  手がのびる。

                          (文藝春秋HPより)


大阪が舞台・・・というか、大阪城が舞台。
東京から、出張で会計監査院の三人(松平・鳥居・ゲ-ンズ・ブ-ル)が大阪に訪れる。

松平:身長175cm。国家公務員Ⅰ種試験を受験した4万人のトップで合格したエリ-ト。
卓越した調査能力が評判。
鳥居:身長160cm。新しいインクの香りに大腸が過敏に反応する。偽装文書を探す隠れた秘密兵器。よって、ミラクル鳥居の異名をもつ。
ゲ-ンズ・ブ-ル:ヒ-ルを履くと身長180cmを越える。フランス人と日本人のハ-フ。ハ-バ-ド大卒で頭脳明晰、容姿端麗。

この3人の会話が最初から愉快。
ミラクル鳥居は、癒し効果抜群!


大阪を何の目的で調査するのか?最初から興味を持ちつつ・・・大阪の公な機関での国家予算のムダ遣いを正すのかな?
などと思って、読んでいましたが、話には空堀商店街のお好み焼き屋とか、中学生しか出てこなくて・・・・???
でも・・・そのお好み焼き屋のおじさんと中学生たちが、重要な鍵だったちは!!

いや~予測が出来ない面白さ。

これ、大阪の人や、大阪出身の人が読んだら、もっと面白いでしょう。
史実に基づいている話に加えた架空設定の別の歴史がうまく合わさっていました!

奇想天外の発想に基づく、フィクションですが、こういう話は、ひょっとして・・・・・なんて想像したら楽しいなぁ~。

調査は結局どうなるか?は読んでからのお楽しみですが、ラストは爽やか。
ミラクル鳥居は、本当にミラクル!!


「鹿男あをによし」 「鴨川ホルモ-」に続いて、楽しませてもらいました!

★★★★
f9fdfdbe.jpg発行年月:2009年3月


ほんの少し心をほどけば、わたしたちはいつだってどこだって行ける。

OL、母親、料理家、看護婦。普通の人たちの日常におとずれる小さな「気づき」の瞬間が、まるで自分のことのように胸にしみ入ってくる。
ペ-ジをめくるたび、頑張っているあの人の顔が浮かぶ。ごぶさたしている人に手紙を出そうと思う。“最も新作が待たれる新人作家”による、ほんの少し前に進む勇気をくれる12の物語。

                                           (新潮社HPより)

この作品は12の短編集。
以前、Re-bornというアンソロジ-に書かれていて、その時、この著者の作品をもっと読んでみたい!と思っていました。


1つ1つの話は、本当に短くて、すぐ読み終えてしまうのですが、全て完成されたものでした。
特に変わったことが起きるのでもなく、それぞれの主人公たちがいつもと同じ生活をするなかでふと、気づくことが描かれてるような・・・・。
前半の方で登場した物語の人物たちが、後ろの方の物語の登場人物と繋がりがあったり、人と人の繋がりって面白いな~なんて思ったりしながら楽しみました。

こういう普通の日常を送る人の話の中に読者をひき付けるものを散りばめられるって凄いな~。
いいなぁ~。好きだなぁ~。

以前、看護師だったわたしなので、病院のことを書いた「うなぎを追いかけた男」は、看護師の気持ちに共感しながら読みました。
ただ、潜るという看護師の中で隠語のように使われている言葉の行為は、全く、わたしには経験なくそこだけちょっと引っかかりましたが・・・・^^;
「うなぎを追いかけた男」は、一番最後の「夕焼けの犬」にもリンクしていて、静かな余韻を残してくれました。

好きだったのは「白い足袋」かな?
幼なじみの花嫁の為、買い忘れたという足袋を懐かしいお店に買いに行き、お店のおばちゃんに昔も足袋を買いに来たねと言われる場面では思わず「えっ!」

運動会で足袋を履いて走る・・・・・わたしも同じ経験ある!ある!

余談ですが、前に主人と何かの話の折に「子どもの頃、小学生の運動会で足袋を履いて走ったよね?」と言ったことがあるのですが、その時「なに!?足袋?へんなのぉ~なんでそんなの履くの?」と大笑いされた記憶があり・・・・・
自分の周りだけの流行だったのか?と思っていたので、この話は妙に嬉しかったのです!(笑)


12の短編どれも良かった!
短編集で全部、よかった!ってなかなかないのでこれは凄い!!

長編作もぜひ、近いうちに読まなきゃ!

★★★★

f015d4ca.jpg発行年月:2009年2月(初版)
       2009年3月(第4刷)


父は虎になった---------。
そんなこと、簡単にしんじられるものではない。
ぼくだってそうだった。
しかし、父に会った、という人物からもらった手紙には、
父がその場で詠ったという一篇の漢詩が書かれていた。
父の血をひくぼくも、いつかそうなってしまうのだろうか。
父がどうして虎になったのかを知りたい。

言葉の魔術師・柳広司が放つ
中島敦「山月記」に想を得た、奇想天外な変身譜。   
 
                                    (本表紙裏の解説分より)

中島敦の「山月記」・・・・はて?無知ゆえ知らず・・・・^^;
主人に聞いたら「名作だよ。高校の授業で習ったでしょ?・・・・・・・・」とあれこれ説明ありましたが。
殆ど、覚えていません。

簡単に言うと・・・中国の話で、詩人になりたかったが、夢なかばで挫折した男が虎に変身してしまうお話だそう。

で、この「虎と月」は、その話の後日談。

「ぼく」がまだ4歳の頃、突然、姿を消した父。
父は超難関の試験に受かり、そうとうな身分の職に就き、前から好意を寄せていた美人な母と結婚し「ぼく」が生まれた。
しかし、父はあるひ、突然、苦労して手に入れた職を捨て、「ぼく」たちの前からも姿を消してしまった。
しかし、父の友達が手紙を送ってきた。
父に会ったという手紙だったが、なんと虎になった父と再会したという。
そして、そのときある漢詩を詠んだと、その文字が一緒に送られて来た。

その漢詩

偶因狂疾成殊類   
災患相扔不可逃
今日爪牙誰敢敵
当時声跡共相高
我為異物蓬茅下
君巳乗輙気勢豪
此夕渓山対名月
不成長嘯但成嘷

これだけ打つのに時間かかりました・・・・笑

でも、これだけ見たらわかるようなわからないような・・・^^;
本には、その解説が丁寧に書かれていますのでご安心を。
これが、父が虎になったことを知る真相になっているのですが、最後の最後にその種明かしがあります。
そして、その真相をこの漢詩から、知ったときには、なんとも言えない感動がありました!
いや~漢字って楽しい!!

これは、一応ミステリ-YAなので、小学校高学年の本好きな子なら楽しめるかも。
父親探しの冒険物として読んでも、なかなか面白い内容でした。

柳さんの著書、初めて読みましたが、他の作品も読んでみよう!と思いました。


★★★
 
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★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
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