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読んだ本の感想あれこれ。
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ba7b07a9.jpg   発行年月:2007年11月


   大ヒット不思議青春グラフティ、
   今度のテ-マは「恋」だ!

   不可視の「オニ」を使役し、各大学の覇権をかけて争う
   それが「ホルモ-」だ!!この奇妙な部活動に
   巻き込まれた少年少女の戦いと恋を描く、
   無類に楽しい青春文学!!

                                   
(角川書店HPより)


先に読んだ「鴨川ホルモ-」のもうひとつの物語。
そこでの主役たち京都青龍会メンバ-の話あり、ほかの大学の先輩たちも登場し、現在にリンクするお話あり、短編集という形でありながら、共通する「ホルモ-」を軸に楽しく心、温まる恋のお話あれこれ。
「鴨川ホルモ-」発端の経緯なども書かれていたりで、うれしい気づきもいっぱい。

6つの話(六景)、どれも全部良かったけど、特にジ~ンと来たのは一番最後(第六景)の
「長持ちの恋」。
立命館大学白虎隊第五百代会長の珠実がバイトする旅館の蔵で見つけた板切れの文字。
その言葉に対して自身も言葉を返すかたちで板の裏に文字を書く。
すると、更に別の日、また違う文字が届き・・・・不可解な文通が続く。
その相手は、現代の人ではないと気づく珠実。

これ以上、書くとこれから読む人の楽しみがなくなるので止めましょう^^;

なんともロマンチックでちょっと切なくて・・・・良いお話でした。


「鴨川ホルモ-」はただひたすら可笑しく、摩訶不思議な世界観を楽しむものでしたが、こちらはちょっと正統派のコイバナというかんじかな?
時々、場面を映像で勝手に想像してクスッと笑えますが。

楽しいお話でした!

★★★★
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082fb134.jpg   発行年月:2008年8月


   「ひとは男女である前に人間だ」。
   インタ-セックス(男女どちらでもない性器官をもっていること)
   の人々の魂の叫び。
   高度医療の聖地のような病院を舞台に、医療の錯誤と人間の尊厳を問う。

                            
(集英社HPより)


以前読んだ「エンブリオ」の続編という作品。
今回の主人公は34歳の女性医師・秋野翔子。

翔子が、「エンブリオ」での主人公・岸川医師が経営し、自身が院長を務めるサンビ-チ病院に転勤することから物語が始まっていく。

「エンブリオ」のときにもいろいろな専門知識を学び勉強になりました。
そのなかでの岸川には、医師として優れた才能を持ってはいるが、独りよがりな行動は好きじゃないなぁ~の感想を持っていたので、この作品の中では、意外と良い医師の顔が描かれていて、「え?この人こういう人だったの?」と先ずは少々、戸惑いました。

でも、後半部分で「エンブリオ」の中で起こした岸川の罪の部分に翔子が気づいたあたりから、またまたエゴむき出しのような面が出てきて・・・・。
でも、最後の最後に、自己中心的な面を自身も自覚していて、後悔していたのかな?なんて思えて、岸川のした事は許せない事だけど、その心理のようなものが少し理解出来たかな?というかんじでした。
罪を犯さず、成功することは出来なかったのか!?残念で仕方ない結幕ではあり、少しやり切れない思いが残りましたが・・・・。


一方、翔子は優等生過ぎるくらいのよく出来た医師。
まだ若い彼女がそこまで「インタ-セックス」の患者のために自分の人生を全て賭けたような行動をするのが最初から不思議でしたが、これも最後の方で、納得しました。

物語の中に性器の名前やらセックスという言葉も頻繁に出てきますが、厳粛な印象だけが残るのは、この著者の文章が清潔なかんじだからでしょうか?
まるで医学書を読んでいるかのようですが、その説明は分かり易く、医学知識がない者でも自然と理解できる内容でした。

わたしは、元看護師なのでインタ-セックスは学生の頃「半陰陽」ということで講義を受けました。
スライドで実際の画像を見たときのショックは今でも鮮烈に覚えています。
世間ではあまり知られていない特別な人たちの様ですが、実際には、結構な割合で生まれているという事もその時、まだ若かったわたしは、将来、自分の子どもがそうだったら?などと心配もしたりしました。

この物語の中でも、発現率は100人に1.5人の割合とか。
想像より多い発現率には驚きでした。

この書の至るところで、これは医師でもある著者自身の考え方かな?という部分がありました。

人を「男」と「女」の二つの性で区別するだけでいいのか?
第三の性もあって良いではないか?
第三の性を排除してしまおうとする社会規範(戸籍や常識)を改める方向にいっても良いのでは?
などなど。

なるほどなぁ~わたしもそう思う!という部分が多かった。

こういう小説を通して、一人一人の認識が変わっていったらいいな。

帚木さんの小説を読んでいると、何か熱いものがこみ上げてきます。

きっと医師としても、素晴らしい方ではないかな?と想像します。

★★★★★

d0cd81cb.jpg発行年月:2007年3月


山月記(中島敦)・藪の中(太宰治)・走れメロス(芥川龍之介)
桜の森の満開の下(坂口安吾)・百物語(森鴎外)

5つの名作を森見流に大胆にリメイク!




この中で、ちゃんと知ってる原作は・・・走れメロスくらいかなぁ~^^;
山月記は、数日前に柳広司氏の新釈版のような「虎と月」でも読んだので、大抵の話は分かりましたが・・・・。

原作をあまり知らなくても、大丈夫!
十分、楽しめますので(笑)

この方のセンスに脱帽です。

それぞれ、全く別の作者による作品ですが、森見氏の手にかかるとそれぞれの作品が少しずつリンクしているような不思議な構成。
舞台も森見氏お得意の京都。
そして、物書きとして大作を書くことに日夜追われる孤高の男性・斉藤秀太郎を軸に、彼に関係する人たちの話になっている。

「山月記」では、大文字山にこもってしまう秀太郎の話で、原作では「虎」になるのだが、ここでは「天狗」になっちゃう。
天狗・・・これも森見氏の話には度々出てきて・・・可笑しかった。

表題作の「走れメロス」が一番、笑えます。
原作の軸になるものは、ある意味キチンとあるのですが・・・「間に合わなかったらブリ-フ一枚で踊らなくてはならない」なんて・・・・。
バカバカしいけど、こういうのも好き(^^)


でも、話として一番良かったのは「藪の中」かなぁ?
原作を知らないのですが、これは原作も読みたくなりました。

恋人の女性とその元恋人のラブスト-リ-を自分が物語にして、映画として撮影する男の話。
男性同士は以前からの親友で、理解不能なそれぞれの行動ですが、実のところどういう気持ちでそんな状況を受け入れたのか?
ということをそれぞれが述べたり、第三者的にその作品を見たものが思ったことを述べたり。


あとがきの森見氏の言葉も良かった!
やはりこの方も楽しみながら書いてるのね・・・納得。

森見氏の思惑通り、これを読んで文学史に残るこれら名作の原典を読みたくなりました。


★★★★


f12a076f.jpg   発行年月2009年3月


ノリさん・・・有村則夫:工場経営者で機械いじりが得意な頭脳派
キヨさん・・・清田清一:剣道道場師範代の経歴を持つが今は道場をたたみゲ-センに再就職している
シゲさん・・・立花重雄:柔道家でいつもジャ-ジ姿。「酔いどれ鯨」の元店主。今は息子夫婦に店を任せ妻と裏方に徹している。

  子どもの頃は「3匹の悪ガキ」と町内の大人たちに悪名を馳せていた3人。
  だが、今は町内の自警に努める「3匹のおっさん」




有川さんの新刊、いつも待ち遠しいです。
今回の主役は還暦を迎えるおじさんたち3人。

普通は物語の主役には、ならない年代の3人のおじさんたちが、ここでは立派な主役!
個性豊かな3人が集まり、町内のちょっとした問題を解決していく過程が楽しい!

それぞれの家族の関係も出てきて、同居している息子夫婦との軋轢やら、奥さんの浮気(?)問題やら、話題豊富。

そんななか、キヨさんの孫の裕希とノリさんの遅くに出来た娘・早苗の爽やかな恋の行方が実に微笑ましくてよかった!
爽やかな恋バナは有川さん、お得意ですね(^^)

高校生の裕希は、思ったことをズバリ言ったり、言葉遣いもやや乱暴なのですが、大人たちの行動やホンネをよ~く見ていて、いう事が全部、正論!
もしかしたら両親よりもずっと精神年齢は大人かも。
祖父の清一にも物怖じせず、ズケズケ言うけれど、本音の部分ではとても優しく思いやりもあり、服装のアドバイスなんかもしたりして。。。
普段は頑固な祖父も孫のアドバイスに少しずつ耳を傾けて、見た目から若返っていく。
そんな二人の関係も微笑ましかった。
そして、三匹のおっさんたちが立ち向かう問題にも、協力したりしていて、良い子だなぁ~裕希くん!


この表紙の絵と本の中にある挿絵の雰囲気が、物語の人物の雰囲気そのものなのも面白いなぁ~なんて思いました。
そしたら著者あとがきに、「この人しかいない!」と漫画家の「須藤真澄」さんにお願いして描いてもらったのだとか。

有川さんが最後に
毎回、本を作る度に「楽しいなぁ」と思います。今回も漏れなく「楽しいなぁ」と思いました。
後は読んでくださる方がそう思ってくださったら、これ以上幸せなことはありません。

と書かれていました。

はい!今回も楽しいなぁ~とずっと思って読み続けました!

また、ステキな作品、待ってます!!

★★★★★
57bb2db4.jpg   発行年月:2009年3月(第1刷)
            〃    (第3刷)


  
  女子になりたい中学生・大輔と彼を守ってきた幼馴染の茶子。
  彼らが暮らす空堀商店街に、会計検査院の調査官3人の
  手がのびる。

                          (文藝春秋HPより)


大阪が舞台・・・というか、大阪城が舞台。
東京から、出張で会計監査院の三人(松平・鳥居・ゲ-ンズ・ブ-ル)が大阪に訪れる。

松平:身長175cm。国家公務員Ⅰ種試験を受験した4万人のトップで合格したエリ-ト。
卓越した調査能力が評判。
鳥居:身長160cm。新しいインクの香りに大腸が過敏に反応する。偽装文書を探す隠れた秘密兵器。よって、ミラクル鳥居の異名をもつ。
ゲ-ンズ・ブ-ル:ヒ-ルを履くと身長180cmを越える。フランス人と日本人のハ-フ。ハ-バ-ド大卒で頭脳明晰、容姿端麗。

この3人の会話が最初から愉快。
ミラクル鳥居は、癒し効果抜群!


大阪を何の目的で調査するのか?最初から興味を持ちつつ・・・大阪の公な機関での国家予算のムダ遣いを正すのかな?
などと思って、読んでいましたが、話には空堀商店街のお好み焼き屋とか、中学生しか出てこなくて・・・・???
でも・・・そのお好み焼き屋のおじさんと中学生たちが、重要な鍵だったちは!!

いや~予測が出来ない面白さ。

これ、大阪の人や、大阪出身の人が読んだら、もっと面白いでしょう。
史実に基づいている話に加えた架空設定の別の歴史がうまく合わさっていました!

奇想天外の発想に基づく、フィクションですが、こういう話は、ひょっとして・・・・・なんて想像したら楽しいなぁ~。

調査は結局どうなるか?は読んでからのお楽しみですが、ラストは爽やか。
ミラクル鳥居は、本当にミラクル!!


「鹿男あをによし」 「鴨川ホルモ-」に続いて、楽しませてもらいました!

★★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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