忍者ブログ
読んだ本の感想あれこれ。
[564]  [565]  [566]  [567]  [568]  [569]  [570]  [571]  [572]  [573]  [574
b799db76.jpg  発行年月:2009年1月


  伝説のチェスプレ-ヤ-・アリョ-ヒンの、
  ひそかな奇跡を描き尽くした、
  せつなく、いとおしい、宝物のような長篇小説

   
                   (文藝春秋HPより)



この表題に先ずは惹かれるものがあります。
読む前は「なんのこと??」と思うのですが、読み終えた今は、なんともピッタリの表題!と思えます。

7歳のアリョ-ヒンは弟と祖父母の家で暮らしている。
両親は、弟が生まれるとすぐに離婚し、実家に戻ったが、その母も2年前、病気で亡くなった。

物語は、弟と祖母の3人でデパ-トの屋上にいるところから始まります。
そこには、かつてインディラという名前の象がいた。
小象のときからその生涯を終えるまで、ずっと鎖に繋がれていた。

そして、アリョ-ヒンたちが住む家は、隣家との壁がすぐそば。
かつて、そこの狭い空間に入り込み、出られなった少女が壁に食い込んだままになっているという噂もあった。

アリョ-ヒンは、その象のインディラと、少女・ミイラ(アリョ-ヒンがそう名付けた)を心の友にしているちょっと風変わりの少年。

そんな彼があるとき、チェス好きの老人と出会い、彼にチェスを教えて貰う。
その老人もバスの中で一人暮らす変わった人物。
お菓子づくりが趣味で、いつも甘いお菓子を出してくれる。そして老人は超肥満体。

少し大人になったアリョ-ヒンは、チェスが得意なことを見込まれて、ある倶楽部でお客さん相手にチェスをするようになる。
しかし、面と向かってではなく、ある方法で。

チェスをするとき、彼は海に潜り泳ぐような感覚。
そして頭の中に度々、浮かぶのはインディラであり、ミイラであり。

全体を通して、とても幻想的。
そして、なんとなく儚く、哀しい雰囲気が漂うかんじがしました。

アリョ-ヒンの存在自体が、幻想的。
人間という設定ではありますが何か、人とは違う生き物のような不思議なかんじでした。


最後は、とても切ないのですが、アリョ-ヒンは、それで幸せなのかも。
そういう生き方をしたことを悔いてはいないんだろうな~と思いたい。


やはり、この方の文章は独特の雰囲気。
好きです!!!

もう一度、ササッと読み直そう!

★★★★★
PR
0e285e32.jpg発行年月:2008年12月


お金も才能も肩書きも関係なく、
僕たちでも手に入れられるものが、
一つだけある。それは-------

170万部突破の大ベストセラ-『夢を叶えるゾウ』の著者が贈る、
新感覚エンタ-テイメント小説

                      (小学館HPより)

「夢をかなえるゾウ」が、まあまあだったので、こちらもどんな物かと読んでみました。

冴えない若者・御手洗が西郷隆盛似の豆柴(名前は義太夫)を連れた男・春男を、助けてあげる。
そして、その恩返しに自分の得意分野の「女」についてのあれこれを伝授するというはなし。

最初の1/3くらいは、なかなか面白くよみました。
鹿児島弁がやや読みにくかったのですが、まあ、面白い設定なので、なんとか読んで・・・
でも、何やら、伝授される内容が、幼稚というか・・・。
春男の言うことは、まあ、間違ってはいない。
でも、あまり頭で考えて行動されちゃうと、引いちゃうなぁ~。

この本を書いたのも、前のでウケたから、今度はこうしたらまたウケるんじゃないかなぁ~?という考えで書いたのか?とも思えて・・・途中から白けてしまいました・・・^^;

コンパの場での、あれこれも・・・・う~ん・・・読んでいるのが苦痛(退屈)。

正直、少し飛ばしました・・・^^;


96110cca.jpgガネ-シャのこの本の推薦文→→は、楽しいけど、
これも誇大広告としか、今は思えないなぁ~。

今回は、かなり辛口になりました。

多少、期待して読んだ反動ということでお許しを・・・(笑)




★★
b94ab5cd.jpg発行年月:2009年1月


高2の夏休み前、由起と敦子は転入生の紫織から衝撃的な話を聞く。彼女はかつて親友の自殺を目にしたというのだ。その告白に魅せられた二人の胸にある思いが浮かぶ------「人が死ぬ瞬間を見たい」。由起は病院へボランティアに行き、重病の少年の死を、敦子は老人ホ-ムで手伝いをし、入居者の死を目撃しようとする。少女たちの無垢な好奇心から始まった夏が、複雑な因果の果てに迎えた衝撃の結末とは?

                      
(本裏の解説文より)

前作の「告白」を読んだときの衝撃が、またあるのか?
そんな気持ちで本を開き、いきなり「遺書」で始まるのには、早くもビックリ!

↑の解説文にもあるように、二人の少女(幼なじみ)が、転入生から聞かされた衝撃の事実に心を動かされ「人の死ぬ瞬間をみてみたい」とそれぞれ思う。

二人はそれぞれ別々に「人の死を見る」機会がありそうな場を選んで働く。
ここで、二人が相談して行動してないというのが、いい。
「人の死を見たい」という言葉だけ見ると、なんて子たち!って思うかもしれないけど、わたしは、ある意味、普通の感覚かも?と理解しました。
こんな事かんがえるのはいけないことなのかな?という気持ちが少しあったから一人一人で行動に移したのかな?と。
そこで、自ら手を下したら困るのだけど・・・・・。

二人は、不純な気持ちではありますが、それぞれの場でそれなりに一生懸命、働いていたし。
「人の死を見たい」と思ってはいても、いざ、目の前で苦しむ人がいたら、自然に助けたいと思い行動する場面もあって。
微笑ましい場面もあり、普通の青春小説としても成立しそうな展開。

でも、そうはいかないこの方の物語!^^;
段々、それぞれが働く、病院の患者と老人ホ-ムの入所者に出てくる人たちが、結びついてきて・・・・最後は本当にまた衝撃的でした!!

少女たちが抱えていた諸々のことも、重かったし
最後は「告白」同様の後味の悪さが残りますが
思いがけず、友情の再確認が出来たり、ずっと会いたかった人に会えたりする場面もあったので、「告白」よりは、少し軽く読めたかな?


湊さん、こういう話ばかりずっとこれからも書き続けるのかしら?
普通の青春小説も十分、書けそうなのに。

刺激を受けたいために、また新刊が出たら読むこと間違いなしですが・・・笑
でも、こういう感覚って、少女たちが感じた好奇心とちょっと通じるものあるのかも・・なんてちょっと思ったりして。
人って、どこかで、自分に関係ない事なら残酷なことを見てみたいって思ってしまう生き物?


★★★★


 
d8585d54.jpg発行年月:2006年2月


世界的ベストセラ-『悪童日記』の著者による初めての自伝

祖国ハンガリ-を逃れ難民となり、
母語ではない「敵語」で書くことを強いられた、
亡命作家の苦悩と葛藤を描く

                    (本の帯文より)


文芸誌の紹介文に惹かれて読みました。

1956年、ハンガリ-動乱時にまだ生後数ヶ月の娘を抱いて夫と共にスイスに亡命した著者。

彼女の幼い頃からの記憶を辿りながら、話は進みます。
幼い時は本を読むことばかりしていたが、やがて物語を作り、人を喜ばせることに自身も喜びを得たと。
しかし、国内は他国の軍に占領され、敵語であるロシア語を学ぶことを学校で強いられ、また成人した後、フランス語圏に辿り着いたら、今度はフランス語を生き延びるためには取得しなければならない事態。

話すことは、割とすぐ出来ても、読むこと、まして書くことに関しては遅れる。
自分のなかで、祖国の言葉が殺されていくようと書いている著者の言葉は痛烈。

歴史的背景をみても、一生日本で暮らす日本人には、こういう経験した人いないでしょうし・・・。
想像以上のそこには、苦しみがあったと思います。

しかし、自分は物語をつくり、書くことがしたい!と本来の自分の気持ちを取り戻したとき、ここで書くためには、話せるだけじゃだめなんだ。
文盲のためではいけない!と気づき
26歳で読み方を学ぶための大学の講座に登録し、勉強を始める。

そして、最初に発刊されたのが「悪童日記」とか。

その書は、多くの国の言葉に訳され、世界的ベストセラ-となったそう。

わたしは、まだ読んでいないのですが、近いうちに是非、読みたいと思います。
調べたら、3部作らしいので、根気要りそうですが。

歴史的背景には、過酷なことももっとあったと思いますが、それらにはあまり詳しく触れていません。
ただひたすら、自分が書くことに向かって生きてきた事実のみが記されているかんじ。

100ペ-ジちょっとの短い本なのですが、印象に残る本でした。

★★★★
70aeddf8.jpg発行年月:2009年1月

昭和41年の東京下町。
山形・酒田から出てきた受験浪人生の康夫は、
住み込みの<個室あり>のふれ込みに惹かれて、Y新聞販売店で働くことに。個室といっても段ボ-ルで仕切られただけのもの。
同じように住み込みで働く仲間と、配達先で出会う人々との関わりを描いた青春小説。



著者の北氏は、確か山形県酒田の出身。
以前、読んだ「汐のなごり」でも故郷の物語を書いていました。
故郷の酒田が、きっと好きなんですね。

「汐のなごり」は時代物でしたが、こちらは、ちょっと前の話ですが現代物。

主人公の康夫が、40年前のことを振り返るという形で物語が始まります。
昭和41年の東京といえば、ちょっと前に読んだ奥田英朗の「オリンピックの身代金」と同じ時代。
ちょっと共通するような話もありました。

大学受験に失敗し、故郷で浪人生活をしても合格の見込みは少ないのでは?と考えた康夫は自分の意志で東京に出て、そこの予備校に通うことに決めます。
国立大学入学を目指して。

目標に向かって、慣れない環境でヘトヘトになりながらも懸命に生きる主人公の姿は自然と応援したくなります。
でも、途中、配達先の高校生・サキと出会い、恋に落ち、一時、勉強よりデ-トに夢中になるところでは、苦笑い。
ま、若いから仕方ないけど・・・^^;
でも、これがまた一大事へと発展するのでハラハラ。

出てくる人たちが、一風変わっていて、可笑しい。
でも、みんなそれぞれ夢に向かって真剣に生きてるんだろうな~。

そんななか、浪人生の矢田は、気の毒だったなぁ~。
東大合格後、3ヶ月で休学しその後、退学・・・しばらくして、再び受験、合格・・・・でも入学手続きせず・・・なんで!?
その理由は、哀しい。
勿体無いなぁ~。なまじこんなに頭良くなかったら、別の人生あったかもしれないのに。
でも、それは矢田の性格だから、同じなのかな?
なんて、主人公・康夫の将来よりも、こちらに興味の矛先が変わりました。

最後、再び、現在の康夫に戻って語る話しで、あ~みんなそれぞれ大人になったのね?
と嬉しかった。

表題の「鳥かご」読む前は「なんのことかな?」と思いましたが、なるほど!
ま、これはすぐ分かることですけどね。

★★★
カレンダー
01 2025/02 03
S M T W T F S
1
3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28
メ-タ-
kyokoさんの読書メーター
カテゴリー
フリーエリア
最新コメント
[09/20 kyoko]
[05/23 のぶ]
[09/15 kyoko]
[09/14 ひろ]
[03/06 kyoko]
最新トラックバック
プロフィール
HN:
kyoko
HP:
性別:
女性
自己紹介:
台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;

バーコード
ブログ内検索
P R
カウンター
フリーエリア

Copyright (c)本を片手に・・・ All Rights Reserved.
Powered by NinjaBlog  image by Night on the Planet  Template by tsukika

忍者ブログ [PR]