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読んだ本の感想あれこれ。
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455a2899.jpg発行年月:2008年4月


アメリカでは、人種問題についてその核心に触れることなく、タブ-化している。シェルビ-・スティ-ルは、オバマを題材に、説得力ある筆致で、この痛ましい現実を真正面から取り上げている--------ニュ-ヨ-ク・タイムズ

   
       
                  (本の帯文より)


図書館のノンフィクションコ-ナ-を眺めていて、この書が目に留まりました。
オバマ氏関連の書物は、たくさんありましたが、何故かこれに惹かれました。


本書の発行は、2008年4月。
オバマがアメリカ合衆国大統領に就任したのは、2009年1月なので、もしかしたら、アメリカ初の黒人の大統領の誕生か!?という時期に書かれたものです。

著者は、本書の中でも述べていますが、オバマ氏と同じ立場。
シカゴ出身で母親が白人。父親が黒人の、いわゆる混血。
そんな立場の著者ならではの視点で、書かれた本。


オバマの大統領選挙に臨む姿勢とか、政策などについては、殆ど書かれていないので、どうアメリカという国(世界)を動かしていこうと思っているのか?が知りたい人には、ちょっと肩透かしな本だと思います。
けれど、アメリカという人種問題を抱えた国で、大統領という立場で臨む、今後のオバマ氏については、いろいろと過酷な課題が山積みであるということが、なんとなくわかるものでした。

日本人のわたしには、「オバマって白人と黒人の混血なのね?」という認識なのですが、アメリカ人には「一滴の血のル-ル」があるそうで、つまり、一滴でも黒人の血が混ざっていたら、黒人という人種差別主義があるのだと。
そういう意味で、オバマ氏は黒人なのですね。

でも、なら黒人として見なされるというわけでもなく・・・・黒人のなかには「純粋な黒人じゃない」と見る人もいるのが厄介なところ。

最近では、人種差別をしてきた側の白人には、過去の差別に対する罪の意識から、黒人だから・・・・と社会のなかで成功する妨げになる要素にはならないと考える人が多いのも事実だとか。

むしろ、そのことにいつまでも執着してるのは、黒人の側とも。
個人の問題を人種問題にかこつけて、自己責任から逃避している人もいるのは問題だと。

なるほど・・・難しい問題だ・・・。


そんな白人と黒人、それぞれに支持されなければ、黒人が大統領になれない国、アメリカ。

が、オバマはどちらからも高支持率で大統領に就任。

白人は、オバマを大統領にしたことで、かつての人種差別の罪に免罪符をもらったような気持ちになり、黒人は、オバマが大統領になったことで、自分たちの要求を政策に反映してくれると期待する。

著者が言うように、どちらにも合う仮面をつけるのが上手な人だからかな?
意識的にしているのかどうかは、わからないけど。


最近のニュ-スでは、支持率低下傾向と言っていますが、それでも50%以上あるわけで、日本の総理大臣は・・・・・・?

まだ、就任半年ですから、そう簡単に経済が上向きになったり、明言どおり核兵器のない世界にはならないでしょう。

でも、どこか誠実そうな、あの容姿は、アメリカ人ではないし、経済情勢や政治に無知なわたしにも「何か良い方向に導いてくれる人なんじゃない?」という漠然とした期待を抱いてしまう不思議な魅力があるのよね?

日本にも、そういう期待を抱けるリ-ダ-が現れたらいいのに・・・・・。


そんなに厚い本でもないし、分かり易い文章で読みやすく、知らなかったことがいろいろ書かれていて勉強になりました。

★★★★



PR
c72f8261.jpg発行年月:2009年4月


ピピンとトムトムは仲良し。
大好きなテレビ「怪盗ダンダン」が放送される日以外は、学校帰り二人であれこれ楽しいお話をして過ごすのが日課。
ある日、ピピンの住むドレミファ荘の最上階に住む100歳のチェントさんが、ある決まった曜日の夜中になると何やら怪しげな物音が聞こえると聞き、その真相を探ることに・・・。



たかどのさんの新刊、待ってました!!
子供たちが小さい時は、絵本を何度も繰り返して読んであげました。
たかどのさんのイラストがまた可愛らしいので・・・。

今回は違う方の絵ですが、この絵の雰囲気もいいですね~(^^)

物語は、小学生の男の子二人の、ちょっとした推理物?と思ったら、真相がわかったところから、素敵な物語に発展していきました。

夜中の物音の犯人は、全然、怖い人じゃなくて・・・・。

100歳のチェントさんもとてもチャ-ミングだし、登場する人たちが楽しい♪

読んでいて、ワクワク。ニコニコ。

今回も子どもが読んでも、大人が読んでも楽しいお話でした!

★★★★


b89b35b7.jpg   発行年月:2009年6月


   ジャンルを越えた物語が飛び出す玩具箱のような1冊

   明日、おとなになるこどもたち

   希望きらめく6つの物語   

                         (文藝春秋HPより)

「謹賀新年」・・・父親が急死し、若い継母とこれから二人で生きて行こうと心に決めた高校生。

「ぼくの神様」・・・不可解な父親の死の真相をつかみかけた少年。

「がんじっこ」・・・村で頑固者(がんじっこ)と疎まれる存在のシゲばあ。でもそうするのにはわけがあった!都市部の短大を卒業し、村に帰ってきた女性がそのわけを知る。

「孫の恋愛」・・・人間に恋をしたと相談を受ける祖母。命がけで貫き通すだけの覚悟を決めろと諭す。

「しっぽ」・・・朝、起きたら、しっぽが生えていた小学生。自分の神様だという不思議な生き物も現れていじめっ子も自分にひれ伏す不思議な現象を体験する。

「この大樹の傍らで」・・・宇宙の果てで生きる少年が、かつて先祖たちが暮らしていたという地球に帰ろうとする。


どの話も、素晴らしい!
さすが、あさのさん!

SF物あり、ファンタジ-物あり、青春物あり。
どれも、もっと話が広がりそう。

もっともっといろんな話が読みたい!と思いました。

文藝春秋のHPを見たら、これは新聞に連載された12編のうちの6編だそうで、あと6編が12月に刊行予定だとか。
待ち遠しい!!


★★★★
8e70fb30.jpg発行年月:2009年2月


山荘での退屈な時間を過ごすために発明(?)された、独創的な「遊び」の数々・・・・・ケイバ、顔、それはなんでしょう、軍人将棋。魅惑的な日々の「遊び」が、ひと夏の時間を彩ってゆく。小説家「コモロ-」一家の別荘に集う、個性的な(実在する!?)友人たちとの夏の出来事をつづる、大人の青春小説。第一回大江健三郎賞受賞作家による朝日新聞夕刊連載の単行本化。

                         (朝日新聞出版HPより)

著者の私小説でしょうか?

夏になると作家の「コロモ-」氏の別荘に集まる人たちの、可笑しな遊びの数々が披露されます。
とくにそこに珍しい出来事が起こるわけでなし、延々と大人同士が山荘の中で遊ぶ様子が書かれているのです。

最初は「なんじゃこりゃ?」なのですが、読んでいくと、なんだか、そんな世界に自分も浸かっているかんじ。
登場人物たちの普通の会話のやりとりが、妙に可笑しい。

遊びは、全部、家の中で出来る物。
麻雀パイを使った「ケイバ」という遊びやら、軍人将棋にも特別な役割の駒を増やした遊び。

物を全く使わない遊びも可笑しかった。

「それはなんでしょう」と「ダジャレしりとり」最高!
わたしも遊びたい!
一緒にやってくれる人、居るかが問題だけど・・・・^^;


こんな小説、初めて。
意外性のある小説。

読み始めて、暫くで「あ、つまんない」と思った人は、最後までつまんないかもしれないけど、読み始めて「へ~おもしろそう」と思ったら、最後まで、そのかんじは持続します(笑)

わたしは、後者だったので、最後まで面白く読めました。

そういえば、中学生の頃、軍人将棋、よく弟と二人でやったなぁ~。
すっかりル-ルは忘れたけど、また遊びたくなった!

★★★
5deffa32.jpg発行年月:2009年2月


12歳のおふくは、江戸・深川の料理茶屋「橘屋」に奉公に出る。
仲居頭のお多代に厳しく躾られ、おふくは仲居として成長していく。

橘屋に関わりのある人々の生き様を書いた連作7つの物語。




自分の与えられた仕事を誇りをもって真剣に取り組むことの大切さを感じました。

この時代の話は、ほかの小説でも読みます。
12歳くらいになると、よほど裕福でない限り、子ども達は親元を離れて、奉公に出る時代。
そして奉公先での苦労話。


おふくも12歳で慣れない場所に来て、仲居頭の、お多代に厳しく躾けられ、時には涙することも。
しかし、自分の居場所は、ここしかない!ここで頑張るしかないのだ!という気持ちが常にあるかんじ。
お多代のことも、厳しいなとは思ってもイヤだなとは思わない。

どんなに厳しくても、一生懸命に仕事に励む姿が、周りで働く人々やお多代にも認められます。

7つの連作短編ですが、舞台は、料理屋「橘屋」なので、違う話でも、おふくやお多代が登場し、橘屋の様子をずっと覗き見しているような気持ちで読めて楽しかった。
厨房の料理をする様子も見えるよう。
包丁のトントンという音が聞こえて、何かを煮込む鍋から湯気がたちのぼる。
お客さんに膳を運ぶ、仲居の廊下を忙しく行き交う姿。
そんな物を自然に頭に浮かべるかんじ。

おふくの成長も頼もしかったのですが、厳しくしながらも、きちんとその成長ぶりを認めている、お多代が素晴らしい。
こんな上司の下でなら、どんな苦労も厭わず、部下は働けるんだろうなぁ~なんて現代に置き換えたりして。
おふく以外の仲居たちへの指導も的確で、実に格好いいのです!
女性として憧れるちゃいます。

しかし、そんな格好いいお多代も時代的には、とても苦労していて、最後の方で20歳になった、おふくとお多代の会話は、感動しました。

現代でいうと、上司と部下みたいな関係だったのが、信頼し合う友、いやそれ以上かな?
信頼し合う姉妹みたいな雰囲気で、良い感じ!
なんだか、泣けました。

表紙の絵にある鳥は、百舌(モズ)で花は橘でしょう。物語のなかにも登場していました。


切ない恋もあり、この時代ならではの、しっとり落ち着いた雰囲気がいい。

児童書、青春物、そして時代物・・・・何を書かせても上手い作家さんだなぁ~。

★★★★

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