鳩撃ちたい会で活躍するのがひねり屋。
死にそこなった鳩の首をひねる少年たちだ。
しかし、パ-マ-はその役目がいやでたまらない。
1998年ニュ-ベリ-・オナ-賞受賞
(理論社HPより)
次女が、図書館で借りて、面白かったと言っていた(夏休みの課題、読書感想文もこれにした様子)ので、わたしも読んでみました。
ある町の恒例行事、「鳩の日」。
シュ-タ-たちが木箱から放たれた5千羽の鳩たちを一斉に撃ち落す競技が開催される。
そこで、地面に落ちた死に損ないの鳩の首をひねって、とどめをさすのが「ひねり屋」。
10歳になると、ひねり屋の訓練をして、大会当日に備えるのが少年たちの定め。
大会の日、ひねり屋により、次々と鳩が回収される。
そしてそれは、温情であり、「鳩の日」には無くてはならない大切な役目とされる。
そして、その大役を果たすのは、10歳の誕生日を迎えた男の子と限られている。
こんな町、イヤだぁ~!!
祭りの日には、大勢の観客が鳩撃ち大会を見学に訪れるそうですが、わたしは見たくない!!
怖いし・・・気持ち悪いし・・・^^;
でも、小さい頃から、この町で暮らす男の子たちは、はやく「ひねり屋」になりたいと願う。
でも、そんななかで、パ-マ-少年は、鳩の首をひねるなんてイヤだなと思っていた。
悪がきトリオに虐められる日々のなか、一羽の鳩に出会い、仲良くなり、こんな町で鳩を可愛がるのは難しいとしながらも部屋に匿ったりする。
そして隣に住む、女の子・ドロシ-とは心が通じるのに、悪がきのイジメの標的でもあるドロシ-を一緒に無視したり、ヒドイ言葉を投げかけたり・・・・
パ-マ-は、いろいろな者から、自分の本心を隠して生活している。
両親は気づかないのか!?と最初は思ったけど・・・・最後の方で、ちゃんと見守っていたのだとわかってホッとしました。
パ-マ-少年が、本心を隠し周りとの調和を取ろうと必死な様子が、健気で泣けます(/_;)
でも、最後は・・・・ちょっとスッキリ!明るい気持ちになれて良かった(^^)
訳者のあとがきに・・・・
この何とも残酷な鳩撃ち大会、実はアメリカのとある町で毎年、行われていることだとか!
ビックリ!悪趣味な物語上の設定だと最初は思って読みましたが・・・・
動物愛護団体からクレ-ムが来ないのかな??
でも、これ少し前の話なので、今は、もう行われていないかもですが・・・・。
今ももし開催されているとしたら、ホント、訳者のいうように、この物語のパ-マ-と同様の気持ちで悩んでいる子がいるかも。
大人でも十分、楽しめるお話でした!
この著者、知らなかったけど、他にもニュ-ベリ-賞(アメリカの児童文学に与えられる最高の賞)を受賞しているそうなので、それも読んでみたいな~と思いました。
金花糖、動物ヨ-チ、クリ-ム玉、地球モナカ・・・・時代を彩る駄菓子からエキゾチックな洋菓子、伝統の和菓子まで、ナガノマユミの自伝小説にもなっている、すべてがお菓子でできた甘く懐かしい物語。
(河出書房新社HPより)
先ずは、可愛らしい表紙に惹かれます。
イラストも長野さん。
1959年生まれということで、わたしよりちょっとお姉さんですが、生まれた頃から、現在までのお菓子事情が綴られているので、わたしにもとても懐かしいお菓子も登場したりで、最初から最後まで楽しく読みました。
お母様が偏食家ということで、子どもの頃は、味見しないで出される料理の話は可笑しかった。
森永のホットケ-キミックスがお気に入りで、現在も森永一辺倒とか、他にも小さい頃からの思い入れの強いものを変わらず愛しているのが微笑ましい。
でも、ホットケ-キミックスに昔は、粉末のシロップが付いていたのは、知らなかったなぁ~。
長野さん曰く・・・・デパ-トの食堂のホットケ-キの味になるのだとか。
わたしも食べていたでしょうけど、覚えてないですね~。
今の液体シロップは好きじゃないので、使わないのだとか。
どういう味だったんだろ?
妙に気になってしまった!(笑)
小さい頃、クリスマスに買ってもらった、長靴に入ったお菓子。
長靴に入っているだけで、珍しくもないお菓子が、何か特別のものみたいで嬉しいという感覚はよ~く理解できます!
そして、すぐ壊れるとわかっていても、何となく足を突っ込んで履いてみたくなる衝動。
おんなじ、おんなじ・・・・^^;
年代を追って、その年に人気のあったお菓子。好きだったお菓子など、いっぱい出てくるので、お菓子の年表が出来そう。
そして、長野さんご自身の記録にも繋がっていて、作家になる前は、デパ-トに勤務されていたとか、そして、美大卒だから、こんな素敵なイラストが描けるのね?ということもわかりました。
「少年アリス」のイラストも素敵だった!
そして、その「少年アリス」の原型は、中学生のときに既に出来ていたという話も今回、この本で初めて知りました。
人間でなく、鳥が主人公なのですが、それを書いた経緯には、中学時代から飼い始めた九官鳥に影響されて・・・・など。
お菓子の話の他にも、その時代のニュ-スも出てきて、同じ年代を経た人ならより楽しめる書でしょう!
<英雄>を捕え兄を連れ戻すべく、数多くの物語を旅する
少女の過酷な追跡が始まる------。
時代を合わせ鏡に、いまを生きる私たちの姿を
描き出すファンタジ-。
(毎日新聞社HPより)
上巻は、下巻へのプロロ-グ的で、やや読みながら疲れましたが、下巻はなかなか面白くぺ-ジをめくるスピ-ドもUP!
異世界にいよいよ舞台を移して、仲間と共に、<英雄>に魅せられた兄を救おうと旅たつ妹・ユ-リ。
小学5年生の女の子なので、最初は、泣いたり、ちょっと大丈夫か!?と心配しましたが、次第に自分の力を信じ、勇敢に物事に臨む姿に成長を感じました。
子どもって、自分の役割を理解すると、意外と力を発揮したりしますからね。
そして、どうして、優しく賢い兄が、同級生の命を奪ったのか?
その事実も知らされ・・・・・
兄を連れ戻すという目的は簡単には果たせないことだと知るユ-リ。
ブレ-ブ・スト-リ-とこの辺は、ちょっと似た結末だなぁ~。
おおかた予想はしていましたが・・・・^^;
現実の世界に戻ったとき、それでも友理子は、体験により兄の真実を知ったことで、明るく前を向けるようになれたのかな?
辛いことを乗り越えるためには、ちゃんとした事実を知る事も必要なのかも。
そのために、より一層の哀しみを経験するとしても。
善と悪は紙一重。
善を貫こうと悪を滅ぼしたはずが、ほかの悪をも生んでしまう事もある。
その悪を犯すことを覚悟してまでも貫き通す善をユ-リの兄・大樹は選んだのかな?
それはいけないことか?許されることか?
う~ん。むずかしい。
最後、もしかして、ユ-リは再び、旅に出ることになるのかな?という終わり方。
続きが出るのなら、また読んでみたい。
でも、これは、このまま終わった方がいいような・・・・。
最後まで楽しめたけど、ブレ-ブスト-リ-とどうしてもダブってしまって新鮮さがなかったな。
宮部さんには、もっと違うものを読ませて欲しい・・・個人的願望です^^;
小説家・鈴木タマキは、今は故人となった、緑川未来男が残した私小説と言われる「無垢人」に登場する緑川の愛人とされる○子の謎を追いながら自身の小説「淫」を書き上げようとしている。
小説「OUT」から10年。
「OUT」は、読みました。
確か、お弁当工場に勤める主婦の一人が犯した殺人を、みなで切り刻んで処分する話。
映画化もされたけど、映像でそれをみる勇気なく、未だに見ていませんが・・・・^^;
小説の内容は衝撃的でしたが、面白かった。
その関連本かと最初、思って手に取りましたが、全く別の物語でした。
「IN」は、人間の内面の葛藤というか、外からは予測できない事柄を書いている?
物語には小説家が複数出てきます。
過去の作品「無垢人」で、自分の私小説(といわれる)作品を残した緑川未来男。
緑川の妻で専業主婦から、童話作家として世に知られることになる千代子。
○子も作家・三浦弓実だと言う話も出てきて、その三浦弓実を師事していた村上貞子も作家。
ほかにも・・・兎に角作家ばかりが登場してくる。
作家の周りには、こうも作家ばかりが集まるものなのか?
途中、少々、混乱しながらも・・・・話が面白いので読み進めました。
緑川の私小説とされる「無垢人」の○子は誰?を元に取材を重ねるタマキも妻子ある編集者・阿部青司と別れたり、よりを戻したりを繰り返す。
自身も夫と子どもが居るのに・・・。
緑川の「無垢人」に実名で登場する人たちとその複雑な関係。
タマキの私生活のW不倫の顛末。
両方を交互に読ませる小説で、なかなか興味深かったけど、少し疲れたかな?^^;
登場する人たち、それぞれがインパクト大の人たちでした。
しかし、これを読んで思った!
小説家の家族(特に妻や夫)、恋人って大変だな~。
私小説なんて言われる物が出ると周囲はそれが事実なのか偽りなのか、知りたがり、そこに実名を出された小説家の家族や恋人にも興味の対象が及ぶですから・・・・。
文中のタマキの言葉
<真実は、真実ではないからです。真実と思えたものを書いた時点で、それはフィクションになります。それを知っている作家は、真実と思えるものを魅力的に、そして面白くします。そのためには、真実に間違われるフィクションが必要なのです>
これ、すごく印象深かった!
桐野さんの持論かな?
小説家が小説家を書くこの小説、なかなか深いものがありました!
面白かった!!
★★★★
発行年月:2008年10月
パリに暮らす一人のおばあさん。
ユダヤ人のおばあさんが、過ぎ去った昔を思い出しながら現在の日常を静かに語る。
フランスで20年以上読み継がれている絵本を、長くパリで暮らしている女優の岸恵子さんが初めて翻訳。
大人のための上品な絵本。
表紙の絵は、少し暗い色調ですが、中の絵は可愛らしいです。
ユダヤ人の歴史をあまり知らないので、この主人公のおばあさんが若い頃、どれだけの苦労をしたのか想像するのは、難しいのですが、大変な想いをきっと沢山したことでしょう。
しかし、その悲惨だった頃に対して、誰かを恨むとか全くなく、老いて若い頃のようにいかない事も多いけど、それについても一切の愚痴を言わない。
すごく我慢しているのが見えたら、可哀相と思ってしまうのだけど、このおばあさんは、笑顔がとても素敵で幸せそうに見える。
老いるって、今の自分には、ちょっと怖いなという部分もあったけど、これを読んでいたら、なんだか、少し年を取っても別に幸せでなくなるわけではないのだし、明るく日々を過ごせたら、それで十分なんだなぁ~なんて感じました。
本の形もちょっと縦長で面白いです。
柔らかいタッチのイラストがまた本を一層、素敵にしてくれていて、でも、やはり岸さんの訳が素晴らしいからこそ、この本の良さが伝わってくるんでしょう。
最後の岸さんの あとがき の文も素晴らしい!!
女優さんとしてだけでなく、こんな素晴らしい才能もあったのですね。
今まで知らずにいました。
翻訳は過去にもお話があったそうですが、全て断っていたとか。
ただ、この絵本の訳は是非、やりたくて、OKしたのだそう。
岸さんは、他にもエッセイなど書かれているようなので、是非、岸さんの書かれた文章をもっと読んでみたい!と思いました。
この絵本はお薦めです!!
★★★★★
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記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;