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読んだ本の感想あれこれ。
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bcd9b814.jpg発行年月:2009年9月


新聞記者の翔子が見つけた一枚の謎の写真。1939年、初めて世界一周をした純国産飛行機「ニッポン」号に秘められた真実。
アメリカ・カンザス州アチソン--この辺鄙な町で生まれ、世界へとはばたいていった有翼の女神。
より高く、もっと早く、ずっと遠くへ。

                   
(毎日新聞社HPより)

手に取ったときは、「おぉ~厚いなぁ~」と思いましたが、面白くどんどん読めました。

物語は、新聞記者の翔子が目にした1枚の写真。
世界初の世界一周をした飛行機「ニッポン」号の日本人乗組み員7人の写真。
だが、もう一人、白く塗りつぶされた箇所には、外国人、少女のようなはかなさが漂う者。


史実に基づいたフィクションだとか。

しかし、「ニッポン」号が世界初の世界一周を果たしたことは事実。
知らなかったなぁ~。
こんな偉業なのに・・・・なぜ?多くの人に知られていないの?

それには、時代的背景があるのですね・・・時は第二次世界大戦がはじまる直前。
日本の偉業を手放しで褒め称えるには、世界情勢上、難しい時代だったのかな?


アメリカ・カンザスではそんな世界情勢のなかで、純粋に空を飛ぶことが好きで、19歳でパイロットになり21歳で大西洋横断を単独飛行で為し遂げてしまった、エイミ-が居た。
しかし、飛行技術を軍事的目的に利用されてしまう。
あ~違う時代。戦争のあとに生まれていたのなら・・・・・。


物語は、「ニッポン」号の乗組員7人とエイミ-が出会ったところから、更に面白くなりました。
一緒に世界一周を果たすことを目的に。
8人に共通してあるのは、純粋に世界を一周したいという思いだけ。
戦争を目の前に緊迫する世界情勢など関係なく、日本人とアメリカ人がチ-ムとして同じ想いで飛ぶ。
日本人7人とエイミ-の機内でのやり取りも、緊迫感がありドキドキ。
そして、淡い恋心も芽生えて・・・・読みどころ満載の楽しい冒険話でした。


きっと沢山の資料からの情報を上手く使ってくださったんでしょうね。


わたしが一番、印象深かったのは、エイミ-がアインシュタインと出会い、会話する場面。
「自分は平和の為に飛んでいる。国境は人間が作り出したもので物理的には存在しない。世界はひとつ」というエイミ-に対して
「国境は確かに存在する。せかいはひとつじゃない。でもだから、共存することが大事」と言う。

なんだか、本当にそんな事があったかの描写で好きだなぁ~。
そして、日本という国について「美しい国だよ」とエイミ-に説明するアインシュタイン。

物理学者として、戦争の兵器となった原子爆弾などの開発に力を貸した?とか言われた事もあるそうだから、きっと「世界はひとつ」とエイミ-のように肯定出来なかったのかな?
なんて、考えてしまったり・・・。


物語の中のいろいろな事に、事実はどうだったのか?と興味が沸いてきます。

実際は、もっとシビアなものなのでしょうけど・・・

エイミ-のモデルは、実在した女性パイロット アメリア・イアハ-トさんという方だそうです。
女性として大西洋を初めて単独横断したことは、物語の中のエイミ-と同じ。
そして、1937年世界一周飛行中に南太平洋上で行方不明になられたそうです。


最後のあとがきを読むと・・・
やはり膨大な資料の整理と各所への取材など、大変苦労して書き上げられたものだとわかります。


原田さん!素晴らしいお話をどうもありがとう!!と拍手したい!

★★★★★






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a4fd0cbc.jpg発行年月:2009年3月


英国現女王エリザベス二世、読書にハマる。
おかげで公務はうわの空、
側近たちは大あわて。

                  (本の帯文より)




英国王室の話って、どうして面白いんでしょう。
ちょっと前に映画館でみた「クイ-ン」面白かったけど・・・・。

これは、エリザベス女王が読書にハマったら・・・・という仮定で書かれた物語。
でもフィリップ公爵や亡くなったダイアナ元皇太子妃の名前も登場してリアルな感じも。

物語の始まりから愉快。
ウィンザ-城で開かれた公式晩餐会の席で女王がフランス大統領に「ジャンジュネ」について訊ねる場面。
ジャン・ジュネって、読んだことないのですが・・・・フランスの作家で同性愛者で囚人だったとか。
女王が興味を持ったその著者の作品、わたしも読んでみたくなりました。


読書にハマったキッカケも面白い。
現実的にはありえない事なんでしょうけど。

そして、女王が読書にハマることで、困る事、あれこれ。
侍従たちは、いろいろな方法で女王の読書熱を妨害したり・・・

謁見者への質問内容が、「どんな本を読んでいるか?」に変わった事を予め招待者たちに教えておき、例えば・・・の作品名(著者名)まで伝えておいたり。

侍従たちにとっては、迷惑な女王の読書熱なのですが、女王自身は読書によって自身が変わっている事に気づく。
そして、ちょっと前と違った言動をするようになるのですが、そんな様子を「モウロクしたんじゃないか?」と囁かれたり・・・

女王ともなると大変だわね~。

でも、そんな女王がどこかチャ-ミングで人間味があっていいなぁ~なんて思いました。

80歳のパ-ティ-の場で自らの決意を語るところも好き。

現実には、これもないかなぁ?

イギリス人ならではの視点で書かれた物語であり、イギリスの王室(女王)だからこそ、こういう物語が成立するのかなぁ~?

映画「クイ-ン」のときも同様に思いましたが、日本に置き換えては、想像することすら無理なかんじですからね・・・・。



★★★

f8bdcb3f.jpg発行年月:2009年8月


武 誠治25歳。そこそこの大学を卒業し、そこそこの会社に就職したが、3ヶ月で自主退職し、再就職先が見つからずフリ-タ-生活に。

両親と三人で暮らしているが、父は家族を顧みず、母はうつ病に。
嫁いだ姉に叱咤され、このままじゃいけないと一念発起し、就職活動の傍ら、母親の看病、日給の高い重労働のバイトに励む



表題から、お気楽なフリ-タ-が頑張って働いて成功し、家を買うまでサクセススト-リ?なんて勝手に想像していました^^;

そしたら・・・・結構、シビアな状況で・・・。
折角、就職できた会社の研修で違和感を感じ、たった3ヶ月で自分から辞表を出しちゃう主人公・誠治。
その後の就職先も決まらず、コンビニでバイトをするが、そこでも、ちょっと注意されただけで腹を立てて一方的に辞めてしまう。
「なんだ!?この男は!?(怒)」とすごい嫌悪感を抱きました。

名古屋の病院経営の長男の元に嫁いだ姉が実家に来て、弟の誠治を罵倒したときはスカッ!としました~(^^)
自分中心の父親にも同じくガツン!と意見して、格好いいなぁ~。

母親はすごく優しい人なんでしょうね。
周りに気を遣い過ぎて、精神に異常を来たしてしまったんでしょう。
近所の人たちも残酷だったし・・・・。

そういう母親の辛い状況を嫁いだ姉から初めて聞かされて、誠治が変わる。

先ずは目標を2つたてて・・・
就職先を見つけることと取りあえず100万円貯めること 

肉体労働のキツイバイトも一生権命続けて、人が変わったかんじ。
自分の今までの甘い考え方もちゃんと反省。

バイト先の、おじさん達との会話がよかったなぁ~。
有川さんの「三匹のおっさん」に出てきたおじさん達同様、温かい言葉がいっぱいで・・・。
人生経験を積んでいる人の話だからこそ、説得力あるし。
説教じみてなく言い方も温かい。

父親への接し方もおじさん達との会話から学んだ事を思い出しながら、変えてみたり・・・・

誠治の方から接し方を変えると、父親・誠一の接し方も自然に変わる。
そんな二人の関係が、母親にも良い影響を与える。

そして、最後は、二つの目標をクリアしちゃう。

運が良かったんだと言えばそれまでだけど、そんなに都合良過ぎるというわけでもなく・・・
素直に誠治の成長を褒めてあげたい!
偉いぞ~!!これからも頑張って!!


最後の最後にちょっとこれは発展していくのかな~?という恋の予感もあって、
この辺りは有川さんらしい終わり方で、すき♪

★★★★


5932a2ab.jpg発行年月:2009年5月


物語の魔術師贈る熟成のサスペンス!
顔のない男、映画の謎、昔語りの秘密------ひとくせもふたくせもある人物が集まった嵐の山荘に死の影が忍び寄る・・・・・。

警告!訪問者には気を付けろ

                      (祥伝社HPより)


山中にひっそりたたずむ古い洋館。
嵐の夜。
洋館に集う、高齢者たち。
長男・千蔵 、次男・千次 、三男・千衛、末っ子・千恵子とその夫・宮脇協一郎 
そして、家政婦・更科
訳アリで預かっている愛華ちゃん

このメンバ-が集う館に、訪問者が来る。
物語の最初には、雑誌記者を名乗る井上とカメラマンの長田。
亡くなった映画監督・峠昌彦の追悼記事のための取材ということで、監督の幼い頃からを知るメンバ-に話を聞くのが目的と。

取材をしながら、一時は監督の育ての親であった、実業家・朝霞千沙子の事故死(湖での溺死)などにも話は及び、一族の周りにある不可解な次々と出来事が浮かび上がってくる。

館に数日前、届いた「訪問者には気を付けろ!」の警告文とも取れる物は誰が何のために出したのか?
そして「訪問者」とは誰を指すのか?

読みながら、訪問者がある度に、何が起きる!?と身構えてしまいました。
そして、起きる不可解な事件。
解決しないままの謎がどんどん増えていき、不安もどんどん増して行く。
こんな過程を楽しみながら・・・どう決着つけるの?恩田さん!?と思いながら読みました^^;

話のオチは、最後の訪問者が現れたときから、急展開。
意外といえば、意外だし、言われてみれば、なるほどとも思う。

読んでいる間の不安なかんじが一気に消失したのは、さすがの上手さかな?

でも、もうちょいホントのところ「えぇ~!?」という衝撃的事実が判明して欲しかったような・・・・

まあ、でも過程を楽しめたので、よかったか?

★★★
e58e3e37.jpg   
   発行年月:2009年6月


   明治40年、売れっ子女郎目指して自ら人買いに
   「買われた」少女フミ。
   満州はハルビンの地で、新しい人生が始まる。

   コバルト文庫の看板作家が満を持してオトナ女子に
   おくる、ハイパ-ガ-ルズエンタメ!!


                                
(角川書店HPより)

12歳のフミが自ら進んで人買いに女郎になりたいと申し出て、船でハルビンへ向かうところから物語が始まります。
アッケラカンとした明るい物言いですが、辻芸人として父親と日本のあちらこちらを旅していたのに、その父親に捨てられたという。
なんて、不憫な・・・。
でも、1つ年上のタエと共に、遊郭の女郎部屋に住まい、下働きからの生活が始まる。
大変そうだけど、どこか楽しんでいるような明るさがあって、救われる。
誰に対してもハキハキとモノを言い、物怖じせず、実に逞しい。

物語の最初の方で、スリに遭い、そこを助けてくれた青年・山村と知り合う。
自分が女郎を目指していることなどを話し、いつか店に来て欲しい。大人になったら、ちゃんと自分でお礼がしたいと言う。
そんなフミの言葉を楽しそうに聞きながら、いつになるかわからないが、必ず再会を・・・と約束して別れる。
あ~いつ再会するんだろ?と楽しみながら読みましたが・・・なかなか登場せず・・・笑

その代わり、登場した華族の次男坊だという黒谷。
フミを気に入るので、二人の関係はどうなっちゃうの?と心配。
でも、この人が良い人そうで安心(^^)

そして、最後の方でやっと山村との再会。

でも、迷うのよね。
二人の男の間で迷うのではなく・・・フミの心の中には山村一人なんだけど、そのほかのことで。
この辺は、フミの立場に立つと、決断は難しいなぁ~。
自分だったら、どうするだろう!?

フミの決断は、でも正解でしょう!
わたしも同じ立場なら、そちらを選びます(聞いてないか?^^;)


明治時代の史実もちょこちょこ出て来て、伊藤博文がハルビン駅で暗殺されたのは、この頃だったんだ!?なんてちょっとビックリしたり・・・。

女郎の話なんですが、一貫して、爽やかです。
女同士の争いはあるんですが・・・。
一人の少女の青春物語というかんじで楽しく読みました。

もうちょっと成長したフミの様子も読みたいな~
と思ったら、続編が出る予定とか。

楽しみに待ちたいと思います!

★★★★

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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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