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読んだ本の感想あれこれ。
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aca60afc.jpg発行年月:2009年4月


『ゆれる』で世界的な評価を獲得し、今、最も注目を集める映画監督が、日常に潜む人間の本性を渾身の筆致で炙りだした短編集。

『ディア・ドクタ-』に寄り添うアナザ-スト-リ-ズ。


                     
  (ポプラ社HPより)


『ゆれる』は映画も本も読みました。
人間の内面にある心理の揺れを描いて、映画も本もそれぞれに感動しました。

この作品も人間の内面にあるものが、よく描かれていました。
短編集ということで、5つのお話。

「ありの行列」「ディア・ドクタ-」「満月の代弁者」は、都会の最先端医療の現場でない場所(僻地)での医療に臨む医師たちが描かれていました。

映画化された「ディア・ドクタ-」は、まだ見ていませんが、ここでは、主人公の目線でみた家族の姿が描かれていて、医師を目指しながら、違う道に進ん兄に対する憂いなどが伝わり、切なかった。


最初の話「1983年のほたる」は、病院は出てこなかったかな?・・・・^^;
もしかしたら、映画「ディア・ドクタ-」に関わる人物の子ども時代?
主人公の女の子は小学生で、都会じゃない村のなかでいろいろ彼女なりに、考えがあって努力し、自分の道を進んでいく。
高校生になった彼女が生き生きして、かつて自分より高いところに居たような同級生と対等に付き合っている様子は、読んでいて気持ちよかった!

一番個人的に好きなのは「ノミの愛情」、かなり自尊心も高い外科医の夫とナ-スの妻の話。
日常のやり取りもなかなか面白いけど、夫の具合が悪くなり、救急車を呼ぶ呼ばないの問答。

自分が元看護師なので、もしも・・・夫が医師で同じ状況になったら・・・
なんて、つい想像しちゃって可笑しかった。


短編集なのに、ひとつひとつの話の中の人物たちの心境やらその置かれた状況が、
すごくよくわかって、映画監督だからなのか?
その状況が視覚的に浮かぶような表現で、どの作品も良かった。

映画『ディア・ドクタ-』も見てみなきゃ!!

★★★★
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dd10cedd.jpg発行年月:2009年9月


江戸の匂いも残る日本橋の一角で発見された、ひとり暮らしの四十代女性の絞殺死体。
「どうして、あんなにいい人が・・・」周囲がこう声を重ねる彼女の身に何が起きていたのか。
着任したばかりの刑事・加賀恭一郎は、事件の謎を解き明かすため、未知の土地を歩き回る。


                                      
(講談社HPより)

ひとつの殺人事件の聞き込みをしながら、事件の起きた人形町近辺を回る刑事・加賀。
この土地の新参者というわけですが、情報収集能力は素晴らしい!

9章に分かれて、いろいろな場面で、情報を得るなかで、事件に直接は関係しない人のちょっといい話が散りばめられていました。
殺人事件の真相も気になりますが、加賀が聞き込みで接した、人形町の人々の日常の出来事が楽しかった。

お店が多く出て来ました・・・・煎餅屋、料亭、瀬戸物屋、時計屋、洋菓子店、清掃屋、民芸品屋

町の様子が浮かぶよう。歩いてみたくなる。

後半部分になると、段々と被害者の近い間柄の人たちとの接触になり、事件の真相も段々と明かされる。
被害者の生前の暮らしぶりを知ると、何とも無念と感じました。
生きていたときの事を知ると、犯人に対する憎しみも倍増!

直接、犯人逮捕に結び付かないような情報も得る加賀ですが、それらについて
「事件の捜査だけが刑事の仕事じゃない。事件によって心が傷付けられた人がいるのなら、その人だって被害者だ。被害者を救う手段を探しだすのも刑事の役目」と言う加賀刑事は、素敵!

こんな人情に厚い刑事さん、いいですね~。

事件の真相も明かされ、犯人もわかり、スッキリ!

なかなか面白い展開でした。

この加賀刑事が登場の作品は、シリ-ズで結構、あるようですね。
最後の著者経歴を見ていたら、そのシリ-ズ物の作品名がありました。

わたしは・・・・「赤い指」しか読んでなかったですが・・・加賀刑事、こんな人だったっけ?あまり覚えていません^^;

かなりこの刑事さん、気に入ったので、過去作品の加賀刑事を知りたくなりました。
今度、読んでみよう。


★★★★
246e0f6f.jpg発行年月:2009年7月


ライラックの森にユニコ-ンが暮らしていた。
あるとき、自分は世界でただ一頭のユニコ-ンになってしまったのでは?の不安に駆られて森を抜け、仲間探しの旅に出る。

1968年発表の名作ファンタジ-「最後のユニコ-ン」に37年ぶりに続編「ふたつの心臓」を併せての完全版


文芸誌に紹介されていて、読んでみました。
結構、厚い本で、少し読むのに時間がかかりましたが、面白かった。
面白いと簡単に言えるものではなく・・・・物悲しいけれど美しい、最後は、ちょっと温かいものも感じるお話で、結構、好みの作品でした。

「最後のユニコ-ン」では、自分以外の仲間の存在が気になり、ずっと暮らしていた森から出て、仲間探しの旅に出るユニコ-ン。
自分は気高く美しい生き物と自負していたが、森を出て遭う人間たちには、ユニコ-ンをユニコ-ンとわからない。
そのことに戸惑うユニコ-ン。
まさに浦島太郎状態ですね・・・哀しいです(/_;)

けれど、旅の途中にユニコ-ンに気づいた者がいた。
それは魔術師のシュメンドリック。
もう一人・モリ-・グル-をお供の仲間に、ユニコ-ンの仲間探しの旅に同行する。

旅の最後に訪れたお城で、そこに住む、王と王子と4人の兵士に出会う。

王子とユニコ-ン(魔法で若い美しい姫に変えられて)の恋。

ユニコ-ンの敵、赤い雄牛との対決。

冒険のクライマックスは、ハラハラドキドキ。

魔法によって、人間の心を持ってしまったユニコ-ンの最後の決意は、哀しい。

魔術師に出会わなかった方が幸せだったんじゃないか?
でも、ユニコ-ンのままなら体験出来なかった恋を経験出来たのは良かったのか?

そして、その続編にあたる「ふたつの心臓」
「最後のユニコ-ン」から37年後に発表とあるが、物語自体もかなりの年月を経た様子。

ユニコ-ンが恋した王子は、王になっていたがかなりの高齢。

魔術師・シュメンドリックとモリ-は、その王を雄牛との闘い以来、初めて訪ねようとしていた。
その途中グリフィンにさらわれた友達を救い出してほしいと王様にお願いしに行こうと思っている9歳のス-ズと会い、一緒に王の元に。

リ-ア王は再会を喜び、そして、自らグリフィン退治の為、ス-ズの村に出向く。
王である事を隠し、王に仕える騎士の一人であるとして・・・・


再び、壮絶な闘い。
またまた、ハラハラドキドキ。

そして・・・・・

哀しい・・・・でも美しい・・・・最後に駆けつけたユニコ-ン。

再び出会えて良かった。

読み終えたあと、なんだか、ず~っと不思議な余韻が続いていました。

これ、続編も含めての映像化されないかな?

訳者の金原さんが「あとがき」で書いていますが、「指輪物語」「ゲド戦記」とは、ちょっと違った幻想的ファンタジ-だと思いました。

何度か読み返したい物語!


★★★★★

e266e943.jpg発行年月:2009年6月


昭和四十年代、子供達のひと夏の“冒険”を描く---小学五年生の文弘とつ-やんと雄ちゃんはいつもつるんでいる仲間だ。文弘は祖父から「町には不発弾が埋まっている」という話を聞く。三人は、人気者になりたいという下心で不発弾探しに乗り出すが・・・・・。


                    
(双葉社HPより)


物語は、大人になった文弘が息子にひと夏の思い出(不発弾探し)を語る形で始まる。

昭和46年に小学5年生だった、少年たち。
わたしは何年生だったかな?と思わず計算・・・・^^;
もう少し、下の学年でしたが、それでも当時のテレビ番組、流行のギャグなどは、覚えているので、懐かしく、楽しく読みました。

ぶんちゃん、つ-やん、雄ちゃんの三人のやり取りが楽しい。
当時、そんな男子、クラスにもいたなぁ~いっぱい(^^)
それで、そんな様子を「全く男子って、ばっかみたい」って呆れながらも楽しんでみてるわたし達女子。

不発弾探しという夏休みの大きな目的を為し遂げる3人組男子の話を展開しながら
男の子ならではの、意地の張り合いだったり、何かと文句を付けてくる上級生たちとの対決、ちょっとすかした東京からの転校生へのライバル意識などなど、話題豊富に物語が進んで、いきました。

三人に加えて、途中からは転校生の高井くんも仲間入り。
最初は、高井くんを疎んでいた三人なのに、すっかり昔からの仲間みたいになっていくのが微笑ましかった。
いじめっ子上級生・矢口くんとの対決話もハラハラしたけど、丸く収まってホッ!

いいなぁ~こういう話。

これ、男の子の物語だけど、この著者ってもしかしたら・・・と途中から思い

あとがきを読んで・・・あ!やはり、この方、男性だったのね!?と初めて知りました(笑)

何作か読ませて貰っていますが、勝手に女性だと思い込んでいたのです。



同じ年代の特に男性だったら、より楽しく読めるでしょう。
取りあえず、主人にも薦めよう!

★★★★
4d35093a.jpg発行年月:2009年9月


「わたし」が「わたし」の邪魔をする------
子犬救出劇を自作自演する美しい少女、カ-ド破産してもロハス生活を続けるカップル、ダニと鼠のいる部屋に住み深夜のコインランドリ-に現れる女など、身の丈に翻弄される人々を描いた短編集。


             
       (集英社HPより)

またまた、変なタイトルですね・・・笑
内容も凄く変でしたけど・・・・・結構、面白かった^^;

7つのお話のどの主人公たちにも共通する、普通じゃない何か。
上手く説明出来ないけど、考え方、行動・・・・ちょっと付いていけない。
友達になりたくないタイプの人たち、オンパレ-ドというかんじ。

こんな話、よく思いつくよなぁ~が、この著者の作品を読んで思うこと。
まさか、周りにこういうモデルが沢山いるとか?
ご本人が凄く変わってる?

ただ、7つの話の中では唯一「やっこさんがいっぱい」に登場の夫婦の話は、ちょっとほのぼの系で良かったかも。


表題「静かにしなさい、でないと」の言葉は、3番目に登場の作品「静かにしなさい」の中での言葉でした。
誰がどんなシチュエ-ションで言うんだろ?と思ったら・・・・・なるほど、心の声でしたか?
この主人公も相当、変でした。


これ、読む人によっては、凄くイヤな話かもなぁ~。
わたしは、笑って読み終えたけど、笑えない、嫌悪感を抱く人もいるかも・・・。
ほかの人の評価が気になる本でもあります。


幾つかの作品を読んで、この著者本人がどういう人か?凄く気になってきた。
エッセイみたいのないかな?
あったら、読んでみよう。

★★★




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