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読んだ本の感想あれこれ。
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e2d82815.jpg   発行年月:2006年2月


   小間物問屋遠野屋の若おかみ・おりんの水死体が発見された。
   同心・小暮信次郎は、妻の検分に立ち会った遠野屋主人・清之助の眼差しに違和感を覚える。ただの飛び込み、と思われた事件だったが、清之助に関心を覚えた信次郎は岡っ引き・伊佐治とともに、事件を追い始める・・・。“闇”と“乾き”しか知らぬ男たちが、救済の先に見たものとは?
   哀感溢れる時代小説!

        
                           (光文社HPより)

若い女性の飛び込み自殺?かと思われる事柄が発端で、それを目撃した者、また別の者と見事なまでの刀捌きで人が斬られる事件が続く。
一体、誰が?
主な登場人物は、さほど多くないけど、どんどんいろいろな人が登場し、怪しい人だらけ?
予想不能で、果たして、この一連の事件はどう決着するのやら?と思いながら読みました。

最後の方で、事の真相がわかったけど、意外なものでした。
これじゃ全く、予測不可能だわ~

でも、同心・小暮信次郎とそれに仕える岡っ引き・伊佐治の事件の真相究明に向けての動きは面白かった。
伊佐治は、なかなかの人情者なので、信次郎の事は頭は切れるけど、人柄には難なりと思いながら仕えている様も愉快。

確かに、結構、皮肉屋だったりするけど、信次郎わたしは好きだな。
人を見る目は確かだし、肝心なところでの優しさは出せる人だと見た。

事件の軸となる遠野屋の若旦那(おりんの夫)・清之助は、最初、怪しいかんじなのだけど、哀しい過去があった方でした。
最愛の妻を亡くし、この物語では一番、傷を負ったでしょう。

最後は、清之助も少し救われたということかな?

なかなか、読み応えのある話でした。

この作品は、シリ-ズ化?
まだここだけでは「?」の部分があったけど続きでその辺の話も出てくのかな?

同心・信次郎と岡っ引き・伊佐治のコンビでの事件解明・・・今後も楽しみ。
ということで、これと同時に次も手元に取り寄せました。(図書館本)

もう1冊も楽しみに読んでみます。

★★★
PR
52b9aeba.jpg発行年月:2009年5月


シャレにならない大人の事情------
朝倉かすみが贈る、ほろ苦くもエロテックな恋愛短編集
「わたし」を脱いで裸になりたい

恋愛小説誌「Feel  Love」に掲載された5編と書き下ろし1篇を加えた短編集


                     (祥伝社HPより)

エロテック?そうかな?それほどでもなかったけど・・・・^^;

6編の短編の主人公たちの殆ど独身で40歳前後。
 
昔の彼を思い出してみたり、今の恋愛を考えたり、将来を憂いてみたり・・・・・
主人公たちの周りの人間関係も描きつつ、その心情を鋭く表現していて、朝倉さんって、ホントこういうちょっと自虐的なかんじの女の人の話が多いなぁ~。
そして、上手いな~。

性に関する欲望みたいなものも出てくるけど、大人の女性ですから・・・・このくらいはエロテックのうちには入らないでしょ?なんて読んでいました。

特に面白かったのは

「誦門日和」・・・商店街の本屋の娘・わたしと青物屋の晴子のはなし。晴子は、父親と二人暮らし。
小さい時からわたしは晴子と遊び、周りからはしっかり者で礼儀正しい子と評価されていた。
が、晴子にはどこか人を惹き付ける魅力があり、成長すると男出入りの激しい子と周りから評価される。わたしは、小さい頃のまま、真面目だけど不器量。
自慢の兄まで晴子に魅せられて。。。。

最後の最後、ペ-ジをめくった後の晴子の描写が何か切なく、衝撃的!


もうひとつ気に入った作品
「小包どろぼう」・・・宇津井茂美は43歳独身。妹は結婚し娘がいる。
母親の姉のきみちゃんも70歳過ぎで独身。自分の姿と伯母のきみちゃんの姿を重ねて将来をあれこれ思う茂美。
ある日、父の上司の息子たちをある事情により1晩泊めることになっていた日、きみちゃんが肺炎で入院の知らせがあり両親は病院へ。
留守中、上司と思われる杉山とその部下と息子が訪ねてくる。

一人暮らしの伯母は、寂しい暮らしをしていたわけじゃないし、茂美にも何やら恋の予感めいたものを感じるラストが明るくよかった。


朝倉さんの短編作品は、ササ~ッと読めていいな。

★★★
            
                  

b8ae15dd.jpg発行年月:2009年9月


癒えることなどないのか?
はるか昔の一家皆殺し事件が17年たった今
心ひかれあう2人の大学生にのしかかるなんて------

死刑や裁判員制度をも問う心ふるえるミステリ-!


                 
(講談社HPより)

17年前の弁護士・桜井裕一一家が殺された。
主犯は西川正実。共犯は小田島清彦。
一審では二人とも死刑だったが、二審で西川は死刑のまま。
小田島は無期懲役の刑が確定。
西川の刑は既に執行されている。

物語は、共犯で無期懲役の小田島が18年足らずで出所したところから始まる。
加害者二人の関係は従兄弟同士。
小田島が出所した事実は、すぐに主犯とされた西川側にも知らされ・・・・

最初、人間関係がちょっとゴチャゴチャしましたが、段々と読み進めるたびに、驚きの相関図が出来上がっていきました。

小田島は登場と同時に、胡散臭く、イヤなかんじ。
事件の本当の内容は、割と早くに知らされ、やはり小田島はとんでもない奴!と思いますが、どうしてそういう事に及んだのか?は最後までよくわからず、ちょっと「?」と思いました。

加害者で、主犯とされた西川正実の家族は随分な傷痕を受けました。

そして、被害者側でも当然、大きな傷痕を受けたひとたち。
特に桜井香子は、気の毒過ぎる。
自分の存在価値がこんな理由だったなんて知ったら、耐えられないかも。

それは父が遺族として事件の哀しみに耐えられず起こした異常な執念だったのか?
研究者の考える事って怖いわ~

一般的には、人を殺したのだから犯人側は苦しむのは当然でしょ?とも少し思いますが、
本当にそんな風に単純に考えていいのかな?

罪を認めた(否定しなかった)から犯人としてしまう事の怖さを感じました。

こういうの読むと、裁判員制度によって、もしも裁判に参加しなくてはいけない立場になるのが、またちょっと怖くなる。
死刑制度についても、考えちゃう。

無期懲役が本当に無期懲役でないことが問題なのか?とか。

重く哀しい物語だったけど、最後は少しそれでも明るく終わってホッとした。


★★★



b910831d.jpg発行年月:2007年4月


現役医師が描く「医療の危機」!困難に立ち向かう医師たちのドラマ!

城南大学病院に勤める女性医師・柊奈智は、深夜の当直で容態の急変した胎児を救うために緊急帝王切開を行なう。それは、生死を分けるギリギリの判断だった。だが、それから悪夢が始まった。過酷な勤務の中、次々と奈智を襲う試練。そして、ついに、迎えた医療における最大の悲劇にショックを受けた奈智は・・・・・・。

                                      
(早川書房HPより)

この秋スタ-トのテレビドラマ「ギネ 産婦人科の女たち」の原作本ということで興味があり読みました。
著者は現役の産婦人科医師で教授。
その立場から、現場の過酷な状況を臨場感溢れる描写で書きながら、産婦人科医師としての著者本人の今の日本の周産期医療の遅れを鋭く指摘されていました。

患者さんに精神誠意、向き合い、その場その場で一番良いと判断した処置を行なっている医師たち。
そんな医師でも、不幸な結果が起きてしまったら?
物語は、そんな設定で進みます。

お産は病気じゃない。赤ちゃんが生まれて母子共に無事に退院するのが普通だと認識されている今の世の中。
そこで、母子死亡という事態が起きてしまったら?
遺族のショックが大きいのは想像つきますが、医師側のショックも計り知れないものだと、読者はこれを読んで気づく。

ショックを受けた担当医と遺族、それぞれ同じ哀しみを抱えながら、周りからいろいろな影響にさらされ裁判というものにより、敵対するような形を取らざるを得ない状況はどうにかならないものか?
いろいろな影響の最たるものは、マスコミの容赦ないバッシング。

医師の助けられなかったという自責の念は、置きざりにされ、病院のトップは過失はなかったの証拠集めに奔走。
そんな様子を遺族側は、担当弁護士から聞かされ、信頼していた気持ち一挙に失う。
なんとか助けようと懸命に処置を行なった医師が訴えられる側になってしまう。

裁判って、誰のため?何のために必要?

今の日本では、それをしないと遺族側に何ら補償の手立てがないから・・・・。

それなら、補償制度を作ればいいじゃない!!

読んでいるとそう強く思います。

著者もその辺の事を強く世間に訴えたかったと、あとがきで書かれていました。

一刻も早く、産科医療における無過失補償制度が創設されますように。
それを機に、全領域の医療事故に適応されることも必要ですが、先ずは産科!


かなりリアルな医療の現場の話で、難しい専門用語も多いのですが、多くの方に読まれるべき書だと思います。

ドラマも楽しみに見ていますが・・・・ちょっと誇張し過ぎで「そんな事は現場ではあり得ない!」という事も度々出て来て、ずっと前、産婦人科病棟で勤務していたわたしには苦笑してしまう場面もありますが。。。。^^;

原作は、素晴らしいです!!
主人公の柊先生、原作では、始終素晴らしい先生です。


お医者さんって、自分の訴えることがあると、こんな風に本を書けちゃうものなのかな?
すごく忙しいと思うのに、こんな文才もあって、尊敬します。


★★★★★
c0bd8374.jpg発行年月:2009年9月


38歳の菜月は奇天烈な会合に誘われて・・・・。

日々の「?」をまな板に載せ、老若女女が語らえば-----人との関わりに戸惑いを覚える貴方に贈る、コミカルにして奥深いガ-ルズトーク小説。


                      (中央公論新社HPより)


いや~最高に面白かったなぁ~。

結婚8年目、2歳年上の夫・光と気ままな二人暮らしをしている菜月。
「おんなは30過ぎまで働けばじゅぶん」という光の考えに、さして疑問も抱かず専業主婦の日々。

そんな彼女の買い物途中のいつもの道で、声を掛けて来たのは、元彼(?)のお母さん。
元彼の苗字が戸井だったことから、彼女を戸井母と呼ぶ。

戸井母との会話中、出てきた「これでよろしくて?同好会」。
名刺をもらい、良かったら参加してみない?と言われ、後日その会に参加するところから物語が面白く進む。

会のメンバ-は菜月のほか、最初は三人。
その後、もう一人加わり全員揃えば、5人?誰かが用事で4人だったりするけど、
その会の様子が実に楽しい。
いつも決まったお店で、食事(ランチ?)を楽しみながら、誰ともなく提議された事について、各自の考えを述べる。
戸井母が毎回、ノ-トに議事録(?)をつけているのも可笑しい。

その内容が、また「ああ、それわたしも疑問だと思ってる!」って事だったり・・・。

夫婦間のこと、職場でのこと、嫁姑のこと・・・。

最初の方に出てきた、「パンツ問題」には、笑いながらもちょっと自分の事、考えちゃったり・・・^^;
実はわたし、立木雛子説と同じです(照)
これ、読んだ人だけわかるけど・・・笑


メンバ-が既婚者なので、これは結婚してる人が読む方が面白いでしょう。
いや、結婚してる人なら皆、面白く読めると思う!

同好会の話以外にも、菜月の夫婦間、夫の実家の家族(両親、夫の兄弟とその配偶者)との関わりもリアルで興味深かった。


最初から最後まで楽しめました(^^)

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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;

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