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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2022年2月


「あのときのメンツ、今みんなこっちにいるみたいだぜ」「まさか、スイ子か? なんでまた?」スイ子こと、山際彗子が秦野市に帰ってきた。手作りで太陽系の果てを観測する天文台を建てるというのだ。28年ぶりの再会を果たした高校時代の同級生・種村久志は、かつての仲間たちと共に、彗子の計画に力を貸すことに。高校最後の夏、協力して巨大なタペストリーを制作した日々に思いを馳せるが、天文台作りをきっかけに、あの夏に起きたことの真実が明らかになっていく。それは決して、美しいだけの時間ではなかった。そして久志たちは、屈託多き「いま」を自らの手で変えることができるのか。行き詰まった人生の中で隠された幸せに気付かせてくれる、静かな感動の物語。

                   (角川書店HPより)



高校3年生の夏、文化祭の出し物として、空き缶でタベストリーを制作した
仲間が45歳になって、再び集い、天文台を造る。

秦野市に戻ってきた、山際彗子は、国立天文台の研究員として働いていたが
自身で天文台を造るために辞職。

それを高校時代の友人たちが知り、手伝う。
高校のとき、一緒にタペストリー(オオルリがモチーフ)を作成したのは主に6人。
彗子の他は・・・

種村久志・・・・実家の薬局を継いで、同じく薬剤師の妻と小学生の男子二人の
        父親   

勢田 修・・・東京の番組制作会社を辞め、弁護士を目指し、司法試験を控える
       バツイチ

伊東千佳・・・公立中学で理科を教える教師。夫は英語教師
       高校生の娘と中学生の息子の母親

梅田和也・・・実家に引きこもって3年

槙 恵介・・・高校時代は明るく運動も出来き、ハンサム
       けれど、高校卒業後に自殺


最初は、久しぶりの仲間が集まって、天文台を造るという前向きなストーリー
だったけれど、それぞれの高校卒業後のことが判ってくると、みんな色々
あったんだね~という感じ。

特に、彗子と亡くなった恵介のことは、仲間も知らなかったことらしく
驚いた。
一人で逝かせてしまったという後悔が皆の胸に重くのしかかる様子は
読んでいて辛かった。

引きこもった和也に少し、明るい変化があったとことは、良かった。


ラストは、完成した天文台でジャコビニ彗星を観測するという場面。
1972年10月・・・・
ああ、そんな彗星の話、あったような気がする。

松任谷由美のジャコビニ彗星の日 という歌は知らなかったなぁ~。


ロマンありの素敵な物語だった。
オオルリという鳥も綺麗な鳥だと初めて知った。



伊与原さんの作品は、いいな。


                    ★★★★
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発行年月:2022年6月


昭和三十八年、三井三池炭鉱の爆発と国鉄事故が同日に発生。「魔の土曜日」と言われたその夜、十二歳の黒沢百々子は何者かに両親を惨殺された。なに不自由のない家庭に生まれ育ち、母ゆずりの美貌で音楽家をめざしていた百々子だが、事件は重く立ちはだかり、暗く歪んだ悪夢が待ち構えていた……。著者畢生の書下ろし大河ミステリ。

                 (新潮社HPより)



昭和38年の11月9日にふたつの大きな事故があり、この物語の冒頭の事件も
その同じ日に起きている。

そのためか、最初から最後まで、凄い緊迫したリアリティを感じた。
冒頭の事件では、ある夫婦が殺害される。
犯人は、少し読み進めれば、わかる。
では、なぜ?そうしなければならなかったのか?と疑問を抱えながら読み進め
犯人の一途過ぎる思いがなんとも辛い。

犯した罪は大きいけれど、不思議と嫌悪感みたいなものは感じなかった。

両親を殺された百々子は、当時、私立の裕福な家庭の子が多い学園の初等科6年で
事件の日は、学校の1泊2日の合宿に出かけていた。

百々子を支えたのは、当時担任だった美村。事件を知り、合宿先から百々子を
東京まで送り届け、その後も何かと気遣う。

百々子の両親が懇意にしていた家政婦の石川たづと多吉夫妻が、百々子を預かり
日常を共にする。
その家の子どもの長男・紘一、長女・美佐も百々子の良き話し相手となる。



ここからネタバレ含みつつ・・・

一番、百々子のことを心配していたのは、百々子の叔父(母親の弟)・沼田左千夫。
彼は、百々子を最初に見た時から、百々子のことしか感がえられなくなっていた。
叔父という立場から見れば、異常でしか、ないけど、その想いは純粋で
百々子に自分から触れることもなく、精一杯、自制していた。

そのことが、姉夫婦を殺害することになってしまったのは、左千夫自身も
本意ではなかったと思う。
万全に隠し通すべきだった思いを姉に知られてしまったのは、偶然だった。
思いを目に見える形で残すべきではなかったとは思うけれど・・・
一人暮らしの寮の管理人(妻)が親切心で姉を留守宅に入れたために
知られてしまった。

姉に強く非難され、追い詰められてしまった。


百々子が両親を殺害した犯人が、いつも優しかった叔父だと知り、ショックで
その後は強い憎しみと嫌悪感を抱くのは当然だと思う。
けれど、60歳を過ぎた百々子が、過去のことを思い出し語る終盤では、
叔父に対して、少し違った思いを語っている。
そこには、憎悪よりも憐れみの気持ちの方が勝っていたと思う。
そのことに、少しホッとした。

左千夫の最期が、本当に辛そうで、胸が痛くなるものだったから。
こんな風にしか、生きられなかった左千夫に、憐れみの気持ちでいっぱい。
泣ける・・・(ノД`)・゜・。



小池さんは、これを書くのに10年という歳月がかかったそう。
その10年の間には、自身がケガをしたり、お母様が病気で亡くなり、
ご主人も闘病生活の末、亡くされたとか。
ご自身の生活も大変なときに、このような凄い物語を書き上げたのは
本当に、凄いとしか言いようがない。

色々な作品を読ませて貰ったけれど、間違いなく、一番の作品だと思う。


                     ★★★★★



発行年月:2022年7月


ちょっぴりつらい今日の向こうは、光と音があふれてる。
『幸福な食卓』本屋大賞受賞作『そして、バトンは渡された』に連なる、究極に優しい物語
私は、ぼくは、どうして生まれてきたんだろう?
大学生の梨木匠は平凡なことがずっと悩みだったが、中学3年のときに、エスパーのように人の心を読めるという特殊な能力に気づいた。ところが、バイト先で出会った常盤さんは、匠に心を開いてくれない。常盤さんは辛い秘密を抱えていたのだった。だれもが涙せずにはいられない、切なく暖かい物語。

                 (講談社HPより)



瀬尾さんの書く物語は、外れなく、優しく温かい。

主人公の梨木匠(19歳)は、本当に神様から選ばれた人なんじゃないか?
彼の言葉にどれだけの人が救われているんだろう。

最初にその能力を発揮したのは、中学3年生のとき、転校生の女子・三雲さんへの
ナイスフォロー。

それから大学生になった三雲さん(苗字が河野さんに変わっていたことが
後でわかるけど・・・)が声を掛けてあげて欲しいと匠に頼んだ香山くん。

匠のバイト先(美味しいオムライスのお店)の口も態度も悪い店長・大竹。
バイトに加わった看護学生の常盤さん。


心を読める匠でも、全然、読めない相手が常盤さん。
でも、常盤さんから聞こえる常盤さんのことを見守っているらしい女の子の声。


みんな、それぞれ心に抱えているものがあって、それでも何とか頑張っていて・・。
梨木くんは、みんなのことをいつも考えていて、だれとでも等しく
優しい。

それゆえ、自身の恋愛がうまくいかないというのは、気の毒だけど。。。

常盤さんから聞こえる声の主のことが、わかったときは、ちょっと切ない気持ちに
なったけど、これから常盤さん、変わっていくかな。


付録のアフターディは、楽しかった。


                     ★★★★★


発行年月:2021年9月


キンポウゲって、毒があるっていうじゃない
七月半ばの日曜日。初夏の日差しが落ちる道をたどり、景介の向かう先にその家はあった。中学生になって入った美術部で、建物を描くという課題がだされた時、まっ先に浮かんだのが、木々と草花に囲まれて建つ、灰色の壁と緑の屋根の古めかしいその洋館だった。主の老女に招き入れられ、足を踏み入れた洋館で、景介は1人の可憐な少女に出会う。一目見たその時から、ゆりあと名乗ったその少女に景介は心引かれていくのだが……。

                   (福音館書店HPより)


児童書だけど、十分な読み応え。

中学1年生の藤原景介が体験した少し不思議な体験。
気になる洋館は、入院していた祖母の隣のベッドにいた老女・小谷津艶子だった。
そして、その家のなかに入り、キンポウゲの咲く庭にいた、ゆりあという少女と
出会う。
一度で、その少女に魅せられ、洋館に足を運ぶ景介。

ゆりあは、誰なんだ?
そして、また別の日、人の気配を感じて艶子の家の裏の家を生垣から覗いたら
別の少女がいて、彼女は、家の人に、ややこ と呼ばれていた。
ややこは、現代より前の時代を生きている人?と思われる
兵隊さんに送る手紙を書いていたり、書いている文章が小学6年のややこには
難しい言葉遣いだったりする・・・そして、艶子さんに雰囲気が似ている。


色々な謎が渦巻きながら進む。

景介が何かに囚われている様子が気になる幼馴染の晶子は、自分も洋館を探し
小谷津艶子を訪ねる。


最後は、景介、晶子、艶子の7年後。
それぞれが一緒に過ごした夏の思い出。

こういう思いでは一生ものだろうな~。


不思議で美しい物語でした。

挿絵も素敵♪


児童書もやはりたまには、癒しにいいな。



                  ★★★★




発行年月:2022年9月


宮崎の山奥に異動になっていた山本猛元店長が、 三年ぶりに、吉祥寺本店に店長として復帰した。 張り切る店長だが、相変わらず、人を苛立たせる天才だ。しかし京子は、心の中で「お帰りなさい」とつぶやいた。そんな中、本や書店を取り巻く環境はますます厳しくなってきたが、 それでも京子は、新人作家の才能に出逢い、打ちのめされ、 好きな作家の新作に心躍らせ、時には泣き、笑い、怒り、日々戦っています。スタッフの磯田さんや、覆面作家だった大西先生や神楽坂で小料理屋を営む親父さんや、優しき先輩たちに、応援を受けながら――。2020年本屋大賞にノミネートされ、本を愛する人々を興奮と感動に巻き込み大ロングセラーとなり、今なお売れ続けている『店長がバカすぎて』、熱望の第2幕。 今を懸命に生きる私たちの特別な物語。とにかく文句なしに面白い!! 店長、ますますパワーアップ。小説と書店の未来を、仕事の意味を、生きる希望を改めて深く問い直す、第二弾。

                  (角川春樹事務所HPより)


山本猛元店長が、再び新店長として赴任。

相変わらずの人をイライラさせる人だな・・・。
でも、段々、これ、わざとやっているんじゃないかなぁ~?と思えてくる。


覆面作家の大西賢也は、谷原京子の実家で居酒屋の「美晴」の常連客で
たびたび、「美晴」で顔を合わせる。

今回は、書店にアルバイトで入った山本多佳恵(25歳)がちょっと変わりもので
目立つなぁ~と思って読んでいたら、最後にわかる事実。

まあ、大方予想はついたけれどね~^m^


これ、読んでいると書店員って、大変だなぁ~。
特に文芸担当さんはと思う。


社長の息子・柏木雄太郎が色々、笑わせてくれた。
バイトの多佳恵に説教する社長の息子に腹を立てた京子が、凄い剣幕で
まくし立てた言葉が・・・・プププ・・^m^
でもその後、それが京子の評判を上げることに繋がって、店長になれるところまで
行ったのに・・・なんで断るかなぁ~残念。


今回、店長・山本猛がなぜ書店員になったのかが、わかる話があって
ちょっと感動した。
やっぱり、店長は、バカじゃないと思うなぁ~。

今回も楽しく読んだ。
まだ続くかなぁ~?



                     ★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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