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読んだ本の感想あれこれ。
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0bd00a31.jpg発行年月:2009年11月


奴らが俺を追ってくる----お前は、敵か、味方か?
FN大賞史上最凶作、降臨。

父親に虐待される14歳、誇大妄想に囚われるホ-ムレス。うらさびしい巨大な団地で孤独な魂がこすれ合い、喜びと憎しみの火花を散らす。男がつぶやく「増大派」とは、いったい誰のことなのか?じわじわと厭な気持ちになるのに、ペ-ジをめくる手が止まらない!狂気に憧れたことのあるすべての人に贈る挑戦状的作品。

                                     
(新潮社HPより)

第21回日本ファンタジ-ノベル大賞 大賞受賞作ということで、読みましたが、こんなファンタジ-は初めて!
暗いです。
悪意と狂気が渦巻く闇のなかをず~っと進むようなかんじです。

でも、最初の頁からなんだか魅力ある文章で飽きずに読み終えました。

主な登場人物は二人。

ひとりは14歳になろうとしている(途中で誕生日を迎える)中学生の舜也、両親と弟と団地に暮らすが幼いときから父親から暴力を繰り返し受けている。

もうひとりは、愛犬とともに公園で寝泊りしている男。子どもも時に、この世は増大派と減少派に分かれ両者は戦っていると気づいたという。自分は減少派で、増大派から隠れている。見つかれば殺されると思いながら、生活している。


二人の話が別々の場所を舞台に、時に時代を前後しながら語られるので、少々、読むのに時間がかかってしまった^^;
でも、整理しながら読むと、凄い話!

二人の生い立ちには、共通している物が多い気がした。それは「絶望」かな?

ある日、二人は出会う。
男は、少年を敵ではないと判断し、自身のことを少し語り、探し人を一緒に探すこともする。
仲間意識をお互いに持ったようなかんじなのに・・・・・

ラストは凄い!
こういう結末は全く予想してなかった。

少しも救いがない。

なんだかショック!
久しぶりに衝撃的な作品を読んだというかんじ。

好きな話じゃなかったけど、凄いな、この人(作家さん)!と感動した。

これがデビュ-作とか。
1974年生まれだそうですが、それまで何をしていたんでしょ?

また、何か書いて欲しい!

★★★★
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353518dc.jpeg   発行年月:2009年8月


   男はなぜ、ゴミ屋敷の主になったのか?

いまはひとりゴミ屋敷に暮らし、周囲の住人たちの非難の目にさらされている男。戦時中に少年時代をすごし、昭和期日本をただまっとうに生きてきたはずの男は、いつ、なぜ、家族も道も、失ったのか。誰もが目を逸らすような現在のありさまと、そこにいたるまでの遍歴を、鎮魂の光のなかに描きだす。
橋本治、初の純文学長編。


                                    
(新潮社HPより)

主人が図書館から借りて先に読み「なかなかおもしろい」というので、読んでみました。

物語は主人公・忠市が、ゴミ屋敷と化した家に住み、近隣住人たちに大迷惑をかけているところから始まり、テレビのリポ-タ-が住人たちにインタビュ-して周る。

昔、まだ忠市の住む家が荒物屋として存在していた時代を知る人はわずかだが、昔はあんな人じゃなかったんだけど・・・と。

人目を避けるような時間帯には外へも出る。
どこかに行くアテのある人を羨ましくも思う。

ちょっと前、実際にワイドショ-番組でもゴミ屋敷に暮らす女性を取り上げた番組を見ていたときもその人は「これはゴミじゃない」と言ってたっけ。
忠市も「これはゴミじゃないんだ」と。
到底、普通のひとには理解出来ないことば。

物語は、途中から、忠市の過去の話になる。
戦後まもなく荒物屋に住み込みで働きに出て、その後、家業の荒物屋「丸亀屋」に戻る。
見合いで結婚もした。子どもも出来た。
けれど・・・・父親が病に倒れた辺りから、バタバタと不幸が続く。

12歳年下の弟・修次も結婚し、その妻は家事の段取りもよく姑の扱いも上手でなとなく一家がまた明るい方に向かうのか?と思ったら・・・・
ある事を機に弟夫婦は家から出ていく。

店の仕事が減り、母親が亡くなって一人きりの忠市。
そのころから、ゴミが少しずつ溜まる。

なんとも切ない、胸が痛い。
忠市は、普通の人。家業を継いで真面目に働いていたのでしょう。
でも、戦後のめまぐるしい変化に取り残されてしまったかんじ。

近所に迷惑をかけている。片付けなきゃいけない。頭ではわかっている。
けれど・・・この環境を変えられない。

最後はどうなる?と思ったら・・・・
35年ぶりに弟がテレビで実家が凄いことになっているのを知り、兄の元に来る。
偉いぞ!弟!
そして、この弟が現れたことで、忠市の気持ちが大きく変わる。

表題の「巡礼」はどこに?と思っていたら最後、弟が、この先のことを四国88ヶ所をお遍路しながら、お大師さまに教えてもらおうと二人で旅に出るのです。

最後は、ちょっとホッとして、救われました。
ず~っと重たい気持ちで読んでいたので。

なかなか、読み甲斐のある物語でした。

★★★
9c814ca6.jpg発行年月:2009年10月


翻訳本の仕事に憧れて入社した世里が配属されたのは、ファッション誌の編集部。そこで見たファッション誌の華やかな表舞台と、嫉妬渦巻く裏舞台。そして・・・・

完全無欠の鬼編集長 VS. ファッションに興味のない新人編集者

一流ファッション誌を舞台に、女たちの華やかな戦いが始まる-----



                                          (ポプラ社HPより)

主人公の小島世里は、元々文芸志望で入社したのに、なぜか全く興味のない女性ファッション誌「ダリア」に配属されて、数ヶ月前から、読者モデルが登場するペ-ジの編集を担当している。

華やかなファッション誌で働く女性たち。
ファッションに疎いとホント、大変だろうなぁ~なんて思いながら楽しく世里の奮闘ぶりを読んでいました。
そして、途中からある謎が登場。

以前「ダリア」の特集記事のカメラマンとしても仕事をしたという二之宮伸一の死。
川に転落しての事故死とされているが、そこには、何か隠された真実がある?

父親の不審な死を突き止めたい、中学生の息子の太一と世里が知り合い、二人でそれを追求していく。
二人の関係がなかなか微笑ましいかんじでよかった。
姉と弟みたい。
メ-ルしたり、時にはお互いを頼ったりしてしていて。

死の真相は、途中で大概、予想出来る物でしたが、最後まで、結構楽しめた。

真相を知った太一くんの心境を考えると、とても気の毒ですが、気になっていたことが解決したのは良かったのかな?


表題になっている「マノロブラニク」・・・どこかで聞いたなぁ~と調べたら、映画にもなった海外ドラマ「SEX&CITY」のなかでキャリ-が集めていた靴のブランドだったのね!?

ヒ-ルが高く靴華奢なかんじは女性らしくて見ているだけでため息が出そうに素敵!15775bca.jpeg

あ~一足くらい、わたしも欲しいな。
なんて思うけど、履いていくところがないか?(笑)


スラスラ読めて(頭を使わず^^;)、なかなか楽しめた1冊でした。






★★★

        

         
967c45a7.jpeg発行年月:2009年10月


人は弥勒にも夜叉にもなる
江戸を生きる「あさのあつこの世界」

刀を捨てた商人遠野屋清之助。
執拗に事件を追う同心小暮信次郎と岡っ引き伊佐治。
かけがいのない暮らし、ささやかな幸せに忍び寄る闇を前に、人を抗い、定めに抗い、己の情に、抗う男たち。
生きるのか死ぬのか、愛すのか憎むのか、怖れながら惹かれていく。

時代小説に新しい風を吹き込んだ、
『弥勒の月』『夜叉桜』に続く待望のシリ-ズ最新作登場!

                                    
(光文社HPより)

今回も面白かった。
全2作と同様に登場の主な人物三人(清之助、信次郎、伊佐治)。

4つの事件に関わってくるのは、三人の人物の周りに居る者たち。
遠野屋の女中頭・おみつだったり、伊佐治の息子の嫁・おけいだったり。

相変わらずの皮肉屋で容赦なく相手を打ちのめす物言いの同心・信次郎だが、仕事はキッチリ決めて格好いい!

物腰柔らかだけど、隙がないかんじの遠野屋清之助だったけど、おこまちゃんの存在がちょっと人として温かみを出して来たかんじで、嬉しい。

表題作の「木練柿」では、清之助の妻で亡くなったおりんの生前の事が語られ、前作を読んだ人にはジ~ンと来る場面があります。
清之助には義理の母である・おりんの母・おしのとの関係も今は信頼で結ばれているんだな~。

最後に驚きの事件がありました!
事件解決後に信次郎が憂いたこと・・・・今後起こるのかな?

守る者が出来ると、人は強くもなるけど、同時に弱みも持つといくことか?

これは、更に続きがありそうな予感。

またまた楽しみに待ちましょう(^^)

★★★★
9d367408.jpg発行年月:2009年9月


水しずくのぴしゃんちゃんとぼくの物語。

町はずれの借家に越していた「ぼく」は、薬草を売りながら、その日暮らしを送っていた。ある日、庭の葉っぱにいる水しずくに話しかけられる。


                     (小学館HPより)


可愛らしい絵は、著者本人によるものだそうです。
カラ-のイラストが中に幾つかあるのですが、とても可愛いのです!

そして、水しずくのぴしゃんちゃんとぼくの関係が、なんだか良い感じ♪
「ぼく」というと子どもみたいですが、立派な(?)社会人で、働いています。

「ぼく」のこれまでの経緯はちょっと変わっていて、何かちょっと責任あることを任されるたびに逃げ出す事を繰り返してきた男。
ゆえにジョ-ハツと呼ばれる。
最初、ぴしゃんちゃんに会ったときの会話もおもしろかった。
しずくなんだから蒸発するんだろ?と聞くとぴしゃんちゃんは「わたしは蒸発しない」と言い切る。

しぐさは可愛らしい女の子(?)なんだけど、ちょっと生意気な口調でジョ-ハツはまるで、ぴしゃんちゃんの家来の様子。

何度か職も変えたジョ-ハツが最終的に選んだ仕事は、くすり草採取。
それを薬草屋さんとハ-ブ屋さんに持って行き、売る仕事。

ぴしゃんちゃんは、ジョーハツの肩に乗ったりして一緒にお出かけ。

蒸発しないと言った、ぴしゃんちゃんだけど、最後は蒸発していく。
その前に二人が交わした約束のような会話もよかったぁ~

かわいらしくて、夢があって、ちょっとせつない、素敵なお話でした。

初めて読んだ、作家さんでしたが、好きだな。こういうかんじ。
他の作品も読んでみよう!


★★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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