戦時下のカブールに住む少女ビビを通して
「生き抜く」強さとは何かを描く、
著者初の、若い人へ向け遺言の意を込めて放つ、渾身の一冊!
(あかね書房HPより)
物語は、アフガニスタンに1987年生まれた少女・ビビが5歳になったあたりから始まる。
母親はカブ-ル大学卒業で、中学で数学を教えていて、父親は技術学校で学び、火力発電所に勤務している。
同居している兄、妹。
そして、父親のもう一人の妻。
お国柄、二人の妻がいても普通の家庭のなかで、家族はそれぞれ仲良く暮らしている。
でも、そんな家族にも戦争の影響が及び、次々に悲惨な現実が目の前に起きてしまう。
この物語は、少年少女向けに書かれているので、酷い描写は少なめですが、それでも戦時下で暮らす人々の恐怖とやり切れない虚しさ、怒りなどを感じることが出来ました。
小学校に入学した当時は、まだ授業を受けられる環境だったのに、やがてタリバンが勢力を強め、国を統治するようになると、人々の暮らしは厳しい規則で縛られ、特に女性に対する規制が信じられないほど厳しい。
そのため、女子は教育を受けることを禁じられ、働くことも禁じられてしまう。
国民の教育の権利を奪うことは、将来の国を滅ぼすことに繋がるのに・・・・。
それでもビビの母・ロビ-ナは女の子たちに隠れて教育を施していた。
そして、その為に命を奪われてしまう。
ビビの父・ラマ-トは火力発電所を戦火から(タリバンから)守らなければと、自分の危険も顧みず奔走。
なんて立派な人達なんだろう。
将来の国のことを真剣に考えているのは国民たち。
でも一番の犠牲になるのは、いつも国民たち。
戦争に対する怒りが読みながらも沸いてきます。
物語はアフガニスタンがタリバン政権下に移り、アメリカの同時多発テロが起き、アメリカがタリバン制圧に乗り出し一旦、アフガニスタンに平和が戻ってくる気配がするところで終わる。
ビビも15歳になり、再び学校で勉強をする生活に戻る。
そして、子ども達それぞれが将来のアフガニスタンのために自分たちは何を学んでいこうか?と真剣に考えている姿は頼もしい。
まだまだ、平和になりきっていない、アフガニスタンですが、将来はきっと多くの事を学んだ若者たちが平和な国を作ってくれるはず!と信じたくなります。
アフガニスタンのこと、正直あまり知りませんでしたが、この物語でいろいろな事を学びました。
表題の「ソルハ」は、アフガニスタンの公用語のひとつであるダリ語で「平和」という意味だそうです。
ちなみにもうひとつの公用語はパシュトゥ語だそう。
世界情勢をわかりやすく物語にしてくれると、子どもは勿論ですが大人にもあり難い!
こういう本は沢山の人に読まれるべき。
特にこれからの時代を動かすことになる子ども達にも読んで欲しいな。
昨年、急性骨髄性白血病で闘病生活をしていたという帚木さん。
これは、闘病中に構想を練って書かれたのかな?
解説↑に遺言の意を込めて・・・・にはちょっとビクッとしましたが、
症状は既に落ち着いて(完全寛解期かな?)いるのでしょう。
無理は禁物ですが、また新作を期待しています!
わたしを残して、逝ってしまった彼。
古都・京都を舞台に繰り広げられる、哀しく切ない人間模様。
一緒に死んでもいいと思った相手は、わたしを残して逝ってしまった-----。
傷心の尚子(なおこ)は、東京を後にして学生時代を過ごした京都に舞い戻る。
亡くなった男・井串(いぐし)との過去を引きずりながらも、かつての大学時代の恋人と再会し、普通の生活を取り戻したように思えたのだが……。
井串と知り合うきっかけになった寺の石仏をめぐり、
豆腐料理屋を営む謎の外国人・ボビーや寺の主・寿桂(じゅけい)など、
尚子を取り巻く人々の秘めた思いが京の町に交錯する、人生の儚さを丹念に描いた物語。
(光文社HPより)
主人公・尚子の気持ちの揺れが痛いくらいに伝わって来て、辛かった。
でも周りにいる元彼で老舗の和菓子屋を継いだ今道くんも、仕事を通じ知り合った年下の細谷くん、そして豆腐料理を振舞うボビ-など、男性陣が温かく尚子を見守ってくれていて羨ましい状況でした。
尚子は相手の好意に気づいていながら・・・自分は亡くした恋人を忘れられないということを隠さず男性たちに話ながらも、そのときの気持ちで行動する、女性側から見たら、ちょっとイヤな女かも?
でも、わたしは不思議と尚子には嫌悪感を抱かなかったなぁ~。
何故だろ?
誠実さみたいなものを感じたからかな?
相手の気持ちをへんに弄んではいないと思ったから。
今道くんも細谷くんもそんな尚子の誠実な部分を理解していたから、最後まで優しくいれたんじゃないかな?
ボビ-はちょっと異質だったけど、頑なに貫こうとしていた事を尚子の言葉によって、断念した時はホッとした。
実行されてたら、この物語がメチャクチャになってしまうから・・・・実行されないとは思っていたけど
この説得の仕方は、なるほど!と感動した。
尚子が心中までしようとした井串という画家の描いていた「埋め仏」が物語の中心にいつもあって、京都ならもしかして本当にあるのかな?なんて思っては想像したりしましたが、実際はどうなんだろ?
埋め仏があるお寺を守る寿桂が尚子の愛した井串と関係があったという事実、そしてそこにあったもっと深いものが最後の方で語られたあたりは、特に面白かった。
人の縁って不思議だな。
偶然過ぎるかもしれないけど、無理矢理なかんじはあまりなく、よく出来た話だと素直に思いました。
埋め仏を見ての外国人のボビ-と細谷くんの意見交換の場面が良かった。
ボビ-はこれは拷問による恐怖と怒りで歪んだ顔だと言うのに対して、細谷くんは反論。
皆の罪を背負い埋められていると伝えられているお地蔵さまだから、日本人ならこの顔を慈愛に満ちた笑顔と見るものだと言う。
日本が好きで日本人に近づきたいと思うボビ-には痛い反論だっただろうな。
二人の男性から結構、言い寄られる尚子だけど、この先どちらかを選ぶのかな?
案外どちらも選ばないか?
でもわたしは細谷くんがいいな。(ホントは年下は興味ないんだけど・・・^^;)
結構、この話、好き!
★★★★
高校に入学したばかりの沙織はクラスメイトに「未来から来た」と告白される。
イケてなかった青春をやり直すのだ、と……。
せつなくもきらきら輝く、青春小説の大傑作!
(幻冬舎HPより)
27歳の未来から高校生活をやり直すために来たという孝子。
その告白を受けた友人の沙織。
27歳の孝子は無職。どこでこうなっちゃったんだろ?と思い高校生活がいけなかったんだ。
高校生からやり直したいと強く念じて戻ったと。
過去の高校生活での記憶があり、後悔したことをそうならないように別の行動をしてみたりする。
でも、戻った高校時代は、以前体験した時と全く同じわけでもなく・・・。
なんだか面白い話でした。
孝子から衝撃の告白を受ける沙織の気持ちの描写が面白かった。
父親が医者で将来、自分も医者になろうかという村山くんのお父さんの職場に同級生たちと職場見学に行った場面での孝子の発言は、高校生の発言でなく27歳の孝子の言葉だった。
やや乱暴な発言に対して村山くんのお父さんが言った言葉は、人生をやり直そうと思っている孝子には、ガツンと来た言葉だったかも。
そして、そんなやりとりを孝子の秘密をしる沙織が客観的に見ている場面が印象的だった。
孝子が再び27歳の世界に戻るのか?と予測しながら読んでいたので、最後もまだまだ高校生としての生活が続いていくだろうラストは、やや意外だったけど、面白かったから、まあ、いいか?^^;
27歳の孝子と同じく27歳の沙織や村山くん、大海くんの姿もちょっと知りたかったけどな~。
豊島さん、只今、休筆中だとか。
休養して、また新しい作品、読ませて欲しいです!
それまで、未読の過去作品をいろいろ楽しんで待つとしよう。
時代がどんな暗雲におおわれようとも、あなたという星は輝きつづける
20代前半で中絶を余儀なくされたデザイナーも、アラフォーながら旅好きの独身女性二人も、夫をがんで亡くし、娘を嫁に送る直前の50代の母も----20代から50代後半まで、それぞれの世代の女性が様々な試練や人々のあたたかさに触れる。娘として母として、女性が誰でもむかえる旅立ちのとき、人生の旅程を指し示す七つの物語。
(実業之日本社HPより)
どの話も良かったな~。
原田さんのお話は、どこか優しい。
辛いことがあっても、その先にある希望を感じさせてくれるので、どの話も読み終えた後、ほんわかした温かい気持ちが残るかんじ。
7つのお話どれもそれぞれ良かったけど、母親と娘の関係を描いた話がやはりジ~ンと来ました。
2つめの
「夜明けまで」は、有名女優を母に持つひかるが、生前、母親がDVDで残した最後の頼みを叶えるために母親の遺骨の一部を持って電車で訪ねる母の故郷の地での物語。
そこで出会う人達から母親の過去を教えられる。
なんだかロマンチックな話でした。
もうひとつ6番目の
「長良川」は、婚約者と母親とともに、長良川に来た麻紀。
半年前に病死した父と母の大切な思い出の地だった。
麻紀の両親の結婚までの話。結婚後の話が、素敵。
良き夫婦だったんだなぁ~。そんな夫を亡くして哀しいだろうけど、素敵な思い出を大切な場所で
思い出しながらの様子には、悲壮感はなく、なんだかジ~ンとする温かさを感じた。
一番好きなお話でした。
表題作の「星がひとつほしいとの祈り」は、人生にやや疲れたコピ-ライタ-の文香が旅先で呼んだマッサ-ジ師の老女から聞かされる昔ばなし。
昔は貴族として裕福に暮らしていた老女のその使用人・ヨネとの思い出話が、ゆるゆると語られる。
老女の言葉遣いが丁寧で、不思議な心地よさでした。
う~ん、どれも良かった!
楽しんで読みました(^^)
自殺したかつての不倫相手をパーティーで目撃した女性とその友人を描く表題作ほか、大都会の片隅にたゆたう八人の肖像。
日常に不意に覗く刹那の記憶を切り取るスタイリッシュな短篇集。
(中央公論新社HPより)
8つの短編。
どれも暗く切ないものが漂う話だったよう。
最初の話
「リリ-・マルクレ-ン」で登場のリリ-は、おかま。
62歳になった今もお店を経営し、そこに20年来通っているサトコ。
リリ-が愛した男・洋一の話。その死。
サトコの悲惨な結婚・離婚歴。
出てくる話のどれもが何処か哀しい。
でも、何となく好きな雰囲気だった。
次の話
「風」も印象に残る話だった。
学生時代からの友人・千晶が余命わずかと言うとき告白したことは衝撃的。
千晶の葬儀のときのその光景が美しいような恐ろしいような・・・
千晶の夫の立場で考えると、なんとも罪深い行為で、この物語のその後を想像してしまった。
ほかの話も全部、やはり暗く重いかんじ。
最後の二つ
「猫別れ」と「父の手、父の声」はそれぞれの主人公が親のことを書いたもので、切なくて
なんだか涙が溢れました。
表題作の「東京アクアリウム」は、わたしには大したインパクト薄かったかったな。
表題作は、大抵印象に残るものなんだけど・・・・^^;
小地さんの書くものは、でもやはり好きです。
出来れば、長編が次は読みたいですが・・・。
記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;
