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読んだ本の感想あれこれ。
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c91bf1e8.jpeg発行年月:2009年11月


この世の終わり。それは、神に赦されぬ狂おしい愛がきっと叶う永遠の彼方----。


死んでしまおうと海に出た彼女に、虚空を彷徨う大鷲が問う。いまは亡きお前の兄の、熱い吐息を受け止めないのか? かつて薩摩が支配した奄美にも、赦されぬ関係を望んだ兄妹がいた。運命に逆らった二人の悲話を、鷲は月光に濡れて語り出す……。想いは人知れず、この世の終わりまで滾り立つ----まさに至高のファンタジー!
第21回 日本ファンタジ-ノベル大賞 大賞受賞
 
     
(新潮社HPより)
 
物語は現代に暮らす茉莉香と一羽の鷲が海で出会うところから始まる。
茉莉香は、生きるか死ぬか成り行きに任そうと海に一人浮かんでいる。
艇首に鷲が止まり、会話する。
「おまえはサブリ(魂)が抜けかかっている・・・・・だから俺と話ができる」と。

この出だしの雰囲気から先の話の展開を大きく期待させる魅力がありました!

鷲が語る昔ばなしと現代に生きる茉莉香の話が交互に語られ、それが最後に見事に合致する。

鷲が語る話の方が主なもので、江戸の時代、奄美の島に生きたフィエクサとサネンの物語。
身分制度が厳しく、一番下の位で奴隷のように生きる7歳のフィエクサの前に現れた5歳のサネン。
お互い、両親を亡くし同じような境遇。
ふたりはこれからずっと兄妹として生きると山の神に誓う。

成長していく過程でも、数々の困難に遭う二人だが、一緒に居られればどんな事も耐えられると明るい。
しかし、やがて大人になると、山の神に誓った約束が二人を残酷な運命へと導いてしまう。
辛く哀しい兄妹の物語
山の神とフィエクサの対峙する場面が凄かった!
山の神は人間でいうと女性なんでしょうね。

そして、そんな話を鷲から聞く茉莉香もやはり兄との間に辛い過去があった。

暗く重い過去を背負った鷲と茉莉香が、偶然、海の上で出会い、お互いの苦悩を明かし合う。

そして、ラストの部分が良かった!
暗い暗い闇のなかに光が見えたかんじでした!

物語は残酷で辛いものですが、その語り口は、とても高尚。
大人のためのファンタジ-というかんじでした!

この方、1966年生まれだそうですが、小説はこれが初めてでしょうか?
ほかの話も書いて欲しいです!


★★★★★
PR
2508e130.jpeg発行年月:2009年10月


198×年、灼熱の魂が駆け抜ける-----。

辺境の地、東海道を西へ西へ、山を分け入った先の寂しい土地、鳥取県赤珠村。その地に根を下ろす製鉄会社の長女として生まれた赤緑豆小豆は、鉄を支配し自在に操るという不思議な能力を持っていた。荒ぶる魂に突き動かされるように、彼女はやがてレディ-ス(製鉄天使)の初代総長として、中国地方本土の制圧に乗り出す-----あたしら爆走女愚連隊は、走ることでしか命の花、燃やせねぇ!中国地方にその名を轟かせた伝説の少女の唖然呆然の一代記。里程標的傑作『赤朽葉家の伝説』から三年、遂に全貌を現した仰天の傑作!

                               
   (東京創元社HPより)

ハチャメチャだ!
愉快なくらいのハチャメチャさ!

まるで、少年漫画を読んでいるようなかんじ?(読んだことないけど・・・・^^;)

小学校6年生のときから暴れまくる少女・赤緑豆小豆。
中学入学と同時に仲間を次々つくりレデ-スの初代総長となって、さらに大暴れ。
彫刻刀を振り回して相手を切りつける・・・普通ならこれだけで、少年院送りだよ!
そして、彫刻刀で相手の顔に「瓢箪」「醜女」「横綱」と次々掘るなんて・・・


だけど、なんだろ?この痛快さは!

小豆の家は製鉄所を経営し、真面目で好青年の兄がいて、妹、弟がいて、家族と話す場面では普通の女の子なのになぁ~。

レデ-ス「製鉄天使」の仲間(スミレ、花火、ハイウェイダンサ-)たち。
小豆が武器を求める武器屋「貴婦人と一角獣」のイチ。
小豆の恋人で、総番長のタケル。

それぞれが個性的で最高でした♪

鳥取を拠点に暴れ、その後、島根、岡山、広島そして、最強と言われた山口を抗争で叩きのめして制圧しつくす「製鉄天使」の活躍ぶり。

でも、高校2年である出来事を機に青春が終わったと感じた小豆。
ちょっとしんみりしたなぁ~。

と思いきや・・・・その後の顛末がまた一笑わせさせてくれて、楽しかった。

あ~でもこういうのは、好き嫌いが分かれそうだな。

わたしは結構楽しめた。

「赤朽葉家の伝説」は未読だけど、読んでみようかな?

桜庭さん、もしかして元レデ-スですか・・・?
出版社のHPでの真っ赤な特攻服がとてもお似合いでした(^^)

★★★

a54e8f1f.jpeg   発行年月:2007年7月


   あかりが12歳のとき、子犬のソックスがやってきた。
   亡くなった母とかわしたあの約束を、はたして、
   あかりは守れるのか・・・・・。

   2008年3月に公開された同名映画の原作本


                       
(本の帯文より)
① 私と気長につきあってください。
② 私を信じてください。それだけで私は幸せです。
③ 私にも心があることを忘れないでください。
④ 言うことをきかないときには理由があります。
⑤ 私にたくさん話しかけてください。人のことばは話せないけど、わかっています。
⑥ 私をたたかないで。本気になったら私の方が強いことを忘れないで。
⑦ 私が年を取っても仲良くしてください。
⑧ 私は十年くらいしか生きられません。だからできるだけ私と一緒にいてください。
⑨ あなたには学校もあるし友だちもいます。でも私にはあなたしかいません。
⑩ 私が死ぬとき、お願いです、そばにいてください。
   どうか覚えていてください、私がずっとあなたを愛していたことを。

 


映画化は知っていましたが、見る機会なく・・・・こういうのってきっと泣けるだろうし・・・・。

図書館の棚にあったので、借りて読みました。
可愛らしい子犬の表紙写真に先ずは癒されて、中身のほかの写真もすごくかわいい(^^)
足の先だけ白くて、本当に靴下をはいているようなソックス。

子犬のときから年老いて亡くなるまでが描かれていますが、その飼い主である12歳のあかりちゃんが大人になるまで、その家族の出来事も交えての感動作品でした。

犬に限らず、命あるものを育てるって、みんなこの10の約束が大事かも。
喋らなくても、気持ちは通じあっている家族と同じ大切な存在なんですね。

帯文にも書いてあるからここにも書いちゃうけど、母親が亡くなった頃にあかりの元に来たソックス。
犬を欲しかったあかりのために、そういう手はずを整えていたのね・・・(/_;)
母親の娘を想う気持ちが最後にズ~ンと響くもので、泣けました。

あかりの父親も娘想いで優しかった。


これ読んだら、映画も見てみたくなりました。
きっと映像になったら、もっと泣けるだろうけど・・・。

この著者は、ほかにも多くのヒットした映画のプロデュ-スを手掛けている方のようですね。
「クイ-ル」「子ぎつねヘレン」「花よりもなほ」「ゲゲゲの鬼太郎」
脚本家としては「RAMPO」「椿山課長の七日間」などだそう。

その他、小説も書かれているようで、多彩な活躍をされているんですね。
知らなかったぁ~。
今度は小説を読んでみようかな?



★★★★


  
57fefe2e.jpeg発行年月:2009年10月


酉乃初、普通の高校一年生。
だけど実は・・・・・
レストランバ-『サンドリヨン』でマジシャンとして活躍する彼女が遭遇した出来事を解き明かす。

第19回鮎川哲也賞受賞
(東京創元社HPより)
 
ポチこと須川くんが可愛い♪
学校では無口で無表情の女の子・酉乃初のことが気になって仕方ない。

レストランバ-でマジックを披露する酉乃を偶然、見かけ、学校で見せる表情とはまるで別人の様子に更に興味が増して、学校で勇気を出して話しかけ、事の成り行きで一緒の図書館へ。
そこで、最初の謎に遭遇。

その謎を見事解明するが、解明したことにより人を傷付けてしまったと落ち込む酉乃を優しく見守る須川くん。
そして傷付けた相手を偽善でも良い、何もやらないよりは・・・・と思い直し得意のマジックで勇気付ける。

青春っぽくて爽やかな話でスタ-ト。

その後も学校内で起きる不可解な出来事を須川くんに乗せられながら、解明していく。

そこには、妬みやちょっとした軋轢があり、学校内の人間関係がリアルに描かれていました。

校舎から飛び降り自殺した女生徒の幽霊が出る話がちょこちょこ出てくるが、最後にその真相も明かされる。
なるほど、そういうことでしたか!?と気持ちよく終わって、読後も爽やか。

謎の部分が多い、酉乃初だけど、須川くんのおかげで、今まで自分のなかで我慢していた感情を素直に出せたり、二人の間に信頼関係が確実に芽生えたようで、微笑ましかったな~(^^)

最初から最後まで、楽しめ一気読みでした!

次回作も期待したい作家さん!


★★★★★
8fc7ef16.jpeg   発行年月:2009年12月


   怖い、切ない、あたたかい、多彩な物語が弾きだす

   父が秘めた生涯の恋、消えた女房が見せる奇妙な夢、
   深山に逃げ込んだ盗賊の顛末など今昔の境も
   夢現の境も自在な6つの物語


                        
(文藝春秋HPより)

先に読んだ「朝のこどもの玩具箱」に続いて、新聞掲載されたお話。
今回は、明るい雰囲気の話が多かった「朝の・・・」に比べると、不思議だったり、怖かったり、切なかったり・・・・・。

最初の話「仕舞い夏の海」は、若い頃、一緒に暮らしていたが突然、姿を消した女性・茉莉の事が忘れられない達樹だったが、今はもうすぐ30になる娘も嫁ぎ、妻と暮らしていた。
けれど、病に倒れ、余命も短いようだ。
妻・敏美は、故郷の海を見せてあげたいと娘と供に達樹を思い出の海に連れて行く。
故郷の海で思い出の女性に会わせてあげたいと思う妻の優しさが切ない。

そして、この話は最後「もう一度さようなら」に続いていて、予期せぬ続きが嬉しかった!
達樹と敏美の娘・雛子は夫・修一とやや冷え切った関係でそれをもう修復出来ないものか?と悩んでいた。
修一は過去に哀しい出来事を体験していて、そのためか他者と濃密に結びつこうとしない。
結婚して暫くから、修一との日々は長くは続かないだろうと予感していたが別れという決意はつけられず・・・・・
辛いだろうなぁ~。こんな状況が続いたら・・・・。

雛子もその母親の敏美もなんだか気の毒でした。
切なくて苦しい。


けれど、最後は、それぞれ夫に疎まれていたわけじゃなかった。大事な存在だったんだ!と気づけて良かった!

ほかの話もそれぞれ、文句なし!
時代物の2作「恋女房」と「蛍女」は、ちょっと妖しく怖かった。

「うちの猫は鼠を捕りません」は、SFとホラ-の要素で最後はゾッ!(;O;)

「お花見しましょ」は、ちょっと切ないけど、最後は明るくて良かった。

6つのお話、どれも良い!
やっぱり、あさのさんは凄い!

短編集でひとつひとつがそう長くなく、いろんなテイストが詰まっているので、
今まで敬遠していた人も是非、読んで欲しいな~なんて思う本です(^^)

★★★★★
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