発行年月:2006年9月
専業主婦の恭子は、夫の子供を身篭ったという
不倫相手を毒殺、
完全犯罪を成し遂げたかに思えたが、
ある疑念を抱き始める。
罠が罠を呼ぶ傑作ミステリ。
(幻冬舎HPより)
長い話ですが、面白くて、殆ど一気読みでした!
夫の出張中に不倫相手だという女・関口真弓からかかってきた電話に激しい憤りを感じる恭子。
プライドが高い彼女に殺意を抱かせるだけの言葉。
そして、真弓を毒殺。
犯人が最初にわかるパタ-ンの推理小説。
でも、その後が面白い。
完全犯罪かと思われた恭子の綿密な犯行だったが・・・
捜査段階の割と早くから刑事・戸田は、恭子が犯人なのでは?と睨み、その確証を得るための推理と捜査の過程が面白い!
いろいろな仮定を立ててひとつひとつを事実と併せて検証してゆく。
そして、事情聴取での刑事・戸田と恭子のやりとり。
罪を割りとアッサリ認める恭子だったが、どこか自信に満ちている態度に違和感を覚える戸田。
そして裁判・・・・・ここからがまた面白かった!
いろんな人間が出てくるけれど、自然と頭のなかに残っていて、「あ~この人は・・・」とその前に書かれていた伏線がこういう風につながるんだ!と納得。
鋭い推察力の刑事・戸田ですが、彼女の本当の殺害理由はついに謎のままというのもいい。
ラストは壮絶だけど、恭子らしい。
これは、2009年にドラマ化されたそうですが、正にドラマを見ているような感覚で読めます。
ドラマ、見てみたかったなぁ~。
恭子役は米倉涼子。
刑事役は舘ひろしだったんですね!!
他にも豪華キャスト!
う~んDVDないかな?(笑)
著者は60過ぎでこの本でデビュ-とか。
最初は自費出版。その後、出版社から単行本として発行され、売れに売れ増刷も何度かされてる作品だそうです。
この次に出した「目線」は先に読みましたが、それもなかなか面白かった!
次の作品も期待します!!
著者のこの本に賭けた意気込みのようなものも垣間見える
幻冬舎のこちら(氷の華 もうひとつのスト-リ-)のペ-ジを気になる方は一緒にどうぞ♪
★★★★★
川田幸代。29歳。会社員。腐女子。社の秘められた過去に挑む―。本間課長は言った。「社史編纂室でも、同人誌を作ろう!」その真意はいかに?風雲急を告げる社史編纂室。恋の行方と友情の行方は、五里霧中。さらには、コミケで人気の幸代の小説も、混乱に混乱を!?これでいいのか?わたしの人生。
(筑摩書房HPより)
三浦さん、いろんな話を書きますね~。
今度は、商事会社が舞台。
主人公の幸代は、社史編纂室の一員。
なんだか冴えないほかのメンバ-たち。
本間課長は、定年が近いのに課長どまり。定時に出勤する事ほとんど無し。
2年先輩の矢田は、別名「ヤリチン」。
後輩のみっこちゃんは屈託がなくいつも明るい。
社史を作る・・・地味な作業だな。
これがどういう面白い展開になっていくのか?
三浦さんなら絶対面白くなるんだろうけど・・・と思いながら読み進めると、やはりどんどん面白くなりました!(^^)
星間商事の知られざる過去!
登場人物の人間関係の新事実も明かされたりでした。
幸代が最初、ナイショで高校時代の友達と作る同人誌の小説。
学生時代は文芸部で小説も書いていたという本間課長が幸代の小説に触発されて書き始めた時代物小説。
その後、新たに社史に関わる小説。
これらもそれぞれ面白かったな~。
会社と関わりのあったという「サリメニ」という国は・・・・想像上の国?
今は崩壊したけど、ホントにかつてあった?(この辺、疎いけどないよね?^^;)
社史編纂室に届いた脅迫状と思われる葉書の出所はハッキリ書かれていなかったけど
多分・・・〇〇ですかね?
幸代と一緒に暮らす、恋人の洋平の実態はよくわからなかったけど、二人はお互いのやりたい事を認め合えてよい相棒というかんじでなかなかいいな。こういう関係なんて思いました。
結婚するか否か?迷っていた幸代の気持ちもよくわかったけど、お互い離れなれないんだろうね。
自分を一番理解してくれてる人だから。
最後は、社史編纂室は解散したけど、清々しい別れというかんじで良かったな。
今回の話も楽しかった♪
人の表裏を巧みに描いた最新傑作連作集!
出張ホストを買う孤独な女・りつ子。自殺願望のある風俗嬢・茉莉。八人の女と同居する中年男に安らぎを求める可世子。アイドルのおっかけに夢中の高校生・奈々美。女になりすましてメールを書く淋しい青年・光。息子を溺愛する有名女優・黎子――。人間の心の明と暗、優しさと毒、安らぎと恐怖、それらはどれも隣り合わせにある。だから人は、ほんのささいなきっかけで足を滑らせる。
10人の人間たちの人生がゆがむ一瞬を見事に切り取った連作短編集。直木賞・柴田錬三郎賞を受賞した恋愛小説の名手による、新しい傑作!
(小学館HPより)
8番目に登場の光以外は女性が主人公。
年齢はいろいろ。職業もいろいろ。
その生き方もいろいろ。
だけど・・・・第三者的に見たら、ちょっと危ない。
最初のりつ子が一番、ありそうな堕ち方かもね。
若いホストに貢ぐ女性の話。
5番目に登場の中学の養護教諭の和美の話は、理解出来ないけど、ま、ありえる話か?
最後はえぇ~っ!?だったけど。
唯一男性で話の主人公になっていた光は、最後、自業自得ですね^^;
生い立ちを知ると同情もしたくなるけど・・・・。
どの主人公たちも、他人からみたら幸せとは言い難いんだけど、他人が思うほど、不幸とは感じていないのかもなぁ~なんて思いました。
最後の妙子の話は、途中まで厭な女!(怒)って思ったけど、最後はちょっと笑えた。
10の話どれも他人事だから、おもしろかった!
いつか、大切な人と見つけたい光景がある。
『しずかな日々』 『るり姉』で人気急上昇の著者、初の青春群像スト-リ-!
朝子と正人、卓也と梓は恋人同士。けれど少し前までは、朝子は卓也と正人が梓と付き合っていて・・・・・。城下町・小田原を舞台に描かれる、傷つき、もつれた四角関係の“その後”。
元は同じ介護施設で働いていた仲間。
お互いの良いところを認めあっている仲だった。
4人が交代で語る形式で物語が進む。
本音の部分で、実は憎んでいたり、未練があったりしそうだけど、ハッキリとそういう気持ちは出てこない。
むしろ、今現在の恋人に対する本音の気持ちが描かれていた。
略奪愛のような形なので、周りの4人を知る人間には、いろいろな憶測からの噂が流れたらしいけど、4人にとっては、今の恋人がそれぞれベストなんでしょうね。
介護の仕事の場面も度々、出てくるけど、利用者に接する彼らの様子は清々しく好感が持てました。
いろいろな問題を抱えている介護の現状も描いていたり、そこで思う彼らの気持ちを読むと
人の気持ちを敏感に酌める優しい人たちなんだなぁ~とも思いました。
だから?結構、涙流す場面があったし印象にも残りました。
梓が象のウメ子を見ながら涙した場面。
卓也が祥子に対する気持ちを上手く表現できず涙する場面。
よくわからないけど、読みながら切ない気持ちに・・・(/_;)
ラスト、朝子と梓が偶然、出会う場面もジ~ンと来るものがありました。
しかし、こういう四角関係って、実際には少ないでしょうね~。
「日本のどこかに、誰も知らない廃線跡がある。それを最初から最後までたどると、ある奇跡が起こる」
吉祥寺の居酒屋で、心優しき鉄道ファンはそうつぶやいた。直後に彼は失踪。ぼくは彼を慕う「鉄子」の菜月さんとともに、その姿を追って北へと向かう。けれどその言葉は、思いもつかないところにぼくらを運んでいった――。誰かを想うよろこび、何かを失うさみしさ。なつかしくなる、旅に出たくなる、大人のための青春小説。
「天使の歩廊」は建築家。今度は鉄道マニアのお話。
鉄道には全く興味ないので、前半部分は少々、退屈でした^^;
でも、マニアの間で噂される
まぼろしの廃線跡を見つけて始発駅から終着駅まで辿れば、ある奇跡が起こる
が気になり、次第に話にものめりこみました。
親しくなった男性が行方不明になり、廃線跡に行ったのだ!と予測し、その地を探し訪れる牧村と菜月。
ラスト、奇跡を体感した男女。
そして、そこから始まる未来。
二人の未来はどうなっていくのだろう?
一見、ハッピ-エンドのようですが、そうとも限らないというリアルさもあって・・・・
そこまでの話はファンタジ-だったけど、妙に現実的な終わり方で、そこもなかなか面白いなんて思いました。
最後の方にあった印象に残った文
人生は鉄道と似ていて、ところどころ乗り換えがある。
乗り換え駅は注意しないと目指しているところと全くちがう場所へ連れて行かれてしまう。
なるほどね・・・・この物語で言いたいことかな?
今回も最後に多くの参考文献がありました。
時間をかけて一作一作書かれる作家さんなんでしょうね。
次回作も期待しちゃおう(^^)
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記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;