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読んだ本の感想あれこれ。
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fd6d3fd7.jpeg発行年月:2007年10月


真実の愛を求めて

「お話して、ピュ-」。みなし児の少女シルバ-は、盲目の灯台守ピュ-に引きとられ、百年前のある牧師の「愛の物語」に耳を傾ける・・・・。大海のごとく、魂を震わす傑作長編!


                      (白水社HPより)

図書館の海外作品の棚を眺めていて、なんとなく手に取り読みました。

冒頭から惹き込まれる文章。
書かれたことが頭の中で風景になって浮かんでくる。
こういう出だしのは、大抵、面白いはず!と期待が高まるかんじでした(^^)

そして・・・面白かった!

シルバ-が孤児になった経緯は、結構、哀しくて泣けるし、盲目のピュ-との暮らしも明るく楽しいわけではないのだけど・・・・・。
暗い闇に覆われたような世界。

盲目のピュ-が語るお話は灯台守たちに受け継がれてきた物語。
そして、100年ほど前にいた、ある牧師・バベル・ダ-クの話が語られる。

ある地から逃げ出すように海を渡り辿り着いた地で全てを終わらせるために結婚。
新妻は物静かで彼を愛したが彼はそうではなく、次第に妻を虐げる。
この辺を語るときは、ちょっと・・・・少女ピュ-に話すのはどうか?
と思われる描写もありましたが・・・^^;

そして、結婚する前に愛していた女性・モリ-との偶然の再会。

ダ-クは、二人の女性の間を行き来するという二重生活に。

物語を語るピュ-は、その時代に存在していたかのようにダ-クの事を語り、シルバ-に「ピュ-はまだ生まれていないでしょ?」と突っ込まれるのだけど。

その後、シルバ-は灯台を去り、今度は自分の物語の為に生きる。

完全にすっきりした終わりではないけれど、いろいろな想いを想像しながら余韻に浸れる。

始終、物語を読みながら、海が頭の中に描かれていました。
最後は、昼間の太陽の下の明るい海というかんじかな?


訳者の方も素晴らしいんでしょう。
文章がとても美しい。

明るい楽しい物語ではないのに、何度、読んでも飽きないかも。


何気なく棚から選んだ本だったけど大当たり!で嬉しい(^^)

でも好みの問題もあるので、みんなにお薦めとは言い難いです^^;

★★★★★
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aa17762d.jpeg発行年月:2009年12月


日本中を言葉の力で飛んでいく新しい小説集

デザイナ-池田進吾氏発による、いしいしんじ、森絵都、栗田有起、西加奈子、藤谷治氏の読み切り小説集。「場所」に特化した全く新しい小説集です(今後、半年に1回ずつを刊行予定)。


                        (小学館HPより)
いしいしんじ・・・T
   西 加奈子・・・猿に会う
栗田有起・・・極楽
     池田進吾・・・赤、青、王子
   藤谷 治・・・すみだ川
       森 絵都・・・東の果つるところ

最後の森さん以外、お初かな・・・・どこかのアンソロジ-で読んだかもしれないけど記憶はないです。

最初のいしいさんの「T」は・・・・正直、読むのが途中で面倒になりました^^;
何を言いたいのか、わたしの読みが浅いのか?チンプンカンプンでした・・・理解しようと努力はしたんですが・・・。

西さん、栗田さん、池田さんは、まあまあ。
西さんの「猿に会う」は、仲良し三人組のだらだら加減が面白かったし、栗田さんの「極楽」も河童のQが極楽を求めた先にあったものに切ない哀愁のようなものを感じ、池田さんの「赤、青、王子」は、何の変哲もない物語だけど、言葉遣いのセンスは好き(^^)
すっごく面白くはないけど・・・この3つは普通に楽しめました。

5番目の藤谷さんの「すみだ川」、これが一番良かったな!
落語調の語りで物語がテンポよく進みます。
吉原の花魁と商人の話なんですが、ラストもキレイで粋でした♪

最後の森さんの「東の果つるところ」もよかった。
森さんはやはり上手い!期待通りでした。
左右対称を重んじる草門一族の話。そして一族の掟を破った末にこの世を去る由果の語りに夢中になりました。


手にしたとき、意外と厚い本だな。と思いましたが、ササッと読めました。
 
第二弾は半年後だそうで、そちらも読んでみようかな?

後ろ2つの作品だけなら★4つですが・・・・・^^;


★★★
 
3cd6b69a.jpeg発行年月:2007年2月


天使はものを食べない。あたしは病気でも拒食症でもない、ただ天使になっただけ。だから病院になんてやらないで。あたしの肩から生える羽がもうすぐみんなにも見えるはずだから。


                       (主婦の友社HPより)



主人公のマ-シ-は15歳。
父親は大学の先生。母親は環境問題を扱う弁護士。

両親はマ-シ-に大きな愛情を抱いているし、マ-シ-はすごく優しくて良い子。

でも、食事を食べなくなってしまう。
心配した両親は、何とか食事をしてもらおうといろいろ優しく説得するけれど・・・・自分は天使になる。羽も生えかけているから、食事なんて摂ったら天使になれなくなってしまうと言うマ-シ-。

結局、なんとかマ-シ-を摂食障害を治療する病院に入院させるのだけど上手く治療の成果が上がらない。
同じように治療を受ける女の子たちとの間では友情が育ち、よい友達関係を築くけど、ある事件をキッカケにマ-シ-は病院を抜け出す。

どうなるの?と思っていたら・・・・最後は偶然の奇跡がマ-シ-を救うという話。

図書館の棚にありなんとなく手に取った本ですが、意外と重い内容の出だしで戸惑いました。
同じ年頃の娘を持つ身なので、辛くて・・・
娘が摂食障害になったら?なんて想像しただけで、どうしたらいいのか?

マ-シ-の両親は、冷静に対処していたなぁ~感心!

とっても良い子なだけに、背負っていた物も大きかったんだと段々とわかります。

死産だった弟・ピ-タ-。
母親は仕事で心労、そこに息子の死という哀しみを抱えている。
母方の祖母は昔、ドイツの強制収容所で辛い目に遭っている。

周りの愛する人の苦悩をなんとかしてあげなくちゃ!と思う優しさが少女を追い詰めていた。

でも、その事にちゃんと周りの大人は気づく。
そして少女に語る言葉が素敵だった。

両親、おばあちゃん、病院から逃れて辿り着いた先のメアリ-とカ-ル。

ラストは、みんなが笑顔の様子が想像できてよかった!

いろいろと考えさせられる本でした。

娘にもいつか読んで欲しいな。

★★★★★

0ff1eb3d.jpeg発行年月:2007年11月

病んでいるのは、いったい誰だ?
妊婦連続殺人の容疑者を夫が弁護-----。
妊娠5ヶ月めの妻の恐怖は、それから始まった。
現代社会の病理を描く、衝撃の書き下ろしサスペンス

妊婦ばぁりが次々と狙われる連続殺人事件の容疑者は、男子高校生だった。しかも夫がその弁護を・・・・。妊娠5ヶ月めの美沙緒の周辺がめまぐるしく変化する。

       
                                  (講談社HPより)

先ず最初に恐ろしい事件が連続して起こり、犯人に憤りを覚えました。
私立の進学校に通う男子高校生が犯人。
最初の殺人は、不運な偶然が重なり・・・しかしそれを機に次からは自分の意志で妊婦を狙う。
もはや捕まるのも時間の問題と気づいたあとが恐ろしい。

そんな犯人をこれまた不運な偶然からか、弁護する立場になった男の妻・美沙緒。

留置所で拘束されながら尋問を受ける犯人・直彦と弁護士の妻・美沙緒の出来事が交互に描かれる。

美沙緒の周辺にいる親しい者たちが事件を機に悪意を剥き出しに攻撃する様も怖かった。

人って怖い。
どんな事で恨まれているか・・・。

弁護士ってやっぱり大変な仕事だな。とまた思う。
こういう誰がどう考えても極悪非道な人をも弁護しなくちゃならないんだから・・・・。

でも美沙緒の夫・月隈は、良い弁護士だな。
その生い立ちからしたら、直彦のような人間を真っ先に恨んでも不思議じゃないのだけど。
罪を軽くしようとしてるわけじゃなく真実を明らかにすることを真っ先に考えている。
犠牲になった遺族の気持ちがよくわかるからだろうな。


月隈と美沙緒の関係も会話から感じる関係がとても良かった。
だから、最後、美沙緒が最悪な状況に陥ったときには、まさか!?とハラハラ。

そういう意味では、最後、ホッとしました。

しかし・・・人間の本音とかってわからないし・・・・不穏なかんじは少し残る。

永嶋さんの本、数冊読みましたが、どれも結構、おもしろいなぁ~。

新刊も楽しみ(^^)


★★★★

9d7eba61.jpeg発行年月:2009年11月


ばらばらのようで、つながっていた------
借金まみれのキャバクラ嬢。
猫の集会を探し求めるカメラマン。
夫が死んだ日のことをわすれられない未亡人・・・・
ひとりぼっちの人生がはじまった、
それぞれの分岐点。

安心できる場所って、探すものでなく、気づくもの

                                            (本の帯文より)
 
同じ団地に住む人たちが順番に主人公になって語る。
最初は、キャバクラで働いていたが、借金取りに追われ逃げている絵里が登場。
高校時代の同級生・朱美に偶然、出会い、家に居候させてもらっている。

絵里も朱美も、高校時代から再会するまでに、大きく暮らしぶりが変化している。
いろいろな事があり、一人ぼっちの暮らしをしていた。

他の登場人物たちも、皆、一人暮らし。
そこに至るまでの様子は、どれも波乱万丈。人生いろいろというかんじ。

一人一人の過去にはいろいろあったけど、借金取りに追われる絵里をなんとか皆の知恵で救おうと会を催し和気藹々と食べて語る様子は良かったな。
理想のご近所付き合い、理想の人間関係。

辛いことがあって、それを乗り越えるのは自分だけど、周りに語り合える隣人がいるって凄く大きな安らぎだろうな~。

自分がいつか一人暮らしするときになったら、こういうご近所付き合いが出来るといいな。
なんて思ってしまった。

表題作の「いつか響く足音」の宮前静子さんの話は、ちょっと同情出来ない部分もあったけどね^^;
これからも足音に怯えて生活するのかしら?

なかなか面白く読みました(^^)


★★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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