忍者ブログ
読んだ本の感想あれこれ。
[48]  [49]  [50]  [51]  [52]  [53]  [54]  [55]  [56]  [57]  [58



発行年月:2021年11月


皇族華族の内面をこれほど正確に描ききった小説は
読んだことがない。傑作である。――歴史学者・磯田道史
いつの時代も、高貴な方々の結婚問題はむずかしい――
梨本宮伊都子妃は、娘・方子女王の結婚相手探しに奔走していた。なかなか身分の釣り合う婿が見つからないのだ……。
方子女王が皇太子妃になる道が潰えた今、方子がみじめな思いをしないように、一刻も早く、良縁を見つけてやらなければならない。
聡明で率直、そして行動力に溢れた伊都子妃は、誰も思いつかなかった方法で、娘の方子女王を〈皇太子妃〉にする道を見つけ出すが……。そのために乗り越えなければならない課題は、伊都子妃の想像を越えるものだった。
高貴なる人々が避けては通れない縁談を軸に繰り広げられる、ご成婚宮廷絵巻が幕を開けます。

               (文藝春秋HPより)


本の表紙の絵とタイトルだけ見れば、朝鮮王朝の話?と思ってしまうが
違った。

日本の皇族方の結婚事情がよくわかるお話。

語りは梨本宮守正の妻・伊都子。
夫の兄の娘(長子)が、裕仁親王(昭和天皇)と結婚するらしいと知り、
自分の長女・方子(まさこ)もそれに釣り合うような結婚をさせてあげないと
とあれこれ考え、日韓併合の時代で、朝鮮王家の次男で10歳から在日している
李ウン殿下との結婚を思いつく。


凄いなと思う。
皇族の結婚はこの時代、国の行く末も考えて決められていたんだな・・・。
伊都子の思い付きは、日本にとっても日韓友好を謳う意味でも喜ばしいことだと
進み方子も最初は、母の思い付きを拒否していたのに「お国のために・・・」という
言葉で納得させられていく。

こういう事実があったのは、今回初めて知った。
そして、男の子(晋)が生まれて、朝鮮国王にも顔見せするためということで
生後8か月の子と3人で朝鮮へ。
伊都子は、子どもだけは置いて行きなさいと強く言ったのだが・・・
そして、恐ろしいことに晋は、朝鮮から帰国する寸前で病死してしまう。
直前まで機嫌よくしていたのに、晩餐会に夫婦で出席し、戻ったら
具合が悪くなったとか。

でも、その後、再び男の子(玖)が生まれて良かった。

伊都子の語りで、明治、大正、昭和と皇族の周りに起きたことがよくわかる。
戦後、11の宮家が一平民になり、区役所で戸籍届をしたりなど。
伊都子の生活も随分、変化していく。

最後は、平成天皇と美智子さまの結婚をみておもう伊都子の言葉。
自分の生きてきた時代とは別の時代が動き始めたことを 
「…日本ももうだめだと考えた」とある。
その心中を考えると、ちょっと切ないものがある。


読みやすく、面白かった。



                  ★★★★★
PR


発行年月:2008年3月


時を経た気配のあるものは、どこか安心、ささやかに幸せ。
マンションで一人暮らす岸本さんは、時を経た気配のあるものを身近に置いている。骨董的価値では計れないけれど、どこか安心。ささやかな幸せを運んでくれる。
オールドノリタケのティー碗で飲むお茶。
引き戸のある横浜家具のキャビネット。
赤い漆の飯器は一人用。
母から受け継いだ古伊万里や香蘭社の小皿。旅先の古道具店で見つけた思い出の品……。
そこに、ほんのり流れるのは、もしかしたら、なつかしい昭和の時間かもしれない。
カラー写真50点を収録(すべて著者の持ち物です)。

                   (バジリコ株式会社HPより)


図書館の棚を見て歩いていて、ふと目に留まった本。
お名前は聞いたことあるのだけど、書籍を読むのは初めて・・・だと思う。

著者の年齢とほぼ同じなので、ここにある素敵な食器などは持っていないけれど
どこか懐かしいなぁ~。
親戚の家で使っていたものに似てるかも~となんとく見覚えがあるような
かんじの物があって楽しかった。


一人暮らししていたら、こんな風に、自分の好きなものだけを周りに置いて
生活できるんだなぁ~と少し羨ましくも感じた。


お母様が作ってくれたという小さい頃に着ていた服や巾着袋を大切に
今も取ってあるというのには、感動。
わたしの母も服やら、小物(布バッグとか)を裁縫で作ってくれたのを思い出し、
何も手元に残してないことを残念に思った。
今度、実家に行ったら探してみよう。


岸本さんの本、他にも読んでみよう。


                    ★★★★



発行年月:2022年9月


大きな話題を読んだ”体験型ミステリー”第2弾。
第一章「明神の滝に祈ってはいけない」
桃花はひとり明神の滝に向かっていた。一年前に忽然と姿を消した姉・緋里花のSNS裏アカウントを、昨晩見つけたためだ。失踪する直前の投稿を見た桃花には、あの日、大切にしていた「てりべあ先生」を連れて姉が明神の滝に願い事をしに行ったとしか思えない。手がかりを求めて向かった観瀑台で桃花が出合ったのは、滝の伝説を知る人物だった。
第二章「首なし男を助けてはいけない」
夏祭りの日、少年は二人の仲間を連れて大好きな伯父さんを訪ねる。今夜、親たちに内緒で行う肝試し、その言い出しっぺであるタニユウに「どっきり」を仕掛けるため、伯父さんに協力してもらうのだ。伯父さんは三十年近くも自室にひきこもって、奇妙な「首吊り人形」を作っている。その人形を借りて、タニユウの作り話に出てきたバケモノを出現させようというのだ。
第三章「その映像を調べてはいけない」
「昨夜……息子を殺しまして」。年老いた容疑者の自白によれば、息子の暴力に耐えかねて相手を刺し殺し、遺体を橋の上から川に流したという。だが、その遺体がどこにも見つからない。必死で捜索をつづける隈島刑事は、やがてある「決定的な映像」へとたどり着く。彼は先輩刑事とともに映像を分析しはじめ——しかし、それが刑事たちの運命を大きく変えていく。
そして、書き下ろしの終章「祈りの声を繋いではいけない」
――すべての謎がつながっていく。前作を凌ぐ、驚愕のラストが待つ!
各話の最終ページにしかけられたトリックも、いよいよ鮮やかです。

                    (文藝春秋HPより)



前の「いけない」よりは、わかりやすかった。
騙されたことに意外とすぐ気づくことが出来るようになっているから・・・。


現代の話なんでしょうけど、滝の伝説を信じる人たちの話で、ちょっと昔っぽい。

明神の滝(冥神の滝)で願いことを唱えると叶う。
けれど、その代わり大切なものをなくす。


小澤緋里花(当時高校2年)は、1年前に失踪したきり。
妹の桃花は、姉は滝に、その時、癌が見つかり手術することになった母親の
手術の成功を祈りに行ったのではないか?と自分もその通りの行動をとる。
滝では姉がみつかりますように・・・と祈り。


その後は滝に向かう山道のわきで、山の避難所兼管理をしている大槻。
友達と肝試しをしようと山に入る小学生・真。
暴力をふるう息子を殺めてしまった千木夫婦。

色々な登場人物が出てくるが、それらは繋がっていく。


直接、殺したわけではないのに、自責の念にかられる小学生の真が、可哀想で
どうなる?と心配したけれど、最後に人の命を救うことで、その自責から
少し解放されたであろうラストはホッとした。



写真は、後々、その意味を知るとゾッとした。

このいけないはシリーズ化されるのかな~?



                         ★★★★




発行年月:2022年3月


隠れキリシタンの島で起きた、密室殺人の謎
相続鑑定士の三津木六兵の肩には人面瘡が寄生している。毒舌ながら頭脳明晰なその怪異を、六兵は「ジンさん」と呼び、頼れる友人としてきた。
ある日、六兵が派遣されたのは長崎にある島、通称「人面島」。村長の鴇川行平が死亡したため財産の鑑定を行う。島の歴史を聞いた六兵は驚く。ここには今も隠れキリシタンが住み、さらに平戸藩が溜め込んだ財宝が埋蔵されている伝説があるという。
一方、鴇川家にも複雑な事情があった。行平には前妻との間に長男・匠太郎と後妻との間に次男・範次郎がいる。だが二人には過去に女性をめぐる事件があり、今もいがみ合う仲。さらに前妻の父は島民が帰依する神社の宮司、後妻の父は主要産業を統べる漁業組合長である。
そんななか、宮司は孫の匠太郎に職を継ぐべく儀式を行う。深夜まで祝詞を上げる声が途切れたと思いきや、密室となった祈祷所で死んでいる匠太郎が発見された。ジンさんは言う。「家族間の争いは醜ければ醜いほど、派手なら派手なほど面白い。ああ、わくわくするなあ」戸惑いながらも六兵は調査を進めるが、第二の殺人事件が起きて――。
毒舌人面瘡のジンさん&ポンコツ相続鑑定士ヒョーロク、今度は孤島の密室殺人に挑む!

                   (小学館HPより)


2作目とは知らなかったけど、これだけ読んでも特に困らない。
事件の起きるのが、仁銘島という離島で、人の顔のように、真上から見ると見える
ことから人面島とも呼ばれている島。


そして、そこの村長が亡くなったことで島にやってきたのが、三津木六兵という
相続鑑定人。三津木の右肩には人面創があり、意思を持って話す。
三津木と人面創のじんさんのやり取りが愉快。

鑑定人として島に来たのに、次々起きる、亡くなった村長の身内の死。
どれも他殺。
三津木とじんさんは、その真相も追うことに・・・・。


警察官もいるけど、ほぼじんさんのお手柄かな?
三津木だけじゃ全然、解決しなかっただろうな~。


犯人は、もしかしたら・・・・と途中から予想がついたけど
犯人の今後は、どうなっていくのか?その方が気になった。


離島が舞台の事件は、よくあるものだけど、まあまあ楽しめた。


                       ★★★


発行年月:2022年10月


親子とは、なんであろうか。誕生とは、どの瞬間をさすか。なぜ多くの夫婦が、実子に拘るのか。養子ではいけないのか。子とは、両親の遺伝子を運ぶ船であり、親が子を助けるのは、自らの遺伝子を載せた方舟を無事に船出させるためだ。そうとまで言い切る学者もいる。自分の犯した罪を忘れたいがためなのか、この世に産声をあげた子らは、すべからく何れかの親を持つ天からの贈り物である、と今ここにいる老人は信じます。――本文より

                       (光文社HPより)



赤ちゃんの取り違えが題材の物語は幾つか読んだり、映画で観たり
していたけれど、生殖医療が進んだ時代では、こういうことも起こりうること?と
ちょっと怖くなった。

取り違えは、受精卵を培養するためのシャーレの取り違え。
別のひとの受精卵をお腹のなかで育て、出産している2人の母親とその子ども。
どちらも女の子。
そして日本人と韓国人。


そのうちの一人、宮本菜々子は、医大生になっている。
ある日、血液型の検査を受け、両親が共のO型なのにB型の判定。
不思議に思い、自ら家族のDNA検体を集め、遺伝子検査をする。
自分は両親のどちらでの子どもでもないことがわかる。
同級生の韓国人・ジヒョンが偶然、同じ時期に菜々子の産まれた産院で
生まれていたことがわかるが、別の韓国人夫婦の子どもが菜々子と入れ替わって
いることまでわかる。

菜々子は、本当の両親に会うため、韓国へ。



事実は判明した後も変にパニックにならず冷静に行動する姿は好感が持てた。
医師を目指している人だからか?
自身が母親に感じていた、違和感の原因がわかったことに納得し、
それまでより逆に良い関係が築けていけそうなのもよかった。


しかし、間違いのもとを引き起こした医師・高山は、ちょっと許せない。
間違いに気づいたタイミングも割と早い時期だったのに、隠したまま。
でも、もし、気づいた時点で打ち明けていたら、どうなっただろう?
2人の女性が入れ替わっても、それぞれの両親のもとで健康に平穏に
生活できていたから、後から知ってもそれほど、混乱が起きなかったのは幸い。


読みながら、色々、考えさせられる内容だった。



                      ★★★
カレンダー
12 2025/01 02
S M T W T F S
1 3 4
6 7 9 10 11
13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
メ-タ-
kyokoさんの読書メーター
カテゴリー
フリーエリア
最新コメント
[09/20 kyoko]
[05/23 のぶ]
[09/15 kyoko]
[09/14 ひろ]
[03/06 kyoko]
最新トラックバック
プロフィール
HN:
kyoko
HP:
性別:
女性
自己紹介:
台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;

バーコード
ブログ内検索
P R
カウンター
フリーエリア

Copyright (c)本を片手に・・・ All Rights Reserved.
Powered by NinjaBlog  image by Night on the Planet  Template by tsukika

忍者ブログ [PR]