きっと生涯忘れない、子供たちとカミサマの物語
「ヤドカミ様、僕の願いを叶えて」。
行き場のない思いを込めた他愛ない儀式がやがて……。
子供たちの切実な心が胸に迫る俊英の傑作!
舞台は鎌倉市にほど近い海辺の町。
小学5年生の慎一は、父親の会社倒産を機に両親と共に2年前、祖父の暮らすこの町に越してきた。
父親が亡くなり、今は祖父と母の3人暮らし。
祖父は、しらす漁をしていたが、海に投げ出される事故で片脚を切断している。
友達がなかなか出来ない慎一だが、唯一仲良くしているのはクラスメイトの春也。
春也も転校生。
酒癖の悪い父親の暴力に耐えている。
そして、クラスで最初に声を掛けてくれた鳴海。
鳴海の母親は、慎一の祖父の事故の際に、亡くなっている。
それぞれの子どもたちが抱えているものが重く暗い。
子ども同士の会話には、子どもらしいものはあるが、閉塞感が始終ある。
慎一と春也の二人の遊びは、ヤドカリを二人の秘密の場所で、神様に見立てて願いを叶えてもらう儀式めいたもの。
少々、残酷な方法だが、二人にとっては、それが抑圧されたものを解き放つ行為なのか?
仲良く一緒に居る二人だが、本音の部分では、お互いに抱く気持ちは、複雑。
途中からこの儀式のような遊びに鳴海が加わったことで、よりそれぞれの気持ちにザワザワしたような不穏な空気感が漂う。
子ども達の心理描写がすごく巧く表現されていた。
慎一たちの親たちの関わりもまた複雑に絡み合っていて、
それが更に慎一たちの心を乱す。
こんな環境に居なければ、きっと楽しい毎日を笑って暮らせていただろうに・・・・
なんだか苦しくなるような話でした。
ミステリ-の要素は、弱いし、道尾さんに期待する伏線が最後に見事に結びついて、アッと驚く結末はないけど、こういう作品も凄くいいな!
最近は、ラストに大どんでん返しのミステリ-から少し離れた作品が続いているけど、いろいろな作品をこれからも読ませて欲しい。
★★★
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四人の直木賞作家の書き下ろしアンソロジー。
井上荒野=ピエモンテ州(イタリア)、
江國香織=アレンテージョ地方(ポルトガル)、
角田光代=バスク地方(スペイン)、
森絵都=ブルターニュ地方(フランス)を舞台に描く「食と愛」の物語。
(ホ-ム社HPより)
NHK BSハイビジョン 「プレミアム8」 番組中ドラマの書き下ろし原作とか。
あ~見たかった!!
4人の作家さんが描く、ヨ-ロッパの田舎の雰囲気が素敵。
お話もそれぞれが良かった!
特に好きだったのは、最初の角田さんの話。
「神さまの庭」・・・・レストランを営む父親と、何かというと食事会と称して集まる親類たちに、辟易している主人公・アイノアの話。
母親が病に倒れ、その病状を知らせるときにも、食事会を開いた父が理解出来ない。
母親は一人病院のベッドで食事もままならず闘病生活を続けているのに、食事会なんて、まるでお祝いのようと。
母親はその後、亡くなり、家から遠ざかって生活をするアイノア。
でも、ある日、ふと気づく。
そして、理解出来ないと思っていた父親の事も見つめ直す。
そして、父のいる家に再び戻る。
井上さんの「理由」は、
主人公・アリダの夫は、30歳も年上で入院中。
夫と先妻の娘・エリヴィラは、自分と同い年。
夫とは生徒と高校の英語教師としての出会い。
過去のことを思い出しながら、現在のアリダの日常を描く。
杭が理由に似ているという言葉は、ちょっと、わたしには理解できなかったけど・・・^^;
3番目は、森さんの「ブルノワ-ル」
パリの二つ星レストランで修行中のジャンの元に絶交中の母親が危篤の連絡が入る。
母親との確執の原因は、先祖からの伝統的ル-ルに反発したため。
母親が亡くなったが、死の直前に「おまえを認めるときは、姿を変えて知らせる」の言葉通りの物をある日、見つける。
う~ん、これはジ~ンとする話でした。
ラストは江國さんの「アレンテ-ジョ」
男性二人が、3泊4日の旅行に出かけ、その先での出来事があれこれ。
男同士は恋人同士?
独特の雰囲気でしたが、明るいかんじで良かったかな?
4つのお話、それぞれに描かれる愛。そして食事の風景が印象的でした。
写真も白黒ですが綺麗でした!
★★★
松尾たいこのイラストと、それをモチーフに描かれた
角田光代の連作短編小説。
女性の一生を通して、出会いと別れ、生きるよろこびと
せつなさを紡いだ、色彩あふれる書き下ろし競作集。
(ホ-ム社HPより)
5つのお話
・晴れた日のデ-トと、ゆきちゃんのこと
・キスとミケ、それから海のこと
・なくした恋と、歩道橋のこと
・さようならと、こんにちはのこと
・なくしたものたちのこと
主人公は雉田成子。5つのお話の共通の主人公で、順番に年を重ねていく。
最初のお話は、小学校に入学したばかりで最初に友達になった、山羊のゆきちゃんとのこと。
8歳まで、いろんなものと話ができた成子は、山羊のゆきちゃんとの会話が出来る。
ゆきちゃんの話し方が可愛い♪
その後、高校生となって出会った中学生の統一郎との思い出が2番目の話。
3番目の話は成人して、妻帯者が恋人になっている。
4番目の話は、3番目の男性とは別の人と結婚し、子どもも生まれた状況。
そして最後は、今までのお話に登場の<なくしたものたち>が勢ぞろい。
ちょっと不思議なかんじのお話でしたが、面白かった。
人は、いろいろなものをなくして、そしてまた出会って・・・
その出会ったものは、全く新しいものではなくて、前に出会っていたものが姿や形を変えたものかもしれないという話。
自分もまたいつか誰かにとっての なくしたもの になっていくのでしょう。
ちょっと哲学的なかんじもするお話で、なかなか面白かった。
イラストの松尾さんの絵が素敵!
角田さんのお話ととても合っていて、これは図書館本ですが、手元においておきたいかも。
あとがきのお二人の言葉もよかった!
★★★★★
通り魔事件発生! 犯人、捕まらず!
非常事態なのに、
ここの住民たちがひねもす考えていることといったら……。
未解決事件があった街の人々の「つぶやき」がすれ違ったとき、
心のドラマが走り出す。
茂森正則(13)
冷静沈着キャラを通すためアイスのふたの裏を舐めないようにしている男子中学生。
辻村有紀子(17)
憧れの作家が近所に住んでいるのを知り、会いに行く決意をする女子高生。
最上幹基(20)
将来、弁護士になりたいが勉強する気ゼロの家業手伝い兼自宅浪人。自称モテ男。
安西奈緒美(30)
同居の「カワイイ」義母と釣り合わせるため「さばさば」した嫁を演ずる女子事務員。
工藤泰介(46)
四歳で世界中の国旗と国名と首都を言えたことが心のよりどころの喫茶店マスター。独身。
倉持のぶ子(50)
「ドラッグストアでどうかと思うくらいまじめに働いています」(本人の弁)。バツイチ。
(光文社HPより)
第1章から第6章まで、↑の人たちが順番で主人公になります。
最近、起きた地下鉄の駅コンコ-スをサバイバルナイフを振り回して駆け抜けた事件がそれぞれの話に共通に出てくる。
同じ地域の同じときを生きる主人公たち。
それぞれの日常は、大したものではなく・・・
話も特に面白くないのだけど、何故か可笑しい。
特に男性陣が・・・・・ちょっとキモチワルイです^^;
最初の正則は、まあ中学生だから・・・いいのですが。
第3章の最上幹基と第5章の工藤泰介は、イヤです!
通り魔事件の真相は、詳しく語られないけど、最後の方で犯人は捕まったらしいとわかり、もしかして・・・あの人?という予想は付きます。
最後まで読んで・・・「あれ?もしかして?」とまた最初に、戻って読んで「そうかな?」と思うくらいなので、あまり物語りそのものに関係ないのかもしれないけど・・・・。
でも、日常のほんとに何でもない事を描くのが巧い作家さんだなぁ~。
感動する話とか、印象に残る言葉とか特にないんだけど、結構、すき。
★★★
愛は死をのりこえる。
悲しみの涙を流す少女、彼はその生を願い、そっと瞳に唇を寄せる……
「いま、会いにゆきます」の市川拓司、5年ぶりの長編小説
講談社創業100周年記念出版
(講談社HPより)
美しい純愛小説でした。
市川さんって、ご本人がとても繊細で優しい人なんだろうなぁ~と思いました。
涙を吸って生きる青年・榊冬馬(仮の名前みたいですが)。
特殊な力を受け継いでしまって他者とは違うと自覚して生きている。
そして父親の仕事の都合で、芳川美紗の通う高校の同じクラスに転校してくる。
美紗は、母親からの遺伝的病気で、病弱で母親と同じように20歳で死を迎えると信じている。
冬馬と美紗。
二人に共通しているのは、他者とは違う運命を受け入れて生きていること。
そんな二人がお互いに惹かれる。
冬馬は、涙を吸うことで、生命を維持している。
でもある特殊な能力があり、美紗はその能力によって生まれ変わることが出来る。
二人でいつまでも仲良く・・・・と思うのだけど、冬馬の決断は違った。
自身のことより、美紗の将来を考えて下した結論。
美紗もそれを理解し受け入れる。
なんともメルヘンチックなお話でした。
現実離れしているけど、惹かれるものがありました。
美しくて切なくて優しい。
久しぶりの市川さんの新刊は市川さんらしい作品だったと思う。
また、優しい作品、待ってます!!
★★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪
記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;
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