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読んだ本の感想あれこれ。
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52bda543.jpg発行年月:2009年5月

降りしきる雨よ、願わくば、僕らの罪のすべてを洗い流してくれ----。

すべては雨のせいだった。雨がすべてを狂わせた。血のつながらない親と暮らす二組の兄弟は、それぞれに悩みを抱え、死の疑惑と戦っていた。些細な勘違いと思い込みが、新たな悪意を引き寄せ、二組の兄弟を交錯させる。両親の死の真実はどこに? すべての疑念と罪を呑み込んで、いま未曾有の台風が訪れる。慟哭と贖罪の最新長編。



                      (新潮社HPより)

なんだか切ない話だったなぁ~。
雨の日にばかり起こる事件。

19歳の蓮と中学3年の楓は、両親が離婚後に母親が再婚した継父と暮らしている。
母親は再婚後に交通事故で亡くなっている。

中学2年の辰也と、小学5年の圭介は、母親が病死後、父親が再婚。
父親は再婚後に癌で亡くなっている。

二組の兄妹・兄弟は、それぞれ血の繋がらない親との3人暮らし。
蓮と楓の継父は、母親の死後、性格が変わったように酒浸り、時々暴力もふるい、近ごろは部屋に引きこもったまま。
兄と妹は、そんな継父に嫌悪感を抱き、蓮は殺意さえ抱いていた。

一方の辰也と圭介の継母は、家事もこなし何とか二人の母親になろうと努力している。
が・・・兄・辰也は母親を殺したのは継母ではないか?と疑い、心を開こうとせず反抗的な態度を取っていた。弟・圭介は、そんな兄の行動を理解できないが反論出来ず、兄に言われるまま追従。

二組の兄弟たちの描写が交錯しながら物語が進み
それぞれが抱く、血の繋がらない親に対する嫌悪感や不信感に読みながら同調してしまった。

そして、最後に知らされる事実に驚き!

本当の親子でも気持ちをさらけ出すのは難しい。
それでも蓮と楓の継父がもう少し、自分の気持ちを上手く表現出来ていれば良かったのにな・・・。
哀しい結末を迎えてしまった。
切ない・・・・(/_;)

龍神の物語も上手く話のなかで活きていて良かった。

★★★★
PR
6b3dd9ea.jpg発行年月:2009年9月

“30歳”という岐路の年齢に立つ、かつて幼馴染だった二人の女性。
都会でフリーライターとして活躍しながら幸せな結婚生活をも手に入れたみずほと、
地元企業で契約社員として勤め、両親と暮らす未婚のOLチエミ。
少しずつ隔たってきた互いの人生が、重なることはもうないと思っていた。
あの“殺人事件”が起こるまでは……。
辻村深月が29歳の“いま”だからこそ描く、感動の長編書き下ろし作品!

                                     
(講談社HPより)


フリ-ライタ-のみずほが幼なじみのチエミの母親殺害を知り、かつての同級生や、チエミの恩師、元同僚などを訪ねながら、チエミの起した事件の真相を追うはなし。

小学生時代~の女同士の付き合いあれこれは、自分も経験あることだったりで・・・「あ~そういうのあったなぁ~」なんてうなづきながら読みました。

他者と自分を比べて、自分はこの辺ではこう振舞おうとか、誰でも多少は考えながら集団社会の中では行動すると思うけど、そういう女性特有のちょっと煩わしいような関係の描写もよく表れていたかな?

ここでは、家族特に母親との関わり方も大きな要素だったとも思う。
チエミの家族は昔から仲良し、それは年頃になると「普通じゃない」=ちょっと変。と周りから思われてしまう。
あくまでも、自分の家族(母親)との関わりを基準に考えるからかな?

そんなチエミが母親を殺害。
どうして?の疑問は、事件を追うみずほ同様、謎でした。

終盤(第二章)で、逃亡しているチエミの事件の真相を語るような話には、切なさで胸が痛かった。
ナンで逃亡なんかしたのよ!?(怒)

殺されたお母さんがあまりにも気の毒。

あることから口論になっての結果でしょう。
娘の幸せを強く願っていただけなんでしょうに・・・。

みずほと母親の関係も時々、描かれていたけど、対照的。
幼い頃の話はちょっと重かった。
でも離れているから大きな衝突にならないだけかな?

どっちにしても衝突し出すと、かなり面倒な関係になることは否めないんだろうな。

みずほが同時に取材する赤ちゃんポストの病院のことも上手くチエミの逃亡と繋がっていた。
最近、そういえば、あまり聞かないけど、上手く機能してるのかな?なんて
ちょっと気になりました。

表題の意味「ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。」・・・・・切ないわ~泣けました(/_;)

後味良くないけど、文章の上手さでなかなか面白く読みました。


★★★★




f27826b8.jpeg   発行年月:2009年11月


  
 中学生の僕と犬が、茂みの奥で見つけた、
   得体の知れない“肉”の正体とは?
   日本文学史上初!の兄弟ユニット作家による完全共作。
  
話題の第46回文藝賞受賞作/第142回芥川賞候補作。
選考委員絶賛!

                                       (河出書房新社HPより)

文芸誌に、兄弟で執筆した作品と紹介あり、「どうやって?」と思って記事を読むと・・・・

嗜好や価値観が似ていて、子どもの頃から、多くの本や映画について語り合ってきたのだとか。
そして、子どもの頃からお互いが文章を書き、最初に一緒に書いた作品は弟が16歳兄17歳のとき。
いじめられっ子が世の中に復讐する話だったそう。

う~ん、それも結構、暗そう・・・^^;

この作品も結構、暗く重い雰囲気。
主人公は中学生になったばかりの少年「僕」。小学4年生のとき、父親がある日、連れてきた子犬を飼うのだが、両親はその後、離婚。
少年も母親も犬は苦手(キライ)なのに、飼い続け、少年は朝、晩の散歩を欠かさない。

先ず、この親子が不気味。
会話にしても何もかも・・・・。

そして、犬もなんだか不気味。
散歩の途中で定期的に寄る、公園で掘る「肉」・・・なんなんだ!?

それから、散歩中の少年を待ち伏せする少年の唯一の親しいクラスメイト・サダ・・・・この子もなんだか、イヤ~なかんじ。


兎に角、登場してくる人物といい、そこの雰囲気といい普通じゃないかんじで、気持ち悪い。

なのに・・・・なんだろ?不思議な魅力があった。
どうなる?って気になる。

終盤あたり、不気味さ、倍増して、やだな。あとちょっとで終わっちゃうけど、まさか・・・?
なんて勝手に悪い事が起こる事を想像しちゃった^^;


でも、ラストは・・・・・「?」

少年がサダに対する感情を変化させた?
明るい兆しということか?


変わった話だったけど、キライじゃないな。こういう文章。
人によっては受け付けない人いるかも・・・ですが。


また新刊が出たら、読んでみたい作家さんたち(^^)


★★★
fb142e3a.jpg発行年月:2004年1月


ジャングルでは毎日たくさんの命が生まれ、伊久留ために食べ、食べられ、それら全てが夢である如くやがては皆死んでいく。そのワニは傲慢でジャングル一の嫌われ者。仲間を食べ兄弟さえ食べ生きてきた。そしてある日悲劇的とも言える最期を迎える。自己中心と他者尊重の境界を問う一冊。密度ある絵で。

                     
(理論社HPより)


梨木さんの絵本は、やはり素晴らしい。

過去に読んだ絵本は「蟹塚縁起」 「ペンキや」 「マジョモリ」ですが、この「ワニ」が一番、哲学的かも。
絵本というと、幼児~児童のものと思いますが、これらは、大人が読む絵本かもしれない。
絵が素晴らしいので、勿論、子どもが見ても楽しめるけど・・・。

この「ワニ」に出てくるのは、ジャングルの野生に生きる者たちなので、弱肉強食の様子も描かれています。
「わ~かわいそう」と思いますが、自然とはそういうものなんだと気付かされます。

そして、この主人公のワニは、兄弟までを食べてしまう。
人間からしたら・・「なにも兄弟まで食べなくても~」と思いますが、このワニにとってそういう考え方はなく、自分と他者でしか物を見ず、兄弟たちはその他者に当たる。
「ナカマ」という認識はない。

カメレオンに会って「俺たちは仲間だぞ」と言われ、なぜ?と問い、その答えから自分がどういう種類の生き物かを知り戸惑うものの結局、カメレオンも飲み込む。

そして、密かに自分が「親友」と思っているライオンとの対峙の場面。
最期のときにワニが「これは正しいことかもしれない」と思うのは、ちょっと切ないけれど、これも自然の摂理ということでしょう。

淡々とジャングルの様子を物語にしながら、ワニの一生を通じていろいろな事を考えされてくれた。

う~ん、深い話だ・・・・。

絵もいい!リアルで、この文にはとても合っている!

★★★★
e4e2ffed.jpg発行年月:2009年10月

目からウロコ! 聖書とキリスト教、本当の話。

『ダヴィンチ・コード』『悪魔と天使』などの大ヒットや「ユダの福音書」の発見など、このところ毎年のように「聖書」やキリスト教に関する話題が関心を呼んでいる。パリ在住の作家・池澤夏樹氏は祖母が伝導師だったこともあり、キリスト教に深い興味を抱いてきた。そこで池澤氏の父・福永武彦をはさんだ親戚であり、聖書学、ヘブライ語学の泰斗である秋吉輝雄氏と長時間にわたり語り合った。「「おとめマリア」が「処女マリア」になった理由」「「最後の晩餐」でイエスが飲んだのはワインではなかった」「中東で戦争が終わらない原因は聖書の中にある?」等々、この対論は目からウロコの連続であるとともに、芳醇なワインのごとき味わいを帯びている。

                                         (小学館HPより)

著者の池澤氏と大学で教鞭をとり、旧約聖書、ヘブライ語研究、古代イスラエル宗教思想史の研究に携わる秋吉輝雄氏の対談をまとめた書。

秋吉氏は池澤氏の父親の母方の従兄弟に当たるらしい。

その従兄弟に当たる秋吉氏の知識・学識・見識をお披露目する場にしたかったということか?

わたしはキリスト教信者でもないし、特に信仰している宗教もないけれど、何となく、キリスト教(何をそう呼ぶのかも定かではないけど・・・^^;)には興味があって本書も思わず手にした次第。

しかし・・・読み進めるには、あまりにも専門的。
もっとド素人にもわかる書かと思ったのですが・・・・ある程度、聖書についての知識がないと読み終えるのは苦痛かも(笑)

よって・・・・かなりの飛ばし読み。

しかし、項目が細かく分かれていて、ひとつひとつは短いので、気になる見出しのところはじっくり読みました。なるほど~!と思うことばかりで、面白かった。

「最後の晩餐」では、ワインでなくぶどうの搾り汁だったはずとか。
映画化もされたダン・ブラウン著の「ダ・ヴィンチ・コ-ド」で書かれているキリスト教のことなど。


宗教学も大学とかで本格的に学べば面白いんだろうなぁ~。

途中放棄はしなかったけど、半分もちゃんと読んでないから・・・星1つかな?^^;



 
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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