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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2022年7月


生と死の狭間で語られる、一度きりの百物語 ――三島屋シリーズ第八弾
江戸は神田三島町にある袋物屋の三島屋は、風変わりな百物語をしていることで知られている。
語り手一人に聞き手も一人、話はけっして外には漏らさず、「語って語り捨て、聞いて聞き捨て」これが三島屋の変わり百物語の趣向である。
従姉妹のおちかから聞き手を受け継いだ三島屋の「小旦那」こと富次郎は、おちかの出産を控える中で障りがあってはならないと、しばらく百物語をお休みすることに決める。
休止前の最後の語り手は、商人風の老人と目の見えない彼の妻だった。老人はかつて暮らした村でおきた「ひとでなし」にまつわる顛末を語りだす――。

                     (角川書店HPより)


このシリーズも8作目かぁ~。
ずっと読んでいるけど、やはり面白い。
今回は、ちょっとインパクト強めでしたが・・・。

<第一章 賽子と虻>

語り手・・・餅太郎

嫁いだ先で姉・おりんに虻がついたという。
虻がつくと、食べ物を全く受け付けなくなって体力が落ちてしまう。
餅太郎は姉の苦痛をなんとかしようと姉の代わりに湧いて来た虻を飲み込む。
神様の下僕である賽子に導かれて
神様たちが集まる賭場に連れてこられ、そこで餅太郎も働くことに。
他の下僕たちとの交流も楽しく、案外、神様って、自分勝手だなと思えたり。
そんな場所でも困った者が居ればなんとか助けようとする餅太郎はあるしあるし
優しいな。


餅太郎、この先は幸せになってくれるといいな。


<第二章 土鍋女房>

語り手・・・とび(25歳女性)

1年前に亡くなった兄の話。
家は代々、渡し船の船頭をしていて兄もその船頭で、とびも一緒に船に乗っていた。
その土地では、大切な仕事をする一家は一目置かれる存在で、真面目で優しい兄の
ところに縁談話がたくさん来た。
けれど、兄は全て拒否する。妻や子どもなどがいたら小心者の自分は命が惜しく
なり危険が伴う今の仕事が出来なくなると。
けれど、とびは、夜中、兄が女の人と話をしている?と思う場面を何度かみる。
昼間、その声の主を探すと、土鍋が、兄は自分のものだという。

土鍋の中から・・・ひぇ~!! でもお兄さんはそれで幸せだったのかな?
そう思っていた方が後に遺された者にはいいのかも。



<第三章 よって件のごとし>

語り手・・・浅川宗右衛門(真吾) 妻・花代

二つの村を束ねる当主だった真吾が関わった不思議な話。
夜見ノ池に土左衛門が浮かび、引き揚げようとしたが、それが襲ってくる。
噛まれた者は、みるみる人ではない者に変わり果て、また誰かを襲うという事態に。



これは、怖い。
別に悪いことをしたわけではない者が、こういう理不尽な目に遇って
それが連鎖していくのは、辛い話。
真吾も花代もそんな中で懸命に闘って来たのは、お疲れ様、よく頑張ったと
褒めてあげたい。



今回は、ちょっとホラー色強めだったな~(^^ゞ

最初の聞き手だった、おちかもいよいよ、お母さんになるんだな。
幸せそうでなにより。

三島屋には今の聞き手富次郎の兄が戻ってきたけど、この先の三島屋のことも
気になるところ。
変調百物語は一旦、置いといてもその辺の話だけ続けて欲しいな。




                    ★★★★


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発行年月:2021年11月


神戸新聞連載の「遠慮深いうたた寝」を中心に、約10年分の中から作家の素顔が垣間見られる、極上エッセイを厳選収録。他に「手芸と始球式」「物語の向こうがわ」「読書と本と」で構成。
作家の日常が垣間見られる9年ぶりのエッセイ集!
どのエッセイも結局は
文学のない世界では生きられない
ことを告白している――小川洋子
日々の出来事、思い出、創作、手芸、ミュージカル……
温かな眼で日常を掬い取り、物語の向こう側を描く。
2012年から現在まで続く「神戸新聞」好評連載エッセイ「遠慮深いうたた寝」を中心に、約10年間に発表されたエッセイの中から厳選し、「手芸と始球式」「物語の向こう側」「読書と本と」の4章で構成する珠玉のエッセイ集。
*美しい装丁 九谷焼による陶板画・上出惠悟/デザイン・名久井直子
著者より
「本書を編むことは、文学が自分の生活、人生をどれほど大事な部分で支えているか再認識する作業でもありました。題材はさまざま異なっていても、どのエッセイも結局は文学のない世界では生きられない、ということを告白しています。実際には味わえない体験、自分とは異なる誰か、この世にはいない死者、そういうものたちへの想像力が、現実の私の救いとなってくれているのです」(「あとがき」より)

                (河出書房新社HPより)



エッセイも面白い。
ひとつひとつの話が短くて、次々、楽しいお話が読めて嬉しい一冊だった。

小さい頃の思い出とか、家族のこことか。作家になった経緯やその後のことなど。
高校生のときは、友達も特に出来ず、殆ど、ひとり本を読んでいたとか。
え?と驚くようなことも幾つか。

楽しかったのは103頁の<私に必要な忍耐>かな?
・大きな輪っかのピアスを見るとそのなかに指を引っかけてヒッと引っ張る
・みかんの白い筋をみかんがぐずぐずになるまで続ける
・博物館の片隅で座っている人物に肩先をチョンチョンとして
「ごめんなさい展示物かどうか確かめたかったんです」


気持ち的には、わかるぅ~^m^

田辺聖子さんと親交があったのは、いいな。
ふたりで野球観戦(阪神のファン)だとか。
球場での観戦は楽しそうでいいなぁ~。

本のなかに幾つか、今後、ぜひ読んでみたい作品が幾つか。

先ずは田辺聖子さんの「ジョゼと虎と魚たち」、これは映画化もされているから
映画も見たいとずっと思っていて忘れていた。

後は、小川さん新人賞「揚羽蝶が壊れる時」と芥川賞の「妊娠カレンダー」
ふたつとも呼んでない!そのあとくらいからはたいてい、読んでいると思うけど。


本の表紙も、いつも素敵♪



                    ★★★★



発行年月:2021年12月


14歳の少女高田奈智は、
4年ぶりに磐座の地を訪れた。
これから2カ月の間、
親戚が経営する旅館で世話になりながら、
昼間は磐座城周辺で行われる、
あるキャンプに参加することになっている。
事情をよく知らぬまま
この地を訪れた奈智であったが、
到着の翌朝、体の変調を感じ、
激しく多量に吐血してしまう。
やがて奈智は、親戚の美影深志や
同じキャンプに参加する天知雅樹らから、
磐座でのキャンプの目的を聞くことになる。
それは、星々の世界――
外海に旅立つ「虚ろ舟乗り」を育てる
ことであった。
虚ろ舟の聖地である磐座に集められた
少年少女たちは、徐々に体が変質し、
やがて、歳をとらない体となる。
食べ物もほとんどいらなくなり、
心臓に銀の杭を打たない限り、
死ぬことはない。
そのかわり変質体となると、
一定期間、他人の血を飲まないと、
死んでしまうという。
変質の過程で初めて他人の血を飲むことを、
「血切り」と呼ぶ。
深志は奈智の血切りの相手は
自分だと昔から決めていたと言うが、
奈智は、他人の血を飲むなどという
化け物じみた行為は嫌だと、思い悩む。
そんなことなら、虚ろ舟乗りなんかに、
なりたくない……と。

                (徳間書店HPより)


面白かったぁ~。
600頁の超大作を一気読みした。

恩田さんらしいSF&青春&ホラーと山盛りなのに、全部、それがないと成り立たない
話になっている。

最初は、現代のごく限られた田舎のある地域での昔から伝承されている儀式が
元になった話なのか?と思って読んでいたけれど。。。
これは、かなり未来の話で、人類の存続という話まで繋がっていく物語だった!


母親が亡くなり父親が行方不明で、離れて住んでいる親戚の元で成長した
奈智が、14歳で母親と父親が暮らしていた地へ戻ってくる。


どういう経緯で戻ってくることになったのかとか、ちょっと気になるんだけど・・・
奈智の様子だと自分の意思で来たというかんじではなかったので。
ま、深く考えず。

血切りして変質体になる場面は、ちょっとホラーでした。
映像で想像すると恐ろしい。

ただ奈智のそれは、会話しながらなので、そんなにグロテスクな感じではなくホッ。


終盤、祭りに出かけた奈智が両親と再会した場面は感動的だった。

ず~~っと先の未来、人類はどうなっているのかな~?

恩田さんの作品は、どれも好きだけど、これは、その中でもかなり好き。



                      ★★★★★



発行年月:2009年12月


普通の家庭料理がやっぱりいちばんおいしくって奥深い。ごはんを共にする大事な家族や友人にふれながら、食いしん坊である著者が、日々つくるスパゲッティナポリタン、キュウリとしその簡単サラダ、キムチと鶏挽肉のビビンバ……。行きつけの串揚げ屋、台湾料理店さんの味と雰囲気は? コロッケ、餃子、バナナケーキのとっておきの「楽しいレシピ」(カラー)付き。はじめての書き下ろし食エッセイ。

                  (朝日新聞出版HPより)


表紙の写真(コロッケ)がすごく美味しそう~(#^.^#)

食べものの話は、楽しいものばかりで、へ~なるほどね~など楽しく読んだ。

でも71番目の話で、夫の実家に行ったときかな?
義父さんが、メロンと桃が入った袋を持ってきて、夫が「いらないよ」というが
「新幹線のなかで食べなさい」と持たせてくれた。
まあ、それはよくある話。
袋のなかの桃は下のほうが痛んでいるのを確認できたとか。
まあ、それもあるかな?(^^ゞ


でも、それを新幹線を降りた駅のごみ箱に捨てたと。
えぇ~??
まあ、捨てるとしても、駅で捨てるのぉ~!?と、ちょっとびっくり。
そんな無神経な人たちだったの?と軽くショックで
その後の話は飛ばし読みしました・・・(^^ゞ


まあ、捨てるのは、仕方ないんじゃない?と思うのかもだけど
それを書籍にしていいのぉ~?
義父さんが気の毒だな・・・・と思ってしまった。


なので、読後の評価は厳しめに・・・笑



                     ★★



発行年月:2022年4月


どこかの誰かが、幸せでありますように。
失恋したばかりの社会人と、元いじめられっこのスパイ。
知らないうちに誰かを助けていたり、誰かに助けられたり……。
ふたりの仕事が交錯する現代版おとぎ話。
付き合っていた彼女に振られた社会人一年生、
どこにも居場所がないいじめられっ子、
いつも謝ってばかりの頼りない上司……。
でも、今、見えていることだけが世界の全てじゃない。
優しさと驚きに満ちたエンターテイメント小説!
猪苗代湖の音楽フェス「オハラ☆ブレイク」でしか手に入らなかった
連作短編がついに書籍化!

               (幻冬舎HPより)


音楽フェスティバルで配られた短篇をひとつに繋げたものだったんだ~。

スパイ活動している者とふつうの会社員の生活が交互に語られて
最後は、一緒になる。
スパイたちの話より、会社員・松嶋の話の方が面白かったな。

失恋して、それから職場恋愛して、結構、こちらは平和。
スパイの方は、生死に関わる大変なこともあったけど・・・・。


松嶋は猪苗代湖に縁がある。
地元がその辺りということもあるけど。
音楽フェスの会場がそこということで、楽曲の歌詞も多数。
全然、知らないものだったけど、物語にうまく使われていて、フェスの参加者なら
嬉しいお土産だったんだろうなぁ~。


物語のなかでは、いつも謝っている門倉課長がおもしろかった。
本人は大したことないと思っているけど、凄い幸運を他人にあっさり
譲ってしまう。
こういう人に、また新たな幸運が来るといいな。


アッという間に読み終えてしまったけど、楽しかった。



                      ★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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