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読んだ本の感想あれこれ。
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d3af09d8.jpg発行年月:2004年4月


1899年、トルコ。
遺跡発掘の留学生村田君の下宿には、英国の女主人、
ギリシャ、ドイツの若者がいて熱い交流があった。
宗教、民族、国家の根っこから人間を見つめ、
その喜びと苦難を描いた新スタイルの青春小説。



                      (角川書店HPより)


梨木さんの本、読みそびれていた本を図書館棚に見つけ借りて来ました。

主人公の村田は、ある経緯で、トルコ皇帝から招かれ留学生として
歴史文化研究のためトルコを訪れる。
そこでは、イギリス人のディクソン夫人の屋敷に下宿し、その屋敷の使用人であるムハマンドや
村田と同じく下宿する、ギリシャ人のディミィトリス、ドイツ人のオット-などとの日々の暮らしの様子が描かれる。

文化や宗教が違う彼らが時に、相手の考え方に違和感を抱きながらも友情によって結ばれていく。
その様子が楽しかった。

ある日、ムハマンドが拾ってきたオウムが、また絶妙のタイミングで話す言葉も可笑しかった。
もうこうなると、立派な仲間ですね(^^)

終盤まで、この彼らの国籍を超えた付き合いのほのぼのした感じが心地よかったのですが・・・・
世界情勢は、段々と緊迫したものになり、
有能な彼らさえも、その力には巻き込まざるを得なくなり・・・・
何ともやり切れなさが残る結末でした。
でもそういう時代が事実あったんですよね・・・(/_;)


ギリシャ人のディミィトリスが特に良かったなぁ~。
彼の言葉には胸を打たれるものが多かった!

親切にしてくれたお礼を言う村田に対して・・
私は人間だ。およそ人間に関わることで、私に無縁なことは1つとしてない」と言う。

古代ロ-マの劇作家の作品に出てくる言葉だと彼は説明してくれますが、深い言葉だなぁ~。


主人公の村田は、日本に帰国するのですが、その帰った先は
「家守綺譚」に登場の綿貫のところ。
綿貫は、亡くなった友人・高堂の住んでいた家に住んでいるのですが、その高堂も、その物語のように飄々とした雰囲気で登場してくれました♪
こういう繋がりが見つかって嬉しかった(^^)


梨木さんの本、未読なのは全部、読みたい!!
また探して読んでみよう。

★★★★★
PR
18228ef9.jpg発行年月:2004年10月


あなたの恋人は、砂漠の上に一緒に立っていられる相手ですか? 
同じ夢を追いかけた女達5人の愛と性。
透明なエロスを漂わせる「雀」を軸に、
パワフルに生きる女達を描いた感動の長篇大作。


                   
   (河出書房新社HPより)



主人公の雀(30歳?)は、自由奔放。
50過ぎの金持ちの男性に養われながら贅沢な暮らしをしていて・・・・出会う男性とはすぐに体を重ねて、相手の男性を虜にしてしまう。
う~ん。嫌な女だなぁ~(ーー;)
と、最初は思いました。まあ、当然ですよね~?

若い頃、ダンサ-になることを夢見ていた5人の女性が、事ある毎に集う。
雀のほか4人も、それぞれが個性的。
既婚者は、一人?
・恋人に振られるたびにリストカットするレイ子。
・外資系証券会社勤務で、アメリカに放浪の旅に出た恋人を待っている、ハ-フのメリ-。
・環境活動家であり、7歳年下の浩輔が恋人のケイ。
・唯一の既婚者の多恵子。


自分は誰に近いだろ?と思ったけど・・・全然、近い人いないですね~^^;
わたしの周りにもここに出てくる5人と似た生き方してる人は居ない。

一番、ぶっ飛んでるのは、主人公の雀ですが、読んでいると、最初に感じた嫌悪感が薄れてくるのが不思議でした。
ズルさとか何か計算して行動してる人じゃないってわかったからかな?
一途というか、よく言えば、純粋な人だと思う。
そして、逞しい。

ここに出てくる女性たちに、共感するものは、わたしはなかったけど、その生き方には応援したくなるものがあった。

本の最後に、著者の言葉で、インタ-ネットに物語を記し、それを毎回読んだ感想が届き、その感想やら意見などを元に続きを書いていった物語とか。

なかなか面白い試みですね!?
そういうのが今後、あればわたしも参加したいわ~。

★★★
30fa89f8.jpg   発行年月:2010年1月

      『このミステリーがすごい!』大賞第8回(2010年)大賞受賞作 

  選考委員が大絶賛した話題の感動作! 
  行間から立ち上るドビュッシー「月の光」や
  ショパン「エチュード 10-1」の美しい旋律。
  ピアニストを目指す少女、殺人、そして驚愕のラスト!


                            (宝島社HPより)



『このミステリ-がすごい!』大賞受賞作品は、過去のも面白かったので、期待して読みました。

ピアニストを目指す女子高校生の青春物?と最初は思いましたが・・・どんどん怪しい事件(?)が起こって、これがまあ、結構、残酷。

少女が何故、そんな辛い思いまでして、ピアニストにこだわるの?と途中まで思っていましたが、
なるほど!そういう事だったからなんだぁ~!

次々起こる事件の真相もどういう事なのか、予測できず、それがわかった時には
やはり「なるほど!」言われてみれば、その通り!と納得出来るものでした。
この辺は、上手いなぁ~と感心!

でも、真相がわかったら、新進気鋭のピアニストで、少女の個人レッスンを引き受けた岬の語ってきた推理が当たり過ぎている事に、ちょっと違和感感じちゃいました^^;


最初に起こった悲劇は、単なる事故だったという事ですね。

生き残った少女が、ちょっと気の毒だったな。
彼女の今後が明るいものでありますように・・・・。


ピアノを演奏する場面(コンテストの場面など)は、結構、詳しい描写で、音楽的知識とか全くないわたしですが、映像が浮かんでくるようでした。
何故か、のだめちゃんが演奏してる絵でしたが・・・^^;


話の進み方は、テンポよく読みやすいので、娘たちにも楽しめそう。
勧めてみよう。

次回作も出たら、また読みたい作家さんです♪

★★★
84e8e778.jpg   発行年月:2010年3月


   この放送が終わったら、リスナーがひとり死ぬ----。
   ラジオの深夜番組に届いた自殺予告メール。
   残された時間は6時間半----   
   狭いラジオブースの中で、
   男たちの息詰まる闘いが始まった!



                             (祥伝社HPより)


人気お笑い芸人・奥田が司会のラジオ番組・オ-ルナイト・ジャパンが放送5周年の記念すべき日に送られてきた1通の自殺予告のメ-ル。
番組で取り上げるべきか否か?
取り上げた場合のデメリットを考えると、これは取り上げるべきでないとする者多数。
そんななかで、わが子を自殺で亡くしたディレクタ-の安岡は、なんとかこの自殺を止めようと思う。

最初の番組前のいろんな関係者の葛藤を描いた部分は良かった!
けれど・・・・実際の番組が始まり、奥田が自殺予告メ-ルが届いた事実を番組内で喋り、自身の考えを述べながら、リスナ-にも問いかける。


これが、長い。
自殺予告をした者へ向かって述べるリスナ-たちの言葉。
それに応える奥田。
延々と続くので、やや疲れた~^^;

同じような事喋るし・・・途中、少し斜め読みしたけど、話は通じました(笑)


ま、でも人気番組のリスナ-の結束力が結果的には、一人の人間を救ったという事のかな?

自殺予告をした人にも同情する部分あって、これがふざけた理由だとまた読後感はイヤなかんじだったんでしょうけど、まあホッとするもので良かった。


★★

305ecd25.jpg   発行年月:2010年2月

 我が子はその瞳で数え切れないほどの光景をみるはずだった
   
 息子は1歳の誕生日をむかえたばかりで眠るように死んだ。
 圧倒的な彼岸の風景と土地に残る死の記憶がもたらした
 奇跡の再生の物語

                            (文藝春秋HPより)


静かに胸を打つ物語でした。

43歳の関根には、再婚した妻・洋子との間に由紀也という息子が居たが、1歳の誕生日を迎えてすぐに突然、息を引き取ってしまっていた。
お互いが「あの時もし・・・していたら・・・」と後悔し自己を責める日々が続いていた。

関根には、先妻・美恵子との間に15歳の娘・明日香がいて、離れて暮らしている。

関根は息子の死後、会社を休み旅に出る。
東京から北に向かって・・・恐山、奥尻島、北海道へと進む。
高校生だが、学校は不登校続きの明日香が、その旅に時々、合流し、いろいろな人々と出会う。

出会う人々は、それぞれ、家族を突然亡くし、年月が経っても未だ心に重たいものを抱えている。
それぞれの亡くした家族の死の受け入れ方、その後の生き方が描かれていて、つい自分がその立場なら?と考えてしまいました。


関根の先妻であり明日香の母親・美恵子も病に侵されホスピスに入院することになる。
ホスピスの医師・富見城と看護師である妻の患者の接し方は、理想的。
窓から見える景色も綺麗のようで
こういう場で死を迎えられたら、幸せだろうな~。


由紀也を亡くしてギクシャクしていた夫婦の関係は、明日香や美恵子、美恵子の知人と接することで、少し柔らかくなった様子。
明日香がしっかりして、かなり皆の気を遣っているのが、やや切なかったけど、
きっとこの先、いろいろな人に助けられて幸せに暮らしていけるかな?


今回も重松さんらしい、優しさが詰まった物語でした♪

★★★
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