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読んだ本の感想あれこれ。
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81be3469.jpg   発行年月:2010年3月

通信社の東京支社社会部に勤務、池袋警察署の記者クラブに詰める鶴田吉郎。コンビニ強盗現場に居合わせて犯人逮捕をスクープし、店員芳賀桐江と知り合う。逮捕に協力して立ち去った男から、暴力団の事務所が襲撃された事件を知らないか、という奇妙な問い合わせが。襲撃の有無を調べる過程で吉郎は、14年前に起きた女児誘拐殺人事件の「犯行現場と思しき実録映像」がネット上で配信されていたことを突き止める。犯人は殺害を自供したが、精神鑑定によって無罪となっていた……。未解決猟奇事件の「実録映像」はなぜ出現したのか!? 静かな狂気に呑み込まれていく若き事件記者の彷徨、そして驚愕の結末を描く、誉田ミステリーが到達した新たな地平!

                             
(実業之日本社HPより)


物語は、二人の人物の語りで進む。
一人は、共有通信に入社し、池袋署記者クラブ勤務の鶴田吉郎29歳。
もう一人は、コンビニ店員の芳賀桐江22歳。

ある日、桐江の勤務するコンビニに強盗が入った時、たまたま店に居合わせた鶴田が他の客と通行人により犯人逮捕を成し遂げた場で二人は知り合う。

鶴田は、ある情報に基づき、過去の犯罪事件犯人を追ううち、そこに桐江が大きく関わっている事実を知る。
桐江は、度々、貧血を起し、時に精神錯乱状態に陥る。
過去に体験した何かがそうさせるのか?と読みながら、疑問が沸き・・・・・
続けて読むとその過去は、なんともキモチワルイものでした。
読みながら、ちょっと耐え切れず・・・・飛ばしました^^;


でも、話の展開は、息つく暇なく、面白いのは事実。
さすが、誉田さん!

スク-プ記事を求めて日夜奔走する鶴田の言動は、時に軽く、笑わせてくれたし、
桐江の語り口調も結構、軽いノリでしたが・・・・・
事の真相はあまりにも酷で救いがなくそのギャップが逆に辛かった。


読後感はあまりよくない物語だけど、綺麗ごとで片付かない事にまリアルさを感じた。


誉田さんって、両極端な物語を書く人なのね~。
爽やかな青春物語も勿論、好きだけど、こういう話も上手い!!

★★★★
PR
7fe923d4.jpg発行年月:2001年8月


もう少しだけ、待ってくれますか?
過去を持つ女と、女を待つ男
「ばんざい屋」の女将を取り巻く人々とのふれあい…
〈注目の気鋭が描く恋愛ミステリー〉


                       (祥伝社HPより)


先に読んだ「竜の涙 ばんざい屋の夜」の前作です。
「竜の涙・・・」は、京料理をご飯のおかずにも合うよう濃い目の味付けで、振舞うお店「ばんざい屋」を舞台に、そこに集うお客に焦点を当てた物語でした。

この「ふたたびの虹」も最初の方は、お客さんの背景にあるちょっとした問題を女将の視点で時には見守り、時には助言し、解決していく様子を描いていました。

後半になると、女将の生い立ちのような物が明かされ、フランスに住んでいた時期の事がわかり、何となく重たい物を抱えている女将の過去が気になっていた「竜の涙・・・・」を読みながら感じていた疑問がこちらで解消されて、スッキリしました!!


女将自身が抱えていた問題も、少し解消されたようで、良かった!

そして、古道具屋の経営者、清水との馴れ初め、二人がお互いに抱いている気持ちも
ほのぼのするもので、ステキ。
「竜の涙・・・・・」は、この話の後日談に当たるんでしょうが、そう思って振り返ると、さほど進展してないような?
でも、それがかえって二人らしくていいな。
こういうのがある意味、理想の男女関係かもしれない。


また「ばんざい屋」シリ-ズの続編が出来るといいな♪

★★★★

d576d0ad.jpg発行年月:2010年4月


「つや」、夫がふと口にした、謎の言葉。それはだれ? どんな女?
絡み合う七つの恋と性の物語。


私は愛されているのだろうか----夫、恋人、父と関係のあったらしい、艶という女の危篤の知らせをきっかけに、自分の男をいつも以上に観察する女たち。立ち現れる男たちの他人のような姿。性的に奔放な一人の女をめぐる大きな渦のような人間模様の中に、女と男の恋の本音を描き出す刺激的な長編。著者の真骨頂。


                                           (新潮社HPより)

表題がひらがななのが良い!
読む前は、「通夜?」と勝手に理解しましたが、それだけではなかったのです!

物語の中心にいる「艶」という一人の女性。
彼女は、物語のいつも真ん中に居ながらも多くは登場しない。

物語は連作形式で進み
最初の話では、艶の従兄弟にあたる行彦が、艶がO島で死にかけているという連絡を受ける。
その電話を受けた夫を横で見ている妻の環希(51歳)が語る、いろいろ。

そして、艶の最初の夫の愛人・湊(29歳)
・艶の愛人だったかもしれない男の妻、サキ子(60歳)
・艶がスト-カ-していた男の恋人、百々子(33歳)
・艶のために父親から捨てられた娘、麻千子(20歳)
・艶を看取った看護師、杏子(31歳)
・艶の最後の夫、松生春二(49歳)

と艶に直接、接点があった者やその者の近い立場の人が登場して、自分の今の状況を語る。
そこから、あまり登場しない艶という一人の女性がどんな人なのかが段々と見えてくる
面白い展開の物語でした。


艶の存在が多くの人の人生を引っかき回しているかんじ。
今までその存在を忘れていた者たちも、艶が死にそうという事を知り、日常に変化が起きる。

人って生きているとどんどん繋がっていくんだな。
知らないうちにいろんな人の生き方にも影響を与えてしまうものなんだな。
なんて思いながら読んでいました。

ラストは、唐突過ぎるほど自然で、続きがあるかと思わずペ-ジをめくり・・・・
「あ、終わったのね・・・^^;」なんて具合でした。

でも、よかった。
どういう風によかったのか?伝えるのが難しいけど、
こういう物語、好きです。

★★★★
547819a4.jpg発行年月:2002年7月

ああ、ここは不毛の地?それとも楽園なの?

エリート中学生に転校の悲劇。しかもド田舎の学校。同級生はこの3人。
1.バカ丸出しのサル男
2.いつもマスクの暗い女
3.アイドル顔負けの美女(?)

「ちがう者同士がひしめき合って生きているのが世の中です。
衝突があってあたり前。人間、もまれて強くなる」

退屈な田園に届く、おとうさんからのEメール。
ぼくのユーウツを癒す、救いのメッセージ。
でも、おとうさんって……?

                                 
(講談社HPより)


次女に薦められて読みました。
名前は知っていたけど、この作家さん、もしかして初めて読むかも?

主人公は中学2年の男の子・優。
父親は海外に単身赴任だが、父親方の祖父が最近、一人暮らしさせておくのが不安な状態とかで、母親と田舎に引っ越し事が決まる。
東京で、受験を突破に私立中学に通い、塾での模試もいつも好成績で、将来はエリ-トを目指す優には、田舎の公立中学への転校は最初から不満だらけ。

転校してみると、そこは予想以上の田舎で分校。
クラスメイトは・・・自分を入れて4人。
しかも皆、優から見たら普通じゃない。

おじいちゃんは自分の事を父親の名前・博史と呼ぶ。
家出を目論むけど、町で不良の3人組に捕まり、断念。その後も執拗ないやがらせ。
ハ-レ-モデルの単車に乗った謎の男。

優の不安定な気持ちの拠り所は、父親とのメ-ル交換。
優の気持ちを実によく理解し的確なアドバイスをメ-ルで送る父親。


ちょっと段々、もしかして?と気づきました。


馴染めなかった分校の仲間とは、すんなり打ち解けていくわけでないけど、少しずつ
良い方に向かっていく。
そんな様子が微笑ましく、ラストは、清々しいかんじでした。


全体の感想としては面白かった!大人が読んでも楽しめます!
この著者のほかの作品も読んでみよう。

★★★★

3d9f499d.jpg発行年月:2007年12月


別格の地位を誇る英文学界の手練れマキューアンが贈る最新作、
全英ベストセラー。


突発的なテロ、見知らぬ若者の激発、親友との仲違い。なにが起こっても起こらなくとも不思議ではないその日、ヘンリーの周囲は危機の予兆に満ちていた。そう、世界はあの日以来変容してしまったから----。果たして安息の日曜日は訪れるのか。名匠が優美極まる手つきで鮮やかに切り取る現代ロンドンの一日、ブッカー賞候補作。

                         

                                         (新潮社HPより)


主人公のヘンリ-・ペロウンは、48歳の脳神経外科医。ロンドンの病院で日夜治療に追われる医師。
妻・ロザリンドは、弁護士。長女のデイジ-は詩人としての道を歩み始めた成績も優秀な大学院生。
長男のシ-オは勤勉な両親とはやや異質ながらもミュ-ジシャンとしての道を歩み始めている。

夫婦仲はよく、子どもたちとは、時々、激しい議論を交わすが、決して相手を叩きのめすものではなくお互いが信頼しているからこその言い合いかな?と思えるもの。

特に問題ない家庭で、むしろ恵まれて過ぎている印象のヘンリ-の日常。

そんなヘンリ-のある土曜日の一日が描かれた物語。

妻と一緒に眠るベッドから起き上がり、窓辺に立ち、偶然目にした事故と思われる火を噴きながら空を横切る飛行機。
それが、その土曜日の始まり。
その事自体が、ヘンリ-に直に関係するものはないけれど、幸せな日常生活に、やや不安な要素が入り込む最初。

1日をただ追うのではなく、そこに入り込む、ヘンリ-の過去。
子ども達の幼いころの記憶、それぞれの子どもが今の道に進むことになったキッカケと思われる思い出。
夫婦の出会い。二人の結びつき。

ヘンリ-の母親、ロザリンドの父親のこと。

そして、起こるある出来事。
一旦は、無事通り過ぎたかのように思ったその出来事が
久しぶりに集まった家族の中に大きな恐怖の時間をもたらす事になる。

どういう風に落ち着くのか?予想付かず、ハラハラしましたが、最後はホッとしました。


この物語の日時は、9・11の起きた約1年半後という設定。
なので、物語のなかでもイラク戦争について、父と娘が激しく議論する場面が印象的でした。

そして、驚いたのは、最後の方で、主人公・ヘンリ-が硬膜外出血の患者を執刀する場面。
実にリアル。
医療物を読んでいるかのようでした。

登場人物たちの心理描写が、細かいのはいつも思うけど、上手い!

読むたびに、いろんな感動を与えてくれる作家さんだと改めて驚愕しました!


★★★★★


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