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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2022年3月


天気を変えることはできない。
人間も、他の生きものも、あるがままを受け入れるしかない。
天気の研究に生涯をささげた藤巻博士。博士一家・四世代の歴史と、彼らとの出会いで変化していく人々の生きざまや家族の在り方を丁寧に描いた傑作連作短編小説。

                  (ポプラ社HPより)




1958年の立春から2022年の立春までの屋久60年の藤巻家の歴史を描いたお話。

楽しかった。

最初の話では、藤巻家の息子・昭彦と通いの家政婦・スミの出会い。
次の話<1975年 処暑>
二人は結婚していて、息子の和也は
中学3年生。
その息子の家庭教師に昭彦の教え子・光野昇が通っている。

<1988年 秋分>
藤巻家の隣家の女性目線のはなし。
藤巻家は、教授夫婦(昭彦とスミ)、その長男夫婦とその娘・成美(3~4歳)
の5人家族だという。
教授夫婦の長男は画家になり、妻は画廊に勤めているという。

<1999年 夏至>
画家の和也が不倫しているという話。
これは、ちょっと嫌だね~(^^ゞ

<2010年 穀雨>
市役所の防災課に光野教授と研究室の院生である藤巻成美が訪れ
今後、大雨による甚大な被害が予想されるデータをもとに今後の市の防災に
ついての話をしている。

成美は、昭彦の血を継いだんだな~と嬉しくなる。

<2022年 立春>
成美の子ども・玲(小学2年生)が、母親が3日間の出張で留守の間、母親の
実家で過ごすことになり初めてひとりで電車に乗り向かう。

玲の父親は誰か明かされていない。
詳しくはわからないが成美はひとりで玲を育てているらしい。
最初は陽平叔父さん(成美の弟で製薬会社の研究員)の元で留守中過ごす予定が
叔父にも予定が入ってしまったため。

ここにスミがいない。
病死したみたい。

昭彦は、もう仕事はしていないだろうけど、昔のまま。
マイペース。
空を眺めるのがすき。

最初の話で昭彦とスミが結婚に至るまでの
2人のエピソードがもう少し読みたかったなぁ~


表題の長靴が物語のシンボル的アイテム。
二十四節気を大切に思いながら暮らす生活はいいなぁ~。


                     ★★★★
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発行年月:2021年1月


不愛想で手際が悪い――。コンビニのベトナム人店員グエンが、就活連敗中の理系大学生、堀川に見せた真の姿とは(「八月の銀の雪」)。会社を辞め、一人旅をしていた辰朗は、凧を揚げる初老の男に出会う。その父親が太平洋戦争に従軍した気象技術者だったことを知り……(「十万年の西風」)。科学の揺るぎない真実が、傷ついた心に希望の灯りをともす全5篇。
目次
八月の銀の雪
海へ還る日
アルノーと檸檬レモン
玻璃はりを拾う
十万年の西風

                  (新潮社HPより)




どの話も良かった。

ちょっとしんどい状況に置かれている、それぞれの主人公たちが
偶然、出会った人によって救われる話。

表題作は最初。

理工学部の大学4年生の堀川は、よく寄るコンビニで働くベトナム人のバイト・グエン
から大事なものを紛失したのだが、堀川が座っていたイートインの席になかったか?と
尋ねる。
日ごろからグエンの働く様子を見ながら、半分バカにしてみていた自分だったが
グエンのことを知るうちに、自分がいかに愚かだったかに気づく。

堀川の状況が変わったわけではないけれど、きっと前とは違った物の見方が
出来るようになったんじゃないかな?
それはきっと今後の行動にも表れて、就活も良い結果が待っている・・・
と信じたい。


他の話もそれぞれ、科学の話が出てくる。
<海へ還る日>では自然史博物館で海の哺乳類のこと。

<アルノーと檸檬>では、伝書バトの話

<波璃を拾う>は、珪藻という生物について。
これは興味深かった。
珪藻土は、最近はよく知られているけれど、この生物のものだったとは。
そして、珪藻アート。調べてみると、すごく綺麗。
知り合った男女の関係も最初の最悪な出会いから、もしかしたら恋人同士になるのかな?
と思わせてくれる変化も楽しかった。


<十万年の西風>は原子力のはなし。
原発に関わる仕事をしてきた男性と、凧揚げをしていた元気象楽の研究者の男性との
出会い。
会話が自然なので、科学の話も自然と入ってきて勉強になった。
知らなかった風船爆弾の話も衝撃的だった。



お話はどれも素敵で、色々な科学の話も楽しめる1冊だった。



                      ★★★★★



発行年月:2022年7月

彼女の愛が、 私の人生を狂わせた――。幻想怪奇小説の到達点。
怯え続けることが私の人生だった。
私は今も、彼女の亡霊から逃れることができないのだ。
1978年、悦子はアルバイト先のバーで、
舞台女優の夢を持つ若い女・千佳代と出会った。
特別な友人となった悦子に、彼女は強く心を寄せてくる。
しかし、千佳代は恋人のライター・飯沼と入籍して間もなく、
予兆もなく病に倒れ、そのまま他界してしまった。
千佳代亡きあと、悦子が飯沼への恋心を解き放つと、
彼女の亡霊が現れるようになり――。

                   (角川書店HPより)


悦子と千佳代は、26歳で同い年。
悦子のアルバイト先のバーの常連・フリーライターの飯沼の連れとして
店に来て、知り合い、その後、親しくなり家にも遊びに来るように。

飯沼と千佳代は結婚するが、間もなく、病死。

バーのママ・多恵子は、以前、飯沼と付き合っていたが今が他に恋人がいる。


千佳代が亡くなってから、悦子は千佳代の姿を時々、見る。
店で多恵子といるときも二人でそれらしき姿を見たことも。
千佳代は、ただ黙って座っているだけ。
不思議なのは、飯沼の元には姿を見せないこと。

やがて、多恵子も原因不明の体調不良から亡くなってしまう。

この頃が一番、悦子も千佳代に対して恐怖を感じていたのでは?
次は自分が同じように命を落とす番だと思ったり・・・
でも、悦子は飯沼との距離を縮め、二人は恋人同士になり結婚。
そのころから千佳代の姿をみなくなる。
もしかして許してくれたのか?とホッとしつつ生活して月日が流れ
悦子42歳。飯沼52歳の年、飯沼が不倫(相手も既婚者)。
その相手が運転する車に同乗していたとき、交通事故死する。

そして、再び、千佳代が姿を見せる。


ゾゾ~ッ(ノД`)・゜・。

千佳代は、悦子に執着して、この世に留まっているということか?
悦子は、ずっと千佳代と共にこの先も生きていくということ?

特に危害を与えるわけでないのなら、それも受けいれて静かに生活して
行けばいいだけなのかなぁ~?


不思議な話だけど、一気読みさせる面白さはあった。


                      ★★★



発行年月:2022年8月


ニヒルな同心・木暮信次郎×元刺客の商人・遠野屋清之介
消えた信次郎の謎。
火傷の痕をもつ死体。
泡銭を夢見る者たち。
因縁の二人の行きつく先は?

                (光文社HPより)



弥勒シリーズも、これで11作目になるんだぁ~。
毎回、読んでいて楽しい。
起きることは楽しいことばかりではないのだけど
登場人物たちのキャラクターがいい。それぞれの向き合い方もいい。


今回は、冒頭から大波乱の予感。

同心・小暮信次郎がどこかに消えて、岡っ引きの伊佐治親分は大番所に連れて
行かれたという。
えぇ~?どうなっちゃうのぉ~??と思っていたら・・・
大活躍の遠野屋新之助。
色々なところに手を廻して、伊佐治親分が無事、帰ってきて
小暮信次郎の居場所もあてる。


事の始まりは、贋金づくり。
作るのは、職人だけれど、それをいいように利用しているのは奉行所も動かす
ことが出来る大物。
いつの時代も悪いことに自分の権力を利用する者はいるんだな。
でも、その権力に屈せず、それを止めようとする者もちゃんといるのは救い。

利用されるだけされて、逃げたら殺されてしまう人たちは、本当に気の毒。
春次を探していたお房まで・・・(/_;)


しかし、気になるには遠野屋清之助。
なんだか、ただの商売人ではなくなりそうなかんじになってきた。
そばに置くようにした、まれ吉のことも気になるし・・・。

早く次の話が読みたいシリーズ。



                   ★★★★★




発行年月:2013年5月


ちっちゃい赤ん坊だった準子が嫁に行くんだぞ――男手一つで育てた娘を嫁がせる「結婚しようよ」。あの主人公が同年代の54歳と知って愕然とする「磯野波平を探して」。もはや見ないふりできない肥満解消のため家族でダイエットに励む「肉村さん一家176kg」他。短編の名手による、笑って泣ける7つの家族の物語。

                   (講談社HPより)



どれも面白い、色々な家族の物語。


特に良かったのは、
<しりとりの、り>と<家族写真>。

<しりとりのり>
折角、家族を乗せて遠出をしているのに、会話がないとお父さんが
「しりとりをしよう」と提案して、姉・弟がそれに仕方なく付き合い始めると
おかあさんも途中参加。
そして、17歳のお姉ちゃんの旦那さん?え?赤ちゃんまでいたの?
とどんどん、この家族構成が明かされていくのが面白かった。

しりとりも独特で笑えた・・・途中から言いたいことをしりとりで言い合っていたり・・
なんとも楽しい家族・・・^m^



<家族写真>
これがやはり一番、家族の物語としは、いいかな?

写真館を営む父親が倒れ、父の手伝いをしていた娘・葉月が兄と姉に連絡して
父が入院中の写真館をなんとか、運営していこうとする話。

父親と疎遠になっていた息子・春太も葉月の姉・夏乃も、協力して
最後は、家族写真。
ほのぼのした終わり方でした。


久しぶりに読んだ荻原さんの作品だけど、ササッと読めて楽しかった。



                     ★★★

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