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読んだ本の感想あれこれ。
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35572984.jpg発行年月:2010年3月


母の昔の愛、私の現在の愛を描く恋愛小説
インテリアデザインの会社に勤める華。
密かな恋の相手は社長の能見だった。
妻の病気が二人の関係を少しずつ変える。
会うことのむずかしさが苦しみをもたらし、それぞれの想いがすれ違う……。

                   
(集英社HPより)


栗田さんの単行本は『蟋蟀』に次いで2冊目の記憶。
短編のアンソロジ-では2~3読んでいて、この人の文章いいなぁ~と思ってました。
ちょっと不思議な雰囲気がなんとも好き。

でも、今回のは不倫話で現実的な話でした。

不倫する時点で出てくる人物たちは非常識だよね~という考え方が、当てはまらないような不思議なかんじで、いつも不倫話は他人事なんだけど、ここに出てくる主人公・華の相手を思う気持ちや彼の奥さんの事を気にして、ひどく悩む様子を読みながら、真剣に同調してしまった。

奥さんのいる人をこんな風に好きになったら、苦しいだろうな・・・・とリアルに感じてしまった。


最後はどうなるんだろ?と気になったけど、
そうか、やはりこういう終わり方だよね?と妙に納得してしまう終わり方。
すっきりしたものではないけど、その方がリアリティがあると思う。
不倫って、こういうかんじなんだろうな。

出てくる人たちが、それぞれ普通の常識を持って行動する大人なので、誰も傷つかずの終わり方に自分もホッとしたところがあった。


華の母親の昔の恋の話も良かった。
お母さんが唯一、不思議な人だったけど、嫌いじゃないな。

そして、この表題も最後まで読むと、実に深い。
表紙絵も好みでした!

★★★★
PR
bf3c853e.jpg発行年月:2010年4月


不老不死以外のどんなことでも叶えてくれる不思議なびん。
欲のために、幸せのために、そしてときには愛のために、
ケアウエはそのびんを手に入れようとするが……。


                       (福音館書店HPより)



作者のR・L・スティ-ブンソンは世界的ベストセラ-『宝島』 『ジキル博士とハイド氏』などで知られるイギリスの作家。
この物語は19世紀末に南太平洋の島々を舞台に書かれ、当時は宣教師によりポリネシアの言葉で訳されたそうです。


お話は、ガラスの小瓶をめぐる不思議なお話。
主人公の男・ケアウエは、ある日、お金持ちの男から不思議な瓶の話を聞きます。
この瓶のおかげで金持ちになったんだと。

瓶の中には小鬼が住み、寿命を延ばすこと以外の望みなら、なんでも叶えてくれると。
ただし、死ぬときまで瓶を持っていると、永遠に地獄の炎で焼かれることになる。
瓶を人に譲るには、自分が買った金額より安い金額で売ること。そうしないと、再び瓶は自分の元に戻ってきてしまう。

話を聞いたケアウエは、条件さえ守れば、自分も金持ちになり何不自由ない暮らしが出来ると瓶を男から買います。
長年、瓶は人の手に渡ったので、瓶の値段はとんでもなく安く、90ドルで買ったという男からケアウエは50ドルで買います。
ただし、まだ条件があり、売り買いは硬貨でなくてはならない。


さて、ケアウエは瓶をどうするか?
勿論、すぐお金持ちの象徴である豪華な家を手に入れます。
でも、ずっと瓶を持っているわけにはいかないと友人のロパカに瓶のことを詳しく説明し売ります。
友人は悩みながらも、自分の夢を叶えたらすぐ瓶を手放すと瓶を買ってくれる。
その後、美しい妻・コクアを迎え幸せの絶頂のケアウエですが不治の病に罹ってしまう。

慌ててケアウエは、瓶を探し小鬼の力で病を治してもらう。

再び瓶を手に入れたケアウエだが、既に瓶の値段は5セントだった!

どうする?ケアウエ!
妻に瓶の秘密を全て話し、どうしたら良いか相談。
そして二人で瓶を手放す事を計画する。


ハラハラドキドキ。
一体どうなるんだ~?と思いながら読んでいました。

最後は、二人にとっては、ハッピ-エンドなんですが、その後のことのほうが気にかかって
ハッピ-な気分になれない。
不思議な物語でした。

わたしは、要らない!絶対そんな小瓶。

児童書なので、すぐ読めるけど、かなり深いものが詰まってる本だと思います。
面白かった!!

★★★★

357fefff.jpg   発行年月:2010年4月

  気づかないふりをしていた。
  もう愛していないこと。
  もう愛されていないこと。

  直木賞作家が美しくも儚い恋の終わりを描いた傑作

                       
 (祥伝社HPより)


10この短編集。
ひとつひとつのお話は短いのですが、そこにある人間関係は濃厚。

結婚してるのに、夫以外の男性を気になったり・・・
または男性側の視点で描かれる話があったり、様々な人間模様の中にある「恋」?

なんて事無い話のなかにある心理描写の上手さは、井上さんらしい。

どれもそれぞれ面白かったけど、結構すきなのは「犬」かな?
夫の会社の同僚男性に少し惹かれている妻の気持ちの表現がよかった。
この夫の鈍感なところに、苛立つかんじもちょっと微笑ましいものを感じました。


暫くしたら「どんな話だっけ?」と思うような話なんですが、読んでる間は楽しめました♪

この表題の短編はない。
ということは、この表題は全てを含めた言葉ということ?
う~ん、そう思うと、この題、結構、深いかも~。なんて一人で思ってます(^^)


★★★
   
66c3a2ca.jpg発行年月:2010年4月

オオワシ、ワタリガラス、ヒヨドリ……。鳥の渡りの先の大地にはいったい何があるのだろうか。

近所の池や川に飛来するカモたちも、命がけで渡りをし、奇跡的に辿り着いている。住み慣れた場所を離れる決意をするときのエネルギーは、どこから湧き起こってくるのか。渡りは、一つ一つの個性が目の前に広がる景色と関わりながら自分の進路を切り拓いてゆく、旅の物語の集合体。その道筋を観察し、記録することから始まった最新エッセイ。


                                    
    (新潮社HPより)

梨木さんのエッセイを読むのは初めて。
実は物語かと思って読み始めたのですが・・・・・^^;

渡り鳥を見るために知床半島に旅をする話が最初に出て来て、自然の描き方が素晴らしいなぁ~と改めて思いました。
過去の作品の多くにも植物など自然の描き方は独特で、すごく好きだったけど、今回は鳥とか動物とか動いている生き物が多く登場。

ワタリガラズって、どんな姿?わたしには鳥のこと、よくわからないし、正直、あまり好きじゃないんですが、梨木さんの愛情を持って描くその姿は、見えないけれど、なんとなくイメ-ジのようなものが頭に浮かぶから不思議。

旅をしながら、梨木さんの日常の様子も垣間見れるのも楽しかった。

「渡り」は鳥に限らないっていう事も書かれていました。
そのなかで、第二次世界大戦中のアメリカの日系人強制収容所の話は衝撃的でした。
「ノ-ノ-ボ-イ」の事実、今まであまり知らなかったけど、勉強になりました。

そんな話の後で梨木さんが言っていることも印象的。

「存在」は移動し、変化していく。
生きることは時空の移動であり、それは変容を意味する。
それが渡りの本質なのだろう。生きものはみな、それを生き抜かなければならない。
その道行がときにどんなに不器用で本人自身、当惑するような姿をして現れてこようと。

「渡り」の意味を梨木さんなりの解釈で記した言葉でしょう。


梨木さんの考え方をいろいろ知る事が出来た書で、ファンには嬉しいエッセイでした!

「春になったら苺を摘みに」も是非、読まなくては!


★★★★
4e859abe.jpg発行年月:2010年6月


父親が被害者で母親が加害者--。
高級住宅地に住むエリート一家で起きたセンセーショナルな事件。
遺されたこどもたちは、どのように生きていくのか。
その家族と向かいに住む家族の視点から、
事件の動機と真相が明らかになる。
『告白』の著者が描く、衝撃の「家族」小説。

                       (双葉社HPより)

今回のお話は、二つの家族のお話を交互に語りながら進む。
ともに高級住宅地として知られる「ひばりヶ丘」に住居を構える家族。

遠藤家は、ひばりヶ丘で一番小さな家。
その家の娘・彩花は中学受験に失敗し、地元の公立中学に通う中学2年生。
度々、癇癪を起こす娘に両親は辟易としながらも時には笑いもある家族。

高橋家は、父親が大学病院の勤務医。その子ども達3人も皆、優秀で長男は医大生。
長女は有名私立女子校の高校に在学中。次男も難関私立中学生というエリ-ト家族。


けれど、ある日、高橋家で殺人事件が起きる。
そして、その事件の後、高橋家の次男・慎司が姿を消す。

事件の真相を追いながら、二つの家族の背景を鋭く描く。
心理描写は、やはり上手いですね!

そして、二つの家族を常に観察している近所の老婦人・小島さと子の存在が不気味でした。
ある意味、一番、怖かった人。

事件の真相が明かされ、今後、二つの家族はどうしていくのか?が気になったけど、今までの湊さんの作品に比べると、結構、明るいものが見えるラストだったような気がする。


しかし、次々といろんな話を書ける人だなぁ~。
次の作品も今から楽しみ♪

★★★
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