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読んだ本の感想あれこれ。
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51KaGJDKu3L__SX230_.jpeg    発行年月:2010年7月

   夏の甲子園の圧倒的な空気に魅せられ、
   中学で本格的に野球を始めた瑞希。
   しかし、地元の小さな中学校では先輩たちの卒業に伴い
   エ-スピッチャ-がいなくなってしまう。
   このままでは、地区大会すら絶望的だ。
   そこに幼なじみでチ-ムメイトの良治が飛び込んでくる。

   「ピッチャ-、見つけたぞ!」
   しかし透哉というその少年は、心に傷を負っていて-------。

                                          (本の帯文より)


あさのさんの有名な野球小説「バッテリ-」から5年後の再び野球に打ち込む少年たちを描いた爽やかな青春小説。

「バッテリ-」は未読ですが、この話は、まだ新たな野球チ-ムが動き出したばかりの物語で、冒頭の中学生の地方大会で優勝したシ-ンから始まる。
そして、その場面から遡り、チ-ムの要であるピッチャ-の透哉と二人の少年・キャッチャ-の瑞希とファ-ストの良治の出会いから語られる。

瑞希と良治は幼い頃からの友達で、二人の会話が楽しい。
明るくて物怖じしない良治と物事を冷静に捉えて行動する瑞希。
性格は違うけど、二人との優しい。

そんな二人がワケありで転校してきた透哉と出会う。
透哉も優しい子。それゆえ、前の学校で辛い経験をしていて、母親の実家で一人暮らしの祖母・美沙子の元に一人で来ている。
学校にも行けず他人と話すのが苦手。

透哉に接し、透哉の心を少しずつ開いていく瑞希と良治。
その過程が自然で優しく、ジ~ンとした。
友達の存在って偉大だ!

まだ、始まったばかりのこのチ-ムが地区大会優勝まで辿った詳しい経緯も書いて欲しいな~。

夏のこの時期にピッタリの青春小説でした!

挿画は佐々木こづえさん。
この挿画も好き♪

★★★★

              

     
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deddfb69.jpg   発行年月:2010年7月

   「毎日が宝なのだ!」
   うれしい時にはいつも家族がいた。
   四人家族綿貫さんちの愛おしい日々。


自信満々の別の自分を空想する長女・真美。友人たちと揺れる40代
を惑う母・春子。転校生にピッチャーの座を奪わそうな長男・健介。
係長なのに全然やる気の出ない父・明弘。

四人家族の綿貫さんち、
それぞれの悩みや不安の日々から生まれる、ささやかだけれど大切なもの。
どこか懐かしくて元気が出る、あなたと同じ普通の家族が光り輝く物語。

                                        (光文社HPより)

綿貫家の物語。
長女の真実の「ダリアの笑顔」が最初で、順番に家族が語る。
真実は、真面目で良い子。
家族の様子をよ~く観察していて、新しい家を買いたいために、無理をして働いているような母親のことや、そのために両親の喧嘩が頻繁に起こることを憂いている。

次の話は母親・春子の「いいんじゃないの、40代」。
真実の話では、ちょっとどうなの?と良い印象がなかった春子だけど、
この話を読むとそういう気持ちわかる!っていう親近感が沸いてきて、春子が好きになった!
ハ-ゲンダッツのクリスピ-サンドが食べたくなった^^;

それから長男・ 健介の話「転校生」では、健介の学校のこと、所属する野球のリトルリ-グのことなどが語られる。いつも元気いっぱいの明るい健介にも、それなりに大変なことはあって、でもちゃんと自分の力で克服するし、周りの友達との関係も微笑ましかった。

そして最後は、お父さん明弘の話「オタ繊 綿貫係長」。
オタザワ繊維株式会社 総務部経理課係長の役職を持つ明弘。
自分の会社での微妙な地位に誇りを持てぬ毎日。
でも、あるきっかけから、インラインスケ-トを習うことになってから、新たな人間関係も生まれ気持ちの持ち方まで変わってくるという話。


綿貫家の4人が皆、なんだかいいな。
どこにでも居そうな家族なんだけど、どこの家庭もこんな風に、気づかないけれど、それぞれ支え合っているんだろうなぁ~。
家族っていいじゃない!と気づかせてくれた物語でした!


★★★
 


d03ee7d9.jpg   発行年月:2010年2月

   この村の秘密をしゃべってはいけない。

直木賞作家、乱心!?
父親の定年を祝ったハワイ旅行の帰りに飛行機事故に遭った坂木龍馬。
目が覚めると、そこはド田舎の村。
電気・ガス・水道なし! 車すら走っていない。
そこで暮らすのは、金太郎に、桃太郎。おまけに弥勒菩薩像の仮面をかぶった男まで現れる始末。
田おこしや年貢、人身御供に仇討ち? なんて言葉まで聞こえてきて
本当にどうする俺?
そして、主人公を待ち受ける究極の問いとは?


                                         (小学館HPより)
 

167cm124kgの相撲体型の主人公・坂木龍馬が飛行機事故で墜落し、気づけばド田舎の昔話のような世界に迷いこんでしまう。
最初から、面白そう!と思わせてくれました。
そして、実際、おもしろい。
笑える!昭和のことを知ってる大人なら、随所にあるギャグに思わず、にっこりしちゃうでしょう。

朱川さんって、こんな物語も書くんだなぁ~と嬉しい意外性。
今までは、結構、不思議で切なくてちょっと怪しいかんじの物語が多かったから・・・。


今まではオタク生活にどっぷり浸っていたような龍馬が、太陽の村で暮らすなかでは、違ってた。
最初は海坊主に間違えられて、悲惨な目にあったけど、村長さんに温かく迎えられ、やがて村人たちからも認められる人物になっていく過程は楽しかった。

でも終わり付近で、明かされる衝撃の事実!
え?そういう事だったわけ?
結構、びっくり!予想外の展開。

でも、それまでの話がありえないでしょ?と思いながらも笑えて楽しかったので、こういうラストでも違和感はないかも。
著者の日本(環境問題だったり、若者の生き方だったり)に対する考え方かな?という話もあったり、なかなか深い内容なのかも。


兎に角、最後まで楽しく読めました。

わかりやすいから、子どもが読んでも面白いかも。


                                                ★★★

 


ff255de0.jpg発行年月:2010年4月


戦時下のカブールに住む少女ビビを通して
「生き抜く」強さとは何かを描く、
著者初の、若い人へ向け遺言の意を込めて放つ、渾身の一冊!


                       (あかね書房HPより)




物語は、アフガニスタンに1987年生まれた少女・ビビが5歳になったあたりから始まる。
母親はカブ-ル大学卒業で、中学で数学を教えていて、父親は技術学校で学び、火力発電所に勤務している。
同居している兄、妹。
そして、父親のもう一人の妻。
お国柄、二人の妻がいても普通の家庭のなかで、家族はそれぞれ仲良く暮らしている。

でも、そんな家族にも戦争の影響が及び、次々に悲惨な現実が目の前に起きてしまう。


この物語は、少年少女向けに書かれているので、酷い描写は少なめですが、それでも戦時下で暮らす人々の恐怖とやり切れない虚しさ、怒りなどを感じることが出来ました。

小学校に入学した当時は、まだ授業を受けられる環境だったのに、やがてタリバンが勢力を強め、国を統治するようになると、人々の暮らしは厳しい規則で縛られ、特に女性に対する規制が信じられないほど厳しい。
そのため、女子は教育を受けることを禁じられ、働くことも禁じられてしまう。
国民の教育の権利を奪うことは、将来の国を滅ぼすことに繋がるのに・・・・。

それでもビビの母・ロビ-ナは女の子たちに隠れて教育を施していた。
そして、その為に命を奪われてしまう。

ビビの父・ラマ-トは火力発電所を戦火から(タリバンから)守らなければと、自分の危険も顧みず奔走。
なんて立派な人達なんだろう。

将来の国のことを真剣に考えているのは国民たち。
でも一番の犠牲になるのは、いつも国民たち。
戦争に対する怒りが読みながらも沸いてきます。

物語はアフガニスタンがタリバン政権下に移り、アメリカの同時多発テロが起き、アメリカがタリバン制圧に乗り出し一旦、アフガニスタンに平和が戻ってくる気配がするところで終わる。

ビビも15歳になり、再び学校で勉強をする生活に戻る。
そして、子ども達それぞれが将来のアフガニスタンのために自分たちは何を学んでいこうか?と真剣に考えている姿は頼もしい。
まだまだ、平和になりきっていない、アフガニスタンですが、将来はきっと多くの事を学んだ若者たちが平和な国を作ってくれるはず!と信じたくなります。


アフガニスタンのこと、正直あまり知りませんでしたが、この物語でいろいろな事を学びました。

表題の「ソルハ」は、アフガニスタンの公用語のひとつであるダリ語で「平和」という意味だそうです。
ちなみにもうひとつの公用語はパシュトゥ語だそう。


世界情勢をわかりやすく物語にしてくれると、子どもは勿論ですが大人にもあり難い!

こういう本は沢山の人に読まれるべき。
特にこれからの時代を動かすことになる子ども達にも読んで欲しいな。


昨年、急性骨髄性白血病で闘病生活をしていたという帚木さん。
これは、闘病中に構想を練って書かれたのかな?
解説↑に遺言の意を込めて・・・・にはちょっとビクッとしましたが、
症状は既に落ち着いて(完全寛解期かな?)いるのでしょう。

無理は禁物ですが、また新作を期待しています!

★★★★
edf28e46.jpg   発行年月:2010年6月

わたしを残して、逝ってしまった彼。
古都・京都を舞台に繰り広げられる、哀しく切ない人間模様。


一緒に死んでもいいと思った相手は、わたしを残して逝ってしまった-----。
傷心の尚子(なおこ)は、東京を後にして学生時代を過ごした京都に舞い戻る。
亡くなった男・井串(いぐし)との過去を引きずりながらも、かつての大学時代の恋人と再会し、普通の生活を取り戻したように思えたのだが……。

井串と知り合うきっかけになった寺の石仏をめぐり、
豆腐料理屋を営む謎の外国人・ボビーや寺の主・寿桂(じゅけい)など、
尚子を取り巻く人々の秘めた思いが京の町に交錯する、人生の儚さを丹念に描いた物語。


                                     (光文社HPより)


主人公・尚子の気持ちの揺れが痛いくらいに伝わって来て、辛かった。
でも周りにいる元彼で老舗の和菓子屋を継いだ今道くんも、仕事を通じ知り合った年下の細谷くん、そして豆腐料理を振舞うボビ-など、男性陣が温かく尚子を見守ってくれていて羨ましい状況でした。

尚子は相手の好意に気づいていながら・・・自分は亡くした恋人を忘れられないということを隠さず男性たちに話ながらも、そのときの気持ちで行動する、女性側から見たら、ちょっとイヤな女かも?

でも、わたしは不思議と尚子には嫌悪感を抱かなかったなぁ~。
何故だろ?
誠実さみたいなものを感じたからかな?
相手の気持ちをへんに弄んではいないと思ったから。
今道くんも細谷くんもそんな尚子の誠実な部分を理解していたから、最後まで優しくいれたんじゃないかな?

ボビ-はちょっと異質だったけど、頑なに貫こうとしていた事を尚子の言葉によって、断念した時はホッとした。
実行されてたら、この物語がメチャクチャになってしまうから・・・・実行されないとは思っていたけど
この説得の仕方は、なるほど!と感動した。

尚子が心中までしようとした井串という画家の描いていた「埋め仏」が物語の中心にいつもあって、京都ならもしかして本当にあるのかな?なんて思っては想像したりしましたが、実際はどうなんだろ?

埋め仏があるお寺を守る寿桂が尚子の愛した井串と関係があったという事実、そしてそこにあったもっと深いものが最後の方で語られたあたりは、特に面白かった。
人の縁って不思議だな。
偶然過ぎるかもしれないけど、無理矢理なかんじはあまりなく、よく出来た話だと素直に思いました。


埋め仏を見ての外国人のボビ-と細谷くんの意見交換の場面が良かった。
ボビ-はこれは拷問による恐怖と怒りで歪んだ顔だと言うのに対して、細谷くんは反論。
皆の罪を背負い埋められていると伝えられているお地蔵さまだから、日本人ならこの顔を慈愛に満ちた笑顔と見るものだと言う。

日本が好きで日本人に近づきたいと思うボビ-には痛い反論だっただろうな。


二人の男性から結構、言い寄られる尚子だけど、この先どちらかを選ぶのかな?
案外どちらも選ばないか?
でもわたしは細谷くんがいいな。(ホントは年下は興味ないんだけど・・・^^;)


結構、この話、好き!


★★★★

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