古い写真の中の、胸に黄色い星をつけた少女----いま彼女を探すこと、それは私自身を探すことだった。
パリで平穏に暮らすアメリカ人記者ジュリアは、60年前にこの街で起こったユダヤ人迫害事件を取材することになった。それが人生のすべてを変えてしまうとも知らず……。国家の恥と家族の傷に同時に触れてしまったひとりの女性が、真実を、そして自分自身の生きかたを見つけようともがく闘いの記録。全世界で300万部突破。
(新潮社HPより)
ナチス占領下のユダヤ人迫害の話は、過去にも幾つか読んだけど、正直、フランスにもこういう事実があったのは、知らなかった!
物語は1942年7月、パリでのフランス警察によるユダヤ人強制検挙から始まる。
当時10歳の少女・サラは、警官が家を訪ねてきたとき、とっさに当時4歳の弟・ミシェルを二人がいつも隠れて遊んでいた納戸に隠れているように言い鍵をかける。
弟を守るため。そして、すぐに戻って来て、出してあげればよいと思って・・・
しかし、それが弟との別れになってしまう。
そして、サラの物語と同時進行の形で、その60年後、2002年のパリ。
ジャ-ナリストのジュリアの物語が進む。
45歳のジュリアはアメリカ人だが、フランス人の夫・ベルトランと11歳の娘・ゾ-イと穏やかに暮らしている。
しかしあるときを機に、60年前のユダヤ人迫害の真実を追うことになる。
サラの体験の場面は、悲惨で胸が苦しくなる描写ばかり。辛い。
なんで、同じ人間なのに、何も個人的には非のない人間に酷い仕打ちが出来るのか!?
人間が人間にする事じゃないでしょ!?と怒りすら沸いてくる!
毎回、この類の物語を読むと感じることだけど、まだ知らないそういう事が世界中にあるんでしょうね。
2002年のジュリアの話に切り替わると、ホッとしながらも交互に出てくる二つの時代の話は、それぞれに惹き込まれる。
そして、段々とジュリア自身がサラと関わりがあることがわかる。
最後は、泣けました。
サラの人生は壮絶だったけど、それに関わったジュリアの平穏な暮らしも大きく変化して、でもジュリアの揺るがない真実を追い求める姿勢は感動的だった。
記憶せよ。決して忘れるな。
深い意味を含んだ言葉だと思いました。
乙一最新作! 子供達に贈る小さな勇気の物語
小心者でひとりぼっちのネズミ、イグナート。
生まれてはじめてできた友達は、亡国の王女ナタリア。
囚われた王女の危機に、いつも涙目の弱虫ネズミが
小さな冒険の旅をはじめる!
(集英社HPより)
乙一好きな次女が図書館にリクエストして、入れてもらった本。
絵本なのか?マンガなのか?
かなり絵が多いです。しかもマンガっぽい^^;
物語は、さほど珍しい展開ではなく・・・・
悪い叔父に王位を乗っ取られ囚われの身となっている王女・ナタリアを助けるために小さなネズミのイグナ-トが勇気を振り絞って頑張る物語。
イグナ-トとナタリアの出会い。
二人が友達となるある出来事。
その出来事があったからこそ、イグナ-トは勇気を奮い起して危険がいっぱいのなかナタリアを助けたのですね~。
単純な話で、わかりやすくていいです!
これなら、字がやっと読めるようになった子どもでも楽しめるかも。
親子で楽しんで感想を言い合うのもいいかも(^^)
イグナ-トとナタリアの背景にあるものは、重く哀しいものがあるのだけど・・・言葉での表現が少ないから大人にはやや物足りないかもですが・・・児童書としては充分でしょう♪
なぜ日本にはカエサルのような指導者が出ないのか
ローマ帝国は危機に陥るたびに挽回した。
では、今のこの国になにが一番必要なのか──。
「文藝春秋」巻頭随筆がついに新書化なる
(文藝春秋HPより)
塩野さんと言えば、ロ-マ。
古代ロ-マの史実に対する書物は、過去にも読み、大変面白かった!
その塩野さんが日本の政治を辛辣に批判しながら、古代ロ-マの英雄たちを引き合いに出す。
副題(?)の「なぜリスクをとるリ-ダ-が出ないのか」の答えのようなものが書かれているのか?期待しながら読んだけど、はっきりとした事は書かれていなかったかな?
でも古代ロ-マのカエサルやらハンニバルなど戦いのなかリ-ダ-シップを取った人物たちを出されると・・・・今の日本の政治家にそれと同じことは無理でしょ?^^;
なんて思ってしまった。
本書のなかで塩野さんの語る政治やロ-マに関すること以外のことが、わたしには興味深かった。
「笑いの勧め」のなかで、お薦めの映画を2つ挙げていて、その1つが最近見た「恋愛適齢期」だったので、より楽しめた。
ジャック・ニコルソンとダイアン・キ-トンがお互いに第一印象は最悪だったのに、やがて恋に落ちる話。
このイタリア語のタイトルが「なんでも起こりうる」という意味のものという事らしいが、なるほどそれは内容にバッチリかも!!
塩野さんの語り口調がサバサバしていて好き!
今度、ロ-マも政治も抜きの、ごく普通のエッセイが読みたいな~。
ロ-マとか政治の話も面白いけど、少々肩が凝るので・・・^^;
日本人へは、もう1冊、リ-ダ-篇のほかに国家と歴史篇も出てますね。
もうちょっとしたら、そちらも読んでみようかな?
★★★
米澤穂信、青春ミステリーの傑作シリーズ〈古典部〉最新作!
春を迎え、奉太郎たち古典部に新入生・大日向友子が仮入部することに。だが彼女は本入部直前、急に辞めると告げてきた。入部締切日のマラソン大会で、奉太郎は長距離を走りながら新入生の心変わりの真相を推理する!
(角川書店HPより)
高校の古典部の話で、これはシリ-ズ物なんですね?^^;
知らずに初めて読みましたが、楽しめました。
物語は、現在と過去が交錯しつつ進みます。
その現在は、神山高校の恒例行事であるマラソン大会。
20Kmを走り終わるまでに、古典部のなかで起きているある問題についての真相を追究し問題解決しようと挑む2年生の折木奉太郎。
そのある問題とは、新入部員となるはずだった1年生女子が、突然入部を辞めたいと言った事。
それまで結構、2年生ともうまくやれそうな雰囲気だったのに・・・・なぜ急に?
その謎を解くため、過去のいろいろな場面を振り返るかたちで描かれ、その謎もわかってみれば、そういうことね・・・・という物だけど・・・
高校生の立場になれば、まあ大問題なんでしょう。
この表題は、結構ふかい意味を含んでいるかも。
古典部の2年生メンバ-の過去の話も興味あるので、またいつか読んでみようかな?
余談だけど・・・これ読みながら・・・・ちょっと恩田陸の「夜のピクニック」を思い出しました。
人形のために作ったミニチュアの家にやってきたのは、
小さな小さなお客様。
“花明かり”と少女たちの交流を描いた感動の物語。
(ポプラ社HPより)
物語は2部形式。
第一部は、七恵と独楽子 196*年
7歳のとき、母親が亡くなり、父親は再婚した。
新しい母親・冴子ママは、優しいけれど、七恵とはどこか合わない。
そして七恵は母方の祖父母の家で暮らすことになる。
祖父母の家には不思議なものがいろいろある事を発見する。
祖父が発見したという“花明かり覚え書き”
そして、七恵が亡くなった母と作ったミニチュアの家具を集めた引き出しの中の家に、
小さい女の子が訪ねてくるようになる。
小さい女の子は独楽子。
二人は仲良くなり、ある約束をするのだけど・・・・何故か二人が会うことはなくなってしまう。
なぜ?の謎を残したまま、物語は
第二部 薫と桜子 200*年 へと移る。
薫は第一章の七恵の姪に当たる。
そして、薫もある日、かわいい物が沢山入っている引き出しを見つけ、小さい人・桜子と知り合う。
そして、薫が見つけた七恵から独楽子に宛てた手紙により、第一章の謎も解け、
七恵のその後も明かされる。
これは児童書なのかな?
とても読みやすかった。
この夏、見た「床下のアリエッティ」を思い浮かべるようなお話でしたが、こちらの話も良かった。
文中にも、メアリ-・ノ-トン著の「床下の小人たち」が出てきたりするので、著者もこの話は知っていて、その日本版を書いたのかも。
冒頭に出てくる七恵が作った小さな家具たちの説明とそこにある挿絵の可愛らしさに釘付けになりました!
女子なら、みんな好きなものでしょう!
特にシャンパンのコルク栓をカバ-してる金具で作った椅子が素敵!!
今度、作ってみようかな?
楽しいけど、ちょっとその背後には切ないものもあって、でも最後は嬉しい出来事があって・・・
感動の物語でした!
小学生中学年くらいなら読めると思う内容で、大人も楽しめるお薦めの本です!
★★★★★
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記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;