カフカ+マルケスと称される異形のビルドゥングス・ロマン!
少年時代の終わりの日、僕は姉を犯そうとする「アレ」を撲殺した。
執着と断絶を繰り返す異形の家族のサーガを既存の枠組みを踏み越え、ガルシア・マルケスにも擬えられるマジックリアリズム的手法で描く壮大な物語。
(角川書店HPより)
第1章~第5章まで。
登場する人物というか、家族というか・・・共通した人たちの周りで起きる日常が描かれています。
が・・・・すごく奇妙な話です。
そのまま読めば非現実的な物語ですが、よ~く考えれば、現実に起こった事柄を、比喩を交えて述べているのかも?
第1章で、家族のなかに存在する「アレ」。
不気味で、怖くて・・・・正体不明な生命体?という感じです。
が・・・後の章で主人公の「僕」が語るところでは、「アレ」も普通に家族(僕の兄)って事?
ここに登場する家族は最初の章で僕がいうところの「アレ」が居なくなるので、その後は
両親と姉と僕ということになるのだけど、家族以外に登場してくる人たちが、皆、変な人たち。
そんな人と関わるなかで、どんどん見えない不幸の迷路に迷い込んでしまうような家族。
何も考えずに読めば、それぞれが不可解ながらも面白い。
でも考えてみれば・・・怖い。
最後の章まで、何がなんだか???の部分はあるのですが、不思議と引き込まれて読んでしまった。
そして、なんだかわからないけど、面白かった!
こういう物語は初めて読んだなぁ~。
それと・・・・・平山瑞穂さんって、男性だったんですね!?
勝手に女性だと思っていたので、今回、それに気づいてビックリしました^^;
当代一の女性作家、競艶
当代最高の女性作家8人が
腕によりをかけた絶品短篇小説集。
恋愛模様はもちろん、時代物からミステリー仕立てまで
超逸品ぞろい
(文藝春秋HPより)
なんという豪華なメンバ-でしょう!
髙村さんだけ、初めてかも?ですが、その他の方たちは、それぞれの個性をしっかり出した作品だったような気がしました。
江國さんの「蛾」は、結構切なかったけど、この世界観はキライじゃない。
「蛾」がキライだから、ちょっと怖かったけど・・・^^;
小川さんの「巨人の接待」は、ちょっとメルヘンの世界のような現実の世界から離れたかんじのお話で楽しかった。
川上さんの「天にまします吾らが父ヨ、世界人類ガ、幸福デ、ありますヨウニ!」は
大学時代から現在40代までの男女の交友関係を描いていて、こういう人たち、どっかに居そうだよな~なんて思いながら読んだ。
桐野さんの「告白」は
少し時代小説っぽく、そこに出てくる話は、昔ばなしの様だった。
でも、ちょっとブラックなところが桐野さんっぽい。
小地さんの「捨てる」は
とっさに一人引っ越しを決めてしまった主婦のはなし。
引っ越し業社の青年との恋?と思ったら違って・・・やや期待はずれだったけど・・・^^;
新しい一歩を踏み出したって事ね?
捨てたのは旦那ということですかね?
髙樹さんの「夕陽と珊瑚」は、
老人施設に入所の女性がかつての恋人の元に一緒に訪ねる話。
老いるって切ないけど、思い出は綺麗なまま残る?なんて美しい話と思いきや・・・・
あ~ビックリの展開でした。
髙村さんの「カワイイ、アナタ」は
ある警察官が退職した先輩警察官から聞いた話を思い出して語る話。
最後まで読んで、なるほど、そういうことでしたか?と納得した。
初めて読んだ作家さんだったけど、なかなか面白かった。
最後の林さんの「リハ-サル」は、
ちょっとエロイ。
今まで読んできた作品には、ちょっとここではない何処か他の場所の話のような物が多かったけど
すごく現実的なかんじで、読みながら何だかイヤだな~なんて苦笑したけど・・・
最後まで読むと、この「リハ-サル」の意味がわかって大笑いしちゃった。
こんな50代には、自分はなれないけどね~。
ま、兎に角、バラエティ-に富んでいて楽しめました。
「招待」してくれてありがとうございます!
というかんじです(^^)
★★★
はじまりは「ぬかどこ」だった。先祖伝来のぬか床がうめくのだ----。
待望の書下ろし長篇小説。
叔母が死んで、久美は代々伝わるというぬか床を世話することになった。そのぬか床に、得体の知れない卵が出現。いったい何が起こっているの? 久美は酵母研究者の風野さんを伴い、ぬか床由来の故郷の島を訪ねる。増殖する命、連綿と息づく想い……。解き放たれてたったひとりの自分を生き抜く力とは?
(新潮社HPより)
梨木さんは、やはり凄いです!
どういうとき、こういう物語を思いつくんでしょう?
「ぬかどこ」から始まる物語なんて、どこにもないでしょ?
でも、考えたら代々、受け継がれていくものだったりするから、ここにある物語のような昔のいろんな時代の思いのようなものも吸収していたりするかも?
わが家には、ぬかどこないけど・・・^^;
梨木さんの物語は、いつもちょっと不思議なことが起きるんだけど、これもそう。
最初からちょっと不思議。
でも結構、ほんわかした感じがあったのですが・・・段々とホラ-っぽくもなり、ちょっと不思議な怪しいかんじにもなったかな?
でも、その怪しさは、もっと先に進んで本当の事を知るなるもの。
夢中にさせてしまう力が梨木さんの文章にはある。
主人公の久美が亡き叔母が毎日、かき混ぜていたぬかどこを自分が譲り受けた所から物語は始まり、不思議なことがいろいろ起きるのですが、登場する人たちも個性的で不思議。
ぬかどこの不思議を相談する風野は、男性であることを捨てた人。
野生酵母を収集し、変形菌を飼っている。
久美と風野の会話は、なかなか面白かった!
ヒトの遺伝子と酵母の遺伝子は多くの互換性がある
なんて話は特に!本当!?
表題の「沼地の森」は、最後の方で出てくるけど、ぬかどこのル-ツを探る話にまでなって、益々面白くなっていった!
途中、ぬかどこの話と少し飛んで「シマの話」がⅠ~Ⅲまで出てくるのですが、正直、主な物語との関連性がイマイチ、はっきりわからなかった。
わからなくても、それはそれで面白いんだけど・・・^^;
再度読めば、それもわかるかな?
はじまりは、1つの容器にはいった、ぬかどこですが、スケ-ルの大きな物語に発展していく様が凄く面白かった!
梨木さんの物語は、やはり最高です!!
時間を空けて、また最初から読みたい本です!!
50時間起きて20時間眠る特殊体質のメイジ。
草食系でのんびりした性格に反し、15年前、父親を殺されたというハードな過去の持ち主。現在はゲームプランナーをしつつ、体質を活かした〈監視〉のバイトをしている。だが、そのバイトのせいで二億円を拾ってしまい、裏金融世界の魔手に狙われる羽目に。メイジは戸惑いながらも知恵と友情を武器に立ち向かうが、この利とも枷ともなる体質が驚愕の事態を招く!
(早川書房HPより)
主人公の森田明二は、26歳でゲ-ムプラナ-を職業とする。
そして、50時間起きていたら20時間眠り、眠っている間は、目を覚まさないという障害を持っている。
その特異な体質が、その後起きる、事柄にもっと意味を持ってくるのか?と期待したけど、その辺はあまり関係なく・・・ちょっと期待はずれでした^^;
でも、明二の過去には、母親失踪、父親殺害という暗いものがあり、未だそれらの真相は謎のまま。
そして、バイトで監視をしていた先で、事件に遭遇し、2億円を手にするハメになってしまう。
問題が次々、起きて、それがどう解決していくのか?
気になりつつどんどん読み進めました。
登場人物たちの会話の様子が明るく、温かいのも楽しかった。
終盤、明らかにされる過去の真相。
それに伴って明らかにされた事実。
明二を助け常に側にいてくれた謎の男・ナタネの過去。
ちょっと良い話でジ~ンとした。
ミステリ-なんだろうけど、優しい雰囲気の物語だった。
日本で新たに高校生活を始めた帰国子女の栄美(エイミー)。
淡いときめきも別れの痛みも、
いつかは青春の思い出になるはずだった。
だが後に知ったのは……
貫井徳郎が青春小説に仕掛けた「驚き」とは!?
(集英社HPより)
3部作構成の物語。
最初の話「In the hight school」では、日本人の両親を持つ栄実(通称エイミ-)がアメリカから日本に両親と共に引っ越し、日本の高校の3年生として生活をする話。
クラスメイトともすぐ慣れ、楽しい高校生活を送る。
仲良しの女友達も出来たし、スポ-ツ万能、成績優秀の飛鳥部くんとも親しくなったけど、ちょっと気がかりは、クラスに馴染まず、いつも一人でいる小金井くんのこと。
友人の菜都美に「どうして?」と問うと、彼の父親が犯罪者で、関わりたくないから・・・とか。
そんな理由で彼を差別することに疑問を感じる栄美は、自分だけは差別しないよう接する。
皆から好かれている飛鳥部くんが急接近してダブルデ-トをする栄美。
二人だけで今度は会おうと言われるが、デ-トの日になると何故か、邪魔が入る。
そして、ある日、急に飛鳥部くんとの関係はギクシャクし、そのまま自然消滅。
そして、次の話「At Roppongi」
舞台は六本木。
最初の話と共通する人物は、居ない様子なので、全く別の話?とやや凹む。
アンディという黒人とアメリカに憧れる日本人青年の物語。
で、最後の「In the university」
ここで、最初の主人公・栄美が大学生になって登場する。
そして、二番目の話で登場の日本人青年と栄美が出会い・・・
二番目の話は、最初の話と三番目の話に繋がってるんだ!と気づく。
そういうことだったんだ!!と驚くことがあれこれ。
最後まで読むと、その前の話で読みながら疑問に感じたことが、全て解消されていくかんじ。
なかなか面白かった。
ちょっと最後は切ない気持ちにもなったけど・・・。
明るく終わってるから、読後感は爽やかで良いな♪
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記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;