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読んだ本の感想あれこれ。
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f34dfa8f.jpg発行年月:2010年9月


 
美しい挿画でも好評の『ひぐれのお客』につづく、安房直子短篇集の最終巻。とうふ屋さんが死者である子どもたちと出会う表題作ほか、日常のちょっとした裂け目に、異世界へのとびらが「くらん」とひらく全七篇


                        (福音館書店HPより)

図書館へ行くと、新刊の児童書コ-ナ-はいつもチェックします。
そこにあった本です。

安房さん、名前は知っていましたが、過去に読んだ記憶がなく、これは表紙絵にも惹かれました。
この表紙の絵、よくみると刺繍みたい。
画家紹介が本の後ろにありますが、MICAOさんの経歴は、外資系メ-カ-にてファイナンシャルアナリストとして勤務の後、独学で染色、縫製などを学んだと書かれています。

実際、表紙の絵以外にも挿絵が幾つかありますが、布地に描かれたようなかんじになっていて、ちょっと変わってる。
このかんじいいなぁ~。

そして、お話も素敵です。
8つのお話がありますが、そのなかに連作で「とうふ屋さんの話」よりとして

3つのお話が含まれています。

人間が主役だったり、動物が主役だったり。

8つのお話に共通するのは、ちょっと不思議で空想の世界のような現実とはまた別の世界にような話。
読んだ言葉から、頭のなかにそにの情景がすぐ浮かんでくるような文章でした。

どれも良かったけど、好きだったのは「春の窓」かな?
売れない絵描きが、ある1匹の魔法を使える猫と出会って、ちょっと不思議な体験をする話。
最後はハッピ-♪

既刊に「ひぐれのお客」も出ているとかなので、今度はそちらも読んでみたい!と思ってます。

こういう童話なら大人も楽しめていいなぁ~(^^)


★★★★
 
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603c6f3b.jpg発行年月:2010年5月

あなたの恋人はほんとうに「理想の人」ですか?

高校卒業と同時に上京した佐川夏実は、アーティスト・デビューの夢を追いながら、吉祥寺でストリートライブをしていた。彼女が歌う『不在証明』という曲は、おぼろげな記憶の中にいる「彼」のことを歌っていた。それは「彼」との写真もあるが、「彼」が誰なのか夏実にはまったく思い出せないという彼女の不思議な体験を歌ったものだった。一方、吉祥寺の私立大学に通う伊神雄輝は、自ら主宰する学生サークルで、世間に流布する数多の“都市伝説”の謎を追っていた。現在のもっぱらの話題は、「イレイザーヘッド」という謎の人物によって人々の記憶が突然消されるというものだったが、あるとき雄輝の携帯に奇妙なソフトが届く。それを使えば、誰でも「理想の人物」を生み出すことができるという触れ込みで。この都市伝説は単なる噂なのか、それとも……。書店員さんからも大反響。新作発表ごとに新たな顔を見せる実力派作家・平山瑞穂が、壮大な愛と存在証明の物語に取り組む。著者渾身の最長編にして新たなる代表作が誕生!

                                         (小学館HPより)


マザ-っていう表題から勝手にヒュ-マンドラマかと思ってました^^;
最初は、結構明るいかんじで、プロのミュ-ジシャンを目指して地方から上京して、ストリ-トライブなどをしながら頑張っていく女の子のサクセススト-リ-が軸かと・・・。

でも、違うんですね~。
主人公・夏実には、ちょっと気にかかっている事があるのです。
夢で見る見知らぬ男性と自分。男性は自分の恋人の様子。
でも覚えがない。
そして、ある日、実際にその男性と二人で撮った写真が自分の部屋から見つかる。
やはり、記憶がない。家族や知人に見せても「知らない人」と言われる。

段々、SFっぽい話になって行きます。
そして、結構それはスケ-ルが大きい話になっていって・・・・

登場人物もどんどん増えていくし、話もすごく入り組むのだけど、
わかりやすいのでちゃんと付いていけました(^^)

大学生の伊神の真実を知った後の苦悩の様子がこちらにも伝わって切なかった。
彼の決断も。
ラストも切なく哀しい。

けれど、読後感は悪くない。

うん、面白かった!!

今まで読んで来た平山さんの作品とは大きく異なる作品だけど、こういうのも好き!
文章はやはり巧い!

★★★★★
f57cfb29.jpg発行年月:2010年8月


「俺はみにくいアヒルの大人」。
十七年間、場末のマジックバーから抜け出せない三十五歳の晴夫。
腐りきった自分に飽き飽きしていたある日、
テレビ番組のオーディションに挑む。
新たなる傑作!

                       (幻冬舎HPより)



最初は、冴えないマジシャンとして働き家賃4万8000円の安アパ-トで独身生活を送る35歳の晴夫の様子が暗いなぁ~。
この話はどう展開していくんだろう?と思って読んでいました。

このままじゃダメだと一念発起して、テレビのオ-ディションを受ける春夫。
おっ、ここから運気が開けるのか?と予測したけど・・・違った^^;

父子家庭で育ち、父親がイヤで家出して、17年会ってなかった父親が亡くなったという知らせ。
そして・・・ある事が起きる!
正に晴天の霹靂!!

ここからは、ちょっとSFの世界のようでした。
何処かで見たり聞いたり読んだりした話なんですが、設定やら会話や言葉使いが面白く、
結構面白く読んじゃいました。

最後は、ちょっと感動したし・・・
なかなか良いお話でした(^^)

★★★
 
d073af9e.jpg発行年月:2010年7月


一話が50人だけのために書かれ、自宅に届けられた「ゆうびん小説」が、書き下ろしの最終話が加えられ、遂に単行本化。
自分も誰かに贈りたくなるような連作短編集。



                       (双葉社HPより)


太宰治の未完の絶筆「グッド・バイ」から想像を膨らませて書いたそう。
太宰の「グッド・バイ」が読みたくなりました。

主人公は30歳のダメダメ男・星野一彦。
ダメダメなのに、口が達者で、ウソで固めた話で5人の女性と付き合っていた。

そしてその5人の女性を順番に訪ね別れを告げる。
一彦に同行するのは、繭美という身長180cm、体重180kgの巨漢女性。
見た目も大きいけど、この繭美、態度も大きい・・・・喋る言葉から最初、男?と思ってしまった^^;

繭美は婚約者という設定で女性たちには紹介。

物語は、短編の連作の形。
5人の女性との出会いの場面から始まり、その後、繭美と一彦が女性に対峙する。

女性たちもいろいろ。
OL,シングルマザ-、ハチャメチャな子、乳がんに侵されているという者、女優。

「なんでこんな人と結婚するの?」と動揺する者もいれば、案外あっさり、納得する者あり。
それぞれの女性たちとの出会いの場面がなかなか面白いけど、後で繭美が
「こいつはウソつきだから・・・」とお決まりの言葉。

そして、繭美と一彦の本当の関係が読んでいくと段々、わかってきます。
でも会話の中に出てくる一彦がやがて乗せられ遠くに連れて行かれるという話の真相ははっきりわからず・・・・。
会話に出てくる<あのバス>というフレ-ズがちょっと不気味でした。

物語は、面白いけど、最後はハッピ-エンドじゃない。
よくわからないけど、多分、一彦にはこの後、結構厳しい状況が待ち受けてるだろうなぁ~と
想像しながら本を閉じた。


伊坂さんらしい本という印象でした(^^)

★★★★
7442cb2d.jpg発行年月:2010年7月


真実とは乙女にとって禁断の果実だった。言葉とアイデンティティの問題をユーモア交えて描く芥川賞受賞作。

京都の大学で、『アンネの日記』を教材にドイツ語を学ぶ乙女たち。日本式の努力と根性を愛するバッハマン教授のもと、スピーチコンテストに向け、「一九四四年四月九日、日曜日の夜」の暗記に励んでいる。ところがある日、教授と女学生の間に黒い噂が流れ……。言葉とアイデンティティの問題をユーモア交えて描く芥川賞受賞作

                                           (新潮社HPより)


次数が少ないかんじで、読みやすくスラスラと読み進みました。
舞台は、京都の外国語大学。
著者自身も京都外国語大学卒業なんですね。

「アンネの日記」をドイツ語訳にした「ヘト アハテルハイス」(隠れ家の意味)を暗唱しスピ-チするコンテストに向けて練習に励む乙女たち。

スピ-チのゼミ担当であるバッハマン教授がユ-モラス。
いつも抱えているアンゲリカ人形。

乙女たちのロ-ダ-的存在の麗子。
麗子さまをライバル視する百合子。
ドイツ生活の経験があるのに、言葉を忘れてしまっている貴代。
そして、この物語の主人公・みか子。

物語が少しずつ、「アンネの日記」の話と絡みあっていく様子が巧いなぁ~と思った。

アンネたちを密告したのは誰か?
その歴史上の謎の部分も乙女たちの生活のなかに同じように組み込ませて・・・・

結果、密告者は誰だったのか?

噂って怖いな。

結局なにが言いたいのか?はっきりわからないけど、なんとなく感じる物がある作品で
結構、わたしは好きです(^^)

芥川賞受賞以前の作品にもちょっと興味が沸きました。

★★★
 
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